鴻池副官房長官不倫スキャンダル/首相一転「任命責任ある」は緊急避難的責任回避

2009-05-16 11:29:01 | Weblog

 

鴻池にも「無料JRパス」私的流用を事実とした以上、常習化させていた私的流用かどうかの説明責任がある。

 麻生首相が13日(09年5月)のぶら下がり記者会見を「asahi.com」記事から――、

 (鴻池辞任の受け止めについて)「えーっと、今朝でしたかね、あのー、官房長官経由で辞任の申し出がありましたんで、健康上ということでも、もう入院もしておられるという話だったんで、やむを得ないと思いましたけども」

 (鴻池女性スキャンダルの政権に与える影響について)「あのー、事実関係を知りませんので、そのことに関しては、何とも申し上げようがありません。今回の場合は、健康の理由でしたし、この前のときも、えーっと、病院に入院して来てましたんで、あのー、あんまり良くないとは知ってましたから」

 (鴻池の無料「JRパス」私的流用について)「あのー、いまのJRの話については、その事実関係を知りませんので、何とも答えようがありませんが、少なくとも、そういったようなことに関しては、間違われるとか、誤解をうむような、うむとか、そういった不信感を買わないようにしておくというのは、大事なことだと思っております。任命責任については、健康上というのに関しては、健康上というんであれば、その件に関しましては、うん、健康までちょっと任命責任なのかわかりません」

 (鴻池の行動について)「行動。だから、詳細を知りませんので、行動に対してお答えのしようがありませんとお答えしている」

 ・・・・と、内閣の一員として自らが任命した内閣官房副長官・鴻池祥肇(よしただ)の不倫スキャンダルに関わる任命権者としての任命責任を「事実関係を知りませんので」の一点張りで否定――と言うよりも回避していたが、各マスコミが14日になって「一転認めた」と報じた。

 「毎日jp」の14日(09年5月)夜の首相官邸でのぶら下がり会見記事を参考引用させてもらう。
 
≪首相VS記者団 JRパス目的外使用「こういうことしちゃいかん」5月14日午後6時36分~≫毎日jp/2009年5月14日)

 ◇民主党代表選

Q:総理よろしくお願いします。テレビ朝日です。民主党の代表選についてですけれども、今日、鳩山幹事長と岡田副代表があの、ともに出馬表明をされました。他党のことで恐縮なんですけれども、自民党の総裁としてですね、この代表選、どのようにご覧になっていますか。

A:他党の党首選挙について他党としてコメントすることはありません。

Q:あの、今後お二人の間で代表選挙、戦われていくことになると思うんですが、その中で民主党の政策論争もまあ、あるかと思うんですが、これは総理が常々おっしゃっている争点を明確化する上で非常に貴重な機会じゃないかと思うんですが、総理はどう思いますか。

A:立候補をされた段階でそれぞれの候補者は政策というものを発表されるんでしょ?

Q:はい。

A:「はい」って大丈夫だろうね。今「はい」って言ったんだから大丈夫だろうね。

Q:大丈夫です。

A:あ、そう。あのいいかげんなこと言うとテレビ映るよ。ね。あのー、立候補をされる段階できちんとした政策を発表される、そしてその政策で争われるんだと思いますんで、自民党はそういった時にはかなり時間をかけて全国でそういったことをやる努力をしているんですけれども、あの、きちんとした政策論争が2人の間で戦われるということはあの、国民は知りたいところだと思っておられると思いますね。選ばれる有権者の方にとってはいいことなんじゃないでしょうか。

 ◇鴻池前官房副長官辞任と任命責任

Q:次あの、鴻池前官房副長官についてですけれども、今日、官房長官が記者会見でですね、秘書官を通じてですね、事実の確認と容体の確認などをされたというふうにおっしゃってました。

A:はい。

Q:改めてJRのパスを使ったということなど含めて、記事をおおむね事実だったということをおっしゃっていました。昨日、総理、事実関係確認されていないとおっしゃっていましたが、改めてその今回の一連の……。

A:官房長官に事実関係を確認するように指示をして、えーっと、本人に面会をしたんだと思いますが、容体は悪いという話は聞きましたんで、それはちょっと正直気になっているところですけれども、事実関係を確認したところ今、JRパスを使ったということ、それから目的外使用だということで、それは、はなはだ遺憾なことじゃないのかということを言いました。それで、まあ事情聴取を、事情聴取って……、官房長官の秘書官をして、病院まで行かせて、どこの病院だったかちょっと忘れちゃったけど、行かせて、本人もそう認めておりますんで、はなはだ遺憾なことではないかと、私自身はそう思っています。

Q:昨日、健康上の問題に関しては、総理の任命責任が及ぶ範ちゅうではないとおっしゃっていましたが、目的外使用したことについて総理の任命責任、改めて。

A:任命責任ていうには、あのこれまでもいろんな方々これまでの過去、この7カ月間で何人かありましたね。いずれもこれ任命した人の責任は、任命責任者はあります。ただ健康までちょっと任命責任ではないかと言われると、健康までちょっとなかなか分かりかねるというのが正直なところだと思っていましたんで、昨日は任命責任ということに関して、健康まではちょっと、任命責任はちょっとなかなか難しいということを申し上げました。事実関係については官房長官をして、なに、聞かせたところ本人がそう認めておられるそうですから、その報告も聞きましたんで、それはあの、今申し上げた通り。

Q:総理、テレビ東京ですが、任命責任についてまあ、昨日の通りのお答えだったと思うんですが、これはもう、辞任とは切り離してもいいんですが、純粋に部下の不祥事として総理、いかがお考えですか。責任について。

A:あの今申し上げた通りですよ。目的外使用は、はなはだ遺憾なことだと思いますね。こういうことしちゃいかんと思います。

A:任命責任ですか? その点については僕はあの、いろいろな方々の発言やら何やら、これまで辞めていかれた方々に対して任命者、任命者としてははなはだ残念、任命責任はすべてあるとずっとこれまで申し上げてきておりますんで、このことに関しても例外ではありません。

 「あ、そう。あのいいかげんなこと言うとテレビ映るよ。ね」――相変わらず軽い。政策論争は簡潔に趣旨さえ抑えておけば、麻生が言うように「かなり時間をかけて全国でそういったことをやる努力をしている」といった自民党方式は必要などなく、たった1回でも十分である。麻生みたいに言っていることだけが立派であっても無意味だからだ。代表選、その他の選挙前の案として具体化される前の政策表明は大枠を述べるにとどまるから抽象的表現に傾きがちだし、公約の撤回と言うこともある。

 また政策は案として具体化された段階で初めて過去の経験や社会の状況、国際状況に照らして過不足及びその具体性・実効性が最初の判断を受ける。実施に移されていく過程で二次的・三次的判断を受ける。

 選挙での選択と言うことなら、大枠で示された政策の違いやそれぞれが感じ受け止める人物の信頼性に頼るしかないだろう。見込み違いはよくあることで、自民党国会議員から見たら、その代表選手は麻生自身ではないか。

 民主党の代表選にケチをつけるのは、収入格差、少子高齢化、年金破綻、地方衰退等々の矛盾社会をつくり出した自民党政治に対する麻生の自省能力がゼロ、全く欠いているからで、だから「かなり時間をかけて全国でそういったことをやる」といった形式だけを言う。

 この程度の総理大臣だということだろう。

 任命責任について言っていることは、河村官房長官の秘書官に病院に行かせて「事実確認」したところ、不倫旅行も無料「JRパス」の私的流用を認めたから、無料「JRパス」に関しては「目的外使用だということで、それは、はなはだ遺憾なこと」だと受け止め、官房副長官任命に関しては、「任命責任はすべてあるとずっとこれまで申し上げてきておりますんで」と自らの原則を前置きして、続けて「このことに関しても例外ではありません」と間接的な物言いを使って原則どおりだとしている。

 つまり認めるには認めたが、原則どおりだとしただけで、直接「認めます」と言ったわけではないから、それだけ逃げの姿勢となった肯定に過ぎない。

 麻生は河村官房長官の秘書官に病院に行かせて「事実確認」させたと言っているが、先日のブログで<「事実関係を知りませんので」では必要とする情報収集・責任事項を怠ったこととなって、今度は内閣を率いる者としての適格性が問題となる。

 内閣を率いる以上、「その件に関しては現在営為情報収集に当たっています」までは許されるが、「事実関係を知りませんので」は情報収集を重要な責任事項としている以上、そのことに怠慢を示すもので、許されないと言うことである。 >と書いたが、5月14日付「毎日jp」記事≪鴻池官房副長官辞任:内閣支持率回復に冷水 「お友達」限界印象づけ≫を読んで、麻生が言うこの「事実確認」は甚だ怪しいことに気づいた。

 記事の中に次のような箇所がある。「鴻池氏が週刊誌記者から直接取材を受けたのは7日夜。報告を受けた首相官邸では、首相や河村建夫官房長官らが対応を協議してきたが、首相も今回は慰留に動かなかった」――

 「対応を協議」したが、「事実関係を知りませんので」と言っている。なぜなのか。

 「週刊誌記者から直接取材を受けたのは7日夜」、首相官邸が「報告を受けた」のは何日なのだろうか、肝心のことが書いていない。他のインターネット記事を調べたが、調べ足りないのか割り出すことができなかった。

 鴻池は「12日夜に河村氏に電話で、健康問題を理由に辞意を伝え、週刊誌報道について『不徳の致すところで申し訳ない』と陳謝した」と5月13日の夕刊として「東京新聞」インターネット記事が伝えている。

 そしてそのまま都内の病院に入院、辞表そのものは秘書官を通して提出。「同日(12日)夜、河村氏から報告を受けた首相は『極めて遺憾だが、健康上の理由なら受理せざるを得ない』と述べた」(同「東京新聞」)となっている。

 だがである、事実関係を前以て話してないまま、いきなり電話で週刊誌の報道と事実関係を説明した上、「不徳の致すところで申し訳ない」の謝罪で、ハイ、納得しましたと片付く話ではない。

 電話では何だからという話になって、例え鴻池がそのまま入院したとしても、河村長官は鴻池と病室で直接会って詳しい説明を聞くだろうし、内閣の一員の週刊誌女性スキャンダル報道となれば、マスコミが騒ぐのは目に見えているのだから、麻生自身と内閣そのものをマスコミの攻撃から守って支持率低下を防ぐ危機管理の常識から言っても、携帯等で即座に首相の耳に入れたに違いない。

 「東京新聞」記事から導き出すとすると、危機管理上、このような経緯を踏むはずだが、だとすると前記「毎日jp」記事の「報告を受けた首相官邸では、首相や河村建夫官房長官らが対応を協議してきたが、首相も今回は慰留に動かなかった」の麻生・河村、その他の火消し巨頭会談はいつ開かれたのだろうか。

 ごくごく常識的に考えても、鴻池は任命権者が首相である内閣の一員であり、自分が犯した不倫スキャンダル及び無料「JRパス」の私的流用が内閣と任命権者たる首相の任命責任に関係していくことは理解していただろうから(理解していなかった程、バカだったというわけではあるまい)、週刊誌の取材を受けた時点で週刊誌報道と事実関係を官邸に緊急に報告する責任を有したことになる。緊急に報告とは改めて断るまでもなく、その報告は緊急性を要すると言うことである。

 緊急性を要するという点から考えると、報告の時間が遅れる程、あるいは日にちが経過する程、報告の緊急性が薄れていくということだけではなく、内閣の一員としての危機管理に関わる責任意識を怠慢化させることになる。

 ということなら、週刊誌の取材を受けたのが夜と言っても、常識的にはそんな遅い取材時間と言うことはないだろうから、取材を受け、週刊誌が報道すると分かった以上、内閣を構成する者としての危機管理意識を一応持ち合わせていたなら、報告時間は7日の夜に週刊誌記者から直接取材を受け、そのことから解放された直後に即座に首相官邸に報告することが危機管理に関わる報告の緊急性と報告の責任意識に最も色濃く対応することになる。

 まさか、その時間、女性と密会の約束があって、そちらを優先させたということはあるまい。約束があったとしても、泣く泣く断らなければならなかったろうし、遅くとも翌日の8日中には官房長官なりに報告して官房長官から首相にも報告し、雁首揃え、誰に聞かれる心配はなくても、ついひそひそ声になって13日の発売前までにどういう手を打つか、第1案、第2案といった具合にあれこれと案を打ち出しては比較検討までする善後策を練ったはずである。、

 その結果が「東京新聞」が書いている、「12日夜、河村氏に電話で、健康問題を理由に辞意を伝え、週刊誌報道について『不徳の致すところで申し訳ない』と陳謝した。鴻池氏はそのまま『間質性肺炎』などのため都内の病院に入院し、辞表は秘書官を通じて提出した。同日夜、河村氏から報告を受けた首相は『極めて遺憾だが、健康上の理由なら受理せざるを得ない』と述べ」、13日午前に辞表を受理したという展開となった――、いや、展開としたということなのだろう。

 いわば無視できるはずもない週刊誌が報道する事実を無視して、ここが頭の悪いところだが、辞任理由を健康上の問題とし、健康上の問題なら、任命責任外だとする善後策とした。

 当然、13日(09年5月)のぶら下がり記者会見での麻生首相の「事実関係を知りませんので」はまるきりのウソッパチということになる。

 このことを証明するインターネット記事がある。参考引用してみる。
 
≪鴻池官房副長官辞任:「首相には任命責任」--河村官房長官≫毎日jp / 2009年5月14日)

 河村建夫官房長官は14日午前の記者会見で、女性問題で辞任した鴻池祥肇前官房副長官の任命責任を麻生太郎首相が認めなかったことに関し「任命権者には任命した以上、絶えず任命責任が伴う」と強調した。

 そのうえで鴻池氏が辞任の理由を「健康問題」とした点について「健康管理(の問題)なら、直属の上司である私の責任問題だ」と語った。

 鴻池氏が女性との旅行の際に国会議員の公務用「JRパス」を使ったことに関し河村長官は「自費弁償すべき性格のもの」と述べ、実費を返金すべきだとの考えを示した。河村長官は「どういう形で公表、発表するか考えている段階だ」とも述べ、政府として鴻池氏に事実関係を確認したうえで公表するとした。

 河村長官は鴻池氏の容体について「検査中なので分からない」と述べるにとどめた。【坂口裕彦】

 記事題名を見て分かるように、河村発言が首相に任命責任があるしているとする方向にウエイトを置いているが、「任命権者には任命した以上、絶えず任命責任が伴う」は一般的原則論・タテマエを述べたに過ぎない。後の発言で「そのうえで鴻池氏が辞任の理由を『健康問題』とした点について「健康管理(の問題)なら、直属の上司である私の責任問題だ」と、健康問題が辞任理由ならばと、責任を自分に肩代わりさせようとしている。

 逆説するなら、責任の肩代わりを完成させるために、辞任理由を健康上の問題だとする善後策としたということだろう。無料「JRパス」の目的外利用にしても、「自費弁償」で片付けて、やはり麻生の任命責任から遠ざけている。

 だが、マスコミの攻撃や世論は麻生や河村官房長官、その他の自己都合な任命責任回避の“善後策”では満足しなかった。そのための次善策として、「任命責任はすべてあるとずっとこれまで申し上げてきておりますんで」と一般的原則論を述べて、不倫スキャンダルを起こした不届きな鴻池に対する任命責任も一般的原則論の「例外ではありません」と間接的に認めることにした。

 いわば任命責任を認めないとより立場を悪くさせることからの一般的原則論を使った緊急避難的・便宜的任命責任に過ぎないということだろう。

 このことは無料「JRパス」の私的流用に対する処分にも現れている。14日のぶら下がり記者会見で麻生は「目的外使用は、はなはだ遺憾なことだと思いますね」で済ませ、具体的には「自費弁償」で微罪放免としている。

 女との不倫旅行、不倫ゴルフの往復のJR移動にのみ、無料「JRパス」を私的流用したという保証があるのだろうか。鴻池にはそのことを説明する責任を有する。マスコミも麻生内閣も「説明責任を果たせ」と言わなければならないだろう。

 本人が「それ以外は私的流用しておりません、それ以外は無実です、それ以外は一点の疚しいところもありません」と常習化を否定したなら、「親父も大酒飲みやし女癖も悪かった。そのDNAがボクにもある」と本人が言っている「DNA」論からしたら、そんなことはあり得ないだろうが、無料「JRパス」の私的流用は「議員歳費法は目的を『職務の遂行に資する』と定めており同法に抵触する」(「毎日jp」)としている以上、事実かどうか、該当する調査機関に調査させるべきであろう。

 もし言っている事実に反して常習化の事実が判明したなら、たった往復分の「自費弁償」では済まない。自民党籍剥奪の上、自ら議員を辞職すべきであるし、常習化の有無を調査もせずに往復分の「自費弁償」のみで微罪放免を謀ろうとした麻生に新たな任命責任・人事管理責任が生じる。

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