安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定 「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を 直接示すような記述も見当たらなかった」とする “政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき |
前財務省理財局長、前国税庁長官の佐川宣寿の証人喚問が3月27日(2018年)、衆参で行われることが決まった。証人喚問が決まったからと言って、全て正直に話すとは限らないことはわざわざ断るまでもない。国有財産所管の理財局長であった佐川宣寿の森友学園国有地売却に関わる決裁文書改竄への関与についての財務省の調査に対して「具体的にどのように関与したかは、刑事訴追の可能性もある状況なので答えを差し控えたい」と回答したとマスコミは伝えている。
折角証人喚問したとしても、「刑事訴追の可能性」を楯に答弁拒否する恐れの方が確率は高いかも知れない。この恐れを前にして立憲民主党の才女辻元清美が発言している。
「NHK NEWS WEB」(2018年3月22日 19時37分)
まず記事が取り上げている他の二者の発言を取り上げてみる。
民進党代表大塚耕平「財務省の理財局長の一存で、膨大な資料の改竄ができるとは到底、信じ難い。当然、財務省の事務次官や官房長が知っていなければならないし、総理大臣や官房長官の秘書官も取りまとめる者に相談していたり、その者から指示があったと考えざるを得ない。安倍総理大臣の側近とも言われる政務担当の今井総理大臣秘書官など、重要な役割を果たしたのではないかと思われる方々が何人かいるので、佐川氏に質すべきだ」
いくら質そうとしたとして、「刑事訴追の可能性」を楯に答弁拒否されたなら、質しただけで終わる可能性は否定できない。
日本維新の会幹事長馬場伸幸「文書の改竄は事と次第によっては犯罪だが、問題の本質は、なぜ国有地の売却で8億円のディスカウントがあったのかだ。この真相を明らかにしないと国民の納得はえられない」
当たり前のことを言っているが、「8億円ディスカウントの真相」は証人喚問で佐川宣寿に如何に喋らせるか、その一点にかかっている。その一点を突破できなければ、疑惑を深めることはできたとしても、真相には到達できない。
辻元清美「佐川氏が刑事訴追の恐れがあるからと事実を否定し続ければ、自己保身に過ぎない。総理大臣官邸の方を向いて、ウソの上塗りをするような証言をすれば、財務省の権威は地に落ちる。財務省の自浄能力を示すためにも真実を証言して貰いたい」
この程度のことしか発言できない人間が立憲民主党の国会対策委員長だと言うから、驚きである。「自己保身」だ、「財務省の権威は地に落ちる」だ、「財務省の自浄能力」だ、「真実を証言して貰いたい」だなどと、たわいもない青臭い期待を掛けている。
「刑事訴追の可能性」を楯にした答弁拒否は自己保身だけとは限らない。自己保身以上に背後にいる政治家の保身を謀る目的を隠した防波堤という意味での自己保身ということもある。
保身の一蓮托生から出ている「刑事訴追の可能性」を楯にした答弁拒否であるなら、「財務省の権威」どうのこうは問題外であろうし、「財務省の自浄能力」よりも保身の方を優先順位を上に置かなければならないだろうし、真実の証言など望むべくもなくなる。
保身を請け負わなければならない政治家が官邸の住人であったなら、「総理大臣官邸の方を向いて、ウソの上塗りをするような証言」は痛くも痒くもなく当たり前にすることができる。
相手を海千山千の元役人だと思った方がいい。勿論、事実を洗いザラぶちまける可能性はゼロとは断定できない。佐川宣寿が洗いザラぶちまける心の備えのもと、証人喚問に立つ覚悟でいたなら、追及側が質問をしなくても、佐川宣寿の方から何でも喋ってくれる。追及側が気づいていない事実までも気づかせ、詳しく話すことになるだろう。
要は「刑事訴追の可能性」を楯にした答弁拒否に対する備えこそが決定的に必要となる。如何に答弁拒否を破るか、そのことに意を用いずに「真実を証言して貰いたい」などと他力本願のたわいもない青臭い期待を掛ける。
佐川宣寿は敵である。野党の、あるいは多くの国民の味方につくのか、敵のままでいるのかは佐川宣寿自身が決める。こちら側が決めることはできないのだから、国会対策委員長であるなら、他力本願のたわいもない青臭い期待を掛けずに敵の答弁拒否に備えた理論武装を構築し、武装した理論で以って敵と戦う覚悟は持つべきだろう。
少なくとも違法行為に手を染めている状況下にある佐川宣寿自身を炙り出すことはできる。その違法行為に政治家が関わっているのかどうか、その疑惑をかなりの確度で提示することはできる。
例え真相には到達できなくても、「刑事訴追の可能性」を楯にした答弁拒否に無策であるよりも良策であるはずだ。
佐川宣寿が答弁拒否する。――
「あなたがしたのか、誰がしたのか、あるいはあなたが言ったのか、誰が言ったのか、した理由、言った理由、このような質問に対して事実を正直に告白した場合、その告白は刑法その他の刑罰法規に規定する犯罪構成要件に該当する可能性があり、刑事訴追の恐れが生じるような違法行為に触れる内容になるということなんですね。
答弁拒否とはそういうことですね。
つまり森友学園に対する国有地売却問題に関わる財務省としての行政行為を正々堂々と青天白日のもとに曝すことができない違法な一連の行動だった。それを答弁拒否であくまでも隠し続けるということですね」
いわば答弁拒否自体が佐川宣寿、あるいはその他の財務省理財局の他の職員が違法行為をしていたことの証明であり、違法行為を隠すために残されている手段が答弁拒否しかなくなっていることを相手に伝え、伝えることで、国民に対してもそのことを知らしめることができる。
「刑事訴追の恐れがある違法な行政行為は、当然、違法である以上、国民の利益を目的にはしていない。何しろ不動産鑑定評価額9億3200万円の国有地を地下のゴミを過大に見積もって、その処理・撤去費用を8億1900万円と法外に算定、差引いて約1億3400万の不当な格安で売却したのだから。
森友学園への格安売却という特大の利益供与が当初の目的ではなかったはずで、財務省の利益を直接的な目的とした違法売却だったのですか。そんなことはないでしょう。
決裁文書の改竄を見ると、官邸からの何らかの力が働いて、行政自身が法律を犯す犯罪に走ったようにも見える。その犯罪が世に知れるようになって、今度は犯罪の痕跡を隠すために虚偽公文書作成罪等々を犯すことになるかも知れない決裁文書の改竄に迫られた。
まあ、改竄当初は誰も改竄に気づくまいと思っていたのでしょうが。大体犯罪というものは犯す当初は誰も気づかないだろうと思って始める。財務省自身の利益のために背任罪に相当するような国有地の違法な格安売却を行ったとは考えられないから、官邸の何らかの力が働いて、止むを得ず犯すことになった違法売却ということですか」
違法売却であることはゴミの量を過大に多く存在するように見せたとする工事関係者の証言を各マスコミが伝えていることによって既に明らかになっている。そして財務省職員には不正が露見した場合の不利益と天秤にかけた場合、格安売却の利益を受ける森友学園とは比較にならない危険を背負うことになるはずだから、財務省の利益から出た違法行為とは到底考えられない。
あとは忖度行為しか残されていない。
再度「刑事訴追の恐れがある」と答弁拒否した場合は最初の「事実を正直に告白した場合、その告白は刑法その他の刑罰法規に規定する犯罪構成要件に該当する可能性があり、訴追の恐れが生じるような違法行為に触れる内容になるということなんですね」と繰返して、答弁拒否自体が違法行為をしていたことの証明であることを改めて印象づける。
「いくら答弁拒否をしたとしても、そのことによって却ってあなた方が犯した違法行為を浮き立たせることになるんですよ」と。
「刑事訴追の恐れがある」と答弁拒否に務めたとしても、何が行われたのかの実態を隠すことに役立ったとしても、答弁拒否自体が森友学園に対する国有地売却が違法行為で成り立たせていたことの証明にしか役立たないことを知らしめることはできる。
果たして違法売却と決裁文書の改竄に官邸が関与していのかである。もっと直接的に安倍晋三が関与していたのかである。一度ブログで取り上げた3月16日(2018年)の参院予算委員会での安倍晋三の答弁を別の角度から眺めてみる。
3月20日(2018年)のブログでは、〈政治家の役人たちに対する不正な関与にしても、役人たちの政治家に対する忖度にしても一般的には暗黙の了解という形を取る。〉と書いて、不正な関与や忖度は決裁文書に具体的に書くはずはないから、削除した文言に不正な関与や忖度に触れていないことが明らかになったからといって、それらを否定することはできないといった趣旨のことを書いた。
安倍晋三「お答え致します。決裁文書の書き換えについてはですね、私は全く指示をしておりません。そもそも理財局内や(近畿)財務局内の決裁文書などですね、私はその存在すら知らず、指示のしようはないわけであります。
また書き換え前の文書でも、私や私の妻が国有地の払い下げや学校の認可に関与した事実はなく、私や私の妻が関わったことにならないことは明らかであります。
私の2月17日の答弁は、私や私の妻が認可にも国有地払い下げにも関係ないというものであります。
書き換え前のですね、貸付にかかる特例承認の決裁文書に土地を見に行ったとか、応援したとか書いてありますが、書き換えがなされたとする(2017年)2月下旬から4月には既に妻が名誉校長であり、講演に行ったこと、あるいは学校建設予定地に行ったことは、いわば既に知られていたことであり、国会でも議論になっていました。
2月17日の一切関係はないという答弁をですね、これは財務省の記述にはないということは明らかであろうと、このように思います。
決裁文書の書き換えが行われた目的・経緯等については財務省に於いて引き続き調査が行われているところでありますが、その上で申し上げれば、書き換え前の文書を見ても、私の妻について書かれた記述は全体の中の極く一部に過ぎず、政治家からの問い合わせや、さらにそれ以外の詳細に記載されていた経緯の部分についてほぼ全てが削除されています。
しかも貸付にかかる特例承認の決裁文書だけではなくて、私の妻が出てこない、これは貸付にかかる決裁文書もあるんですが、この貸付文書の経緯の部分についても同様にほぼ全て削除されていることから、私の妻の記述に関わりなく削除されたと思われることを指摘しておきたいと思います」――
「書き換え前の文書でも、私や私の妻が国有地の払い下げや学校の認可に関与した事実はなく、私や私の妻が関わったことにならないことは明らかであります」といくら言おうと、安倍昭恵に発した対安倍晋三忖度国有地格安売却だとしたら、安倍昭恵の存在自体を決裁文書から削除という方法で隠すだけではなく、その存在に対する忖度から発生した出来事・決裁の全てを違法行為となる故に同じ削除という方法で隠す必要が生じるゆえに他の箇所の削除を以って安倍昭恵の削除と関係ないとは言えない。
当然、「書き換えがなされたとする(2017年)2月下旬から4月には既に妻が名誉校長であり、講演に行ったこと、あるいは学校建設予定地に行ったことは、いわば既に知られていたことであり、国会でも議論になっていた」からといって、安倍昭恵の存在の決裁文書からの削除が国有地売却が忖度行為であることを隠す目的であるなら、「名誉校長であり、講演に行ったこと」、あるいは「学校建設予定地に行ったこと」、「国会でも議論になっていた」こと、いわば安倍昭恵と森友学園の関係が周知の事実として多くの人間に記憶されることになればなる程、なお忖度行為を隠す必要性に迫られることになって、その必要性がそのまま安倍昭恵の存在だけではなく、忖度と関連性のある箇所全てを削除する必要性に繋がるはずだから、安倍昭恵と森友学園の関係に於ける公然性を以ってして削除と切り離すことには無理がある。
当然、忖度と切り離すことはできない。逆に決裁文書の改竄が多方面に亘っていることから、忖度が誘発したそれだけのゴマカシであり、そのようにもゴマカシが多かったことと対応した忖度の大きさ、その広がりを読み取らなければならない。
もし官邸が、あるいは安倍晋三自身が森友学園に対する国有地の違法な格安売却が安倍昭恵に対する忖度から発したことを知ったなら、当然、売却の経緯に触れいている決裁文書の改竄という手を使って忖度を隠す必要に迫られる。
忖度の大きさ、その広がりは「刑事訴追の可能性」を楯にした答弁拒否を意志強固なもとする。逆に忖度が軽度で、当然、決裁文書改竄が少しのことで済んでいたなら、答弁拒否は限られることになる。
答弁拒否の程度からも、その違法性の程度、他に動機が考えられない忖度の程度を推し量ることができる。
「余りにも頑な、徹底した答弁拒否ですね。忖度の程度が強度に働いたがゆえの国有地の違法な格安売却、決裁文書のあれだけの改竄でなければ、これ程の徹底した答弁拒否は考えられなですね。答弁拒否が逆にこういったことを証明していることになるんですよ」
答弁拒否の程度を忖度の程度に結びつけることもできる。答弁拒否にタダ無策である必要はない。