安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定 「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を 直接示すような記述も見当たらなかった」とする “政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき |
2018年3月2日付「朝日デジタル」記事が、森友学園との国有地取引の際の財務省作成決裁文書が契約当時の内容と昨年2月の問題発覚後に国会議員らに開示した内容に違いがあり、複数の関係者からの伝聞で、問題発覚後に書き換えられた疑いがあると報じている。
問題の文書は2015~16年に学園と土地取引した際に財務省近畿財務局の管財部門が局内の決裁を受けるために作ったもの。契約当時の文書と国会議員らに開示した文書は起案日、決裁完了日、番号が同じで共に決裁印が押されているが、契約当時の文書には学園とどのような遣り取りをしてきたのかを時系列で書いた部分や学園の要請にどう対応したかを記述した部分があるが、開示文書ではそれらが項目ごとなくなったり、一部消えたりしているという。
「朝日デジタル」の発信時刻は3月2日の05時20分、同3月2日の参院予算委で自民党の宮本周司や共産党の小池晃がこの問題を取り上げた。他の議員も取り上げたかもしれないが、先ずは小池晃の質問とそれに対する答弁を取り上げてみる。文飾は当方。
小池晃「森友学園の国有地取引の財務省の決裁文書が書き換えられていたという報道が今朝なされました。これは本委員会の開示請求で出された文書であります。極めて重大。 報道によれば、元の文書にあった『特殊的な内容』、『本件の特殊性』、そして『学園の提案に応じて鑑定評価を行い、価格提示を行う』等が削除されていると述べております。 ちょうど1年前、この場所で私はこの問題、質問しました。総理、当時の佐川理財局長は『先方に対して具体的な貸付料など提示したことはない、することはない』、『価格を提示したことはないし、先方からいくらで買いたいと希望があったこともない』と答弁されたわけですよね。 麻生大臣、この元の文書を出して下さい」 麻生太郎「ご指摘がありました今朝の報道につきましては、これはもう、今、現在大阪地検に於いて背任、証拠隠滅、また公文書の毀棄等々について今告発を受けて、捜査を受けている最中、今ご存知のとおりなんで、財務省としてはこの捜査に全面的に協力をしているという段階でありますんで、今のようなご質問に対してお答えするというのは捜査にどのような影響を与えるかということは予見し難いため、差し控えさせて頂きたいと思います」 小池晃「あの、捜査に影響を与えるということは元の文書、あるっていうことですか。だって、ないんだったら、捜査に影響はないでしょう。ないと言って済む話じゃないですか。 捜査に影響があって出せないって言うことはあるっていうことじゃないですか」 麻生太郎「今手元にその資料、一切ありませんので、何ともお答えのしようがないんですが、私供は捜査に影響がないと考えられるんであれば、その段階で必要があるんなら、調べることとさせて頂きます」 小池晃「だからですね、捜査には出しているでしょう。出しているわけでしょ。だったらば、元の文書になるものはない。改竄したことがないということだったら、ないって言えばいいじゃないですか。 何でそうじゃないんですか。言わないって言うことはあるって認めたことになりますよ」 麻生太郎「今私供はその資料はありませんので、お答えのしようがないと申し上げているんです」 小池晃「あの、近畿財務局にないっていうことですか。財務省本省にないっていうことですか」 財務省理財局長太田充「あの、近畿財務局で保存している、把握して保存しているものは国会にご提出をしているものと言うことでございます」 小池晃「それ以外のものはないんだったら、ないと言えばいいじゃないですか。何でないと言えないんですか。ないと言わないということはあると認めたことになりますよ」 太田充「先程大臣からご答弁がありましたとおりでございます。大阪地検に於いて背任のほか証拠隠滅、公文書の毀棄等々で告発を受けて捜査が行われております。財務省としては捜査に全面的に協力をしている段階であって、お答えすることは捜査にどのような影響を与えるかは予見し難いため、答弁は差し控えさせて頂きたいということでございます」 答弁不服でほんの少し中断。再度答弁を求められる。 太田充「ご質問はあるのかないのかというご質問だと思いますが、ご質問の答はこれまでと同じで恐縮でございますが、現段階では大阪地検が背任のほか証拠隠滅、公文書の毀棄等で捜査が行われている状況でございます。 で、捜査に全面的に協力する段階であって、お答えすることが捜査にどのような影響を与えるか予見し難いため、答弁は差し控えさせて頂きたいということでございます」 再度答弁不満でほんの少し中断。 太田充「もう一度お答えさせて頂きます。私がここでご答弁申し上げますのは財務省として責任を持ってご答弁させていただくということでございます。 あるなしというようなご質問がありましたが、ご指摘の報道については現在大阪地検が背任のほか証拠隠滅、公文書の毀棄等について告発を受けて捜査が行われている状況でございます。財務省としては捜査に全面的に協力する段階でありまして、お答えすることが捜査にどのような影響を与えるか予見し難いため、答弁は差し控えさせて頂きたいということでございます」 小池晃「全然答えになっていませんよ。今までだってリーガルチェックなんか、出しているじゃないですか、文書は。何でこれだけ出さないんですか。 何でこれだけ捜査に影響するんですか。文書、全然出していないわけじゃないんですよ。これまで出しているのに、何でこれだけ出さないんですか」 太田充「お答え申し上げます。国会でのご議論・ご指摘を踏まえて森友学園の土地の貸付・売却にかかることについては正心誠意調べをしてお答えを申し上げているつもりであります。 ただ、何度も申し上げて恐縮ですが、これは現在大阪地検に於いて背任のほか、証拠隠滅、公文書の毀棄等について告発を受けて捜査が行われているということで財務省とすれば、これに全面的に協力している段階でございます。お答えすることが捜査にどのような影響を与えるかは予見し難いということのために答弁は差し控えさせて頂いているということでございます」 答弁不満でほんの少し中断。 太田充「お答え申し上げます。法律相談文書の件を含めて先程申し上げましたが、国会でのご指摘・ご議論を踏まえてできるだけお出しをして答えるように努力をしてまいりました。 ただ本件は先程来申し上げておりますが、背任のほか、証拠隠滅、公文書の毀棄という告発を受けてということで、ある意味、今回の報道は証拠隠滅、公文書の毀棄そのものの話でございますので、これは捜査に全面的に協力するという段階でお答えすることは捜査にどのような影響を与えるか予見し難いということで、お答を差し控えざるを得ない、お控えさせて頂いているということでございます」 小池晃「私はね、非常に素直なことを聞いているんですよ。改竄なんかしていませんと、元の文書なんてないんですよと、お出ししたものは正しいんですよ、言えばいいじゃないですか。 何でそれが言えないんですか。それが捜査に支障があるから言えないということは別の物があるってことになるんじゃないですか。堂々とないと言えばいい。何でそれが言えないかということです」 太田充「大変恐縮ですが、告発を受けているのは背任、証拠隠滅、公文書等毀棄についての告発を受けてということでございまして、今日の報道はその犯罪と、いや、その告発そのものみたいなお話でございますので、それについて私供とすれば、捜査に全面的に捜査が行われていることについては捜査に全面的に協力するというのが先ず第一義だと考えております。 そういう意味では捜査にどのような影響を与えるか予見できない段階で答弁することは差し控えさせて頂いきたいということでございます」 小池晃「改竄していませんよと言えないんですか」 太田充「捜査に全面的に協力するということから、どのような影響を与えるか予見し難いということで、今程のことは答弁を差し控えさせて頂きたいと思います」 答弁不満でほんの少し中断。 太田充「私供現在捜査に全面的に協力している段階だと申し上げました。そのうえで、これは捜査にどのような影響を与えるか予見し難いことだと申し上げました。その上で捜査に影響がないと考えられる段階に於いてな必要があれば、調べるということはさせて頂きたいと思います」 答弁不満でほんの少し中断。 太田充「お答え申し上げます。本件先程以来のご議論は国政調査権を含めて国会のご審議の重さは重々承知をしております。その上で、ただ現在、捜査が行われている段階で、先ず第一義的に捜査に全面的に協力するというのが最重要優先であろうと思っています。 ただ、国会のご議論、国政調査権というのは重々承知をしておりますので、捜査に影響がないと考えられる段階に於いて私供としてなお必要があれば、調べるということは責任を持って調べさせて頂きたいと思います」 小池晃「捜査に影響がないと考えられる段階というのはおかしいんですよ。すぐに調査しなければダメなんですよ。こんなんじゃダメ」 太田充「先程も申し上げたとおり、国会のご審議の重さは重々承知しております。ただ、今、捜査中でございますので、先ずは、先ずは捜査が最優先だろうというふうに考えてございます。 こういうことを申し上げて、その上で捜査に影響がないと考えられる段階に於いては、言うことでご答弁申し上げたということでございます」 答弁不満でほんの少し中断。 太田充「お答え申し上げます。財務省として捜査に全面的に協力している段階であり、捜査にどのような影響を与えるかは予見し難いことからというふうに申し上げてまいりました。それを踏まえて捜査に対する影響というのを十分排しつつ調査をしてまいりたいと思います。 その上で、捜査の最終的な影響ということを十分見極めながら、私供として国政調査権と言うことも重々踏まえて適切に対応させて頂きたいと思います」 小池晃「何でこんなことが答えられないのかなと。大臣、麻生大臣、文書改竄やっていないなら、やっていないと言ってくださいよ。やっていないでしょ」 麻生太郎「度々答弁させてい頂いてま通りなんで、私供としては太田が申し上げましたように全面的に協力する段階でありますから、その段階が私の段階ではないので、私供としては今お答え、今申し上げられないということでございます」 小池晃は麻生太郎が3月2日の記者会見で記者から今回の「朝日」報道について問われて、「この報道は『朝日』でしたかね。お宅、東京新聞はそんな取材能力はねえだろう。残念だったね」と発言したことを取り上げて、「「『朝日』は取材能力があると、事実上認めていることになりますよ」とつまらないことを言い、「答弁を差し控える」で押し通そうとしているのだから、「今朝の報道は誤報なんですか。どうかはっきりしてください」と答えるはずもないことを聞いてから、委員長に委員会として調査して、委員会に報告するよう求め、委員長が理事会で討議することを言って、この件に関する質問を終える。 |
まるで蓄音機の一定の一箇所のみが壊れていて、「現在大阪地検から背任のほか証拠隠滅、公文書の毀棄等々で告発を受けて捜査が行われている」云々を繰り返し聞かされるような国会審議となっている。
要するに小池晃は同じような答弁を引き出す堂々巡りを演じただけで終わってしまった。相手のガードを突き崩すことのできるカギとなる発言を引き出していながら、見逃してしまった。
最初は麻生太郎も太田充も、「現在大阪地検から背任のほか証拠隠滅、公文書の毀棄等々で告発を受けて捜査が行われている。財務省としては捜査に全面的に協力をしている段階であって、朝日の報道に関する答弁は捜査にどのような影響を与えるかは予見し難いため答えることができない」で押し通そうとしていたが、小池晃が引き下がらなかったために「捜査に影響がないと考えられる段階に於いて私供としてなお必要があれば、調べる」に態度を一見軟化させたような発言に変えている。
だが、あくまでも一見でしかなく、言い方を少し変えただけで、捜査との関連で調べるつもりはない意思表示であることに変わりはない。大阪地検の捜査によって告発が訴追要件となって裁判が行われ、有罪となった場合は、最高裁まで戦うだろうが、首を洗って待っていなければならないから、調査から蚊帳の外に置かれるだろうし、不起訴、あるいは起訴されたとしても無罪を勝ち取った場合は無罪を楯に一切の調査を断ることができるから、当面は捜査との関連を言い立てるだけで凌ぐことになる。
但し太田充の次の発言が森友学園に対する国有地格安売却疑惑に於ける国側の身の潔白・無実の程度を知らせることになる。
「今回の報道は証拠隠滅、公文書の毀棄そのものの話でございます」、あるいは「今日の報道はその犯罪と、いや、その告発そのものみたいなお話でございます」
要するに朝日の報道を事実と認める答弁をした場合、元の文書に対する証拠隠滅と公文書毀棄の疑いそのものとなって告発されていることの証拠を改めて提供することになるか、あるいは新たな告発対象となりかねないだけではなく、元の文書の存在自体が改竄の動かない証拠となる関係から、「捜査に全面的に協力するという段階でお答えすることは捜査にどのような影響を与えるか予見し難い」云々の答弁を口にしなければならない構図の太田充の発言となっている。
逆に朝日の報道が事実ではない、怪文書に過ぎない、安倍政権を陥れるための捏造であるなら、そうであることを断言すれば済むはずだが、断言して身の潔白・無実を証明することをしないということは、いわば朝日報道を肯定も否定もしないということは、そうすることができないからであって、自分たちが主張しているとおりの身の潔白・無実は崩れる関係を取ることになる。
捜査に影響するケース、影響しないケースについて一般論を述べてみる。
森友学園に対する国有地格安売却は正しい価格の売却であった。忖度がなかった。安倍晋三も安倍昭恵も売却への関与はなかった。地中埋設物(ゴミ)の量は正しく算出され、その撤去・処理費用も正当に積算されて、何ら不正はなかった。
8億2千万円の値引き額は正当な計算に基づいていた。いわば全てに於いて後ろ暗いところはこれポッチもなく、騙しもゴマカシもなく、疑惑は潔白・無実そのものであると終始主張してきた。
にも関わらず、大阪地検に背任、公用文書等毀棄などで告発されていて、当該捜査機関で捜査中であるゆえにその捜査に影響を与える怖れがあり、「答弁を差し控えねばならない」。
告発を受けて地検が捜査中であろうと、潔白・無実であるなら、何をしようと捜査に関係しないことで、当然、何の証拠にもならないのだから、捜査に影響を与えることはない。当然、何も隠す必要も生じない。
捜査に影響を与えるのは潔白・無実ではないときのみである。
下手に何かをして捜査に対して不利な状況に立たされる恐れが生じると計算されるとき、「捜査に影響を与える怖れがある」の口実のもと、隠す必要が生じる。
例え告発を受けたとしても、潔白・無実であるなら、どのような文書をどのような形で公開しようと、告発と関係ない文書とされるか、逆に潔白・無実の証拠以外にはなり得ないのだから、何ら問題はないことになる。
潔白・無実ということは決裁書の書き換えも必要ない、あるいは書き換えはないと言うことなのだから、逆に公開することによって、書き換えのないことの証拠そのものとすることができる。要するに書き換えのないことは潔白・無実の証明として積極的に公開する理由となるし、公開の必要性が増す。
何事も潔白・無実という要件こそが、日常性を持った必要とするどのような行動も捜査とは関係なく許される。
潔白・無実であるなら、公開は捜査と関係することはない。捜査にどのような影響も与えない。
捜査への影響を考えるのは自身が不利な状況に立たされる影響があるからであって、潔白・無実ではないことの証明としかならない。「捜査にどのような影響を与えるか予見し難い」恐れからではなく、自分たちが不利な状況に追い込まれる可能性への恐れに過ぎない。
だから、麻生太郎も太田充も、朝日報道を事実無根とすることはできないし、事実有根とすることもできない。二つの文書があると明らかにすることも、国会に提出した文書のみだと断言することもできない。