口達者なだけの麻生党首討論/「政権交代は手段であって目的ではありません」は事実誤認(4)

2009-05-28 23:56:59 | Weblog

 

 党首討論:詳報その8 鳩山代表「天下り天国を作ってしまっている」

 ◇鳩山代表

 総理、今ですね、大変聞き捨てならない発言をされました。私どもの側に政治資金規正法を犯した者がいる? 決まったわけじゃないでしょう? 決まったわけじゃないでしょう? これから裁判で決着がつく話でしょう。その話で言えば、そちらにもたくさんおられたじゃないですか。

 おかしな話ですよ。漆間官房副長官がおっしゃいましたよね。「自民党には捜査は及ばない」。及んでないんですよね。同じことをして、一方では秘書が逮捕・起訴され、他方ではなんにもおとがめなし。こんなバカなことが行われている。これが検察官僚のやることなのかと。我々はここで官僚国家に対して、しっかりとした歯止めをかけなければならない。そう真剣に思っているわけであります。

 それから、国民のみなさんが一番関心があるのがこの話だということに関して申し上げれば、新しい体制ができて、この新しい体制のおかげで、さいたまの市長選挙も勝利できましたよ、おかげで。国民のみなさまが、たいへん期待感を持っていただいているということは、我々にとっても大変ありがたいことだと思っているんです。

 小沢代行の説明責任について申し上げれば、私が幹事長時代に、第三者の方々に集まっていただいて、第三者委員会というものを作りました。そこに、もう既に小沢代行を呼んで、2時間ほどヒアリングしました。そこで、説明責任の部分がほとんど理解されたようでありますから、いずれ近いうちに報告書が出ますから、それをどうぞご覧になってください。もっと大事なことは、小沢代行の説明責任の話ばかりで、検察も第三者委員会に来るのを逃げましたし、メディアの方も逃げましたよ。誰も来ないですよ。おかしいんですよ。こういう一方的な国のあり方というものに対して、だから私たちは、上から目線の政府に対して、国民の目線に立った政治というものを今こそ作り上げていかなきゃならない。そう、重ねて申し上げたい。

 さらに申し上げれば、全然、今の企業団体献金に関して、答えになってないじゃないですか。これは別に、我々だけがやらなきゃいけないって話じゃないんですよ。みなさん方も一緒にやって、そのことによって国民のみなさんが、日本の政治も政治家も、少しはマシになったね、と言われたいじゃありませんか。そのためにも、もっともっと努力しようじゃありませんか。まだ通常国会の時間が残っていますから、我々、法案を必ず出します。どうぞ、通すために協力を心から願いたいと存じます。

 時間が大分なくなって参りましたが、私から申し上げたいことが、まさに、その、官僚目線の話でございます。民主党の若いメンバーが中心となって調査を致しました。つい先日、結果が出て参りました。天下りです。どのぐらい、いると思いますか? 4500の天下り団体に、2万5000人の天下った方々がおられて、そこにですよ、国の予算がどれだけ出てると思います? 12兆1000億円のお金がそこに流されているんです。そのうち半分が随意契約ですよ。どうなっているんですかこれは、この国は。まさに官僚の利権をそのまま擁護する政治家たちが、このような信じられない天下り天国を作ってしまっているじゃありませんか。どうお考えなんですか。
党首討論:詳報その9 麻生首相 西松事件「企業団体献金の禁止にすり替えるのはいかがなものか」

 ◇麻生首相

 まず最初に企業団体献金の話ですけれど、私どもの聞いてる範囲では明らかに、後援会というものには企業団体から献金はできなくなっているんじゃないんですか。基本的にそうなっていると思いますでしょ? そこに明らかに出されたと思われているから、こういった話になったんだということなんじゃないんですか? 私どもはそこが一番肝心なとこで、それが一番の多くの疑念を抱かれているのに対して、説明責任をきちんと果たしておられますか、と聞いておるんであります。

 責任を果たしておられないという世論というものに合わせて代表を退(ひ)かれたんだ、というのはそれなりだと思いますが、その後すぐ代表代行に間に置かれる。またその後、その時には一心同体だとか、殉ずる時は殉ずると言っておられた方が、そのまま代表になっておられますんで、そういった意味では、我々としてはなかなか、あれ? こないだの話とは違うではないかと、正直にそう思っております。従いまして、言葉というものは極めて大事にしなくちゃいかんと思いますので、私どもとしては、そういったようなことを、大事にするということを、我々としては、政治というものの信頼を回復していく上でも、ものすごく大事なことだと思っております。

 言葉というものは極めて大事にしなくちゃいかんと思いますのでと人に言える資格はない。

 企業献金につきましては、先ほどご答弁申し上げたと思いますが、企業献金については、企業にも、社会の一構成員としての立派な存在意義があると思っております。きちんとした法律で認められておりますので、企業団体献金はきちんとした政党に出さなければならないというルールに決まっておりますので、そういった形で政党に企業としての献金をするということに関しては、我々が論議して認めたルールなんではないですか。そういったことを考えて、もちろん、労働団体、労働組合含めまして、団体からのいろいろな献金というものがいろんな形でなされているのはご存じの通りでしょう。

 そういった意味で、我々としては、今申し上げたような形を、きちんとした形で対応していくというこれまでの経緯がありますので、いろいろ論議されるのは全然問題ない、我々は前から大いに賛成ですとずっと申し上げてきていると思っておりますんで、これは政党間でいろいろ話をしていただかなきゃならんのであって、私が申し上げてるのは、今回の端を発したもともとの話を企業団体献金の禁止にすり替えるのはいかがなものかということを申し上げてますんで、そのことが一番違っているところだと思っております。

 また今の話に関してましては、天下りの話に関しましては、法律で向こう3年間天下り、渡りは認められておりましたけど、私の時に、渡りに関しては、天下りに関しましては、いずれも今年から禁止ということにいたしたと記憶します。従いまして、そういった3年以内の話をきちんとした対応をしたというのも、はっきりと対応したと思いますので、その種のことに関しては、いろいろと、今後とも、随意契約の話、また入札の話、我々は今後とも、こういったものがきちんとした、開かれた形で行われるよう、努力していかなきゃならないと、基本的にそう思っております。
 
 官僚世界をこのような体たらくとした自民党政治の責任、政官馴れ合いから生じた共犯関係を棚に上げている。しかも野党の追及と国民世論の突き上げで仕方なく「法律で向こう3年間天下り、渡りは認められておりましたけど、私の時に、渡りに関しては、天下りに関しましては、いずれも今年から禁止ということにいたした」に過ぎないのであって、決して「そういった3年以内の話をきちんとした対応をした」というわけではない。

 さらに言うと、今まで散々に放置しておいて、その責任を無視して、
「今後」「努力していかなきゃならない」の話としている。

 鳩山代表が言っているように
「まさに官僚の利権をそのまま擁護する政治家たちが、このような信じられない天下り天国を作ってしまっているじゃありませんか」なのである。  
 党首討論:詳報その10 鳩山代表「あまりにもめちゃくちゃな補正予算」

 ◇鳩山代表

 積極的にやっていただけるのか、やっていただけないのか、さっぱり分からないご答弁でありました。ただぜひ、企業団体献金は我々、すり替えの議論をしているつもりはまったくありません。李下(りか)に冠を正さずという言葉をお送りしておきたいと思いますし、ぜひ、正しいことをやっていた、全部オープンにしていた、でもそのことによっても逮捕されてしまった。ならばその元を断たなきゃいけないでしょ、と。

 (ヤジ)うるさいですね、静かにしてください。私も、企業団体献金を悪だと決めつけるわけじゃありません。現実の問題としていろいろな事件が起きてしまう、そのことによって政治に対する信頼が失われてしまう、この繰り返しだけは避けなきゃいけない。小沢代行のだけの話じゃないですよ。そちら側にも、むしろ数としてはあまりにも多く同じことを起こしてる人がいるのに何もおとがめないということのほうが、私にはよっぽどおかしな話だなと思っています。

 この話を繰り返していてもまさにせん方ない話で、我々法案を出しますから、みなさん方のご協力で成立をしていただきたい、重ねてそのことをお願いしておきます。

 それから、あまりにもめちゃくちゃな補正予算であることは、あなたがたがよくお分かりになっていると思います。官僚まかせの弊害極まれるという話でありますが、アニメの殿堂、総理がアニメがお好きなのは知っておりますが、117億円を、なんで、ソフトパワー重要なのは分かりますけども、箱物にそんなお金を使う必要があるのか、このことは逆に、いわゆるマンガ喫茶の民業圧迫になるじゃありませんか。こういうことを平然と行ってしまう。

 それから役所にだけはですよ、71億もかけて地デジ対応のテレビを入れるってんでしょ。7万1000台をなぜ国民でなく役所が先に地デジ対応のテレビを入れなきゃならないんですか。エコカーにしてもなんで、役所は最後でいいはずなのに、なんで最初に1万5000台、588億ですよ。ばかにならないお金ですよ。それをあっという間に目をつぶってはんこを押してしまう。こんなことに補正予算を使っていいんですか。補正というのはそもそも、緊急性のあるものに対して使われる予算でなきゃならないのに、まるで緊急性がないものに平然として使われてしまっている。この国の仕組みはやっぱり官僚任せだな、その極めつけは役所や、あるいは独立行政法人に対する施設整備費、どのぐらいだかお分かりですか? 本予算で6490億円だったと思いますが、本予算でも6490億円だったのに、補正だけで2兆8000億円ついてんですよ。なんで役所の整備のためにこれだけの予算がつくのですか。これはまさに、官僚の官僚による官僚のための予算だと言われてお答えできますか?

 官僚の悪乗り、お手盛り、焼け太り、そんな予算じゃありませんか。私たちはだからこそ、こういう無駄遣いを徹底的になくすために今日まで戦ってきたんです。あなた方が本来ならやらなきゃならないことを、野党の我々が協力してやってきたんです。そのことに対して、もっとあなた方は評価をされるべきです。ぜひですね、こんな無駄遣い、一掃させようじゃありませんか。そのためにはこんな補正予算、やめようじゃありませんか。
 党首討論:詳報その11止 鳩山代表「意味のない答弁長い」 麻生首相「討論であって答弁ではない」

 ◇麻生首相

 あの、いろいろご意見は、ご意見があるようですけど、まず最初にさきほどの話をうかがうと一つだけどうしても気になったとこがありますので、そこだけ再確認させていただきたいのですが、正しいことやったのに秘書が逮捕されたと言ったのですか。

 ◇鳩山代表
 本人としては政治資金規正法にのっとってすべて行ったにもかかわらずと、これは本人が昨日、保釈をされましたその時の弁であります。

 ◇麻生首相
 基本的にご本人の話であって正しいと思ってやったけれども、法に違反していたという話はよくある話ですから、少なくともそれをもって、国策、国策捜査のごとき話にすり替えられるのは、本人が正しいと思ったという話ですけれど、本人が正しいと思ったことであっても、少なくても間違った場合は逮捕されるということは十分にあるのであって、それは国策捜査ということではない、私どもは基本的にそう思っております。

 民主党側だけが捜査を受け、逮捕者が出た。自民党側にも西松から献金を受けていた者が判明していたにも関わらず、捜査を受けもしない、そこへ漆間官房副長官の「自民党には捜査は及ばない」という発言があって、国策捜査ではないかと民主党側が主として騒いだ結果、検察が動いて二階の政策秘書を事情聴取した、この一連の顛末から国策捜査ではないかと言っているのであって、それを麻生は「本人が正しいと思ったことであっても、少なくても間違った場合は逮捕されるということは十分にあるの」だからと、そのようなケースは「国策捜査ということではない」とトンチンカンな的外れのことを言っている。「国策捜査」とは政権を担っている政治権力が直接、あるいは外からの圧力を受けて検察を動かして自分たちの目的に添った捜査を行わせることを言うのであって、麻生が言っているようなことを言うのではない。

 また、いろいろな国の予算の話がありましたけど、まず基本的には我々は今回の複数年度の予算、単年度ではなく複数年度の予算編成をということを考えないと今回の危機には対応できない、私どもはそう思っております。従いまして、我々としては複数年度の予算をするための考え方の一つとして基金というものを、使わせていただいたというのが基本であります。

 従って、これが今回の経済危機に対応するにあたって、きちんとした対応をしていったというようにご理解いただければと思っております。また東京の外環の道路の話にしても、そのほか長期間かかるものに関しては、我々としては今年度を考えた場合、時間としては、我々としては、当然ある程度時間がかかるというのは当然のことだと思います。

 また自動車、テレビのお話がありましたけど少なくても御党では、確か次の中期目標に関しましては最大限6%、えー、22%か、1990年比で、確かそういう目標、極めて高い目標を掲げておられました。それを達成するためには、その目標を達成するためには、我々としてはかなりな個人の経費がかかるということも覚悟していただかねばならん。私どもはそういうご意見が出されておりましたけど、少なくとも可処分所得で22万円新たにかかることになります。加えて光熱費も14万円かかる。合計36万円もの支出がかかるということを世論が認めているかといえば、多くの世論はそれに対して反対のパブコメを寄せておられるというのもご存じの通りです。

 従ってきちんとした対応というものを考えないと、理想だけ抱えても現実論としてそれだけの経費負担を国民が払うということに関しては理解が得られない。我々はそれに対してきちんとした対応を我々なりに考えさせていただいた結果であります。

 鳩山代表が次に「何かね、意味のない答弁を長くされて時間だけつぶされて」と言っているが、何を言っているか意味不明、自分でも何を言っているのか分からなくなったのではないのか。

 ◇鳩山代表
 何かね、意味のない答弁を長くされて時間だけつぶされて、これが党首討論だと言われたらもったいないですよ、国民のみなさんに。本当に残念でなりません。結局みなさん方の考え方は官僚に依存して予算を組む、しかしほとんどが借金だと。借金でこれはやってられないから2年後には消費税の増税だと、そんなめちゃくちゃなですね、予算を組むような政府には早くご退出を願うように、私どもも全力を尽くして参りたいと思います。

 まず国民のみなさま方が新しい政治を起こすために、協力をしていただいて、そのことで誇りに思えるような国をぜひ作っていきたいと思いますから、これからもどうぞ党首討論、存分にやろうじゃありませんか。終わります。

 ◇麻生首相
 あの、ひと言だけ。今後のこともありますので、ひと言だけお答えします。答弁が長すぎるというお話でしたけど、これは討論であって答弁ではありませんので、今後とも討論をさせていただくうえには、答弁を求めるというような形ではなく、討論を申し込んでいただくようにお願いを申し上げます。

 麻生は最初の発言でこれは討論であって、国会質疑とは違うとわざわざ断りを入れる拘りを見せていたが、ここでも再び討論であることに拘っている。相手の意見・主張に対して自身の意見・主張を以って答える(=答弁する)という形式も討論の中には含まれるはずだから、鳩山代表が「答弁が長すぎる」と言ったとしても間違いではない。

 中身がないから、瑣末なことに拘る。大体が最後の締めにもう少し高邁なことが言えないものだろうか。最初から最後まで、口達者なだけという印象しか受けない。鳩山代表は
「まず国民のみなさま方が新しい政治を起こすために、協力をしていただいて、そのことで誇りに思えるような国をぜひ作っていきたいと思いますから、これからもどうぞ党首討論、存分にやろうじゃありませんか」と意見の闘わせを通して国の発展に寄与しようと締め括ったのである。それとも麻生という政治家にはふさわしい無味乾燥な締め括りだと言うのか。

 麻生が言った
「責任を取られた方が、鳩山代表に次ぐ代表代行になっておられるのが、責任の取り方なんでしょうか」などは意見・主張というよりも典型的な質問であって、当然質問に対する答弁が生じる。それを棚に上げて討論に於いても答弁が存在することを鈍感にも否定している。

 こんなことも理解できない男が日本の総理大臣を務めている。

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