安倍晋三関与・昭恵忖度対森友国有地不当売却疑惑:安倍晋三が展開する正当性理論打破が真相解明のカギ

2018-03-20 12:21:16 | 政治

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 ――政治家の役人たちに対する不正な関与にしても、役人たちの政治家に対する忖度にしても一般的には暗黙の了解という形を取る――

2018年3月19日参院予算委員会・共産党辰巳孝太郎

 辰巳孝太郎「国有地がタダ同然で売却された森友疑惑は前代未聞の公文書改竄疑惑に発展を致しました。総理は『私や妻が関わっていたら、総理を辞める』

 (3月)16日の(参院)予算委員会では財務省が総理のこの答弁の整合性を取るために改竄をしたのではないということ(という質問)を否定できませんでした。

 (注:3月16日の参院予算委員会で辰巳孝太郎が「総理の答弁と整合性を取るために消された可能性を否定できるのか」と追及したのに対して財務省理財局長太田充が「政府全体の答弁を気にしていた」と答弁したこと)

 総理にお尋ねを致します。ご自身には不都合な真実が明らかになるかも知れませんが、ご自身の発言がキッカケとなってこの改竄が始まったかどうかは明らかにする必要があるのではないでしょうか」

 安倍晋三「お答え致します。決裁文書の書き換えについてはですね、私は全く指示をしておりません。そもそも理財局内や(近畿)財務局内の決裁文書などですね、私はその存在すら知らず、指示のしようはないわけであります。

 また書き換え前の文書でも、私や私の妻が国有地の払い下げや学校の認可に関与した事実はなく、私や私の妻が関わったことにならないことは明らかであります。

 私の2月17日の答弁は、私や私の妻が認可にも国有地払い下げにも関係ないというものであります。

 書き換え前のですね、貸付にかかる特例承認の決裁文書に土地を見に行ったとか、応援したとか書いてありますが、書き換えがなされたとする(2017年)2月下旬から4月には既に妻が名誉校長であり、講演に行ったこと、あるいは学校建設予定地に行ったことは、いわば既に知られていたことであり、国会でも議論になっていました。

 2月17日の一切関係はないという答弁をですね、これは財務省の記述にはないということは明らかであろうと、このように思います。

 決裁文書の書き換えが行われた目的・経緯等については財務省に於いて引き続き調査が行われているところでありますが、その上で申し上げれば、書き換え前の文書を見ても、私の妻について書かれた記述は全体の中の極く一部に過ぎず、政治家からの問い合わせや、さらにそれ以外の詳細に記載されていた経緯の部分についてほぼ全てが削除されています。

 しかも貸付にかかる特例承認の決裁文書だけではなくて、私の妻が出てこない、これは貸付にかかる決裁文書もあるんですが、この貸付文書の経緯の部分についても同様にほぼ全て削除されていることから、私の妻の記述に関わりなく削除されたと思われることを指摘しておきたいと思います。

 また売払いに関する決裁文書には一切、妻のことは出てこないわけであります。

 このように考えればですね、この2月17日の答弁があるからと言って、書き換えを行う理由・必要性はないものと思われるわけでございます。これまで申し上げてきたとおり、私や妻がこの国有地払い下げや学校の認可に、勿論事務所も含め、一切関わっていないということは明確にさせて頂きたいと思います」

 辰巳孝太郎「委員長、長答弁、注意して頂きたいんですよ。これ質問妨害ですよ。私は総理が指示していたのかどかということは聞いておりません。総理の答弁がキッカケとなって改竄が始まったのか、それを調査すべきではないかと聞いたわけであります。

 総理、一部に過ぎないと言いますけれどもね、これ一部であっても、全体であっても、関係ないんですよ。安倍総理の発言によってこの改竄がキッカケとなって始まったのか、それを私は聞いたわけであります。

 指示はしていない、一部だ、色々おっしゃいましたけど、今調査中なんでしょ?今調査中なんでしょ?政治家の指示も含めて、それをきちっと調査して頂きたい。

 総理には不都合かも知れないけれども、総理の2月17日の発言がキッカケとなって改ざんが行われたのか、これを国民は知りたがってるんですよ。総理はこの点を含めて調査をきっちりとして頂きたい」

 安倍晋三「今ですね、辰巳委員からでですね、私の発言がキッカケではなかったかという問いがございましたのでね、私は今までのその仮設に対してこの事実を申し上げたわけでございまして、いくつかある文書、仮設が事実であるなら、全ての削除された文書に私も妻の記述がなければならないところでございますが、そうではなかったということについてですね、申し上げたところでございます。

 いずれにしましても調査をしっかりとしていく。そして全容解明された段階に於いて二度とこうしたことが起こらないように、えー、国民の信頼を得るために組織を建て直していくことは申し上げているとおりでございます。その責任を果たしていく考えであります」

 辰巳孝太郎は「身内の調査ではダメ、国会法104条に基づいて野党・与党全会一致での国政調査権の発動を委員長に求める。

 安倍晋三は自身の不関与正当性理論に打破の機会を与える宝庫とも形容できる答弁をしている。だが、辰巳孝太郎は「総理、一部に過ぎないと言いますけれどもね、これ一部であっても、全体であっても、関係ないんですよ。安倍総理の発言によってこの改竄がキッカケとなって始まったのか、それを私は聞いたわけであります」と自身の質問に拘って、そこから離れることができなかった。

 安倍晋三は「決裁文書の書き換えについてはですね、私は全く指示をしておりません。そもそも理財局内や財務局内の決裁文書などですね、私はその存在すら知らず、指示のしようはないわけであります」と「決裁文書の存在すら知らない」ことを以って自身の潔白、自身の不関与正当性理論としている。

 この日辰巳孝太郎から4番目に質問に立った立憲民主党の福山哲郎に対して財務省理財局長の太田充は「決裁文書を前提に答弁書を作ることはしていると思うが」と答弁している。

 決裁文書とは言ってみれば、“役所が役所として公に行った行為に付した決裁の文書”であり、公に行った行為に対する一連の決裁文書を見れば、“役所が役所として公に行った行為”の始まりから終わるまでの経緯を知ることができる。

 また国有地売却に関わる安倍晋三や麻生太郎の国会答弁書は国有財産を与る財務省理財局が一連の国有地売却に関係した決裁文書を参考にして作成する。決裁文書を通して一連の経緯を振り返らずに答弁書を作成できるとしたら、神業である。

 安倍晋三は首相以外に内閣官房副長官や内閣官房長官を歴任している。それぞれの役職で国会答弁に立つときに各政策を所管する省庁が行為の決定と経緯を記した決裁文書を詳細に振り返って要約・作成した答弁書を参考にしてきたはずだから、「理財局内や財務局内の決裁文書などですね、私はその存在すら知らない」としている答弁は明らかにウソ八百に堕する。

 辰巳孝太郎はこの点を追及すべきだったが、見逃してしまった。

 この日の予算委員会で太田充が安倍昭恵名前記載文書の改竄は2017年4月4日に行ったことを明らかにしたとマスコミは伝えている。

 安倍晋三の2017年2月17日衆院国会答弁は改竄前の決裁文書に記載されていた事実に基づいて作成された答弁書を参考にしていたことになる。

 問題は森友学園に対する財務省理財局の国有地不当売却疑惑に関わる安倍晋三の2017年2月17日衆院国会答弁「(私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに)もし関わっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい」が財務省理財局や近畿財務局が保管していた一連の決裁文書を一覧して財務省理財局が作成した答弁書に2014年4月28日付の決裁文書中にある「安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた」との籠池前理事長の発言の記載を転載していたかどうかである。

 答弁書に転載がないままに自身の不関与を確信して自身と妻の潔白の訴えに代えて、関与があった場合の条件付きで辞任発言をしたのか、転載があったにも関わらず、こういったことを発言したのかで意味が違ってくる。

 いずれにしても、各省庁が国会答弁作成に重要な素材としているゆえにその存在を知らないはずはないのに「理財局内や財務局内の決裁文書などですね、私はその存在すら知らない」とウソの証言をしている関連から、2017年2月17日の国会答弁にしても、決裁文書に安倍昭恵の名前が記載されていることを承知していながら、自身と妻は潔癖だと強弁を謀った疑いは濃い。

 強弁が改竄の必要性を誘発せしめたとしたら、安倍晋三の2017年2月17日の国会答弁がキッカケとなった決裁文書改竄の可能性は高くなる。

 安倍晋三はまた、「書き換え前の文書でも、私や私の妻が国有地の払い下げや学校の認可に関与した事実はなく、私や私の妻が関わったことにならないことは明らかであります」との発言で以って自身と妻に対する不関与の正当性理論としている。

 例え「関与した事実」が改竄前の決裁文書に記載されていなくても、決裁文書に書くはずはない「関与」の事実であって、記載されていなことを以って「私や私の妻が関わったことにならない」の証明とは到底ならない。

 なぜなら、政治家の関与やその妻の関与の事実があったとしても、それが不正な性格を帯びた関与であるなら、露見した場合の大事(おおごと)となる危険性回避の危機管理から、文書に記載せずに暗黙の了解という手を使うことが一般的だからである。

 もし役人側が安倍昭恵という存在とその背後にいる安倍晋三という存在に対して忖度という力が働いた不当に格安な価格の国有地売却だとしても、その忖度は役人たちの間で暗黙の了解という形を取るだろう。

 安倍晋三、あるいは安倍昭恵の関与があったから、これこれした、あるいは安倍昭恵という存在とその背後にいる安倍晋三を忖度したから、これこれしたと誰が決裁文書に証拠を残すだろうか。

 当然、「2月17日の一切関係はないという答弁をですね、これは財務省の記述にはないということは明らかである」との物言いで「記述にはない」ことを以って関与も忖度もなかった正当性理論とすることの根拠とはならない。

 「書き換え前のですね、貸付にかかる特例承認の決裁文書に土地を見に行ったとか、応援したとか書いてありますが、書き換えがなされたとする(2017年)2月下旬から4月には既に妻が名誉校長であり、講演に行ったこと、あるいは学校建設予定地に行ったことは、いわば既に知られていたことであり、国会でも議論になっていました」

 関与も忖度も暗黙の了解で進行していく一般的な慣行からすると、安倍昭恵が名誉校長であった事実、森友学園の幼稚園に講演に行った事実、学校建設予定地を籠池泰典と訪問した事実が世間に知られていて、「国会でも議論になっていた」からといって、このことを以って安倍晋三の関与を否定する材料にも、役人側の忖度を否定する材料にもならない。

 ましてや「書き換え前の文書を見ても、私の妻について書かれた記述は全体の中の極く一部に過ぎない」ことを以って不正関与否定の正当性理論とすることは不可能である。

 「貸付にかかる特例承認の決裁文書だけではなくて、私の妻が出てこない、これは貸付にかかる決裁文書もあるんですが、この貸付に文書の経緯の部分についても同様にほぼ全て削除されていることから、私の妻の記述に関わりなく削除されたと思われることを指摘しておきたいと思います」と言っている、安倍昭恵の名前やその行動だけではなく、「ほぼ全て削除されている」、あるいは「私の妻の記述に関わりなく削除されている」ことを以ってして、さらに「売払いに関する決裁文書には一切、妻のことは出てこないわけであります」ことを以ってして、関与や忖度否定の理論とすることはできない。

 当然、「2月17日の答弁があるからと言って、書き換えを行う理由・必要性はないものと思われる」は自分のためにしている自己都合の不関与正当性理論に過ぎない。

 安倍晋三は自身の2017年2月17日の答弁が決裁文書改竄のキッカケとなったのではないかとする辰巳孝太郎の追及を「仮設」とし、「いくつかある文書、仮設が事実であるなら、全ての削除された文書に私も妻の記述がなければならないところでございますが、そうではなかったということについてですね、申し上げたところでございます」と自身や妻の関与を否定する正当性理論としているが、これも政治家の役人たちに対する不正な関与にしても、役人たちの政治家に対する忖度にしても暗黙の了解という形を取る一般例からすると、正当性理論として成り立たせることのできない発言に過ぎない。

 安倍晋三が国会答弁で好き勝手に展開する自身の不関与正当性理論、あるいは安倍昭恵忖度否定理論を打ち壊さない以上、いつまで経っても森友学園疑惑追及は中途半端で終わる。

 既に値引き額に反映された地下埋設物・ゴミの量が過大に見積もられた不当な国有地格安売却である事実が明らかになりつつある。当然、決裁文書の改竄はこの不当な格安売却を隠す目的を有していたことになる。改竄するに当たって削除箇所も同じ目的で行われたはずだが、特に安倍昭恵の名前を削除した目的・必要性は徹底的に明らかにしなければならない。

 明らかにすることができたなら、その過程で安倍晋三の関与の有無をも明確になるはずである。

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