党首討論:安倍晋三の「有効求人倍率全国1」に問題点はないのか、蓮舫の「地方に仕事がない」は事実なのか

2016-12-24 10:38:56 | Weblog

 2016年12月7日付 「産経ニュース」が12月7日の安倍晋三と蓮舫の党首討論を取り上げて、〈厚顔無恥とは、こういうことを言うのだろう。民進党の蓮舫代表は7日、初の党首討論に臨み、安倍晋三首相への批判を繰り返したが、議論の前提となる質問は間違いだらけだった。

 蓮舫氏は「有効求人倍率は改善されたかもしれないが、東京に一極集中しているからだ。地方に仕事がない」と決めつけた。だが、安倍政権で有効求人倍率は初めて全都道府県で1以上を達成した。「地方に仕事がない」とは言えない。〉と批判、蓮舫は間違いだらけの質問ばかりすると断じた。   

 有効求人倍率が2016年6月に1963年1月に統計を取り始めてから初めて全ての都道府県で1を超えたとマスコミが報じていた。

 このことが果たして仕事があることを示しているのか示していないのかということなのだろう。

 先ず党首討論でのこの個所の安倍晋三と蓮舫の遣り取りを見てみる。

 蓮舫は、「いつ景気がよくなるのか、アベノミクス4年目で税収が2兆円下振れすることになった」と、アベノミクスは失敗したという文脈の追及を行った。

 対して安倍晋三は例の如くに100万人の雇用を作り、税収は21兆円増えた、有効求人倍率は全ての都道府県で1倍を超えた、企業は過去最高の収益を挙げている、現役世代生活保護世帯は9万世帯も減っている等々の統計を持ち出してアベノミクスは失敗していないという文脈で反論した。

 ここで産経ニュースが批判している蓮舫の発言が飛び出す。

 蓮舫「総理よく分かりました。総理は良いときは自分の功績、悪い時は人のせいだということで。4年前に敏感になるのは分かりますが、そろそろ今に、今に、敏感になって下さい。総理は4年前に敏感で今に鈍感すぎます。確かに雇用は広がって有効求人倍率は改善されたかもしれませんが、それは東京に一極集中で出てきているからじゃないですか。地方に仕事がないんじゃないですか」

 そして、「今広がっている雇用は非正規雇用であり、不安定雇用が広がっているに過ぎない」と断じてから、過剰な残業時間を強制されて過労自殺した24歳の東大卒高橋まつりさんという名前を覚えているか安倍晋三に問い質した。

 安倍晋三「先ず色々ご指摘されましたから、これは討論ですからそれに対しても反論はさせて頂きます。いわば有効求人倍率がですね、各県で回復したのは東京一極集中が進んだせいではありません。例えばそれだったらですね、沖縄の有効求人倍率、上がるはずないじゃないですか。

 人口が増えているんですから。人口が減少すればですね、消費者が減るということです。生産者が減るということです。いわば、役所以外はすべてこれは商売ができなくなるということにつながっていくんです。人口が減少すれば、有効求人倍率が良くなる、これ間違ってます。この考え方でですね、経済政策を進めて行けば、これ間違えますよ。各県で有効求人倍率が1倍になったことを喜ばないということにつながっていくわけでありますから、驚くべき私は議論だな、こう思った訳であります」

 この後、蓮舫が聞いた高橋まつりさんについて知っていることを答えている。

 これらの答弁に対する蓮舫の発言。

 蓮舫「中学から母子家庭で、お母さんを楽にさせたい、勉強して東大に行きました。大学を出て、大手広告代理店電通に入社をした。日本のトップの企業に入って、社会に貢献したい。未来ある若者でした。

 去年のクリスマスに自殺をしました。直前にお母さんにメール。心配になったお母さんが電話をして、死んじゃだめと説得をした。その直後の出来事でした。今年の秋、過労死認定されました。過労死認定の長時間基準は、最低基準は80時間超です。高橋さんは140時間を超えていました。1週間で10時間しか寝てない」・・・・・・・

 要するに蓮舫は長時間労働の是正を訴えるために高橋まつりさんを持ち出した。

 確かに蓮舫は頭の回転が早い。だが、臨機応変さがなく、空回りすることが多い。

 安倍晋三が「人口が増えているんですから」と言い、「人口が減少すれば、有効求人倍率が良くなる、これ間違ってます」と言っていることになぜ食らいつかなかったのだろうか。

 日本の人口は減少している。2016年2月26日、2015年国勢調査の人口速報値が公表され、2015年10月1日時点で日本の総人口(外国人を含む)は1億2711万47人、1920年の調査開始以来のことだが、5年前と比較して94万7305人(0.7%)減少している。

 12月17日党首討論5日後の2016年12月22日付の「NHK NEWS WEB」記事だが、今年一年間の子どもの推計出生数は約98万1000人、初めて100万人を下回るという厚労相の推計を伝えている。

 但し2015年の出生数は5年ぶりの増加で100万5677人だったそうだが、2016年推計死亡者数は129万6000人、2016年の推計出生数約98万1000人を差し引くと、31万5000人の人口減少となる。

 今後出生数が横這い、あるいは減少し、死者数が出生者数を上回る人数で増加していくと、人口は着実に減少しいく。

 当然、この人口減少は若者人口の推移に影響を与える。

 「第1節 若者を取り巻く社会経済状況の変化」厚労省)のサイトから、若者の人口推移を見てみる。 

 〈若者の数は、1970年に約3,600万人、2010年に約3,200万人だったものが、2060年にはその半分以下の約1,500万人になると推計されている。また、全人口に占める若者人口の割合を見ると、1970年の35.0%(約3人に1人)から2010年には25.1%(約4人に1人)へと減少しており、2060年には更に17.4%(約6人に1人)にまで減少することが見込まれている。〉――

 安倍晋三が「人口が増えているんですから」と言っていることはアベノミクスの失敗を隠す強弁に過ぎない。
 
 2016年12月17日の党首討論5日前の2016年12月12日付「asahi.com」記事が、安倍政権が2014年末に打ち出した東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県)一極集中策がピンチに陥っていることを伝えている。   

 安倍政権は「2020年までに人口の転出入を均衡させる」という目標を打ち立てた。具体的には地方に10万人分の雇用をつくり、地方から東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県)への転入者を6万人減らし、東京圏から地方への転出者を4万人増やすという青写真である。

 但し2015年の東京圏への転入は48万7千人。東京圏から地方への転出は36万7千人。12万人も転入が上回っている。

 記事は、〈転入超過は20年連続で、2012年以降、超過幅の拡大が続く。〉と書いている。

 では、政府統計から、「2015年年齢5歳階級別転入超過数」から、東京都のみの転入超過数を見てみる。

 15歳~19歳 1万5815人 
 20歳~24歳 4万9785人   
 25歳~29歳 1万9949人  
 30歳~34歳 2万0826人
 35歳~39歳     312人
 40歳~44歳 1万0398人
 45歳~49歳 1万0265人

 若者から働き盛りまで、転入超過数(=転入者-転出者)が合計で11万1535人となっている。この数字はちょっとした市の人口に相当する。
 
 日本の人口の全体数が減少し、その中でも労働力人口の重要な一翼を担う若者人口が減少し、若者から働き盛りの年齢層の東京への一極集中が止まらない。

 当然、若者人口の減少と若者から働き盛りの東京一極集中は地方程、その影響を受けることになる。

 その影響は求職数の減少となって現れる。

 言わずもがななことだが、有効求人倍率は有効求人数÷有効求職者数で計算される。有効求職者数が減少する程、有効求人倍率は上がる。有効求人倍率1は安倍晋三が意味させている1とは限らないことになる。

 当然、安倍晋三が言っている「有効求人倍率がですね、各県で回復したのは東京一極集中が進んだせいではありません」を全面的に正しいとすることはできず、その影響も受けている1と見なければならない。

 また「人口が減少すれば、有効求人倍率が良くなる、これ間違ってます」と言っているが、景気回復期にある以上、間違っているのは安倍晋三自身と言うことになる。いい加減なことを口にしてアベノミクスを擁護しているに過ぎない。

 東京一極集中は給与格差の影響でもあり、給与格差に拍車をかける。「都心vs地方の最大格差は2割!地域別年収差を徹底比較」Tech総研)なるサイトに次の記述が載っている。    

 〈平均年収を地域別にみると、トップは関東の523万円。以下、関東を100とした場合のパーセンテージで順位を並べると、東海(96%)、関西(93%)、中国・四国(84%)、北信越(80%)、北海道・東北(79%)、九州(78%)と続く(パーセンテージが高いほどトップからの格差は小さい)。最も高い関東と最も低い九州との格差は113万円で、九州の平均年収はざっくり関東の2割弱ということがいえる。〉――

 この東京対各地方の給与格差の構造は各地方対各地方内各地域(各地方の都市圏を離れた小都市)の関係にも同じ姿を取って現れていると見なければならない。地方に行く程、若者が自らが生まれた土地を離れて、その空洞化=過疎化が進んでいるのはそのためであろう。

 と言うことは、安倍晋三が言っている有効求人倍率全国1以上は出生数の減少を受けた地方の若者人口そのものの減少や給与格差等の影響からの若者の地域外流出によって母数の有効求職者数を小さくした1ということで、母数を小さくしているそれぞれの原因が不治の難病状態の問題点として残っていることになる。

 また、蓮舫が「有効求人倍率は改善されたかもしれないが、東京に一極集中しているからだ。地方に仕事がない」と言っている発言にしても必ずしも正しくない。「東京一極集中が有効求職者数を減らす結果となっていることから、有効求人倍率を限りなく1かそれ以上に近づけている」と言うべきだったろう。

 上記「asahi.com」記事が伝えているように安倍政権が2014年末に打ち出した「2020年までに人口の転出入を均衡させる」とする政策は2年経過後の現在に至っても東京一極集中に何もストップを掛けることができないばかりが、逆に転入超過が続いている。

 このことが地方の有効求職者数に影響を与えていないはずはないのだが、にも関わらず、単に統計の数字だけを見て、「有効求人倍率は全ての都道府県で1倍を超えた」と単純にアベノミクスを誇ることができる。

 全体は個々の総合であるが、全体の結果が良くても、個々の全ての結果が良いとは限らない。国は栄えても、すべての国民が栄えるとは限らないのと同じである。

 安倍晋三にはこの視点を持ち合わせていないようだ。全体さえ良ければいいのだろう。

コメント (1)
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