以前から「体験に連れていくね!」と言いつつも、 ずっと先延ばししていた”娘の彼氏”のウインド体験。
あまりに延ばていると嘘つきになってしまうので、 今回、やってもらいやしたです、ハイ(笑)
高校時代にサッカーをやっていたとの事で、 運動にはかなりの自信が有るるみたいですが、
”ウインドはあらゆるスポーツの中で最も難しいんだよ!”と何度か言っておいたはず・・・大丈夫かいな・・・
まあ、それが実際にどんなものか?というのは、現実的にやってみない事には解らないですけど。
昨日は、天気は良い物の、全くの無風だった。
*写真は土曜日のセッティング時の物です。
本当は土曜日が良かったんですけど、二人とも予定ありの為に駄目だったので、 一日ずれて今日。
台風が夜には来襲しますが、朝はまだまだ穏か。
風的には初心者向きで、ただ、台風の影響によるダンパが多少入ってきているのが想像に難くないので、朝一番での体験です。
午後になるとね、 背丈の倍くらいのうねりが、浜でロール巻きながらブレークする状態になるので、死んでしまいますです。
6時には家をでて、 ゲレンデに着いたのが8時前。
天気は最高、風は穏か、 というか、もし吹いていたら、ウインド体験どころか自分が沖をぶっ飛んで帰ってこないのが自分で判るので、
ある意味、自分に対して良い意味での自制を促してくれてます。 でゃははは!
娘の彼氏のS君、 まったくの未経験ですので、 一番でかいボードが必要でして、僕の古いフォーミュラー(本当はこれを練習用にするのは涙目)。
セイルとマスト、ブームは壊しても惜しくないもの。
ちなみに、 セイルサイズは5.4
まずは道具のセッティングから教えていき、 それが終わるとボードを浜に置いて、基礎的な操作を教えます。
セイルアップ、 そしてベアとラフだけを教えて、すこしの間 自主練習させました。
*写真は土曜日のです。
さてと、さっそく海に出ていますが、方向転換であるタックやジャイブはまだまだ無理なので、長いロープをストラップに取り付け、
”もし???”沖に行ってしまったら、それで引っ張り戻すというごく簡単な方法。
あくまで行ってしまったら?の話ですけど、まず立つこともできんでしょう。
さっそくトライするS君。
ところがボードに這い上がる方向が逆なので、それを教えてのスタート、 ただ、ハーネスは付けていませんので、 這い上がるのは楽。
で、ボードの上に立とうとしてドボン。
まあ、これが普通。
近くに行って、ボード上の基礎的な立ち位置を教え、 何とか立てるようになるまでに、30分程度を消費。
なかなか、筋は悪くない・・・・
で、なんとか立てるようになるとセイルアップの開始ですが、 当然ドボン!
しばらく悪戦苦闘しているのを黙ってみてましたけど、 ついにヒント出し。
ウインドは安定していないのが普通、 安定させるには、 物理的にもそうですが3点支持が基本。
両足で2点、 もう一点は セイルとボードを結ぶジョイントにあり、 ジョイントに安定した荷重をかけて、両足首とジョイントの力のバランス均衡を保てばセイルはまっすぐにあがります。
両足の2点は、有るはずないバランス点を作り出すために均等に調整する必要が有って、それは うねりの状態やボードのエレベーションに合わせて常に変化させて対応します。
と、教えたんですけど、 台風のうねりによるエレベーションが段々と大きくなってきてるので、多少難しい。
とはいえ、 うねりそのものは大きなサイズの物でして、 練習している場所は波がブレークする浜よりだいぶ沖なので、ゆっくり上下に動く感じで、
特段難しくもなんともない。 かな???のはず・・・
いや、今だからそう思うんですけど、 自分が始めた頃は、上下に一度エレベーションしただけでドボンとなっていた。ウケケ
セイルを上げる戦いを続けているS君ですが、 練習を開始してから1時間半近く経過して、だんだんと疲れが見えてきた。
と、その時に横から娘が出撃。
80Lで幅53cmしかないソニックのスラロームボードに、ロフトセイルの4.3。
それじゃ~ セイルが小さいんじゃない?と横目で見ていましたけど、やっぱり走らない。
ただ、浜付近で吹いていなくても沖に出ると爆風だったりするので出だしのセイルサイズとしては正解。
速度が出ないまま、娘はそのまま沖まで行ってしまい、 まあこちらは放っておいても全然大丈夫なので、僕は S君に集中します。
どうにもセイルアップが出来ないので、 とりあえず僕がセイルアップの見本を見せます。
”見ていて!”と言って、ボードに這い上がるとヒョイとセイルを上げて、そのまま発進。
やっぱり風が弱いですけど、 5.3でも、散歩程度の速度は出る。
やはり うねりは有りますけどさっきも書いたように、大きな物ですから特にバランスが難しいという状況でもない。
そのまま、しばし沖まで行くと、ジャイブして元の場所へ戻って、再びS君にセイルアップ指示。
しばらくして、娘が戻ってくると、 ”駄目~~~!風弱い!”と一言。
それでも久しぶりに海に出たという事も有り笑顔。
一方、S君はさすがに疲れ切って、 表情も暗くなり、 見ていても苦しそう、この時点で練習開始して2時間くらいでしょうかね。
そろそろ限界かな~と思って浜に道具を引き上げようとしたら、 娘が今度は教え初め、 それでやる気出たのかS君再トライ。
ところがこの辺りから うねりが急に大きくなってきて、 と同時に市の防災無線の波浪警報がスピーカで流れ始めた。
大体2~3mくらいの波が定期的に来て、その間は、割とうねりが小さい。
ただ、これまた、ある段階から突然大きくなり始めて、浜でそのままの高さで巻きブレークし始める回数が増えてきた。
有るところまで酷くなると、これ以上は危険と判断 道具を引き上げました。
S君の初ウインド体験は、ひたすら苦行だったようです。 それが普通です、ニコニコニコ
道具を片付けている間に、学生のウインドサーフィン部が浜に戻ってきた。
下手するとブレークで巻かれて道具を壊すので、僕も手伝いに行き、 みな無事に帰着
そうそう S君の練習中、 浜で波にまかれてフォイルを壊された人もいて、水の力というのは本当に恐ろしい。
マストやボードを壊すことは珍しくないし、 浜で足が砂に取られてそこにブレーク波+ボードにかかる水圧で足の骨を折る人もいる。
僕自身、台風のダンパでマストを二本折っているのでよく解る訳ですが、 こうした条件で出るには覚悟がいる。
台風ライドは うねりが大きいので、ハマるととても楽しいのですけど、 出艇と帰着はかなり注意する必要がある。
そして、沖で何かあれば、すぐに流され、レスキューする人はいない。
道具が壊れて対処できず、運悪く岩礁やテトラポットに流されれば、フジツボやカキ(貝)で全身をずたずたに切り裂かれて血だらけで這い上がるか、それに叩きつけられて命を終えるか?
の判断を求められることも別段珍しい無いわけでもない。
プロでさえも、 帰着の時は数人の手助けを得る事も有り、自然をなめてかかると、そのままそれが自分に跳ね返る。
自分の能力に対し常に謙虚で、必要な自制を求められるし、 もしそれでも出るのなら、それなりの覚悟を要求されるのがウインドサーフィンという
スポーツだ。