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【謝罪】ページトップの画像のキャプションが「2017年7月次期参院選挙」となっていますが、頭の中では「2016年7月」としてたのですが、間違えてしまいました。訂正します。
共産党の志位和夫委員長が各野党に対して国政選挙での野党間の協力と安全保障関連法の廃止を目的とする暫定的な連立政権構想に関する協議入りを要請し、各野党党首との会談を行っていることをマスコミが伝えている。
会談がどういった経緯を辿ったのか、各マスコミ記事をみてみる。
先ず9月25日付「時事ドットコム」記事。
岡田代表「(共産党との選挙協力について)保守層・中間層の支持が減ってしまい、結果的に(政権交代の)目的が達成できなくなるという議論もある。
(志位氏が「国民連合政府」と表現する連立構想について)果たして現実的か。共産党と政府を共にするのはハードルが高い」――
会談後の記者会見。
岡田代表「政策が一致していないと、国民にとって困ったことになる。選挙協力もなかなか厳しい」
記事は解説している。〈岡田氏は当初は前向きな姿勢を示していたが、民主党内で保守系議員を中心に反対論が根強い事情を考慮し、軌道修正した。〉
維新の党松野頼久代表が「過去のしがらみを引きずったまま民主党とくっついても魅力がない」との考えのもと、維新と民主双方が解党した上で新党を結成する必要性を訴えているのに対して民主党の岡田克也は「(重要なのは)解党や手続き論の話ではない。形を取ったから信頼が戻るという問題ではない」(時事ドットコム/2015/09/12-18:28)と解党に慎重な姿勢を示したという。
では、来年の参院選で安倍自民党に勝利できる何らかの強力な打開策を見出し得るのだろうか。例え勝利しなくても、せめてねじれ現象をつくり出して安倍晋三に責任を取らせて退陣に追い込むことができる程にも大幅に議席を減らすことができる何らかの妙手・奇策の類いを打ち出す得るとでも言うのだろうか。
9月19、20日実施の朝日新聞世論調査の政党支持率では自民党33%に対して民主党10%。3分の1以下である。支持政党なしが37%。この37%の中から如何に多くの有権者を惹きつけるかに選挙の趨勢はかかってくる。37%の内の多くに民主党に政権を期待させる何らかのキッカケを与えることができるというのだろうか。
慎重なだけでは何も生まれないし、前にも進まない。せいぜい成果とすることができるのは現状維持である。
大体が民主党の政党支持率10%と言うのは民主党鳩山・菅・野田の3政権の余りの無能に対する有権者の失望、あるいは怒りが、「とても民主党には政権を任せることはできない」という固定観念を作り上げて、それが未だに溶けないままに記憶として強く残っているからだろう。
その上代表の岡田自身がいつどこで見ても、新鮮さもない、溌剌さもない、カリスマ性もない、面白みもない、融通が効かない、地味で杓子定規な感じの固苦しさだけといった否定的なリーダー像しか浮かんでこない。
岡田克也は「解党や手続き論の話ではない。形を取ったから信頼が戻るという問題ではない」と頭の堅いことを言っているが、基本は頭数(=議席)である。頭数がなければ、望む政策を形にすることはできない。自民党の政策の実現を指を加えて眺めるしかない。
政策の違いは国民の世論(国民が政策それぞれについて望む方向)を重視し、それとバランスを取りつつ、最大公約数(異なる意見の間で見つけることのできる共通点の最大値)を見い出す努力をして、その最大値を以って政策とする取り決めをすれば、例えそれが共産党を相手とする連立政権であっても、どうにか凌いでいけるはずだ。
言葉では簡単に言うことができるが、現実の話となると難しいと言うかもしれないが、1994年6月30日から1998年6月までの自民党が社会党の村山富一を首相に迎え入れた自社さ連立政権のウルトラCを学ぶべきだろう。
村山富市は首相となって最初の1994年7月18日の第130回通常国会の所信表明演説で社会党が違憲としていた自衛隊を合憲としたばかりか、それまで掲げていた日米安保条約破棄の政策を転換、日米安保堅持を打ち出している。
この社会党の日本の安全保障政策の大転換は党内で激しい議論があったと思うが、自社さ連立政権にとっての最大公約数として打ち出した政策であったはずだ。
志位共産党委員長は9月28日、社民党の吉田党首、生活の党と山本太郎となかまたちの小沢代表と相次いで会談している。吉田党首と小沢代表は前向きに検討する考えを示したという。
会談後、それぞれが記者団に発言している。
吉田党首「『戦争法』の廃止や、安倍政権を1日も早く倒さなければならないという点は一致しているので、前向きに受け止めて、野党間の選挙協力を進めていきたい」
小沢代表「共産党がすべての選挙区に候補者を立てるという従来の方針を転換したことは評価すべきことだ。安倍政権を倒すためにも大義の旗を立てて選挙を戦っていくべきだ」(NHK NEWS WEB)
二人からはかなり積極的な姿勢を窺うことができる。
この両党の積極的な姿勢の背景を両党共に〈所属国会議員数が政党要件ぎりぎりの5人まで落ち込み、来夏の参院選も苦戦必至という事情がある。躍進が続く共産と連携することで党勢の低迷に歯止めをかけたい考え〉(毎日jp)からだと、選挙事情からのものとしているが、そういった利害関係もあるだろうが、小沢氏は野党各党単独の選挙戦には前々から警告を発していて、最終的には野党同士が喰い合い、共倒れすることになって自民党を利することになるばかりだと警告を発していて、「オリーブの木」の名の下、野党が連携しないことには自民党に勝てないことを訴えていた。
小沢氏の記者会見発言を9月28日付「IWJ Independent Web Journal」が詳しく伝えている。
小沢代表「特に共産党は、今まで全選挙区の殆どすべてに候補者を立ててきた。その従来の方針をまったく転換して、安倍政権に変わる新しい政府を作るために力を合わせよう、という話です。その大胆な決断を高く評価します、というふうに申しあげました。事実、この共産党の方針転換は非常に大きな意味を持つものです。
我々も共産党に先を越された格好になっちゃったけど、自公政権じゃ国民のためにならない、という人たちが力を合わせ、自公に変わる政権を作るために力を合わせて頑張る。今後、そのためにお互いに緊密に連絡を取り合いながら努力をしていきましょう、ということで今日の会談は終わりました。
(「一緒に政権を共にするのはハードルが高過ぎる」といった民主党・岡田克也代表などの意見について)『連合政府』というのは、野党が力を合わせて選挙で勝ったうえでの話。共産党が『大義の旗』として連合政府を掲げることは、とやかくいう話ではない。あとは選挙協力して野党で過半数取ったらその上で考えることだ。
僕は従来から、(共産党が)『各選挙区すべてに候補者を立てるのは自民党の補完勢力に他ならない』と言ってきた。現実的に、野党で統一すれば国政・地方問わず、自公に勝るということは簡単な足し算でもわかる。選挙協力をするという決断をしたのは、共産党としては『清水の舞台から飛び降りる』どころではない、大胆な決断だっただろう」――
小沢代表が政策の違いは「あとは選挙協力して野党で過半数取ったらその上で考えることだ」と言っていることは決して間違っていない。
ギリシャの左右勢力の連立政権を思い出して、ネットで調べたことだが、議会が3回にわたって大統領を選出できなかった場合は議会を10日以内に解散するとする規定に基づいて議会を2014年12月に解散、2015年1月の総選挙で極端な財政危機から厳しい緊縮政策を取っていた当時の政権が国民の反発を受けて支持を失い、反緊縮政策を掲げた急進左派連合が第1党を取ったものの、過半数を得るに至らず、右派政党の「独立ギリシャ人」と連立を組んで、政権担当に道をつけた。
チプラス率いる急進左派連合が右派政党の「独立ギリシャ人」と連立を組んだ。これは選挙前はどれ程の議席を獲得できるか分からなかったのだから、あくまでも選挙の結果を受けた協議の末の結論だったはずだ。
チプラス政権は反緊縮政策を掲げたものの、極端な金融危機からEUから金融支援を必要としていたギリシャは、EUが見返り条件とした緊縮政策を受け入れることにしたものの、その財政改革法案の議会採決に急進左派連合の一分議員が反対票を投じた結果、急進左派連合は分裂状態に至ってチプラス首相は議会を解散、再び総選挙に打って出たものの、やはり第1党を確保できたが、過半数に足らず、再び右派政党の「独立ギリシャ人」と連立を組むに至った。
要は異なる政策に対して最大公約数を持たせた一致点を見い出す知恵である。
例えば民主党野田政権時、小沢氏は野田政権の消費税増税政策に反対して党を割った。民主党が政権を獲った2009年8月の総選挙のマニフェストは政権4年間は消費税は増税しないとしていたし、そのマニフェストを根拠として公約違反だと国民の反対も強かったのだから、野田佳彦は小沢氏との間で増税か・増税しないかの決定は国民世論を参考とした最大公約数(異なる意見の間で見つけることのできる共通点の最大値)はマニフェスト通りに増税しない、次期衆院解の公約とすべきだったが、自民党と公明党の協力まで仰いで増税を成立させ、協力の大小として解散、その結果、国民から政権を奪われるというお土産を頂いた。
一方安倍晋三は2015年10月の消費税率10%への再引き上げを2017年4月へと先送りを決定、国民の信を問うとして解散、2014年12月の総選挙で再び自民党は大勝した。野田佳彦は消費税増税を掲げて政権を失い、安倍晋三は先送りという消費税の利用によって政権を維持することができた。
この失敗と成功は大悲劇と大喜劇に譬えることができる。
思い切った手を打つ以外に安倍政権を政権担当の座から引きずり降ろす知恵を見い出すことができると言うならそれも結構。最低限、反対している安保関連法を廃案に持っていくことができると言うならそれも結構。
チャンスを一度失うと、なかなか取り戻すことはできない。永遠に取り戻すことができない場合もある。知恵のある男か、ない男か、岡田克也はその瀬戸際に立たされている。