森友国有地違法売却:価格決定の主導権を森友学園に可能とさせた大きな力は安倍昭恵一人か、安倍晋三もか

2018-03-22 12:25:49 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 2018年3月20日付マスコミが財務省は14件決裁文書改竄問題で3月19日、新たに1文書削除の判明を公表したと伝えている。「NHK NEWS WEB」記事から見てみる。

 削除箇所は2016年に近畿財務局が国有地の地中から見つかった新たなゴミを早急に撤去するよう学園から求められて行った対応方針を纏めたものだという。

 国有地所有の大阪航空局は近畿財務局に対してゴミ処理の責任を認めつつ、早急な予算措置は困難として撤去費用を差し引いて土地の価格を安くする方法を提案。
 近畿財務局はこの提案を受け入れたものの、通常は民間の業者に頼む撤去費用の見積もりを大阪航空局に依頼、8億円余りの値引き額が算定されたという。

 近畿財務局は大阪航空局への見積もり依頼と同時期に学園側から予算の上限額を聞き出していたという。その記事。「NHK NEWS WEB」(2018年3月17日 19時39分)

 〈売却をめぐる交渉では、財務局が学園側に対して、いくらまでなら支払えるのか予算の上限を尋ね、およそ1億6000万円という金額を聞き出していたことがすでに判明していて、この具体的なやり取りが行われたのが、文書から削られていた3月30日だったことが検察当局の調べなどでわかりました。〉

 この内容から窺うことができる近畿理財局と森友学園の関係は価格決定の主導権は森友側が握っていたということである。国有地を売る側ではなく、買う側が主導権を握るに至っていたそもそもの理由は何なのだろうか。

 いずれにしてもゴミの処理・撤去費用が8億1900万円と見積もられて、この金額が不動産鑑定評価額9億3200万円から差し引かれて約1億3400万となった経緯には価格決定の主導権を森友側が握っていた点、通常は民間の業者に頼む撤去費用の見積もりを大阪航空局に依頼した点にそのカラクリがあるはずだ。

 ところが3月16日、17日(2018年)になって、各マスコミが大阪地検特捜部の任意聴取に対してゴミ撤去費算出に関わった業者が森友学園と財務省近畿財務局からの働きかけがあり、積算は虚偽の写真が根拠になったと説明していることが関係者への取材で分かったなどと伝え始めた。

 「朝日デジタル」(2018年3月17日05時32分)

 〈ごみの量の積算に際し、業者は2016年3月下旬に試掘し、「深さ3・8メートルまでごみが混入」との結果を財務局に提出。その根拠として、掘った穴にメジャーが差し込まれた現場写真が添付された。
 しかし、関係者によると、業者は特捜部に写真は実際には3メートルより浅い地点で撮られたものだったと証言。ごみの量は深さと面積などで算出される。ごみがある場所が深いほどごみの量は多いとみなされ、最終的な値引き額に影響する。業者は過大報告について、学園と国から働きかけられたとも説明しているという。

 財務局は最終的に、2016年6月20日に更地の鑑定価格から8億1900万円を値引き。1億3400万円で売却した。〉――

 「時事ドットコム」(2018/03/16-13:09)によると、〈関係者によると、試掘を行った業者の職員は特捜部の事情聴取に対し、深さ3.8メートルの場所を写したとされる写真について、「もっと浅い場所の写真で、3メートル以上の場所にごみはなかった」などと証言した。過大な値引き額を算出するために、虚偽の資料が作成された疑いがある。〉と伝えている。

 「3メートル以上の場所にごみはなかった」と言っていることの意味は3・8メートルの深度での試掘に対して「3メートル以上の場所にごみ」は存在していなかったものの、つまりゴミは3メートルまでの場所に存在していただけだったが、80センチ深くして「深さ3・8メートルまでごみが混入」と偽ったことを示している。
 
 上出2018年3月17日付「NHK NEWS WEB」記事は通常は民間の業者に頼む撤去費用の見積もりを大阪航空局に依頼したと伝えているが、このことは「産経ニュース」(2018年3月20日)記事の、〈森友学園側が国に提出した試掘結果の報告書に基づいて国土交通省大阪航空局がゴミの撤去費を算定した。〉と伝えていることにも符合する。

 「産経ニュース」には試掘したこの業者に3月19日に取材し、その証言を得ている。

 試掘業者「同じ場所の写真を別の2カ所の写真として学園側に誤って提供するミスがあった」

 森友学園は「誤って提供」を受けた試掘箇所のゴミが埋まっている写真を添付して試掘結果の報告書を国に提出、国はこの報告書に基づいて「杭打ち部分は9・9メートル、それ以外は3・8メートル」(記事説明)を範囲とするゴミ量を推計、ゴミ撤去費を約8億円と積算していたと解説、〈同じ場所の写真が使われている単純ミスを見つけられないまま、値引きを積算したことになる。〉と記述しているが、その一方で試掘深度3・8メートルの写真に関しては、〈業者は「それは正しい写真」とし、「国の値引き額は妥当だった」と主張。〉と伝えている。
 試掘深度3・8メートルの写真については「正しい写真」だとすると、「同じ場所の写真を別の2カ所の写真として学園側に誤って提供」した「写真」とは杭打ち部分の「9・9メートル」を写した写真ということになり、さらにその場所の写真を「誤って提供」したがゆえに杭打ち部分9・9メートルのゴミの量に関してのみ過大に見積もられたということを意味することになる。

 いわば杭打ち部分9・9メートルの深度にゴミは存在していたことになる。

 だとすると、上出「時事ドットコム」が深さ3.8メートルの場所を写したとされる写真について、「もっと浅い場所の写真で、3メートル以上の場所にごみはなかった」とした証言と齟齬を来たす。

 「産経ニュース」が取材した試掘業者の証言が正しいのか、「時事ドットコム」記事が伝えている証言た正しいのか、どちらなのだろうか。

 但し「時事ドットコム」記事が伝えている証言は「会計検査院森友学園国有地売却検証報告」(2017年11月)の、〈杭工事において新たに確認されたとする廃棄物混合土は、(仮称)M学園小学校新築工事地盤調査報告書等によれば、おおむね地下3m以深は沖積層等が分布しているとされていることなどから、既知の地下3m程度までに存在するものであることも考えられる。これを踏まえると、新たに確認されたとする廃棄物混合土がどの程度の深度に埋まっていたかについては、十分な確認を行う必要があったと認められる。〉(文飾当方)と一致する。
 
 このことと併せて、財務省が決裁文書を改竄しなければならなかった法に外れた必要性から見ると、後者の証言が正しいと見る他はないが、前者の証言が怪しいと見る根拠はある。

 「産経ニュース」伝えている試掘業者の証言を再度記載する。

 「同じ場所の写真を別の2カ所の写真として学園側に誤って提供するミスがあった」

 合計3箇所、同じ写真を使い回したことになる。但し試掘や予定外の障害物確認等を含めた工事途中の写真や工事完了写真等は黒板に撮影場所を番号付けしてチョークで書き込む。

 そして検査する側は現場に立ち会わずに写真のみで工事を検証する場合、写真に撮られている番号によって場所の確認と工事の目的と結果を判断する。

 当然、同じ写真を使い回しすることはできない。できることは説明書きを変えた写真を別に撮って、最初に写真を撮った場所を別の場所として使い回すことだけである。これは工事業者がよく使うゴマカシのテクニックとなっている。 

 例え「同じ場所の写真を別の2カ所の写真として学園側に誤って提供するミスがあった」としても、写真が同じである以上、大阪航空局側がその“誤ち”に気づかなければならない。

 気づかずにそれらの写真をゴミの量と撤去・処分費用の算定材料に使ったのは、上出「朝日デジタル」記事が工事業者の証言として森友学園と国から働きかけられて「深さ3・8メートルまでごみが混入」との報告を財務局に提出したが、実際には3メートルより浅い地点で撮られた写真だと伝えているように森友学園と掘削業者と国がグルになって国有地の売却価格を森友学園が支払うことができる金額の範囲に収めるべく企んだからだろう。

 また使い回しの写真の黒板の文字はぼやけていて判読不可能だという。判読された場合、ゴミの量を過大に見せるための陰謀が簡単にバレることの回避手段ということなのだろう。それ以外に理由は見当たらない。

 こうまでも巧妙に陰謀を巡らす。そして陰謀に関わる不都合な経緯を隠す目的で決裁文書の改竄という手を使う。そしてこういったことは森友学園側が価格決定の主導権を握っていた状況下で行われた。

 森友学園側から国に向かって大きな力が働いていたからこそ可能となる数々の陰謀であるはずだ。逆の方向はあり得ない。その大きな力は改竄される前の決裁文書の中に提示されている。それを隠すために改竄した。

 〈「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた」との発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示)。〉が削除され、改竄された。

 〈H27・1・8 産経新聞社のインターネット記事(産経WEST産経オンライン【関西の議論】)に森友学園が小学校運営に乗り出している旨の記事が掲載。

 記事の中で、安部首相夫人が森友学園に訪問した際に、学園の教育方針に感涙した旨が記載される。〉が改竄前の決裁文書から削除されて改竄後の何事もない文書として残り、国会にも提出されることになった。

 大きな力の源が安倍昭恵をその一人と目することができる。首相夫人としての安倍昭恵一人の力だったのか、その背後にいる一国の首相である安倍晋三の影響力も加わっていたのか。

 少なくとも大きな力から安倍昭恵を除くことはできないはずだ。

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