安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定 「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を 直接示すような記述も見当たらなかった」とする “政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき |
朝日新聞が報じた森友学園国有地格安売却決裁文書改竄疑惑を財務省が認めた。但し、「改竄」という表現は使わずに「書き換え」という文言を使っている。一旦決裁した公文書を非公式の利益を目的として秘密裏に手を加えて新たに決裁し直し、非公式の利益を全うすることを改竄と言わずに何と表現できるだろうか。
「書き換え」という表現は改竄が持つ悪用性を払拭させて限りなく罪が軽い雰囲気を漂わせることになる。
マスコミ記事を纏めてみる。
森友問題が国会で取り上げられた2017年2月以降、5件の文書が改竄対象となり、財務省理財局長当時の佐川宣寿が事前の価格交渉は行ったことはないとしていた国会答弁に反して価格交渉を伺わせる記述の削除、さらに森友学園の小学校名誉校長に就いていた安倍昭恵に言及した箇所などが削除されているという。
さらにこの5件の文書改竄に合わせる形で、文書同士の整合性を合わせて齟齬が生じないようにする必要上からだろう、他の9件の決裁文書の改竄が行われたという。
なかなかの巧妙さである。このような巧妙さを以って単なる「書き換え」で片付けることができるだろうか。
安倍昭恵言及箇所の削除については「NHK NEWS WEB」記事によると、2014年4月の森友学園側と近畿財務局の打ち合わせ中、「安倍総理大臣夫人の昭恵氏を現地に案内し、『いい土地ですから前に進めてください』との言葉をいただいた」と元の文書に記載されていた発言が国会に提出した文書からは削除されていたという。
また3月12日に財務省が国会に報告した調査結果によると、〈森友学園の籠池泰典前理事長を「(保守系団体の)日本会議大阪に関与」と紹介し、関連の日本会議国会議員懇談会を「特別顧問として麻生氏、副会長に安倍総理らが就任」と説明した部分も削除された。〉(産経ニュース)としている。
そして改竄の動機。麻生太郎が3月12日に財務省内で記者団の取材に応じて次のことを明らかにした。「ログミー」
麻生太郎「(2014年)2月下旬、いわゆる佐川との答弁の間に、決裁文書との間の齟齬があった。間違いがあった、そうではないかという誤解を招くというようなことで、佐川の答弁に合わせて、書き換えたというのが事実だと思っています」
「佐川の答弁に合わせて」決裁文書の改竄が行われて、別物でありながら、正規の決裁文書として扱われることになった。
以上のことから、色々と推測してみる。
2017年2月の国会で対森友学園国有地格安売却が取り上げられると、その理由と共に安倍昭恵が森友学園の小学校の名誉校長に就任していたことから、野党から格安売却との関連性を追及されることになった。
対して佐川宣寿はこれらの追及を受けて事実と異なる答弁、いわばウソの答弁を行った。その果てに自身のウソの答弁と決裁文書との間に生じた齟齬を抹消させるために答弁の訂正ではなく、決裁文書の方に改竄を行って、答弁と決裁文書に整合性を与えることになった。
ウソの答弁の必要性は国有地格安売却が不正な取引であることによって成り立つ。誰からも後ろ指を差されることのない公平・公正な取引なら、ウソをつく必要はなく、淡々と事実を話せば片付く。事前に価格の交渉をしていながら、「事前の価格の交渉はなかった」との虚偽答弁が公平・公正な取引でないことの最たる有力な証明となり得る。
この一連の虚偽答弁の中に不動産鑑定評価額9億3200万円の国有地が約8億1000万円も値引かれて約1億3000万で売却されることになったカラクリを隠していたということであろう。
このようなカラクリを隠しいるからこそ、事前に価格の交渉をしていながら、「事前の価格の交渉はなかった」との虚偽答弁をせざるを得なくなった。
2016年3月下旬に森友学園側、財務省近畿財務局、国交相大阪航空局が出席して面談した際の国側の人物が発言した音声データ、「3mまで掘っていきますと、土壌改良をやってその下からゴミが出てきたと理解している。その下にあるゴミは国は知らなかった事実なので、そこはきちっとやる必要があるでしょうというストーリーはイメージしているです」 に対して野党側が、価格交渉や地下埋設物の量の嵩上げの口裏合わせではないかと追及、佐川宣寿側は口裏合わせでも何でもないと否定したが、虚偽答弁を繰返して決裁文書を改竄している以上、地下埋設物の量の嵩上げと格安売却の口裏合わせの「ストーリー」づくりそのものだったことになる。
公平・公正な取引でなく、「ストーリ」の結末が国有地格安売却という不明朗な取引を結果とするに至った。結果は原因に起因する。
当然、原因は元の文書から削除した文言から読み取らなければならない。
佐川宣寿は森友学園前理事長籠池泰典と安倍昭恵との関係を配慮した、あるいは忖度した格安売却でも、安倍昭恵の背後に控えている安倍晋三という大きな存在を同じように配慮した、あるいは忖度した格安売却という便宜でもないと否定する国会答弁を続けてきた。
だが、これらの答弁が虚偽答弁・ウソの答弁だったからこそ、佐川宣寿は元の文書に記載されていた「安倍総理大臣夫人の昭恵氏を現地に案内し、『いい土地ですから前に進めてください』との言葉をいただいた」との籠池泰典の発言を削除する必要に迫られた。
さらに同じ理由で籠池泰典が日本会議大阪に関与していること、関連の日本会議国会議員懇談会副会長に安倍晋三が、特別顧問に麻生太郎が就任しているとの説明も削除することになった。
これらの削除から窺うことができる事実は安倍昭恵や安倍晋三の存在に対する配慮、あるいは忖度であり、こういったことを原因とした不当な値引きによる格安売却の結果ということであろう。
多分、最初は佐川宣寿等の役人側が安倍昭恵や安倍晋三の与り知らぬところで勝手に配慮・忖度してやらかした格安売却だったのだろう。だが、役人側が取引の文書は規則に則って廃棄した、文書として残さなかった等々の発言を繰返すことで逐一明確にしておくべき交渉の過程が曖昧な姿を取るに及んで、安倍晋三や麻生太郎、国交相の石井啓一等々は実際はどうなっているのか疑問に思い、問い質さなければならなかったはずだ。
2018年3月2日の朝日新聞の決裁文書改竄疑惑報道から始まって明らかになった佐川宣寿の虚偽答弁・ウソ答弁であるから、安倍晋三以下が問い質さなかったか、問い質したが、説明を受けた内容が自分たちの進退に影響することを恐れて役人側と共々秘密にしていたか、どちらかであろう。
鈍感な余り、例え問い質さなかったとしても、会計検査院が検証した「学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査」の2017年11月の報告は地下埋設物の推計量を根拠不十分とし、当然、値引き額も根拠不十分となるだけではなく、佐川宣寿以下の国会答弁も根拠不十分の疑いが濃くなることから、その時点で国有地売却に関わった佐川宣寿や近畿財務局、大阪航空局に実態を明らかにするように迫らなければならなかったはずだ。
迫って、明らかにすることができれば、不当な値引きかどうかを判定する根拠となる地下埋設物の再調査を土地を掘り起こして行うはずだが、安倍晋三も麻生太郎も学園に対して債権を持つ業者が取り壊しに反対していることを理由に「困難だ」何だと理由をつけて再調査を拒否することで会計検査院の報告そのものを無視した。
このことは明らかに安倍晋三や麻生太郎の側の政治の不作為であって、行政機関を監督する立場に立っていることから考えても、決裁文書の改竄、不当な格安売却の責任を共に負わなければならない。
安倍昭恵にしても、それ相応の責任を追うはずだ。
役人を生贄の羊に祭り上げて、その責任だけで決着づけることは許されない。