民主細野と評論家伊藤惇夫のマニフェスト不記載消費税増税正当化のウソと誤魔化し

2012-11-10 12:36:10 | Weblog

 昨日2012年10月9日のTBS「ひるおび!」が、民主党のHPで流している、民主党2009年「マニフェストはどこまで進んだのか」と名付けた細野出演の動画を取り上げて、謝罪役が細野で相応しいのかとか、党代表、及び首相は野田首相自身なのだから、野田首相が出演すべきではないかなどと議論していた。

 細野は番組が取り上げた動画の中で子ども手当は一部実現、高校無償化と農家の所得補償は全面実現だなどと説明していた。

 番組の出演者の遣り取りの中で、政治評論家だか政治アナリストだかを名乗っている伊藤惇夫が細野のマニフェストに書いてなかった消費税増税を実施したことへの謝罪に触れて、次のように発言していた。

 伊藤惇夫「マニフェストに書いてなかった消費税増税をすることを詫びているが、政治はどう変化するか分からないため、書いていなくてもやらなければならないことがたくさんあるんです」

 この発言に異議を感じて、民主党HPにアクセス、動画から細野が最初に取り上げていた子ども手当と、最後の方で取り上げた消費税に対する謝罪箇所を文字化してみる。

 細野「2009年マニフェストで最も注目を浴びたのは子ども手当でした。核家族化、地域コミュニティの衰退など、子育てに関わる環境が変わる中で、社会全体で子どもの育ちを支援するの考え方に基づいて、中学生までの全ての子どもを対象に月額2万6千円を支援することをマニフェストで約束しました。

 しかし残念ながら、支給額は原則1万円となっており、約束は実現できておりません。その最大の原因は財源を確保できなかったことです。

 折りからの経済不況のもとで、既存事業の見直しや税制改革を当初考えていたとおりににはできませんでした。

 そして2年目の途中で東日本大震災が発生し、子ども手当の財源の一部を復旧・復興に充当しなければなりませんでした。

 勿論、約束したことが実現できなかった責任は私達にあります。しかし政権交代前に比べれば、支給対象は従来の小学生までから、中学生まで、に拡充し、支給総額は1兆円から2・3兆円に増えました。

 子どもたちへの投資は将来への投資です。

 何より急速に進む少子化で経済的負担を軽減することで、子育てのしやすい社会を作ることは、我が国の最も重要な課題であると思っています」――

 細野の以上の発言にはウソ・誤魔化しがある。先ず、「子ども手当て」という名称が自公の要求で、自公時代の旧制度「児童手当」に変わって、「改正児童手当法」として法律は成立しているはずだが、そのことへの言及がなく、今以て「子ども手当て」の名称を使っているウソ・誤魔化しである。

 次に、「政権交代前に比べれば、支給対象は従来の小学生までから、中学生までに拡充し、支給総額は1兆円から2・3兆円に増えました」と、さも制度を拡充させているかのように言っていることも、自公政権時代の児童手当と比較した支給対象と支給総額の拡充であって、その拡充を以って民主党自身が掲げた支給総額から相当額の減額を余儀なくされている約束違反を巧妙にカモフラージュしている。

 このこともウソ・誤魔化しのうちに入る。

 「自公政権時代の児童手当と比較した場合」という断りを入れるべきが正直な態度であろう。

 「折りからの経済不況のもとで」と弁解しているが、2008年9月以降のリーマンショックによる経済不況は自公政権時代に発生して政権交代後も尾を引いていた経済状況だったのだから、マニフェスト作成時に予定事項として織り込んでいなければならなかったはずだ。

 また、扶養控除廃止によって年収に応じて額面通りの金額から最大で数千円のマイナスが生じることにも触れていないウソ・誤魔化しがある。

 国民に対して謝罪すべきは謝罪するという誠実さを装った態度を取っているが、謝罪の中にまでウソ・誤魔化しを忍び込ませるとなると、頭から信用はできない。

 消費税について、次のように発言している。

 細野「マニフェストには書いてないことで民主党政権が実施したのは、『社会保障・税一体改革』、取り分け、消費税の引き上げです。選挙の時点で提案せず、途中で消費税引き上げに至ったことは、心からお詫びをしなければなりません(謝罪の意味で恭しく頭を下げる)。

 財政の悪化、社会保障費の増大、国際的な金融危機への対応、そして若い世代を中心とした現役世代の厳しい負担と、社会保障制度に対する不信感などの厳しい現実に政権を担う中で直面をしました。

 このままでは現在の社会保障すら維持することはできず、明日(あす)の安心は全く見込めません。消費税を引き上げ、それを全額社会保障に全て充てることで現在の社会保障を維持し、年金や子育に支援を強化することを決断しました」・・・・・

 消費税増税はマニフェストに書いてなかったが、政権を担う中で、「財政の悪化、社会保障費の増大、国際的な金融危機への対応、そして若い世代を中心とした現役世代の厳しい負担と、社会保障制度に対する不信感などの厳しい現実」に直面したから、増税を図ることにしたと言っている。

 だが、現政権で法案を通したものの、増税時期が2014年4月1日8%、2015年10月1日10%であるなら、2013年8月衆院任期解散・総選挙であったとしても、自民党も消費税増税を謳っていたのだから、マニフェストに堂々と掲げて政権担当を決してからの増税でも間に合ったはずだ。

 竹下登は1988年12月に消費税法を成立させ、施行は3ヶ月後の1989年4月である。2013年9月に入って政権が決まってから1カ月以内に早急に消費税増税を成立させれば、2014年4月1日8%増税でも、施行まで竹下内閣よりも長い5ヶ月は準備期間を置くことができたはずだ。

 消費税を増税しても、全額社会保障費に使うからと、その正当性を訴えているが、消費税増税法附則18条2には、「税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、我が国経済の需要と供給の状況、消費税率の引上げによる経済への影響等を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する」と、消費税増税によって余裕ができる財源の中から、公共事業等に「資金を重点的に配分する」と謳っている。

 復興予算19兆円のうちの1兆円を東大日本震災被災地域復旧・復興と一体不可分の「全国防災対策費」として使うと決めていながら、被災地の復旧・復興とは一体不可分とは言えない、まるきり無関係の事業に流用する前科を既に犯していて、厳格な予算編成・事業編成が信用できなくなっている。

 このような不信に対して野田首相自身、口を酸っぱくして全額社会保障に配分すると国会答弁しているが、いくら社会保障費全額と言われても、「オオカミ少年」の少年に対するのと同じで、俄には信じることはできない。

 信じることができなくしている不信構造は政治自身がつくり出しているのである。

 ここで伊藤惇夫の「マニフェストに書いてなかった消費税増税をすることを詫びているが、政治はどう変化するか分からないため、書いていなくてもやらなければならないことがたくさんあるんです」の発言を取り上げる。

 確かに「政治はどう変化するか分からない」。だが、マニフェストに書いてなかった政策を行うに当たっては、緊急にそうしなければならない必要性を備えた政治状況や経済状況、あるいは社会状況の出来が絶対条件となるはずである。

 緊急にそうしなければならない必要性――緊急事態に迫られもせずに政策変更されたのでは、「公約」とか、「契約」、あるいは「約束」といった言葉が崩れて、意味をなさなくなる。

 また、消費税増税を2009年マニフェストに謳わなかったということは、衆院任期の4年間を見通してその不必要性を織り込み済みであったことの証明であるはずである。

 いわば消費税増税は4年間必要としない財政状況にあることを見通していた。この見通しの中には、 リーマン・ショックから完全に立ち直ることができないうちに2010年以来表面化したギリシャの財政危機が欧州全体に波及、現在の不況を生じせしめているものの、既に触れたように2008年9月以降のリーマンショックによる金融危機を受けた、日本も巻き込まれた全世界的な経済不況にしても、年々増加していく社会保障費も前々からの傾向で織り込んでいなければならなかった予定事態としていたはずだ。

 だとすると、マニフェストには書いてなかった消費税増税を図らなければならなかった、民主党政権が緊急にそうしなければならない必要性を備えた状況とは何を指しているのだろうか。

 しかも今回決めた増税時期は緊急性を要件としていない衆院任期4年後の2014年4月1日8%、2015年10月1日10%である。 

 伊藤惇夫は政策を変えるには変えるなりの絶対的に緊急な必要性、その状況が何であるかを提示もせずに、「政治はどう変化するか分からないため、書いていなくてもやらなければならないことがたくさんあるんです」と、緊急な必要性を何ら条件としない、それゆえに正当性を持たない政策変更を支持している

 このことは政治評論家でございますと尤もらしい顔をして誤った情報――ウソ・誤魔化しを公共の電波を使って全国に垂れ流す類の行為であろう。

 民主党のウソ・誤魔化しにはもううんざりだが、評論家だと名乗ってテレビに出てはウソ・誤魔化しを働く輩の跡を絶たない風潮にもうんざりしている。

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