熊谷署管内連続6人殺人事件は警察の大失態の謗(そし)りを免れることはできない

2015-09-19 10:12:25 | 事件



      「生活の党と山本太郎となかまたち」

      《9月19日 山本代表ぶら下り記者会見動画 党HP掲載ご案内》    

      山本太郎代表は9月19日、参議院本会議で安保法が可決・成立したことを受け、記者団の質問に答えま
      した。安保法はルール違反に基づいて可決・成立され、かつ国民のためのものではないと痛烈に批判。
      「本当に悔しい。ひっくり返すしかない」と述べました。

 事件の経緯を「NHK NEWS WEB」記事と、その他から見てみる。 

 当該記事は《警察が説明した事件の経緯》となっている。経緯の正確性の責任を警察に預けたとったところか。

 9月13日の午後1時半頃
  熊谷市内の消防署から「外国人が片言の日本語を話しているが意味が分からない」という連絡。
  警察官が熊谷警察署に連行・事情聴取。

  「ペルーに帰りたい。神奈川に姉がいる」

  本人の求めに応じ、警察官1人が立ち会って玄関先でタバコを吸わせていたところ、男は警察署の前の国道を横
  断し、走り去る。
  午後5時頃と午後5時半頃警察署の近くで住居侵入事件が相次いで2件発生。警察は警察犬による捜索や聞き込み
  捜査を開始。

 翌9月14日
  熊谷市見晴町の田崎稔さんの宅で田崎さんと妻の美佐枝さん夫婦の殺害遺体を発見。

 9月15日
  熊谷署は9月13日に起きた、住居侵入事件で男の逮捕状を取る。

 9月16日午後4時半頃
  未明に同容疑者の手配書を全国の警察に配布。但し市民への注意喚起は限定的。
  熊谷市石原の住宅で1人暮らしの白石和代さんとみられる女性が浴室で血を流して死亡しているのを発見。

  警察官の現場周辺の聞き込み捜査で加藤美和子さんの家のインターフォンを鳴らしても応答が無く、住宅の裏に回ると、ペルー人の男が刃物を持って2階の窓枠に足をかけて
  いるのを発見。警察官の説得中、男は自分の腕を刃物で何度か刺し、2階から飛び降り、その場で身柄を確保。

  住宅内を捜査、1階と2階のクローゼットの中で加藤美和子さん、小学生の美咲さんと春花さんとみられる3人の遺体を発見。

  飛び降りた男は「かなり重症で意識がない」

  阿波拓洋埼玉県警察本部刑事部長(記者会見)「現段階では必要な捜査を行っていたと考える」(以上)

 上記記事は消防署から通報があって熊谷警察署に連行・事情聴取の際、〈本人の求めに応じ、警察官1人が立ち会って玄関先でたばこを吸わせていたところ、男は警察署の前の国道を横断し、走り去りました。〉と記述しているのは警察の説明がそうなっていたからだろう。

 だが、この説明を鵜呑みにすると、1人の警察官が立ち会っていた目の前を国道を横断し走り去ったことになる。つまり、その警察官は走り去るのを単に眺めていた。

 実際は目を離した隙に逃走したということではないのだろうか。ペルー人にしても目の前に警察官がいるのにいきなりその場を離れるとなると、直ちに制止行動に入られるのを覚悟しなければならない。

 勿論、制止を振り切って逃げることもできるが、そうした場合、事の重大さはかなり違ってくる。制止を振り切られて、警察はそのままにはしないだろうからである。

 警察は自らの常識として制止を振り切ってまで逃げるのは知られたくはない後ろ暗い秘密を抱えているからであり、それが犯罪そのものか、犯罪の可能性を疑うことができる出来事のいずれかと考えて、否応もなしに追跡行動に入らなければならない。

 だが、警察はペルー人が国道を横断し、走り去るに任せた。

 警察がここで取った行動を素直に受け入れることは難しい。

 別の「NHK NEWS WEB」記事が金高警察庁長官の9月17日の記者会見での発言を伝えている。

 金高警察庁長官「非常に重い結果となり、これを教訓として、同じような事案を防ぐことができないかという観点からよく見てみたい。

 (事情聴取時の警察の対応について)自らの意思で立ち去ったもので、この時点では男が犯罪に関与した事実は認められず、その意思に反して警察署に身柄をとどめる根拠は無かった」――

 前段の発言は今後の参考にするといった趣旨となっている。

 後段は、前の「NHK NEWS WEB」記事が、〈本人の求めに応じ、警察官1人が立ち会って玄関先でたばこを吸わせていたところ、男は警察署の前の国道を横断し、走り去りました。〉と書いていることを、「自らの意思で立ち去ったもの」としている。

 だとすると、立ち会いの警察官が本人の意思で立ち去るのを許可したことになる。

 但し「自らの意思で立ち去った」際、署に〈現金3417円入りの黒革の二つ折り財布と健康保険証、在留カード、パスポートなどの所持品を同署に置き忘れていた。〉と「毎日jp」記事は伝えている。 

 要するに所持品検査をして持ち物全部をテーブルに出させたのだろう。

 と言うことは、財布やパスポートなど、本人にとって大切に所持していなければならない物を署に置きっ放しにしたまま、何も持たずに熊谷署から「自らの意思で立ち去った」ことになる。

 ところが、上記記事は、〈署員が目を離したすきに署から逃げた。〉となっている。

 金高警察庁長官の発言との食い違いはどう説明したらいいのだろうか。

 どうも逃走したと表現した方が正しい状況に見える。

 もし大事なものまで置きっ放しにして逃走したということなら、警察の常識としてそれらの大事なもの以上に警察に知られたら困る重大な秘密を抱えていて、逃走を手段としてでもそれを守る必要性に迫られていたと、当たっているいないは別として疑わなければならないはずだ。

 当然、直ちに捜索に入らなければならなかった。熊谷署に所持品を全て提出して、財布も持たずに逃げたのだから、先ずは熊谷署を起点に周辺一帯を捜索範囲として目撃証言を求める一方、普通の乗客のフリをしてタクシーに乗り、カネを持たないことから運転手を威して移動することも考えて、熊谷署周辺でタクシーを捕まえた客がいないか、タクシー会社の無線配車センターに問い合わせるといったことは捜査の定石であるはずだ。

 このようにすべきであることは、次の「NHK NEWS WEB」記事が書いている事件の経緯が証明する。  

 9月13日午後3時頃に熊谷署から逃走している。 

 9月13日午後5時半頃、9月16日午後4時半頃に死亡が確認された加藤さんの自宅から歩いて5分程の距離にある住宅街を犬の散歩をしていた男性が自宅の前で外国人とみられる男に声をかけられ、「カネ、カネ」と言葉をかけてきた。男性が「カネはない」と言うと10メートル程離れた住宅の駐車場に座り込んだ。男性は警察に通報。警察官6、7人がパトカーで駆けつけたが、男は逃走後であった。

 その後警察は周辺を徹底的に捜索したと言うが、本人を確認することも、犯罪を防ぐこともできなかった。

 最初の「NHK NEWS WEB」記事が事件経緯として伝えていた、〈熊谷署は9月13日に起きた、住居侵入事件で男の逮捕状を取る。〉とあるのは、上記件に関してであろう。

 人相を聞いて、パスポートの写真と一致したから、その名前で逮捕状を取った。住居侵入がカネ目的であったのは財布を熊谷署に置きっ放しにして逃走した無一文の関係からだと容易に想像がつく。

 このときは口でカネを要求するだけで、乱暴な力づくの態度は取らなかったが、相手がカタコトの日本語しか話すことができないという不満足な意思疎通能力を考えた場合、ちょっとした行き違いや一度失敗した焦りから、あるいはカネを要求された側が悲鳴を上げたりして異常なまでに恐怖を感じた態度を見せた場合、そのような態度に却って驚いたり、激怒したりして過剰反応する形でどう凶暴な態度を取らない保証はないと考えなければならなかったはずだ。

 当然、カネを持たないことからタクシーの運転手を威して遠方への逃走を謀ったり、あるいはカネを必要としていたことを確認している以上、タクシー代を踏み倒すだけではなく、売上金を奪おうとして運転手に危害を加えたりすることへの予防措置の手配をする一方で警察犬を使った捜索に加えて、家の中にまで入り込んでカネを要求するだけではなく、カネを持たないということは外出中の人間が空腹を満たすための当り前の方法を失っている状況にあることから、持間の経過と共に家の中にまで入り込んで食べ物を要求する危険性が高まることを想定して周辺一帯の住宅を一軒一軒訪ねて、住人の安否確認するだけの配慮は必要だったはずだ。

 だが、そういった危機管理の想像力を働かすことができなかった。

 働かすことができ、午後5時頃と午後5時半頃警察署の近くで住居侵入事件が相次いで2件発生以降、書いてきたような危機管理を実施していたなら、異郷の地に生きる30歳のペルー人を殺人の犯罪から救うことができたかもしれない。

 このことをも含めて、大失態の謗(そし)りは免れることはできないはずだ。

 阿波拓洋埼玉県警察本部刑事部長が記者会見で言っているように、「現段階では必要な捜査を行っていた」とは到底見えない。

 
コメント (1)
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