安倍晋三:従軍慰安婦強制連行否定2007年3月16日閣議決定 「政府が発見した資料の中には、軍や官憲がいわゆる強制連行を 直接示すような記述も見当たらなかった」とする “政府発見資料”とは如何なる資料か、公表すべき |
安倍政権は2018年7月8日午前8時に災害対策基本法に基づき内閣総理大臣が臨時に設置する「非常災害対策本部」を設置した。「首相動静」(時事ドットコム/2018/07/08-14:41)を見ると、7月8日午前8時31分に東京・富ケ谷の私邸を出発。同42分に官邸着。同9時2分から同22分まで、非常災害対策本部会議に出席している。
「平成30年7月豪雨非常災害対策本部会議(第1回)」(首相官邸/2018年7月8日) 安倍晋三「今回の大雨により、川の氾濫や土砂崩れなどによる死者は48人、心肺停止の方が28人となり、甚大な被害が広範囲で生じ続けています。 お亡くなりになられた方々に、心よりお悔やみを申し上げますとともに、全ての被災者の皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。 今なお、安否不明の方が多数いらっしゃいます。浸水の恐怖の下で、孤立して救助を求めている方もおられます。救命救助、避難は時間との戦いです。5万4000人の救助部隊の諸君が、懸命に救助に当たっていますが、事態の変化に応じ、救助部隊の体制を機動的に強化するなど、引き続き、全力で救命救助、避難誘導に当たってもらいたいと思います。 また、現在、多くの方が避難所などで、不安な時を過ごしています。各位にあっては、これまでの災害の教訓を十分にいかし、被災府県、被災市町村としっかりと連携しながら、プッシュ型で、不足している物資の供給、災害対応に当たる要員の人的支援、ライフラインの早期復旧に向けた支援を行うなど、また明日から暑くなると予想されるわけでございますが、避難所の環境への対応、そしてまた、仮設、そして公共住宅の活用も含めたみなし仮設等の準備に向けてしっかりと対応していただきたいと思います。先手先手で被災者の支援に当たってください。 現在も、大気が不安定な状態が続いており、岐阜県、愛媛県、高知県では大雨特別警報が発令されています。国民の皆さんには、引き続き、自治体や気象台が発表する避難や気象情報等に十分注意し、早めに避難するなど、安全確保に努めていただきたいと思います」 |
安倍晋三は先ず、「死者は48人、心肺停止の方が28人」と、西日本の13府県に亘る広域豪雨が既に多くの死者を出し、心肺停止状態で発見された被災者が28人にものぼっていることを明らかにしている。
《「心肺停止」と「死亡」の違い》(違いがわかる事典)によると、心肺停止とは心臓と呼吸(肺の動き)が停止した状態を言うが、心臓マッサージやAED(自動体外式除細動器)、人工呼吸などで蘇生する場合があるものの、心臓が停止し、脳に血液が行かなくなると、4~5分程度で脳は回復不可能な障害を受ける関係から、その間に迅速な救命措置を受ける機会を失うと、死に至ることになると解説している。
但し日本では、心肺停止(心停止と呼吸停止)のほかに、脈拍停止と瞳孔散大の4つを確認し、医師が死亡を宣言しなければ「死亡」とはならず、医師以外の者が死亡を宣言することはできないと言うことだから、誰が見ても明らかに死亡していると分かっていても、医師の死亡宣言待ちの死者であって、そのような死者を心肺停止という状態に置いていることになる。
このことを裏返すと、28人の心肺停止者は、例え残酷な言い方ではあっても、心肺停止で発見された時点で、あるいは心肺停止で発見されてから5分も経過した時点で医師の死亡宣言待ちの死者と見ることができる。
いずれにしても安倍晋三が言っている「死者は48人、心肺停止の方が28人」は(「非常災害対策本部会議」開催前の7月7日22時52分の時点で「NHK NEWS WEB」記事は、「51人死亡、3人重体、48人安否不明」と伝え、今朝8月9日のNHKニュースでは、「88人死亡、4人重体、58人不明」と伝えていた)自然の猛威に直撃された人的被害であって、猛威の直撃に対して政治は為す術もなく、無力であることの証明でもある。
安倍晋三が「多数いらっしゃいます」と言い、NHKニュース「58人」と伝えている安否不明者にしても、近親者は最後の最後まで無事を祈ることになるだろうが、大雨による山崩れや土石流の直撃を受けて家が崩壊し、土砂や泥水と共に建物内に身動きできない状態で閉じ込められた場合、あるいは直接山崩れや土石流の直撃を受けるか、大水に飲み込まれて流された場合、土砂・泥水が呼吸困難状態をつくることになって救出の可能性を極端に小さくし、逆に死亡状態で発見される可能性が大きくする現実から、そのうち死者の数に入れられることになることも、自然の猛威の直撃に政治が為す術もなく、無力であることの例に洩れない。
また、安倍政権は防災・減災をあれ程言いながら、自然の猛威を振るうに任せざるを得ない点でも、政治の無力を証明して有り余る。
結果、当座の間政治が精々できることは自然の猛威が去ったあとのその直撃を避けることができた「被災者の支援」ぐらいとなる。だから、安倍晋三にしても、「浸水の恐怖の下で、孤立して救助を求めている」猛威の直撃を避けることができた生存者に対する「救命救助」しか、やることとして残されていない。
当然、行政府の長として安倍晋三は自然の猛威に対して政治は為す術もなく、無力であることを誰よりも弁え、謙虚な気持で自然災害に対峙し、生死の別なく、国民の一人ひとりである被害者と向き合う責任を有していることになる。
ところが、自然の猛威に対する政治の無力ゆえに残されている「被災者の支援」はどの災害でも、これまでも様々な局面で何らかの手落ちがあって、満足に政治の責任を果たしているとは言えない。当然、この点についても、謙虚な気持で万全を期す対応を指示しなければならない。
安倍晋三は、「救命救助、避難は時間との戦いです」と言い、「先手先手で被災者の支援に当たってください」と言っている。確かに被災者支援に関しては「時間との戦い」も、「先手先手」も、必要な対応事項ではあるものの、既に死者と安否不明者が100人近くにも達している自然災害そのものに関しては「時間との戦い」も、「先手先手」も政治の無力ゆえに何の役にも立っていなかったし、何ら出番を与えることもできなかったのだから、これらのことと、各災害で繰返すことになってきた被災者支援の不完全性への用心との兼ね合いで、そうすれば何ら手落ちは生じることはないといった完璧性へのニュアンスを窺わせる言葉ではなく、「被災者の希望に応えることができるよう、手落ちなく慎重に事に当たって頂きたい」ぐらいに言葉のトーンを抑えるべきだったろう。
完璧性を約束できるわけでもないのに言葉にそのニュアンスを持たせるのは聞こえの良さを狙っているからに他ならない。安倍晋三がよく使う手だが、聞こえの良さで自身の有能さをひけらかそうとする。
死者・生者関係なしに被災者に親身であったなら、言葉の使い方で有能さを見せようなどといった謙虚さとは正反対の不届きな気持は起こらない。誤魔化しの弁舌の達者な政治家が気づかずに陥る自らが拵えた罠といったところだろう。
大体が重大な土砂災害や浸水災害が発生する怖れが著しく大きい状況が予想される大雨特別警報が岡山県下に発令されたのは2018年7月6日午後19時39分。それまで大雨注意報や洪水注意報が断続的に発令され、大雨警報に続いて大雨特別警報となった。
広島県に大雨特別警報が発令されたのが2018年7月6日午後19時40分。広島県もその前に洪水警報や洪水注意報、大雨注意報が断続的に発令されていた。「NHK NEWS WEB」 記事が次々と死者が出たことを次々に伝え始めたのは、調べた限り、7月7日の夕方からである。広島県と岡山に大雨特別警報が発令されたのは7月6日20時近く。安倍政権が「非常災害対策本部」を設置したのが7月7日の内にではなく、丸々一日置いた7月8日午前8時。
この点を取っても、自然の猛威に対する畏れ多さや謙虚さは窺うことはできない。安倍晋三が災害が起きるたびに使う「国民に寄り添う姿勢」にしても、同じ性根から出ている聞こえの良さを狙った言葉に過ぎないのだろう。自身の有能さをひけらかすことだけが長けている。