6月27日対大塚耕平党首討論:安倍晋三の新外国人受け入れ政策が日本人社員の賃金に影響しないは体のいい奇麗事

2018-07-02 11:14:57 | 政治
 安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定

「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を
直接示すような記述も見当たらなかった」
とする
“政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき

 2018年6月27日の党首討論で国民民主党共同代表大塚耕平と安倍晋三との間の党首討論で2018年6月15日閣議決定の「経済財政運営と改革の基本方針2018」、いわゆる「骨太の方針2018」の政策項目の内の「新たな外国人材の受入れ」について議論が行われた。

 「党首討論詳報」産経ニュース/2018.6.27 17:24)

 大塚耕平「今日は骨太の方針についておうかがいをしたいと思います。今月、閣議決定されました。非常に大事なことがいくつも含まれております。一つは外国人労働者の本格的受入れであります。もちろん私たちも外国人労働者がいないと成り立たない中小企業や産業が増えていることは理解しておりますので、外国の方を受け入れて、多様性のある社会を目指す。この方向性については共有したいと思います。
 しかし、今回の骨太の方針、ちょっと拙速感が否めないかなというふうに思います。外国人労働者の増加が国内の労働者に与える影響とか、あるいは社会保障制度に与える影響、こういうことをじっくり検討した上で踏み切るべきだと思います。総理もよくご承知の通り、技能実習生は今国内に26万人、この技能実習生を含んで127万人の外国人労働者。しかし、これは統計上の話で、もっとたくさんいらっしゃると思います。

 しかも、技能実習生は去年秋の見直しで、在留期間が3年から5年になったところであります。総理、あの、技能実習生の皆さんは、これは就労目的ではない在留資格で入っておられるんです。今回、骨太の方針で書いてある来年の4月から新たに外国人労働者を本格的に受け入れる、これは就労目的の在留資格を設けるというふうになってるんですね。これはもう大転換です。しかも、5年間の在留資格で、5年が経過した後に、これも新しい在留資格ですよ。さらにその後に新たなやはり在留資格で、いわば期限を切らずに在留をして、しかも家族を呼び寄せることができる。これは一部の専門家の皆さんは、移民政策だというふうに表現される方もいらっしゃいます

 これは後ほど総理にも移民政策の定義はおうかがいをいたしますけれども、こういう大変更、大転換をですね、来年の4月までの1年間で入国管理法等の国会審議を全部終えて、そして国民の皆さんの理解を得るというのはなかなか僕は難しいんじゃないかなと思います。そこで、この25年間、すでに実績を積んでいる技能実習制度、これを拡充あるいは改善をするなりで、当面は対処しつつ、今申し上げたような点をしっかり検討する必要があると思います」

 安倍晋三「確かにですね今、委員がご指摘になったようにわれわれは今回、在留資格についてですね、就労を目的とした新たな在留資格を創設をいたしました。これはあの、大塚委員からも、今までもご指摘をいただいたようにですね、今まで技能実習制度という形で受け入れてきたのでありますが、果たして本当に技能実習制度なのかという指摘もございましたし、さまざまな問題が起こっていたのも事実でございます。でありますから、私たちはしっかりと正面からですね、今回はこの就労を目的とした新たな在留資格を創設をさせていただいた。

 もちろん相当な議論がありました。自民党は保守党でありますから、こういうことに対しましては極めて慎重な議論があった。そこで、しかし、実際に人手不足が生じている中において、人手不足が生じているわけでありますから、そこで働いてる人たちのですね、いわば職業の確保には影響がない。と同時にですね、当然ですね、この賃金にも影響がないようにしなければなりませんから、そこで働いてる人たちの平均賃金を下回るものはだめだということにしていきます。そして、もちろん審議をですね、どう行っていくかということは、これは今までも申し上げていることで恐縮なんですが、国会でですねしっかりと審議をしていただき、結論を出していただきたいとわれわれは思っております。

 で、定義についてはですね、国際的には定義はないではないかということはその通りでございますが、私は政府としてどのように考えているかということを今申し上げたいと思います。政府としての定義でありますが、今回の受け入れは移民政策には当たらない。そして移民政策とはどういう政策であるかということでございますが、例えば国民の人口に比して、一定程度のスケールの外国人およびその家族を期限を設けることなく、受け入れることによって国家を維持していこうとする政策。で、そういう政策はとらないということでございます」

 大塚耕平「総理、あの、国際的な定義はないというのは前段では私申し上げてないんですが、今から申し上げようと思ったんですが、確かに国際的な定義はないんです。ただ、よく引用されるのは1997年の国連事務総長の報告書に、自国以外に移動して少なくとも12カ月居住する皆さんは、移民というこういうカテゴリーで議論されておられますので、骨太の方針で掲げられたこの新しい仕組みによって入っていらっしゃる皆さんはそういう定義には当てはまると思います。

 総理、あの、3月にですね、予算委員会で私は総理の5年間で日本人の皆さんの労働生産性が9%上がったけれども、賃金は2%しか上がっていないという数字をお示ししたと思います。その上で申し上げますが、アメリカで移民の政治経済学の権威と言われているハーバード大学のジョージ・ボージャス教授という方の研究、あるいは2015年に出たイングランド銀行のレポートによると、アメリカやイギリスでは外国人労働者の増加が国内労働者の賃金の低下をもたらしたという分析結果があるんです。

 安倍政権の5年間で、統計上60万人以上の外国人労働者が増え、実際にはもっと増えていると思いますが。そして、さっき申し上げたように賃金が労働生産性に追いつかないというのは、ひょっとしたらそういうことも影響しているかもしれない。こういうこともよく分析する必要があると思うんです。その上で、どうもここ数年間、特に大変恐縮ですが、安倍政権のもとでは、賃金が抑制されて外国人労働者に依存するという、こういう傾向が続いていると思います。

 私たちは本来は日本人であれ外国人であれ、賃金は働きに見合ってしっかり上昇していきですね、そしてそのことが、消費や国民経済の活性化につながって、産み育てやすい社会ができて、日本人の少子化傾向が是正されて、そしてやがては日本人の労働者も増えてくる。こういう社会を目指すべきであり、国民民主党はそういう方向に向けた政策をこれからしっかり出していきますので、政府にも正面から受けとめていただきたいと思います。

 その上で、骨太の方針のもう一つ、財政健全化についてもうかがいたいと思います。財政健全化、国と地方の基礎的財政収支、プライマリーバランスを黒字化するのが2020年から2025年に5年先送りされました。アベノミクスはですね、私の記憶では景気を回復させて税収を増やして、その税収をもとに財政健全化をする、そのために異常とも思える金融緩和を選択したわけであります。そしてこの金融緩和、アベノミクスを5年間やってきて、ここにきて財政健全化を5年間先送りしたら、丸々先送りで、財政健全化には全く寄与していなかったというふうにも理解、そのようにも受けとめざるを得ないというふうに思います。

 その上で申し上げますけども、総理、過去の財政健全化の失敗の例の典型はですね、甘い経済見通しのもとで運営したときです。今回も2025年に向けて、また名目成長率3%、実質成長率1%の前提で試算しておられますけれども、安倍政権の5年間、私昨日改めて計算しましたけれども、名目では2・0%、実質では1・0%。やはりこういう前提も、堅実で正直で現実的な前提を置いてこそ初めて財政健全化も地に足のついた対応が出来ます。

 さらには異常な低金利ですから、今、利払い費が極端に圧縮されてますよね。その分、政策経費が膨張しているわけですよ。これ、異常な金融緩和、修正局面に入ったら、財政健全化計画も、そして予算編成も一気に苦しくなります。私は1997年に当時の政府が作った財政構造改革法、これあの当時私、まだ日銀におりましたけれども、あれは金融危機で、1年で停止になりました。今こそ、あのような財政構造化、構造改革法のような対応が必要だと思っております。われわれ国民民主党はこれをしっかり皆さんにご提示できるようにこれから検討を進めてまいりますが、この財政構造健全化法のような対応についてどのようにお考えになるか、できれば手短かにお答えいただきたいと思います」

 大塚耕平「今日は骨太の方針についておうかがいをしたいと思います。今月、閣議決定されました。非常に大事なことがいくつも含まれております。一つは外国人労働者の本格的受入れであります。もちろん私たちも外国人労働者がいないと成り立たない中小企業や産業が増えていることは理解しておりますので、外国の方を受け入れて、多様性のある社会を目指す。この方向性については共有したいと思います。

 しかし、今回の骨太の方針、ちょっと拙速感が否めないかなというふうに思います。外国人労働者の増加が国内の労働者に与える影響とか、あるいは社会保障制度に与える影響、こういうことをじっくり検討した上で踏み切るべきだと思います。総理もよくご承知の通り、技能実習生は今国内に26万人、この技能実習生を含んで127万人の外国人労働者。しかし、これは統計上の話で、もっとたくさんいらっしゃると思います。

 しかも、技能実習生は去年秋の見直しで、在留期間が3年から5年になったところであります。総理、あの、技能実習生の皆さんは、これは就労目的ではない在留資格で入っておられるんです。今回、骨太の方針で書いてある来年の4月から新たに外国人労働者を本格的に受け入れる、これは就労目的の在留資格を設けるというふうになってるんですね。これはもう大転換です。しかも、5年間の在留資格で、5年が経過した後に、これも新しい在留資格ですよ。さらにその後に新たなやはり在留資格で、いわば期限を切らずに在留をして、しかも家族を呼び寄せることができる。これは一部の専門家の皆さんは、移民政策だというふうに表現される方もいらっしゃいます

 これは後ほど総理にも移民政策の定義はおうかがいをいたしますけれども、こういう大変更、大転換をですね、来年の4月までの1年間で入国管理法等の国会審議を全部終えて、そして国民の皆さんの理解を得るというのはなかなか僕は難しいんじゃないかなと思います。そこで、この25年間、すでに実績を積んでいる技能実習制度、これを拡充あるいは改善をするなりで、当面は対処しつつ、今申し上げたような点をしっかり検討する必要があると思います」

 安倍晋三「確かにですね今、委員がご指摘になったようにわれわれは今回、在留資格についてですね、就労を目的とした新たな在留資格を創設をいたしました。これはあの、大塚委員からも、今までもご指摘をいただいたようにですね、今まで技能実習制度という形で受け入れてきたのでありますが、果たして本当に技能実習制度なのかという指摘もございましたし、さまざまな問題が起こっていたのも事実でございます。でありますから、私たちはしっかりと正面からですね、今回はこの就労を目的とした新たな在留資格を創設をさせていただいた。

 もちろん相当な議論がありました。自民党は保守党でありますから、こういうことに対しましては極めて慎重な議論があった。そこで、しかし、実際に人手不足が生じている中において、人手不足が生じているわけでありますから、そこで働いてる人たちのですね、いわば職業の確保には影響がない。と同時にですね、当然ですね、この賃金にも影響がないようにしなければなりませんから、そこで働いてる人たちの平均賃金を下回るものはだめだということにしていきます。そして、もちろん審議をですね、どう行っていくかということは、これは今までも申し上げていることで恐縮なんですが、国会でですねしっかりと審議をしていただき、結論を出していただきたいとわれわれは思っております。

 で、定義についてはですね、国際的には定義はないではないかということはその通りでございますが、私は政府としてどのように考えているかということを今申し上げたいと思います。政府としての定義でありますが、今回の受け入れは移民政策には当たらない。そして移民政策とはどういう政策であるかということでございますが、例えば国民の人口に比して、一定程度のスケールの外国人およびその家族を期限を設けることなく、受け入れることによって国家を維持していこうとする政策。で、そういう政策はとらないということでございます」

 大塚耕平「総理、あの、国際的な定義はないというのは前段では私申し上げてないんですが、今から申し上げようと思ったんですが、確かに国際的な定義はないんです。ただ、よく引用されるのは1997年の国連事務総長の報告書に、自国以外に移動して少なくとも12カ月居住する皆さんは、移民というこういうカテゴリーで議論されておられますので、骨太の方針で掲げられたこの新しい仕組みによって入っていらっしゃる皆さんはそういう定義には当てはまると思います。

 総理、あの、3月にですね、予算委員会で私は総理の5年間で日本人の皆さんの労働生産性が9%上がったけれども、賃金は2%しか上がっていないという数字をお示ししたと思います。その上で申し上げますが、アメリカで移民の政治経済学の権威と言われているハーバード大学のジョージ・ボージャス教授という方の研究、あるいは2015年に出たイングランド銀行のレポートによると、アメリカやイギリスでは外国人労働者の増加が国内労働者の賃金の低下をもたらしたという分析結果があるんです。

 安倍政権の5年間で、統計上60万人以上の外国人労働者が増え、実際にはもっと増えていると思いますが。そして、さっき申し上げたように賃金が労働生産性に追いつかないというのは、ひょっとしたらそういうことも影響しているかもしれない。こういうこともよく分析する必要があると思うんです。その上で、どうもここ数年間、特に大変恐縮ですが、安倍政権のもとでは、賃金が抑制されて外国人労働者に依存するという、こういう傾向が続いていると思います。

 私たちは本来は日本人であれ外国人であれ、賃金は働きに見合ってしっかり上昇していきですね、そしてそのことが、消費や国民経済の活性化につながって、産み育てやすい社会ができて、日本人の少子化傾向が是正されて、そしてやがては日本人の労働者も増えてくる。こういう社会を目指すべきであり、国民民主党はそういう方向に向けた政策をこれからしっかり出していきますので、政府にも正面から受けとめていただきたいと思います」

 大塚耕平は安倍政権の新外国人受け入れ政策は外国人技能実習制度が在留資格の入国となっているのに対して無期限に延長可能な初期的期限5年の就労目的の在留資格を設けることになっていて、移民政策にも等しいと主張している。

 大塚耕平自身は「一部の専門家の皆さんは、移民政策だというふうに表現される方もいらっしゃいます」と言っているが、専門家の発言を借りた自身の言葉であろう。

 あとの方で「2015年に出たイングランド銀行のレポートによると、アメリカやイギリスでは外国人労働者の増加が国内労働者の賃金の低下をもたらしたという分析結果があるんです」と言い、「安倍政権のもとでは、賃金が抑制されて外国人労働者に依存するという、こういう傾向が続いている」と発言しているが、要するに大塚耕平は移民政策に反対の思いでいる。

 その反対の思いが外国人労働者の本格的受入れよって受ける「国内の労働者に与える影響」、あるいは「社会保障制度に与える影響」を少ないと見ていて、それらのことを真剣に議論すべきだとの提言となって現れている。

 その一方で大塚耕平は「外国の方を受け入れて、多様性のある社会を目指す。この方向性については共有したいと思います」と発言しているが、外国人採用によって「多様性のある社会」を実現させる代償としてある程度のマイナスは引き受けなければならないという姿勢を示すことができていないのだから、「多様性のある社会を目指す」は見せかけの言葉と化す。

 大体が外国人技能実習制度自体が在留期限を設けた国籍を与えない体のよい一時的な移民政策であり、諸外国の移民政策にしろ、外国人技能実習制度共々人手不足の解消と同時に人件費と生産単価抑制の道具として利用している側面を否応もなしに備えていることは否めないのだから、自ずと国内労働者の賃金抑制の要因となって機能することを問題視すること自体が間違っている。

 日本が中国その他の格段に人件費の安い国に工場を移して、その安い人件費のもと安い製品を大量に生産して日本に輸出し日本で販売する、あるいは安い部品を大量に生産して日本に輸出し、それらの部品を使って国内生産の部品と共に製品に組み立て、国内で販売する、若しくは外国に製品として輸出するのも、結果として国内人件費と生産単価抑制の要因を成し、後者の要因は消費者の利益となって現れている構造は無視できない。

 このこと安倍政権が始めた外国人研究者や技術者、経営者等を活用する「高度外国人材活用」にも現れている。

わが国における外国人労働者を巡る状況について」
(平成22年12月4日厚生労働省外国人雇用対策課)は「一部上場企業本社における外国人社員活用実態に関するアンケート調査」から「高度外国人材の活用状況」を次のように記載している。

 〈その職種をみると、「営業・販売」、「システム開発・設計」が多くを占めている。

 年収を見ると、正社員でも400万円台が最も多い(25.4%)。

(参考)従業員1000人以上の企業における正社員の平均年収は673万円(厚生労働省「賃金構造基本統計調査報告(平成19年度)」〉――

 従業員1000人以上の企業に於ける正社員の平均年収673万円に対して職種が「営業・販売」、「システム開発・設計」が多くを占めているにも関わらず、高度人材活用とされる外国人の年収は273万円も低い400万円台が最も多い25.4%も占めている。

 人手不足も兼ねているだろうが、同時に人件費抑制の対象とされている。多分、本国の人件費と比較した場合は破格の扱いで、不満はないはずだとの考えで日本人人件費よりも安くして使っているのだろう。

 勿論、この人件費抑制策は日本人の人件費に対してもマイナス要因となって働くことになる。

 要するに体のよい一時的な移民政策であろうと、恒久的な移民政策であろうと、日本人従業員に対しても賃金抑制の結果的なマイナス要因となるとを批判すること自体が見当違いということになる。企業は人件費の抑制とこのことを利用した製品単価の抑制を常に考えている。

 大塚耕平が内心では安倍政権の新外国人受け入れ政策は移民政策だと反対していながら、表向きは拙速過ぎると批判しているのに対して安倍晋三は「人手不足が生じているわけでありますから、そこで働いてる人たちのですね、いわば職業の確保には影響がない」とか、平均賃金以下は禁止するから、日本人社員の「賃金にも影響がない」といった答弁をしている。

 〈外国人技能実習制度は日本の企業において発展途上国の若者を技能実習生として受け入れ、実際の実務を通じて実践的な技術や技能・知識を学び、帰国後母国の経済発展に役立ててもらうことを目的としている。〉とネットで紹介しているが、その賃金は最低賃金法に定める最低賃金額以上の額を支払うことと規定している。

 外国人技能実習制度を利用した雇用外国人に対しての報酬は、“最低賃金法に定める最低賃金額以上の賃金”に限るという規定が制度の素晴らしい名目に反して最低賃金額で働かすことのできる職種を抱えた職場に雇用が集中する結果を招いている実態があるはずである。

 その実態とは、あからさまに言うと、日本人が従事したがらない3K職種などに低賃金で使える労働者として受け入れる状況を招いているということであろう。

 このことは次の記事が証明している。「技能実習、7割の事業所で法令違反 過去最多を更新 悪質なケースは34件」(JOINT/2018.6.25)

 外国人の技能実習生を受け入れている事業所に対して厚生労働省が昨年実施した調査の結果である。

 全国の労働局などが監督指導を行った5966ヵ所のうち、70.8%にあたる4226ヵ所で何らかの法令違反を確認。「労働時間違反」が1566ヵ所(26.2%)で最多。以下、「安全基準違反」が1176ヵ所(19.7%)、「割増賃金の支払い違反(不足など)」が945ヵ所(15.8%)。

 〈繰り返し指導しても改善がみられないなどとして送検された悪質なケースは34件。この中には、最低賃金を下回る賃金で継続的に働かせていたり、時間外労働を非常に長くさせていたりするところがあった。〉・・・・・・

 記事は、〈前年から222ヵ所増え、4年連続で過去最多を更新している。〉と伝えている。

 外国人技能実習制度が“最低賃金額以上の賃金”で使いなさいよと言っていることが殆ど役にも立っていないことの証明でもある。

 だとすると、安倍政権の「新たな外国人材の受入れ」制度に関して「平均賃金を下回るものはだめ」と規定すること自体が「平均賃金」での雇用に集中する状況を招きかねないばかりか、既に見てきたように高度人材活用の外国人の年収が、従業員1000人以上の企業に於ける正社員の平均年収673万円に対して273万円も低い400万円台が最も多い25.4%も占めている事例から見ても、人件費抑制対策とされかねない危険性を抱え、この危険性は、当然、日本人の人件費に対してもマイナス要因となって働くことになって、「賃金にも影響がないようにしなければならない」と言っていることは体のいい奇麗事に過ぎないことになる。

 「人手不足が生じているわけでありますから、そこで働いてる人たちのですね、いわば職業の確保には影響がない」と言っていることに関しても、平均賃金以下の日本人労働者が多く存在している以上、平均賃金周辺の仕事は外国人に任せることになって、同程度の仕事をしている日本人従業員は職業の確保自体に影響はなくても、同程度の賃金で雇用できる外国人に押しのけられる形で平均賃金以下の仕事に回されない保証はなくなる。

 つまりどのような外国人採用であっても、企業が従業員の利益第一ではなく、自らの利益第一の原則に立つことと不利を被らない日本人労働者が現れないとは断言できないことを考えると、外国人受け入れが人手不足の解消のみに役立って、日本人労働者の賃金に関係しないといった安倍晋三の言い回しはどう解釈しようと、実態を反映しないその場限りの答弁であって、だからこその奇麗事と言うことになる。

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