民主党の宮城県議選2議席減と政党支持率低迷から岡田代表と所属議員の政策と相互関連し合う言葉の力を見る

2015-10-31 10:54:47 | 政治



      「生活の党と山本太郎となかまたち」
 
      《10月30日「生活」機関紙第29号(電子版)発行のご案内》    

      【今号の主な内容】
      ◆来年の参院選に向け、連携を深める野党5党
      ◆スペシャルレポート 山本太郎代表
      ◆第189回国会「生活」が取り組んだ主な議員立法
      ◆小沢一郎代表が「日韓親善友好の集い」で来賓挨拶
      ◆TPP大筋合意を受けて(談話) 玉城デニー幹事長

 10月25日投票の宮城県議会議員選挙で自民党が31議席から27議席へ4議席減らしたものの、民主党も7議席から5議席へ2議席減らすことになった。他は維新が2から1、社民が4から1へと右へ倣えで減らして、無所属が7から13。

 政党単位では共産党のみが4から8へと倍増させている。

 この結果から、マスコミは民主党が安倍政権の批判票の受け皿になり得ていないと批評している。このことは民主党の岡田克也代表も認めている。

 岡田克也「安倍政権への批判票が共産党に行き、民主党は風を受けきれていないことは事実だ。そこはしっかり踏まえて、これからのことを考えていかなければならない」(NHK NEWS WEB

 どういうふうに踏まえているのだろうか。今後風を受けきることのできる目算を立てることができると考えているのだろうか。

 民主党が自民党批判票の受け皿足り得なかったということは民主党の訴えが宮城県民の胸に届いていなかったことの証明以外何ものも意味しない。訴えるだけの言葉の力を持たなかった。

 このことは何も宮城県民だけのことではないだろう。NHK世論調査の2015年1月から10月までの政党支持率は自民党が35%前後から41%前後の間であるのに対して民主党は10%を11%に届かない範囲で超えたのは3回、あとは10%以下で低迷している。

 この政党支持率は民主党の国会質疑や街頭演説や記者会見での発言等の日常的な政治行動に対する国民の評価の反映であり、このような全国的な支持率の状況が宮城県に於いても民主党への評価となって反映した選挙結果でもあるはずだ。

 だが、何よりも選挙期間中に各党を代表して宮城県入りして行った直接の訴えが県民の選挙行動により影響していると見なければならない。

 自民党は林芳正農相と石破茂地方創生担当相が応援に入りし、主要都市を回ったそうだが、民主党は岡田代表や枝野幹事長を投入している。共産党は志位委員長が直接乗り込んでいる。

 だが、民主党は日常的な政治行動によって政党支持率を獲得できないでいただけではなく、そうである以上、選挙戦での訴えで政党支持率を上回る支持を得なければならなかったはずだが、岡田代表も枝野幹事長もそれだけの能力を発揮することができず、結局のところ政党支持率を超える支持を獲得するどころか、逆に2議席減らすことになった。

 志位共産党委員長の選挙戦での訴えが日常的な共産党の政治行動と共に相乗効果を出し合って宮城県民の多くに共産党候補への投票を駆り立てたといったところなのだろう。

 国民の目に最も映りやすい民主党の日常的な政治行動の主たるものは国会質疑で野党第1党として最も多くの時間を与えられた質問にあるはずだ。1日の質疑で民主党は3人、4人と質問に立て、共産党は1人か、2人、しかも合計の質問時間は民主党と比較して遥かに少ない。

 だが、政党支持率が1年を通して自民党の約3分1の10%前後に低迷し、宮城県議選では2議席を減らしたということは野党第1党として最も多くの時間を与えられていた国会での質問に関しても国民に強い関心を持たせる程には生かし切れていなかったことになる。

 つまり質問に立った民主党議員は全体的に見るべき程の言葉の力を持たなかった。だから、安倍晋三以下、各大臣たちを論破できなかった。 

 さらに岡田克也が代表就任後最初となる2015年6月17日の安倍晋三との党首討論にしても、有権者にインパクトを与える絶好の議論の機会であったはずだが、安倍晋三の例の如くの尤もらしげな独断に満ちた、だが、その独断を押し通すことを許す巧みな言説にかわされて、これといった得点を上げることができなかった。

 いわばインパクトを与える議論とすることができる程に自身の言葉に力を与えることができなかった、与えるだけの能力がなかったことになる。

 こういったことが重なっての1年間を通した低い政党支持率であり、宮城県議選の結果となって現れたということであろう。

 岡田克也が宮城県議選の結果を受けて「民主党は風を受けきれていないことは事実だ。そこはしっかり踏まえて」と言っていることは、当然、民主党議員のみならず、肝心の代表たる自身の言葉の力のなさをも踏まえていなければならないことになる。

 踏まえるとしたなら、民主党の桜井充元政調会長(参院宮城選挙区)が10月29日付のメールマガジンで2017年9月末まである岡田代表の任期に関して、「安倍政権と戦う真の野党をつくるために早期に野党再編を行い、併せて代表選挙を行うべきである」と、野党再編と代表戦前倒しを主張していたと「時事ドットコム」記事が伝えていたが、その主張も無理なからぬこととなる。

 大体が岡田克也の言葉は国会の質問の言葉にしてもし記者会見の言葉にしても面白味がない。代表が面白味がないから、質問に立つ民主党議員の言葉にしても面白味がないのかどうか分からないが、先ずは代表の言葉を面白みのあるものにしなければならないはずだ。

 言葉は勿論政策と相互関連し合う。政策に関して見るべき言葉を創造できれば、政策自体にしても見るべき内容を抱えることになる。見るべき政策を創造できれば、見るべき言葉は自ずと内包していることになって、言葉にしても政策にしても見るべきインパクトを備えることになる。

 多くの国民が安倍晋三の新安保法制に反対し、集団的自衛権憲法解釈行使容認を憲法違反だと見ていて、安倍晋三が景気対策のアベノミクスを鳴り物入りで大々的に掲げたものの、それが実現させた好景気の恩恵は所得上層部の所得をより飛躍させ、所得中・下層部の生活を円安物価高でより苦しくさせる格差拡大を招いている状況にある。

 こういった状況を考えた場合、日本の安全保障に関しては集団的自衛権の行使容認に向かいたいなら、憲法改正を手段とすること、国民の生活に関しては富裕層に対する税負担の拡大、消費税の軽減税率の幅広い導入、最低賃金1000円等を政策手段とした所得中・下層部の可処分所得の拡大を通した見るべき格差是正策を創造することが代表以下の言葉に力を与える方法となるはずだ。

 だが、安保政策にしても格差是正策にしても、今以て民主党の政策がはっきりとした形で見えてこない。

 現在の1強多弱のままではジリ貧状態に陥るだけだからだろう、来年の参院選挙には他野党との選挙協力を考えているが、松野維新が野党再編を視野に入れているのに対して岡田克也は野党再編に不熱心で、与党に対してどういった野党の形を取るのか、国民には今以てはっきりとした形を見せることができないでいる。
 
 これでは言葉に力を見い出すこともできないし、国民に対して見るべき言葉の力を示すこともできない。

 野党との連携にしても、あるいは野党再編にしても、その内容次第で以後の言葉に力を得るか、得ることができないかに影響していく。

 共産党が野党が協力し合った「国民連合政府」の樹立を提案している。だが、岡田克也にしても民主党にしても共産党の政策に対するアレルギーが強く、選挙協力はできるが、政府を組むことができないと反対して、共産党との選挙協力も進んでいない。

 例え共産党と政権を組んだとしても、世論の欲している政策を睨んで民主党が現実的としている政策に共産党が現実的としている政策を如何に引きずり込むか、言葉の力にかかっているはずだ。

 言葉は世論によっても力を得て、見るべき言葉の力へと高めることができる。

 どうも岡田克也には政権獲得に向けた貪欲さを感じ取ることができない。その貪欲のなさが言葉の力にも影響を与えているのだろう。

 ドラスティックな手を打って、今までにない言葉の力を獲得しない限り、現在の政党支持率の低迷をのちのちまで引き継いでいくことになるに違いない。

 こういった状況を打破できる一つの手が桜井充元政調会長が提案した代表選の前倒しであろう。

 野党再編か、単なる選挙協力か、共産党提案の「国民連合政府」なのか、いずれの形で進むのか、このことのみを争点として代表選を行い、結果を総意として、総意としての見るべき言葉を創造していくべきだろう。

  そうすることができたなら、少しはましな状態に持っていくことができるかもしれない。

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