国会審議は国民への政策説明を兼ね、安倍晋三の臨時国会見送りは説明責任からの逃避・国民の存在軽視に相当

2015-10-20 09:56:49 | Weblog



      「生活の党と山本太郎となかまたち」

      《10月19日 小沢代表、民主党岡田代表と参院選の選挙協力について会談後の記者会見動画案
      内》
    

      小沢一郎代表が10月19日、国会内で民主党の岡田代表と党首会談を行い、来年の参院選の野党共
      闘について協議しました。会談終了後の小沢代表の記者会見動画をホームページに掲載しました。
      是非ご覧ください。

 政府・与党が安倍晋三首相の外遊日程が立て混んでいること、年末の予算編成等を理由に臨時国会召集を見送る方針を固めた。官房長官の菅義偉は10月16日午前の記者会見で「首相の外交日程を優先しなければならない」と説明したそうだ。

 年間を通じて臨時国会が開かれなければ2005年以来、10年ぶりだとマスコミが伝えていた。

 対して野党は10月19日、民主党、維新の党、共産党、社民党、生活の党と山本太郎となかまたち、参議院の会派の「無所属クラブ」の幹事長らが国会内で会談、内閣改造やTPP=環太平洋パートナーシップ協定等々議論すべき課題が山積しているとして政府・与党に臨時国会の召集を強く求めていくことで一致したと「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。 

 この3日前、10月16日には民主、維新、共産、社民、生活の野党5党が安保法案に反対した諸団体と「意見交換」を行い、安保法案に対する今後の対応を検討している。

 安保法案に反対した諸団体とは次のとおりである。

 「安全保障関連法に反対する学者の会」
 「安保関連法に反対するママの会」
 「SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)」
 「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」
 「立憲デモクラシーの会」
 「日本弁護士連合会」

 枝野民主党幹事長「まだ手続きが本当に有効なのかという問題は残るが、安保法制が成立したことにされている。立憲主義・民主主義・法治主義を破壊させてはいけないという一点では、ここにいる全員が一致することができるのではないか。その一致点を確認しながら、お互いに意見交換・情報交換をしていきたい」

 要するに安倍晋三が成立させた集団的自衛権の憲法解釈による行使容認をも含めた今回の安保法制に関わる合憲性如何を問い続けていくとしている。そして意見交換会を今後も定期的に開催していくことを決めた。

 普天間基地の辺野古移設問題や仲井真前沖縄県知事の辺野古沖埋め立て承認と翁長現沖縄県知事のその承認の取消し問題で揺れている沖縄の3区を選挙区とする「生活の党と山本太郎となかまたち」の玉城デニー幹事長が挨拶している。

 玉城デニー幹事長「普天間からの基地移設が予定されている辺野古を選挙区にもつ沖縄三区選出の衆議院議員玉城デニーです。

 本日、皆さんからいろいろなご意見を伺いまして、本当にお互いの気持ちはほとんど一致しているのだと思いました。あとはその一致している気持ちをどこで「結わえるか」、ということだと思います。この「結わえる」ということが最も肝心なところですが、そこで沖縄での選挙戦を思い出し、皆さんにぜひ参考にしていただきたいと思います。

 2013年12月27日に、当時の仲井眞知事が政府に対して辺野古の埋立てを承認しました。その時に3500億円規模の交付金を政府に約束させ、仲井眞前知事は「これでいい正月が迎えられるだろう」と言いました。ところが、この「いい正月が迎えられる」という言葉に対して、沖縄県民は金目の問題ではないと大きく怒ったわけです。

 2014年正月元旦に多くの県民の皆さんが昇る朝日に向かって誓ったのは、絶対に仲井眞知事を倒すといことでした。そして1月に行われた名護市長選で、オール沖縄という、いま皆さんが言っている野党共闘という形が「結わえた」のです。その年の9月には沖縄県知事選の前哨戦となる統一地方選挙があり、名護市市議会でも、いわゆる辺野古移設反対の議員さんが過半数を取りました。そして、11月の県知事選では移設容認派の仲井眞知事に10万票の大差をつけて翁長現知事が当選したのです。

 その知事選のさなかに、安倍首相が衆議院を解散して総選挙になりますが、ここまで戦って来たオール沖縄という構図が総選挙に向かってそのまま突き進んでいくことになります。これは暗黙の了解というか、あうんの呼吸というか、自然の流れでした。

 オール沖縄で選挙戦を戦った結果、沖縄の4選挙区から出た非自民候補は全員当選し、自民党議員は全員が小選挙区で負けたのです。争点は非常に簡単です。仲井眞前知事がやったことに賛成か反対か、どちらを選ぶかです。県内の有権者の7割が辺野古移設に反対ですから、当然反対派が勝ちます。

 残念なことに2014年の衆議院選では、負けた自民党議員全員が比例復活しました。しかし、参院選で比例復活はありません。来年の参院選で自公と一騎打ちの構図ができれば、まさにどちらを選ぶかというシンプルな戦いになります。ですから、国民の皆さんが絶対非自民の候補者を勝たせると応援してくだされば、必ず安倍政権を倒す事ができるのです。

 沖縄での勝利の実感を持ってみんなで戦えば、必ず勝てると思います。沖縄に学べというと少し僭越ですが、沖縄と並ぼうとみんなに声をかけていけば必ず「結わえる」ことができ、勝利することができると思います」――

 こう見てくると、臨時国会を開いて審議が必要なのは内閣改造やTPP問題でではなく、安保法に関して憲法学者による憲法違反の指摘や世論調査で「評価しない」、あるいは「憲法違反である」、「国民への説明が不十分」と見ている国民が半数以上を占めていることを考え併せると、安保法、さらに沖縄の基地問題も含めて審議が必要となっていく。

 このように審議が必要な問題が山積しているにも関わらず安倍政権が臨時国会開催を見送る方針を固めた。 

 この方針を阻止するために野党民主党は憲法53条を使って臨時国会開催に漕ぎつけようとしている。

 日本国憲法第53条は、〈内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。〉と定めている。

 衆議院では民主党(72人)と共産党(21人)に大坂系以外の維新の党から26人が加われば4分の1に達するという。

 但し当該要求があってからいつまでに召集を決定しなければならないのか期限を定めた条項がないことと、合理的な期間内に常会(通常国会)が召集される場合には臨時国会を召集しなくても憲法違反にはならないとしている政府見解を楯に見送りも可能だという。

 このことを承知した上での政府与党の臨時国会見送り方針なのだろう。

 だが、断るまでもなく国会審議は与野党議員による政策等の検討や可否の議論の機会の場に限られているわけではなく、審議・議論を通じた国民への説明の重要な機会であり、重要なその責任を与野党議員及び首相以下の閣僚が共に担っている。

 安保法制に対して国民の多くが違憲ではないかと疑義を感じている以上、その法の成立を既成事実化するのではなく、臨時国会審議を通じた国民への説明だけではなく、参加国が合意に達したTPPの臨時国会審議を通じた国民への説明、つい最近安倍晋三が掲げた「1億総活躍社会」とは何か、その具体策等、臨時国会審議を通じた国民への説明等々の責任を政府は負っているはずである。

 特に安保法制に関しては安倍晋三は安全保障関連法の成立を受けた10月19日未明、首相官邸で記者団に次のように発言している。

 安倍晋三「平和安全法制は国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要な法制であり、戦争を未然に防ぐためのものだ。子どもたちや、未来の子どもたちに平和な日本を引き渡すために必要な法的基盤が整備されたと思う。今後も積極的な平和外交を推進し、万が一への備えに万全を期していきたい。

 今回、参議院においては、野党からも複数の対案が提示され、議論も深まったと思う。民主的統制をより強化するうえにおいての合意が野党3党となされた。与党だけではなくて、野党3党の賛成も得て、より幅広い皆様の支持のもとに、法案を成立させることができたと思う。今後も国民の皆様に、誠実に、粘り強く説明を行っていく考えだ」(NHK NEWS WEB

 本人は「平和安全法制は国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要な法制であり、戦争を未然に防ぐためのものだ」と言っているが、国民の半数以上はそうは取っていない。

 そうであるなら、最後に「今後も国民の皆様に、誠実に、粘り強く説明を行っていく考えだ」と言った以上、国会審議の機会を設けて、「国民の皆様に、誠実に、粘り強く説明」を行うべきだが、それを来年1月の通常国会に回そうとしている。

 言ってみれば、国民への説明を言いながら、その舌の根も乾かない内に説明責任を撤回させた。

 安倍晋三のこの10月19日の発言の翌日の10月20日日曜日のNHK「日曜討論」では政調会長の稲田朋美が同じ趣旨の発言をしている。 

 稲田朋美「『平和安全法制』は、今の日本を守るためにも、世界の平和に貢献するためにも必要であり、衆参両院で200時間以上審議し、参議院では野党3党を含めて、10党のうち5党が賛成ということで、採決はやむをえなかった。ただ、様々な指摘があるのも事実なので、色々な機会に説明を続けることを、政府・与党一体となってやっていきたい」(NHK NEWS WEB

 衆参で何時間審議しようとも納得していない国民の方が過半数以上を占めている。つまり稲田が主張している必要性を国民の多くは必要性とは認めていない。それが「様々な指摘」と言うことであり、「色々な機会に説明を続ける」と積極的な姿勢を示している以上、その約束を果たして早い機会を設けるべきを安倍晋三と同様、舌の根を乾かそうとしている。

 安倍晋三が外遊を優先させて臨時国会の開催を見送ることは国民に対する各政策に関する説明責任からの逃避であって、国民の存在を軽視する処置に他ならない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする