安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定 「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を 直接示すような記述も見当たらなかった」とする “政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき |
「財務省の調査状況報告全文」(朝日デジタル/2018年3月6日09時59分) 財務省が3月6日朝の参院予算委員会理事会に提出した「調査の状況の報告」の全文は以下の通り。 ◇ 現在、大阪地検において、背任のほか、証拠隠滅や公用文書毀棄(きき)について告発を受けて、捜査が行われている状況にあり、財務省としては、この捜査に全面的に協力している段階にある。 こうした状況の中、捜査に影響を与えないよう、以下の点に留意して、直接の担当である理財局・近畿財務局以外の職員も関与した上で、全省を挙げて、文書の確認、職員への聞き取りなど調査を進めていきたいと考えている。 1.文書の確認 調査にあたっては、多くの文書の確認が必要となるが、これら文書は、告発を受けた捜査の対象となっており、すべての文書を直ちに確認できない状況となっている。 2.職員への聞き取り 調査にあたっては、広く職員への聞き取りを行う必要があるが、決裁文書の作成にかかわった職員への聞き取りにあたっては、捜査に影響を与えないよう、捜査当局による事情聴取との関係に留意し行う必要がある。 3.事実関係の確認 事実関係の確認に当たっては、裏付けをとるなど慎重に行う必要がある。 |
「捜査に影響を与えない」という条件の範囲内で「全省を挙げて、文書の確認、職員への聞き取りなど調査を進める」との構図を取った調査方針となっている。
と言うことは、“捜査への影響回避”を優先課題としていることを意味する。
この構図は「決裁文書の作成にかかわった職員への聞き取り」に特大の如実さで露わとなっている。「文書は、告発を受けた捜査の対象となって」いる、いわば大阪地検の預かりとなっていて、手元にないということなら、決裁文書が改竄されているか否かの肝心の調査は偏に決裁文書作成職員への聞き取りにかかっていることになる。
ところが、「捜査に影響を与えないよう、捜査当局による事情聴取との関係に留意し行う必要がある」と自ら制限を課しているということは“捜査への影響回避”を優先課題としていることの何よりの証明であろう。
要するに最初から調査にタガをはめている。自分たちでタガをはめている以上、“捜査への影響”を口実に調査をコントロールできることになる。タガとコントロールへの危惧からは逃げている印象しか浮かんでこない。
但し調査に対してどのようにもコントロールできるこのようなタガが正当性ある措置かどうかということになる。正当性ある措置であった場合、逃げている印象は勘繰りでしかなくなる。
正当性がなければ、“捜査への影響回避”を錦の御旗として解明とは言えない当たり障りなくコントロールされた調査報告の構図を最終的に取る公算が大きい。
この「調査の状況の報告」は「捜査に影響を与えないよう」にと、“捜査への影響回避”優先の文言を二度繰返しているが、“捜査への影響”とは具体的にどういった影響なのかの説明も、あるいは大阪地検の捜査にこれこれこういった影響を具体的に与えることになるとの説明も、大阪地検の方から、こういった影響が出ると具体的に示すお達しがあったとの説明もない。単に自分たちで“捜査への影響”を口にして、調査にタガをはめているに過ぎない。
これらの説明がない以上、タガは正当性ある措置は言えない。当然、逃げている印象にしても、薄汚い勘繰りではなく、正当性を持った印象の部類に入る。
どういった調査を行ったなら、“捜査への影響”が生じるかは麻生太郎や財務省が決めることではない。“捜査への影響”がもしあるとしたなら、その影響を受けるのは大阪地検なのだから、大阪地検が決めることである。
財務省が大阪地検に相談して、どういった調査が“捜査への影響”を生じさせるのか、あるいはどこまでの調査が生じさせないのか、調査のルールの提示を受けて、そのルールを公表、それを正式な調査方法として具体的にどういった調査を行うのか、野党を前にして問う、あるいは野党を通して国民に問うのが政府や行政府としての極々当たり前の道理であるはずである。
だが、そういった道理に基づかずに自分たちで決めた“捜査への影響”というタガを嵌めて、明らかに調査をコントロールしようとしている。単に逃げている印象を与えられるだけで終わらない。逃げる必要があるから、「捜査に影響を与えない」という条件内の調査の設定であり、タガということでなければならない。
要するに逃げている印象を与えること自体が決裁文書改竄の不正を背景としていることの何よりの証明となる。森友学園国有地格安売却に何ら不正がなかったなら、潔白・無実であったなら、逃げている印象は誰に対しても決して与えることはない。