ほぼ完成した浴室ですけど、 一体いくら費用が掛かったのか? について書いてみようかと思います。
元の状態は下の写真のとおり。

タイル貼りの完全旧式で、 ワンレバーサーモ混合栓じゃ~ないし、棚もなければ鏡も無い。
冷たいタイル床に、小さくて深く、意味不明な黄色の鉄製浴槽。
排水は?というと、バスタブ排水口直下に、すり鉢をコンクリートで造って排水するという、オーソドックス(=旧式)ならではのいい加減さ。

もし排水が詰まると、浴槽真下に水が満水ダム状態となり、 密封されているという構造的悪条件からやがて基礎の隙間等からあふれ出して来る。
それが建物基礎材をぬらしつつ、シロアリの汗にしながら、尚且つ床下に広がるという。
実に収拾が付かない構造で、尚且つ、下手すると その水が腐敗しても抜けないという、全くもってくだらない造り。
修理には浴槽全面撤去、もしくは壁の大きな取り壊し。
家一軒まるごとリフォームするにおいて、一番初めに目がついた事は確か。
で、これを最新式のユニットバスに入れ替えるとなると、 一体いくらかかるのか?なんですけど。
工賃まで含めると、何の色気も無い粗末な普及タイプで80万、 ソコソコのになると100~150万、 格好の良い物になると300万 という価格になる。
もちろんユニットバスという、全面防水材で覆われた様な構造ですから、”余程いい加減な施工”をしない限り、
水漏れの心配は殆ど無く、材質も冷たい物を出来るだけ排除している事から、 厳冬期でも比較的暖かい。
工賃がかなり高額な理由は、 既存の浴室天井から壁面、そして床に至るまで全部壊して搬出処理し、 そこに改めて基材を置いたり取り付けて組み上げるから。
この中で取り壊しと廃材処理が大変で有る事は間違いなく、これが高額な理由の一つ。
ユニットバス自体はデカいプラモデル程度のレベルで、極めて簡単で全然大した事は無いのですが、 ここでやっかいなのは、
メーカーは施工指示書を絶対に出さず。
”自社で講習を受けた者”のみに提供するというやり方。
故に、ある意味独占的に施工できることから、それがその分の施工費用となってそれが跳ね返り、業者の言い値となる。
違った意味での業界裏癒着というか・・・・
タブとパン、 壁と天井が メインで、 他にジョイント方法や、固定のための金具などがそれなりにあるけど、 施工説明書があれば
普通の素人にも組みたてが出来るのに、 それが出ないんじゃ~ くみ上げはかなりやっかいになる。
今回の浴室リフォームにあたって、 既存浴室をよく見ると、 壁のタイルは上質のもので程度も良く、 建物の強度がかなりある為に
割れなどは殆ど無い。
目地の剥がれも天井付近に少しある程度で、それもチョコっと補修やれば済むくらいで、無理に取り壊す必要までは感じない。
寒さはどうか?というなら、 冷え切った壁面に対して、真冬に壁に素っ裸でべたりと張り付くアホな人間は居ないので、
寒くは感じるだろうが、これも入浴直前まで換気したユニットバスとそんなに遜色はない。
天井は?というと、 経年劣化しやすい木質でも、モルタルに防水塗装でも無く、 したがって全く劣化が見られず、樹脂製なので防水という面からも問題無くて、これはOK。
となると、何が駄目??? というと、 まずは冷たいタイル床。
でこれは直接足裏に触れる上に、 10cm近いモルタルが十分に温まるまでに洗い終わって人は出てしまうし、 結果としてお風呂から出るまでずっと冷たさを感じることになる。
ユニットバスの宣伝の中で、 この床の断熱性が強くアピールされている物が実に多く、 それだけ重要ともいえる。
バスタブは、 0.75坪の小型浴室ならともかくも、 今回引き受けている家みたいに一坪のサイズでかなりの余裕が有るのに、
なぜか? というかこの当時は今みたいに浅くて横長、そして広いものが無かったんでしょうね、 なので深くて小さい浴槽。
当然のことながら、タブの後ろに全く使い道の無い、ひたすら無駄なだけの空間が生じています。
そして、浴槽そのものも、2cmも無い、薄い発砲スチロール断熱材だけの冷たい金属製で、 最悪なのが、表面がホーローで有る事から、使っている内に腐食してくる。
ちなみに今回は浴槽を取り出したのですけど、その際に目に入ったのは、例のすり鉢排水の為に飛散した水で浴槽の足はボロボロに錆びていた。
そのまま使い続けると、 そのうち風呂に入っている時に浴槽もろとも10cm程下にあるコンクリートの底面に落下するというおまけがついてくる。
さび止めしていたのかどうか?も判らないほどサビで腐食していたわけで、 旧式の浴室というのがどれだけいい加減な代物であるか!?
というが明確に解る。
そんなことから、当然アホな浴槽は取り外し、 これまたいい加減な旧式すり鉢排水方式も当然廃止。

でもってどうリフォームするか?になるんですけど、予算を余り多く取れない事と、出来る限りの無駄を避けることから、
浴槽交換と、洗い場床に断熱性の優れたバスナシートを貼り、水栓はもちろんワンレバーのサーモ混合水栓、そして棚付きの鏡を設置することに決めた。
浴槽の取り外しは、とにかく壁タイルと床タイルを一切傷つける事無く取り外すこと。
そして、新たにFRP製の置きバスを設置した訳なのですけど、この価格が約3万。
輸送費が2万で 合計5万
一応?はイタリア製。
これを使って、既存の浴槽のあったデカい穴に半分埋め込む様な施工をして、浴槽高さを550mmから430mmに落とします。
サーモ混合水栓は、TOTO製で約2万円
取り付け位置の関係から下駄となるTOTOのエクステンダーが約8000円
合計2万8千円。
とりよせた置きバスには追い炊き金具が無いので、 別体で取り付けることになるのですけど、パロマ製だったかな?
金具が3000円位だと思います。
そして給湯器まで繋げるための特殊ホースが、同メーカ配管で5000円
既存の浴槽後に空いたデカくて無駄な空間を埋めるためのコンクリート代が、 コンクリートとモルタル 合計約8袋で、 約5000円。
ぐらつき防止と完全な安定性を得るための束が4本で 3200円
臭気防止の為の特殊S字トラップが3千円くらい
洗い場のこれまたくだらない既存の鉄製トラップを、ステンレス製のトラップに交換する(トラップイン・トラップ)為の新しいワントラップとレーザーオーダーカットリングと併せて 3500円程度。
ウレタン断熱処理剤 3本で2800円
洗い場床の冷たいタイルをバスナシートにするためのシートと材料が約2万円。
浴槽3方の シリコンシーラントが隙間を埋めるバックアップ材込みで多分3本で1500円
後、サイドパネル取り付けの為の補助材が多分1000円程度。
番外編として、故障していたサンヨー換気扇を交換しますが、新しい三菱製が4000円
全部で 13万円
これに棚付きの鏡が2万くらいなので、 大体15万円ということになる。
ユニットバス入れ替えの150万に対して約10分の1。
これが安いのかどうか???というのは正直解りません。
人件費がこれに掛かってくる訳ですが、 他の作業の合間にチョコチョコやっているので、実質作業時間は大した事はありません。
浴槽カット&取りだし半日、コンクリート打ちや断熱処理、追い炊き金具取り付けや、バスタブ設置など 多分ですが全合計で8時間程度。
ちなみに、廃材処理費は無料、 古い水栓や鉄製浴槽は、くず鉄屋さんにただで引き取ってもらいました。
私からオーナーさんに請求するのは、多少の技術的側面だけとなり、大半は他の作業費の中に吸収されてしまうことから、
2万円もしない。
といか、それ以上は請求できませんです。
ちなみに、 業者に任せて既存の浴槽を取り外し、新しい浴槽に入れ替えるだけの単純工事で大体30万から50万になる。
浴槽取り出しの為のカット等の作業が軽ければ30万、 浴槽周りのタイルとかを壊して剥がす必要が有って50万くらい、
サイズの違う浴槽を入れたりすると80万くらいになります。
水回りのリフームというのは、まことしやかにお金が出ていきます、しかも羽の生えたように。
器用な方が、もし自分の家のリフォームをする場合は、 今付いているバスタブの材質や取り付けかたとかを十分観察して、
丁寧にやれば掛かる費用はこの程度という事なんですね。
翔