麻生太郎「捜査当局からは『口裏合わせをするような話に取られかねないことから、控えるように』」は虚偽答弁

2018-03-12 10:39:03 | Weblog

安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定


「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 ――そして安倍晋三の佐川宣寿を適材と見、国税庁長官職を適所とした判断錯誤に対する任命責任者としての責任――

 2018年3月8日参院予算委員会

 3月8日の参院予算委員会は森友問題に関わる財務省の決裁文書改竄疑惑に政府側が満足な答弁を行わないことに対して野党4党が審議拒否・欠席したまま開催され、審議拒否しなかった日本維新の会の浅田均が質問に立ち、文書改竄についてユルい追及を行った。

 文飾は当方。

 浅田均「これまで近畿財務局の決裁文書の改竄があったのか、なかったのかという、今、こういうような状況になっております。先ず伺っていきたいんですが、これまで捜査に影響があるので答弁差し控えるということでございました。

 『捜査に影響があるので答弁は差し控えるように』と大阪地検の誰が言ってるのですか。

 すぐには誰も答弁に立たない。浅田均は委員長に「指名してください」と言われるが、参考人として呼ばれている役人席の方を見るだけ。少ししてから、委員長が発言。

 委員長「財務省大臣官房長矢野康治君」

 矢野康治「これはどなたの要請ということではございませんで、捜査にかかずらっている(関係している)ことから、性質として、ということでございます」

 浅田均「えーとですね、今のお答えですが、財務省の誰がいつ、大阪地検の国会での答弁の可否、そして当該文書の公開の可否を照会されたんですか、官房長」

 矢野康治はすぐに答弁せず、速記を止める。

 委員長「財務省大臣官房長矢野康治君」

 矢野康治「通告を頂いておりませんので、ちょっとお答困難でありますけども、事柄の性質として、捜査にかかずらっている問題でありますので、ということでございます」

 浅田均「あのー、自らの判断で捜査に影響があるので、答弁は差し控えるということだったんだと思うんですがね。近畿財務局、あるいは財務省として大阪地検に照会されていないと思うんですね。

 (文書を持ち上げて)ここに本日の毎日新聞の夕刊です。国会に開示した文書とは別の決裁文書があった等々書いております。内容は朝日新聞と同じです。

 あなた方は、財務省の方々は捜査に影響があると言って、当該文書を開示しない。然るに毎日新聞の情報公開請求で出てるんです。捜査に影響があるなら、毎日新聞に出さないはずです。

 捜査に影響がないから、毎日新聞に出したってことでしょう。それをどうして参議院に提出できなかったのかご説明ください、官房長」

 矢野康治「これも通告は頂いておりませんが、私がお読みする限りでは、この新聞には開示請求に応じたと書いておりますが、今、先生もそのように引用されたわけですけれども、財務省に於いてこのような開示請求に応じたということではないと私は承知しております」

 浅田均「毎日新聞の今日の夕刊ですよ、これ。『毎日新聞が同省近畿財務局の情報公開請求で入手した』としています。これ現物の写真も撮ってあります。情報公開請求に応じていると言うことですよ。如何ですか」

 すぐには答弁に立てず、速記が止まる。

 矢野康治「お答え致します。申し訳ありません。この本日の新聞報道でございますけれども、この文書、指摘されているこの文書は先日の参議院の予算理事会に、3月6日ですございますが、に提出した一連の資料の中に含まれている売払決議書や貸付決議書とは別の決裁文書の内容について指摘していると思われますけれども、これらの文書は既に開示請求は国会に提出させて頂いている文書でございます」

 浅田均「昨日ご説明頂いたんですが、前にね、参議院に提出した以外にはないという説明だったんですが、このご説明と違ってるんじゃないですか」

 速記を止める。

 矢野康治「お答え致します。これらの文書は先程ちょっと申し上げましたけれども、既に参議院の予算理事会に於きまして分厚い資料をご提出させて頂きましたけれども、その中にご提出を頂いている文書の一つでございます」

 浅田均「この間のご説明では前に出したものと違ったものはないというご説明だったんです。では、あったということなんですね。そしたら、別文書、決裁文書は二つあるという理解でよろしいですか」

 矢野康治「売払決議書や貸付決議書とは別の決裁文書のものだということでございます。そして6日の理事会に提出をさせて頂いた物に含まれている別のものだということでございます」

 浅田均「分かりました。それでは今決裁文書、文書の改竄とかいうことに関して調査に当たっております。一般論としてはですよ、財務大臣にお伺いしたいんですが、一般論としてこういうその決裁文書の改竄、書き換えですね、について公文書の虚報罰(虚偽通報罰か?)の適用対象になると思われるんですが、それを確認したいのと、これまで財務省で毎回報道されていたというようなことが事実あるとするならば、そのような改竄への実例集というものを配布しておられるんでしょうか。お尋ね致します」

 麻生太郎「これは刑法についてになりますんで、これは法務省にお尋ね頂きたいと思います。これ、犯罪の成否になりますんで、捜査機関によって収集された証拠に基づいて、いわゆる司法に於いてこれは個別に判断される議論だと考えております。

 財務省に於いてはその種の話っていうのは今までの中で決裁文書の修正が決裁ルール(?)を経由したというのはございませんので、これまで。

 そうした意味では今のご指摘、質問に対して、ちょっとこれが事実かどうか、まだ何の判例も分かっていない段階での答弁というのはなかなか難しいんだと思います。

 浅田均「分かりました。今の大臣のご答弁から判断しますと、今まで財務省に於いて決裁文書の改竄、あるいは書き換えみたいなことはなかったと。国民を裏切るような行為はなかったという理解でいいですね


 麻生太郎「あのー、財務省に於いていわゆる職員の処分に関する文書というものとして、10年分ぐらい保存されておるんですが、その文書、確認した、10年分ですよ、その前は分かりませんけれども、10年分に保存されている文書というものを確認した中では少なくとも決裁文書の修正が決裁ルールに抵触した処分事例はございません

 浅田均「この間、朝日新聞の報道を見て、今日また毎日新聞が改竄とかね、いうようなニュアンスで報道していますので、先般、予算委員会で話がありましてけど、日本の政治というのは大宝律令以来の政治であります。(委員席の誰かの発言を聞いて)えー、ポリティクス1.0ですか。

 ソサイアティ5.0を目指すのはちょっとお粗末だなあという感想を抱いたんで、ここで私は提案させて頂きたいんですが――」

 浅田均は公文書管理の新しい方法を提案する。その方法とは3月9日の浅田均のツイートに代えて説明。

 〈改竄防止という受け身の姿勢からではなく、Society5.0を創り出すという姿勢で、これから社会を動かすエンジンとなるブロックチェーン技術、その核心であるハッシュ関数の導入、とりわけ公文書管理への導入を提案。麻生大臣は前向きです。〉――

 「Society5.0」とはネットによると、〈狩猟社会、農耕社会、工業社会、現在の情報社会(Society 4.0)に続く“超スマート社会”として掲げられている第5段階目の社会のことを指していて、日本の経済的発展と国内外の社会的課題の解決を両立し、快適で活力に満ちた生活ができる人間中心の社会〉を目標としているという。

 浅田均がツイートで指摘している「ブロックチェーン技術」とは、これもネットでの知恵の借用で、しかも半理解でしかないが、一定期間内の取引の塊を「ブロック」と言い、これは台帳の一ベージに相当、各ブロックを繋げることを「チェーン」と言い、各ブロックから代表する数値や代表する文字を得る操作がハッシュ関数なるものだそうだ。

 「Wikipedia」に〈ハッシュ関数は主に検索の高速化やデータ比較処理の高速化、さらには改竄の検出に使われる。〉との記述が載っている。

 いわば文書1枚を改竄しても、「チェーン」として繋がっている他の文書の記述との兼ね合いから、コンピューターが瞬時に不一致や相違を見つけ出してしまうということなのだろう。

 もし改竄を成功させたければ、他の文書の関係する文字・数値を全て改竄しなければならないことになる。

 但し今回の決裁文書改竄疑惑は財務省からのリークがあったのかどうかは現在のところ不明だが、マスコミ報道によって明るみに出たのであって、リーク、もしくはスッパ抜きがなければ、改竄の検出は行われずじまいとなって闇から闇に葬り去られるままとなる。

 それとも官公庁が作成したすべての文書をブロックチェーン化して、ロボットを使って自動的に常時監視し続けるということなのだろうか。

 例えそうしたとしても、政治側が特定秘密保護法で一定の文書を除外規定に付し、改竄の露見から守るという手は残る。

 いずれにしても財務省はこれまで国会や理事会で散々改竄を否定してきたが、今日3月12日に国会に提出している決裁文書とは内容が異なる文書が確認できたとする報告を国会に対して行うと早朝のネット記事が伝えている。

 麻生太郎が「10年分に保存されている文書というものを確認した中では少なくとも決裁文書の修正が決裁ルールに抵触した処分事例はございません」と言っていることはただ単に表面的に過ぎないことを意味することになる。

 いわば隠された事実となっている可能性は否定できない。

 浅田均が「『捜査に影響があるので答弁は差し控えるように』と大阪地検の誰が言ってるのですか」と問い質した。

 対して財務省大臣官房長の矢野康治が「これはどなたの要請ということではございませんで、捜査にかかずらっている(関係している)ことから、性質として、ということでございます」と答弁している。

 要するに「捜査に影響がある」は大阪地検からの「要請」でなく、捜査に関係しているという事柄の性質上、自分たちで「捜査に影響があるので答弁は差し控える」としたまでという意味を取るから、「捜査に影響」は答弁回避の口実以外の何ものではないことになる。

 理由なくして答弁回避はしないから、改竄文書の存在を元々承知していたことになる。それを隠すための答弁回避という不誠実さが否応もなしに現れた。

 3月7日(2018年)の当「ブログ」に、〈どういった調査を行ったなら、“捜査への影響”が生じるかは麻生太郎や財務省が決めることではない。捜査への影響がもしあるとしたなら、その影響を受けるのは大阪地検なのだから、大阪地検が決めることである。〉と書いた。ごく常識的な道理であろう。

 だが、麻生太郎の国会答弁にしても、財務省理財局長の太田充の国会答弁にしても、具体的にどういった影響なのかの説明も、あるいは大阪地検の捜査にこれこれこういった影響を具体的に与えることになるとの説明も、大阪地検の方から、こういった影響が出ると具体的に示すお達しがあったとの説明もないままに“捜査への影響”を口にしては答弁回避に相努めた。何という誤魔化し、何という不誠実さだろう。

 但し麻生太郎は3月5日(2018年)の参院予算委の民進党足立信也への答弁で「『個別に調査を』とよく言われるが、捜査当局からは『口裏合わせをするような話に取られかねないことから、控えるように』と言われている」と、大阪地検からの要請であるとの趣旨の発言をしている。

 当然、麻生太郎のこの答弁は財務省大臣官房長矢野康治が「これはどなたの要請ということではございませんで」と答弁している以上、大阪地検からの要請であるかのように装った虚偽答弁と言うことになる。

 いや、「捜査に影響がある」との口実で回避した全てが虚偽答弁をだったことになる。太田充ならまだしも、自民党副総理で財務大臣の麻生太郎が散々に虚偽答弁を繰返した。有り得べからざる前代未聞の事態であり、本人の責任の大きさばかりか、任命責任者としての安倍晋三の責任も重大であろう。

 森友に関わる決裁文書改竄の疑惑は前任の財務省理財局長として国会答弁に立った佐川宣寿にも関係している。佐川宣寿は2017年7月5日に国税庁長官に栄転している。

 ところが、佐川宣寿は3月9日、財務相の麻生太郎に辞表を提出し、受理された。麻生太郎は同3月9日午後7時40分過ぎから財務省で記者会見を開いている。「NHK NEWS WEB」から一部抜粋。

 麻生太郎「佐川長官から理財局長時代の国会対応に丁寧さを欠き、国会審議の混乱を招いたこと、行政文書の管理状況についてさまざまな指摘を招いていることなどを踏まえて、長官の職を辞し、退職したいという申し出があり本日づけで退任した」

 佐川宣寿氏自身も9日夜、報道陣の取材に対して次のように発言している。「産経ニュース」

 一部抜粋。

 佐川宣寿「理財局長時代の国会対応に丁寧さを欠き、国会審議の混乱を招いたこと、行政文書の管理について指摘を受けたこと、(森友学園に関する財務省の)決裁文書の国会提出時の担当局長であったことを踏まえ退職したいと大臣に伝えた。今回処分を受けたことや確定申告期間中の辞職となったことをおわび申し上げる」

 要するに佐川宣寿は「国会対応に丁寧さを欠き、国会審議の混乱を招いた」、そして「行政文書の管理状況」、その他にも問題があったことを自ら認識、適切な対応能力を欠いていたことを理由に辞任したことになる。

 人格上も、能力上も、財務省理財局長としての役目を果たし得なかった。

 にも関わらず、麻生太郎も安倍晋三も逆の見方をしていた。

 上記「NHK NEWS WEB」記事。

 麻生太郎「(佐川宣寿を国税庁長官に起用した人事を「適材適所の配置だ」としてきたことについて)豊富な経験に照らして適任だと判断したという経緯です。これまでの経験は国税の3課長、2課長、総務課長など色々な経験があるので、職務を適切に行ってきたと考えています」

 国税庁長官を適所とするに相応しい適材だと、その能力を高く買っていた。

 安倍晋三も同じ目で佐川宣寿を評価していた。2018年1月24日衆議院本会議代表質問。

 安倍晋三「国税庁長官の人事については、他の全ての人事と同じく、適材適所の考え方に基づき行ったものであります」

 だが、佐川宣寿自身が国税庁長官職を安倍晋三や麻生太郎に適材適所されることになった基となった評価それ自体を「国会対応に丁寧さを欠き、国会審議の混乱を招いた」云々と否定している。

 要するにメガネ違いだった。メガネ違いに基づいて一国の首相が、あるいは副総理兼財務大臣が国税庁長官職を適材適所だと最大限に評価した。

 どちらにも人事評価の責任と任命責任があることになる。

 これまでの“捜査への影響”を口実に国会答弁を回避してきたこととその不誠実さと言い、 麻生太郎のさも大阪地検から要請があったかのように見せかけた国会虚偽答弁と言い、混迷状態の森友問題と言い、佐川宣寿に対する適材適所評価の錯誤と言い、安倍晋三にしても麻生太郎にしても、その責任の取り方をどう決着付けるつもりでいるのだろうか。

 浅田均は「今の大臣のご答弁から判断しますと、今まで財務省に於いて決裁文書の改竄、あるいは書き換えみたいなことはなかったと。国民を裏切るような行為はなかったという理解でいいですね」と念押ししているが、麻生太郎と財務省はこの間、国民を裏切る行為を重ねてきた。

 この件に関しても安倍晋三に無関係とは言えない。

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