民進党代表大塚耕平の3月1日参院予算委生産性論議に見る看過できない外国人差別&蔑視

2018-03-08 12:26:40 | 政治
 安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

文飾は当方。



 参院予算委員会民進党大塚耕平 2018年3月1日

 大塚耕平「日本人の、あるいは日本の生産性が相対的に低いということを繰返し述べられているんですが、それはこれまでの認識を撤回するという理解でよろしいでしょうか」

 茂木敏充「日本の生産水準、伸びが低いと思っております。その理由としてですね、多くの専門家、さらにシンクタンクの分析がありますが、一つはTFP(ネット解説:全要素生産性。成長会計の一概念で産出量と資本・労働・技術の 3 要素の投入量の関係を示す指標。長期的には技術進歩を反映する)、そして労働消費率(資本労働比率=労働装備率か?――)が伸び悩んでいるため、という指摘が恐らく多いと思っておりまして、日本人のTFPの上昇率が伸び悩んでいる原因としては、日本企業はオープニングイノベーションなどではなく、自社内の技術開発に拘ることが多いことなどから、研究開発によって蓄積した技術であったり、アイデア、これが幅広く効率的に活用できていないこと。

 更にはですね、ICT(情報通信技術)等の技術がですね、中小企業で十分に進んでいないこと。こういったことが指摘されています。一般の日本の資本装備率(ネット解説:労働量に対する資本量の比率。正しくは労働の資本装備率)が伸び悩んでいる原因としてはですね、日本の設備投資、力強さを欠いている。

 国内ではなく、海外の方に設備投資が向かっている。これが大きな原因だと思っておりまして、さらにまた状況を改善して過去最高のですね、企業収益をさらなる賃上げであったりとか、設備投資に繋げるために3%の賃上げや(設備)投資に積極的に繋げる企業にはですね、法人税の実質的負担を25%に引き下げる。

 さらに画期的な技術ににより生産性向上に挑戦する企業には思い切って20%まで引き下げると言うことをやっておりまして、ご案内のとおりですね、労働生産性の問題、それからTFPの問題、そして資本装備率の問題、それらによって全体の生産性が決まってきますので、そこん中で捉えるべきだと思います」

 大塚耕平「茂木さんが答弁していただいたんで、まさしくそういうところをいまから総理と認識を共有していきたいんですが、これはもう経済学部の大学生であれば、誰もが知っている計算式で、GDPを労働投入量を割っているわけであります」

 パネルを出す。


               国内総生産(GDP)
 労働生産性=――――――――――――――――――――――――――
           労働投入量(就業者数-実労働者数)

 大塚耕平「しかし裁量労働制のデータが不十分であった、不適正であったと同様に労働生産性をどう捉えるかということも、実はこの労働法制の議論の大前提として多くの問題があるということをこれから認識させて頂きたいと思います。

 GDP統計も最近粉飾されているとか揶揄されていますが、分子の方は取り敢えず話題にしません。

 先ず就労者数についてお伺いしたいんですけども、就業者数は労働力調査に於いてどのように把握しているのかを総務大臣にお伺いします」

 野田聖子「労働力調査は我が国に於ける就業・不就業実態を明らかにするため、全国から選択された約4万世帯、15歳以上の世帯の約10万人を対象に毎月調査を実施ています・・・・・」

 ――(中略)――

 大塚耕平「日本人の就業者比率は人口に比べてちょっと高いというのは従来から先進国の間で七不思議の一つなんです。なぜ日本だけ高いと思いますか」

 野田聖子「なぜかということは分かりませんが、日本の就業者数とは1週間中に収入を伴う仕事を1時間以上したか、または仕事を持っていながら、一時的に休んでいた人を指します。また外国人かどうかは区分しておりません

 ――(中略)――

 大塚耕平「(就業者数にカウントされる項目を自分で挙げる)『主に仕事』、『就業の傍らに仕事』、『家事などの傍らに仕事』、『仕事を休んでいた』、この4つが就業者数にカウントされるんです。

 これ他国も同じですか」

 野田聖子「通告がなかったので、確認しておりません」

 大塚耕平「高度プロフェショナル制度の議論に入る前に、これ、確認をして、各国比率を必ずやってください」

 総務省統計局のページに次のような記述がある。文飾は当方。

 労働力調査に関するQ&A(回答)(総務省統計局)  

(就業状態の定義)

F-1 就業者,完全失業者とは,どのような状態にある人のことですか?

 就業者,完全失業者の定義は,次のとおりです。この定義は,他の主要先進国と同様,客観的に就業・失業の実態を把握するため,ILO(国際労働機関)(別ウィンドウで開きます。)の定めた国際基準に準拠したものです。

 就業者,完全失業者の定義 15歳以上人口のうち月末1週間に少しでも仕事をした者を就業者、仕事についておらず、仕事があればすぐつくことができる者で、仕事を探す活動をしていた者を完全失業者とする。就業者と完全失業者を合わせたものを労働力人口、それ以外の者を非労働力人口とする。完全失業率とは労働力人口に占める完全失業者の割合のこと。

 大塚耕平は日本の労働生産性は統計に表れているように各国比較で低いと言うことはなく、高いと見ている立場から、就業者数に余分な要素が入っていると見て、上のような質問をし、実際は日本の労働生産性は高いという答を導き出そうとしたのだろうが、総務省統計局は「国際基準に準拠」としている。

 大塚耕平はこれぐらいのことを自分で調べて、質問を組み立てるべきだったろう。

 大塚耕平「もう一つお伺いしますが、この就業者数に外国人労働者は含めていますか」

 野田聖子が先程の答弁で、「外国人かどうかは区分しておりません」と発言している。

 野田聖子「先程申し上げた通り、区分しておりません」

 (答弁遣り直し)

 野田聖子「外国人であるかどうかは設けておりません」

 (答弁遣り直し)

 野田聖子「含まれております」

 大塚耕平フランスなどでは含まれていないという情報もあるのですが、これも他国、少なくともG7の間では統一されているかどうかはどのようにご報告を受けておりますか」

 茂木敏充「いずれにしても、議論は労働生産性、こういった議論で、ここではですね、国際比較が必要になってくる。そうしますとですね、OECDのデータベースを使って、各国の比較をするということになってくると思っておりまして、その場合は就業者数1人当りということで、OECDの事務局が統一の基準を持ってですね、各国のデータを使って推定するという形になると思います」

 大塚耕平「茂木さん、経産大臣のときにも原発処理のときに巧みに色んな答弁をされるんですが、その場を取り敢えず切り抜けてくださるのは有り難いことですが、不確かな答弁を敢えてして頂く必要はありませんので。

 総理、これ、実態早くしましょうよ。労働生産性は何だか知らないが、低いというような根拠の低い前提が蔓延しているんですよ。

 日本の労働生産性が低いというのは普通の方々の働き方を(みると)他国の方々と比較して必ずしも低いとは私には思えません。

 厚労大臣にお伺いしますが、そうなると厚労省の外国人雇用状況に於いて外国人労働者は何人というふうに把握されていますか」

 加藤勝信「日本国内で就労する外国人労働者数は外国人雇用状況届出状況によりますと、平成29年10月末時点に於いて約128万人です」

 大塚耕平「今、そんな少ないんだと後ろからお声があったんですが、この外国人雇用状況の調査では、大臣が仰った数字ですが、さっきの労働力調査では訪問していった家にその雇用状況に登録していない124万人以外の外国人がいらっしゃれば、就業者数にカウントされているんですよ。

 それでいいんですね、総務大臣」

 野田聖子「その通りでございます」

 大塚耕平「そうなると、就業者数は実態や、外国人雇用状況の把握している数字よりも多い場合には日本人の労働生産性、あるいは日本の労働生産性は上がりますか、下がりますか」

 加藤勝信「今仰るように分子がGDPですから、これは労働者数掛ける1人当りの労働時間数で、1時間当りの労働生産性ということであれば、分子が下がらずに分母が大きくなればですね、労働生産性は小さくなる、こういう関係になると思います」

 大塚耕平「あのー、そうなんですよ。先ず日本人の労働生産性が低いが如き都市伝説が蔓延している、このデータについてやっぱり我々は今一度認識を共有する必要があるのです」

 大塚耕平は加藤勝信の「分子が下がらずに分母が大きくなればですね、労働生産性は小さくなる」の発言を引き継いで、実態としては高いと思っている日本や日本人1人当りの労働生産性を低く見せている原因が、あるいは「日本人の労働生産性が低いが如き都市伝説が蔓延している」原因が外国人雇用状況が把握していない外国人労働者が就業者数にカウントされていることにあるかのように主張しているが、把握していない外国人労働者がどれくらいいるというのだろうか。

 例えその数がかなり多かったとしても、「分子の方は取り敢えず話題にしません」と就業者数だけを問題にしてGDPを問題にしないのは条件設定に無理があるのだか、そのことに気づかないで議論を続けるトンチキを犯している。

 問題はこのようなトンチキではない。

 極く当然のことを解説することになるが、GDPとは生産に携わった就業者が国内で一定期間内に生産したモノやサービスの付加価値の合計額であって、円やドルの金額で示される。そしてGDPに関わる生産性は生産に携わった就業者1人当りか就業者1時間当りの平均の付加価値で表され、計算上は誰もが平均の付加価値=労働生産性を生み出している存在と看做される。そこに外国人労働者が何人加わっていようがである。

 あるいは就業者数に新たに外国人労働者がカウントされることになったとしても、就業者が日本人のみである場合よりも平均の付加価値を生み出す能力=労働生産性が少しぐらい低かったいたとしても、モノやサービスの付加価値を生み出す存在と看做されている以上、新たな外国人労働者数に応じて当然、分子のGDP額は増える計算になるはずだが、そのことを無視して、分母の就業者数だけが増えた計算にして、恰も日本の、あるいは日本人の労働生産性が低く見える根拠としている。

 いわば外国人労働者をモノやサービスの付加価値を生み出す能力のない存在と看做した議論を国会の場で展開した。少なくとも大塚耕平の外国人労働者が就業者数に「フランスなどでは含まれていないという情報もあるのですが」の発言は就業者数に外国人労働者がカウントされていることが日本の労働生産性が低く見られていることの根拠としている。

 フランスにしても実際には多くの外国人労働者が労働しているはずで、それを含まずに計算した場合、労働生産性は高めに計算できたとしても、外国人労働者が産出する付加価値が除外されることになって、国の主たる経済力を示す統計上のGDPそのものの規模を小さく見せることになり、国の経済力に対する国際的な評価を下げることになる。

 それを防ぐためには労働生産性を計算するときには外国人労働者を除外し、GDPは外国人労働者を含めて計算するという芸当を見せなければならない。バレもせずに果たしてそんなことができるだろうか。

 いずれにしても大塚耕平は日本の外国人労働者をモノやサービスの付加価値を生み出す能力のない存在と位置づけて議論していることは、それが気づかないままにしていることであっても、外国人労働者を差別し、蔑視する潜在意識がなければできないことであって、就業者数に加えるべき外国人労働者数の不確かな把握を根拠に日本の、あるいは日本人の生産性を低いとしている統計を否定、実際は高いんだとしたい願望に取り憑かれているようだ。

 これが公党の代表を務めている。

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