麻生太郎5日参院答弁「捜査当局から口裏合わせと取られかねないから」は当局が国の不正を前提としている証明

2018-03-06 11:40:42 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 昨日(2018年3月5日)のブログで朝日新聞が取り上げた対森友国有地格安売却に関わる財務省作成の決裁文書が書き換えられていたとする疑惑報道に関して3月2日の参院予算委で野党が追及、対して麻生太郎と財務省理財局長太田充が国に対する告発を受理した大阪地検の捜査に影響を与える恐れから答弁は控えるで押し通して逃げた姿勢について国が潔白・無実であるなら、捜査に影響することはないから、答弁はできるといったことを書いた。

 いわば、〈捜査への影響を考えるのは自身が不利な状況に立たされる影響があるからであって、潔白・無実ではないことの証明としかならない。〉と。

 ところが、2018年3月5日付の「NHK NEWS WEB」記事が3月5日(2018年)の参院予算委で麻生太郎が民進党足立信也への答弁で捜査当局から調査は控える方がいいと言われたとの趣旨の発言をしたこと伝えていた。

 と言うことは、麻生太郎と太田充が「捜査に影響する」と言っていたことが正しかったことになり、逆にブログに書いたことが間違っていたことになる。関係箇所の質疑を見ることにしたが、上記記事が伝えている麻生太郎の発言を先ず記載して見える。

 民進党の足立政務調査会長が調査の状況を3月5日中に委員会に報告するよう求めた。

 麻生太郎「あす、調査の方針や留意点などの調査の状況について報告させる。

 報道が事実だとすれば、由々しき事態だと認識しているが、今は捜査の途中だ。『個別に調査を』とよく言われるが、捜査当局からは『口裏合わせをするような話に取られかねないことから、控えるように』と言われている。捜査が終わらないと、個別な調査がなかなかしにくいというのは事実だ」

 「捜査当局からは『口裏合わせをするような話に取られかねないことから、控えるように』と言われている」――

 要するにこのような警告、あるいは注意は調査の過程で改竄の痕跡を隠すためにあれこれ話し合ったと勘繰られかねないから、調査は控える方がいいと言われたとの意味となる。

 だが、そこに「口裏合わせ」を予想すること自体、捜査当局は対森友国有地格安売却が不正を背景として成り立たせていると解釈している疑いが生じる。売却が何ら不正の関与はなく、潔白・無実と見ていたなら、口裏合わせを心配しなければならない余地は生じない。

 事実、捜査当局がそのように言ったとしたら、これ以上の不正工作はダメですよの警告の形を取っていることになる。

 麻生太郎は捜査当局の言葉を伝えることによって、国有地売却に絡んで捜査当局が抱えることになっている国に対する不正疑惑を暗に伝えたことになる。

 麻生太郎としたら、捜査当局からそのように言われたと、その言葉を単にそっくり繰返してなどいられないことになる。

 麻生太郎が捜査当局から言われもしないのに答弁を逃れる口実として創作した「口裏合わせをするような話に取られかねないことから、控えるように」の文言だとしたら、口実の創作を迫られる心理そのものが決裁文書が改竄前の元の文書と朝日新聞が伝えた改竄した文書の2通が存在する証明となる。

 果たして民進党の足立信也がこの点を突いたかどうかである。

 では実際の質疑をを見てみる。

 足立信也「これ公文書の改竄て、犯罪ですからね。そのことについて財務大臣はどういう調査をやって、どういう責任を持って臨むか、いうことをお答えくださいとしているところでございます」

 麻生太郎「これ仮定の質問なんで、お答えするのは差し控えなければイカンというのは当然なんですが、その上で今ご存知のように私供は捜査に関わる話なんで、捜査の途中ですから、資料を大阪地検で持っております。

 私供としてはそういったことに関しましてはお答えできないということはこの前の答弁で申し上げたとおりだったと思っております」

 答弁不満でしばし中断。

 麻生太郎「あの、質問の意味を間違えたようで恐縮です。あの、私供としては今捜査の途中でありますんで、私供としていわゆる個別に調査をというようなことを言われますけれども、ご存知のように捜査当局の方からは、少なくとも今口裏合わせをするような話に取り(ママ)かねないいうことから、こういったことに関して極めて控えるようにということを言われているのは事実ですから、私供としてはそういったことは捜査が終わってきちんとしたのではないと、私供としては個別な調査はなかなかしにくいというのは事実だと思います」

 足立信也「この調査は極めて大事だということを申し上げて、調査をしていると大臣がおっしゃって。でも、今の答弁は調査しにくい話だと。捜査中であるので、いうことになったわけですよね。

 しかしここはやっぱりですね、あのー、私は大臣、この問題の重要性、公文書改竄、犯罪ですから、間違いなく。30年間の保存もあるわけで。大臣としてこの問題をどの程度大きく捉えて、そして責任を持って調査をし、その結果は分かりませんけれども、分かりませんけれども、大臣としてどういう決意でいるのかと、それを聞かせてくださいと。

 大臣の責任はどこにあるのですか、ということを聞いているわけです」

 麻生太郎「ここで答弁したか、財金(財政金融委員会)で答弁したか、ちょっと記憶が確かでありませんけども、これは仮定の質問で、これが事実であっとしたら、由々しき事態だと、私もそういうふうに理解をしております」

 足立信也「調査のことを、その辺りの責任のことを一緒にして仰られるので、明らかに麻生大臣は『私供としての調査をしたい』というふうに答弁されていらっしゃるわけですから、調査に臨む。これは重大事案ということで調査に臨む決意を聞かせてくださいねと申し上げているわけですね。

 それはお認めになる?(麻生が自席から『それは認める』と声を掛けたのか)。

 できれば明日の衆議院財務金融委員会で報告するんであれば、今日はこの参議院でテレビが入って、予算委員会やっているわけですから、今日中にその結果の報告、できれば昼までに出して頂きたい。

 このことを申し上げておきます」

 委員長「理事会で協議を致します」

 以上でこの件に関しては一件落着。

 足立信也は 「捜査当局からは『口裏合わせをするような話に取られかねないことから、控えるように』と言われている」とした麻生太郎の発言から、追及すべき点は何ら見い出さなかったようだ。

 麻生太郎は朝日新聞の決裁文書の書き換え・改竄の報道に基づいた国会での「事実かどうか」の追及は「仮定の質問」だと2度口にしている。その一方で、「これが事実であっとしたら、由々しき事態だ」と発言している。

 もし事実なら、かなり罪の重い公文書偽造の犯罪に相当するだけではなく、財務省のガバナンスにも関わってくる重大事態の渦中に立たされることになる。

 逆に事実でないなら、それを放置した場合、省庁の名誉に関わる事実でない情報の一人歩きを野放しにすることになる。

 と言うことは、事実、事実でないに関係なく、前者・後者いずれであっても、「由々しき事態」と言うことになり、財務省全体の問題として事実なのか、事実ではないのかを明らかにする責任が生じる。当然、「仮定の質問」で済ますことはできない。

 例え「資料を大阪地検で持って」いたとしても、各自の記憶を確認する方法で改竄を行ったのか行わなかったのかの聞き取りはできる。

 そこで改竄はなかったことにする口裏合わせが行われて、改竄はなかった、朝日の報道は捏造だと発表されたとしても、地検という捜査機関までが口裏合わせを見逃すようなら、捜査よりも財務省内の偽造工作が一枚上手となって、調査は口裏合わせをすると取られかねないから、控えるようにとの捜査当局の警告、もしくは注意はしてもしなくても同じだった、あるいは最初から実効性を持っていなかったことになる。

 要するに口裏合わせを心配したり、問題としたりするより、朝日報道の改竄が事実か否かを最重要の問題としなければならないとうことであり、当然、国会の要求に応じて財務省は事実かどうかの調査を最優先事項としなければならないということになる。

 そこで例え口裏合わせが行われたとしてもである。

 捜査の途中であるからとの理由で、あるいは「捜査にどのような影響を与えるか予見し難い」からとの理由で文書が2通存在するのか存在しないのか調査しなくてもいい理由、あるいは国会で答弁しなくてもいい理由とはならない。

 繰返しになるが、公文書偽造の犯罪に相当しかねないこと、財務省のガバナンスにも関わりかねないこと、真偽が定かでないままの情報を真偽が定かでないままに一人歩きを許してしまいかねないこと、これらは決して放置していい問題ではない。

 口裏合わせをして逃げるようなら、人間としての自らの程度を日々強がりで押し通すことになるだろう。

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