「陶芸の釉薬ー理論と調製の実際」
大西政太郎著 理工学社
長らく貸していたこの本が戻ってきた。そこで読み始めると、実におもしろく引き込まれてしまう。この本を買ったのはかれこれ25年ほど前になる。当時としては高価な本だった。それからずいぶんとお世話になったので、布製の表紙も擦り切れて、中の紙も赤茶けて、汚れて、見る影もないが、内容は健在だ。専門書なので、化学記号がふんだんに出てくる。高校時代は化学部に所属していたくらいで未だに化学は好きなので、こういう本をたのしく読むことは出来る。しかも25年前と今とでは経験も違う。経験を踏んだことで理解も深まっている。
熱海の姫の沢で、小坂先生から陶芸の手ほどきを受けた。町民センターに工芸室に窯を設置してもらったので、自分たちで焼成する必要に迫られた。それまでは作品を作って素焼きをしてもらい、釉薬をかけておけば焼きあがっていた。だから焼成をやったことはなかった。それが自分たちで焼かなければならなくなったのである。で、先生が勧めてくれたのが、この本だった。釉薬が中心だが、焼成のやり方も書いてある。当然と言えば当然だが、土選びから、釉薬、焼成まで一貫して説明してある。
25年前は必死になってこの本を読んだ。内容はかなり頭に残っている。焼成も試行錯誤した。窯も今あるような窯ではなく、お土産用の楽焼の窯だったので、時間内に温度が上がらず苦労した。センターで使うには時間の制約がある。いや~、陶芸の会の長い歴史には、思い起こせばいろいろなことがあった。セラミックのお兄さんは「あの窯で焼いていたんだから、もうどんな窯でも焼ける」と励ましてくれた。そうなんだ、窯の中で、どう変化するか予測がつかないから、陶芸はおもしろい。
そうだ、カテゴリーに陶芸も入れよう。色見本を写真に撮っているので、見本も残ることだし、あれをここに載せていこう。