安倍晋三は過激派武装集団の現在の状況をどのように認識してPKOの広範囲化・積極化を策しているのか

2015-10-04 11:34:29 | 政治


 安倍晋三が9月28日午後(日本時間9月29日未明)、国連本部で開催の平和維持活動(PKO)に関する首脳会議に出席、平和安全法制が整備できたこと(成立したこと)を言ってから、次のように発言している。

 安倍晋三「 国連PKOの多様化する業務に対応できるよう、国際平和協力法を改正し、従事可能な業務が広がり、更なる貢献が可能となりました。今後、新たな法制の下、国連PKOへの貢献を更に拡充してまいります。

 具体的には、自衛隊が高い技術を持つ施設活動や、ミッション司令部・国連本部等への要員派遣等の質の高い貢献を着実に進めるとともに、早期展開のための航空輸送など、更なる貢献を追求してまいります」(首相官邸) 

 要するに今後国連PKO活動により広範囲により積極的に参加、現地国連ミッション司令部へは司令官等の現地指揮幹部要員として、国連本部の平和維持活動局(DPKO)へはPKO派遣の計画・立案・実施等に携わる要員として幹部自衛官を派遣すると貢献意思旺盛なところを見せている。

 旺盛な貢献意思のもと、いくら自衛隊のPKO活動を拡大しようと、自衛隊、もしくは自衛隊員のリスクは高まらないと全国民に公約しているのだから、安心である。犠牲者は一人として出ることはあるまい。

 安全保障関連法を9月30日に公布され、公布から6カ月以内の施行となっている。

 安倍晋三のPKO派遣の旺盛な貢献意思の具体化でもあるのだろう、防衛省は防衛相の中谷元の指示を受けて、新たに自衛隊として可能となる集団的自衛権行使や国連平和維持活動(PKO)等の任務拡大に備えた武器使用基準の緩和等を内容とする部隊任務・行動基準の改訂作業に着手したことと、現在南スーダンでの国連PKO活動に派遣している自衛隊の任務に離れた場所にいる文民要員を警護する「駆け付け警護」を来年春にも追加する方針としていることを「時事ドットコム」記事が伝えている。 

 確認のために「駆け付け警護」とは何か、「コトバンク」から、その解説を引いてみる。

 〈離れた場所にいる国連や民間NGOの職員、他国軍の兵士らが武装集団などに襲われた場合に助けに向かう任務。政府は、現地の治安当局や国連PKOの部隊などからの情報を得て、自衛隊の部隊長の判断で実施を決めるとしている。

 (駆け付けを可能とするケース)

 ▽自衛隊が安全を確保して対応できる
 ▽現地の治安当局や他国の部隊よりも速やかに対応できる〉――

 駆け付け警護というものを離れた場所の国連や民間NGOの職員、他国軍の兵士らが武装集団などに襲われた場合を想定していながら、自衛隊が安全を確保して対応できることの保証付きとする。

 ここに何も矛盾を感じないのだろうか。

 現地自衛隊PKO部隊に駆け付け警護要請の連絡が入ったとき、「安全を確保して対応できますか」と聞き返して、「対応できます」との返事が得たときのみ駆けつけるのだろうか。

 それとも襲ってきた武装集団の兵力・人数、あるいは使用武器の種類等を聞いて、自衛隊の部隊長が自衛隊が安全を確保して対応できるかどうかを判断、駆けつけるかどうかを決めるということなのだろうか。

 離れた場所にいて、安全か危険か、適格に判断できるとしたら神業である。

 もし駆け付けなかったなら、最悪見殺しにする、良くて人質として拉致するのを許す事態の発生も想定できないことはない。

 となると、一応は駆け付けて、部隊長を先頭に自分たちの目で武装集団の兵力を目で確かめなければならない。もし救出に入ったなら、自衛隊の安全の確保は難しいと判断した場合、撤退を決定するのだろうか。

 つまり自衛隊の安全を基準とした行動に専念して、過激派武装集団に襲われた兵士、あるいは民間人を見殺しにする、あるいは人質となることを許す。

 例え自衛隊の安全確保は難しいと判断したとしても、目の前で攻撃を受けている国連や民間NGOの職員、他国軍の兵士らの救出に最善を尽くす行動に出ないだろか。

 つまり自衛隊員の中から死者が出ることも覚悟して。

 最近の「イスラム国」のような過激派武装集団は、今後自衛隊のPKO部隊が例え過激派武装集団の攻撃で破壊されたインフラの回復・整備を目的とする施設部隊とそれを警護する目的のみの戦闘部隊を編成内容としていて、戦闘自体を目的としていないくても、それゆえに過激派武装集団にとって脅威の対象ではなくても、敵対している政府・国家に味方する軍組織やNPO所属等の民間人が敵対地域に存在すること自体を許さなくなってきている状況になっていないだろうか。

 そのような状況になっているから、結果的に相手を選ばずに攻撃して、戦果に加えようとしているように見える。

 「イスラム国」を例に取ると、最初の勢力拡大の勢いを失って生じた、かつての成功体験を裏切ることになる思い通りの戦果を上げることができない精神的な余裕の喪失が苛立ちを誘って、相手選ばずの攻撃となって現れている原因であるように思える。

 つまり、「イスラム国」に対してだけではなく、過激派武装集団を追い詰めていく過程で次第に攻撃対象を選ばなくなって、危険性を増していく。

 当然、自衛隊のPKO部隊もそれがどのような目的で派遣されていたとしても、駆け付け警護に対してだけではなく、そこに部隊が存在しているという理由だけで直接的な攻撃対象となる可能性は否定でいないだろうし、武器使用基準緩和となれば、攻撃と反撃は激しい応酬合戦となる可能性も否定できない。

 安倍晋三の上記演説の前日9月28日夜7時半から放送のNHKクローズアップ現代『国連70年①相次ぐ紛争そして難民… 平和は取り戻せるか』が、「平和維持のための部隊がテロリストのネットワークに脅かされている」とのマリPKO司令官の発言と去年1年間に亡くなったPKO隊員は126人だと伝えている

 2015年5月30日の「産経ニュース」はPKO隊員の死者はエボラ出血熱への感染による死亡も含まれているものの、7年連続で100人を超えていると伝えている。

 この記事ではNHKクローズアップ現代が伝えている昨年1年間のPKO隊員死亡者の126人は一昨年比+20人だと解説している。

 過激派武装集団が今後益々相手選ばずの攻撃に陥っていくのではないかと疑うことのできる状況を考えると、安倍晋三の旺盛な貢献意思に基づいた自衛隊のPKO活動の広範囲化・積極化が逆に100人を超えるPKO隊員の死者の中から自衛隊員だけを運良くこぼれ落としてくれる保証は逆説そのものとなって、どこからも見つけることはできないように思える。

 安倍晋三はこのようなことを認識して平和維持活動(PKO)に関する首脳会議で演説したのか極めて疑わしい。

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