「生活の党と山本太郎となかまたち」
《8月2日(日)山本太郎代表のテレビ出演ご案内》
こんにちは、生活の党と山本太郎となかまたちです。
山本太郎代表が8月2日(日)のNHK『日曜討論』に出演し、「安保法案について」10党の実務者で討論し
ます。
是非ご覧ください!
◆番組名:NHK『日曜討論』 ~安保法案 参院審議入り 10党に問う~
◆日 時:平成27年8月2日(日)午前9:00~10:15
◆内 容:安保法案について10党の実務者で討論
・集団的自衛権と憲法の関係について
・安全保障環境の変化について
・外国軍隊への後方支援について 他
※番組の詳細
安倍晋三が7月30日午前の参院平和安全法制特別委員会で朝鮮半島有事に際して北朝鮮に拉致された日本人被害者への対応策について次のように述べていると「時事ドットコム」記事が伝えている。
安倍晋三「米国が拉致被害者を救出することが可能な状況が生じた場合も想定しながら、被害者の情報を提供し、安全確保をお願いしている」
自民党の塚田一郎への答弁だそうだが、安倍晋三は自分が何を言っているのか気づいているのだろうか。
同7月30日午後の参院平和安全法制特別委員会でも右翼歴史修正主義者中山成彬を亭主とする次世代の党の中山恭子に対しても似た答弁をしている。ちょっと文字に起こしてみた。
中山恭子「邦人保護、主として北朝鮮による拉致被害者の救出についてお伺いします。総理は今回の(安保)法整備は国民の命、平和な暮らしをま守るためのものであるとおっしゃられています。
そうであれば、現に北朝鮮に拉致され、長期に亘って監禁状態になっている日本人の拉致被害者を救出することはまさに今回の法整備の主要な目的とされて然るべきものと考えます。
しかしどの法改正の項目を読みましても、在外邦人等の保護措置は自衛隊法第84条の3の改正項目を見ましても朝鮮半島の有事・動乱時に北朝鮮拉致被害者を救出できるようにはなっておりません。
今回の法整備に於いて北朝鮮に監禁されている被害者を救出することが念頭に置かれていなかったんでしょうか。総理、お伺いします」
安倍晋三「今回の平和安全法制の検討過程に於いては海外におられる邦人の命をどのようよに守るべきかということも考慮に入れました。そのような邦人中には拉致被害者の方々がおられるのは当然のことであります。
一方で自衛隊の活動については国際法上の観点や我が国の憲法の観点から、一定の制約があり、今回の法整備によっても自衛隊の活動には限界があることもご理解を頂きたいと思います。
いずれにせよ、拉致被害者の方々の安全確保は極めて重要であり、その際同盟国である米国との協力は極めて重要であると考えています。これまで米国に対しましても拉致被害者に関する情報を提供してきております。
これは(中山恭子)委員が第1次安倍政権のとき、補佐官として米国と共同して、そうした動乱状況になったときにはですね、米軍による救出等を含めて検討すべきだということをお話になって、そういう体制をつくるべくですね、検討してきたわけでございますが、これまで米国に対して拉致被害者に関する情報を提供してきておりますし、拉致被害者の安全が脅かされるような事態に至った場合に拉致被害者の安全確保のための協力を米国政府に対して依頼をしているところであります」(以上)
安倍晋三は北の指導者金正恩がなぜ拉致解決に向けて本格的に腰を上げないのかを考えて、それなりの答を見つけ出したのだろうか。
金正日もそうだったが、金正恩にしても北朝鮮の経済の立て直しと国の発展のために日本の戦争賠償と経済援助、そして日本との経済交流を強く望んでいるはずだ。拉致を全面的に解決させれば、ミサイル開発問題は残るが、それなりの経済的な見返りを手にすることができる。
だが、経済制裁を受けてまでも、自分の方から拉致解決に積極的に動こうとしない。いわば経済的欲求(=欲している国益)とは逆の方向――国家の損失となる方向に舵を取っている。
考えることのできる答は拉致問題を解決した場合、解決しないことで失っている計算となる、決して小さいものではないはずの経済的な国家的損失を上回る別の何らかの国家的損失を受ける障害を予想しているからではないか。
そのことが日本政府の拉致解決要請にストレートに応じない北朝鮮側の態度となって現れているはずだ。
そういった障害が予想されなければ、拉致解決に応じることで、応じない場合の経済的な国家的損失を排して、経済的欲求(=欲している国益)の充足に向けて動き出していたずだ。
では、拉致解決に応じない場合の経済的な国家的損失に優る、応じた場合の国家的損失とは、拉致解決に応じない場合の経済的な国家的損失に兎に角耐えているのだから、当然日本との関係で生じている経済的な問題ではなく、北朝鮮自身の社会的・政治的な問題――国家体制に関係する損失を考えなければならないことになる。
金正恩の自身に対する至上命令は金正日から父子継承した独裁政権を守り、それを自身の子どもへと父子継承することにあるはずだ。いわば金王朝の絶え間ない継続であろう。
この金日成から始まった親から子への現在のところ3代に亘る父子継承は父親を正義の存在とすることによって、その正統性を得て、自身の政権をも正義とすることができる。金正日は父親の金日成が正義の存在であることによって、その父子継承と自身の政権を正義とすることができ、金正恩は父親の金正日を正義の存在とすることによってその父子継承と自身の政権を正義とすることができる。
逆説するなら、いかなる事態が生じても、子は父親の正義を暴いてはならない絶対的制約を受けている。正義を暴いた場合、父子権力継承の正統性を失いかねないし、失えば、政権自体の正当性を失い、国家体制の土台そのものを揺るがしかねない。
拉致問題を解決しないことで失っている経済的な国家的損失に優る、拉致問題を解決した場合の被るかもしれない障害となる国家的損失とは父子継承した国家体制維持への影響以外にあるまい。
拉致首謀者は金正日である。日本へ帰国させた拉致被害者の内、誰かが拉致に関わる金正日の秘密を知っていたなら、その口からその事実が漏れて、金正日が正義の存在であることを失った場合、金正日の正義とその権力を父子継承した金正恩自身の正義と権力の正統性を揺るがすことになる。
最悪、正統性を暴かれて否定の対象となりかねない。その正統性を否定された場合、その地位を失う可能性も出てくる。
いわば金正恩は自身を絶対的な正義の存在とするためには父親の金正日が絶対的な正義の存在であることを守り通さなければならない。
このことの他に解決すれば経済的利益を受ける拉致解決が進まない理由を考えることができない。
安倍晋三はこのことを深く認識していない。このことは7月31日の「政府・与野党拉致問題対策機関連絡協議会」での発言に現れている。
安倍晋三「安倍政権として、拉致問題の解決は最重要課題であり、最優先で取り組んでまいりました。そして、北朝鮮との交渉にあたっては、『対話と圧力』、『行動対行動』の原則を貫きつつ、拉致問題の解決が最重要であることを粘り強く北朝鮮に伝えてきたところであります。
何よりも大切なことは、拉致問題を解決しなければ北朝鮮がその未来を描いていくことは困難である、との認識を北朝鮮の最高指導者に持たせることであると思っております。その上で、直ちに拉致被害者全員を日本に帰すよう強く要求してまいります」(首相官邸)
安倍晋三は前々から同じことを言っているが、「北朝鮮がその未来を描いていくことは困難」な切迫した状況に見舞われた場合、そのような状況をつくり出した指導者としての責任が問われる局面に立たされることに加えて、父親金正日の正義ばかりか、金正恩自身の正義と権力の正統性を自ら瓦解させる瞬間となりかねない進退窮まった二重の局面を自らつくり出すことになりかねない拉致解決に果たして動くだろうか。
独裁者が選択する最も安易な、だが、最も残酷な、自身の地位の安泰を保証すると考えがちな方法は国民が飢餓に見舞われようと餓死しようと国家が見舞われている諸々の困難を軍隊の力を使って力尽くで抑え込み、力尽くで独裁体制を維持することであろう。
国内的に混乱と無秩序を招く恐れもある。
あるいは自分の代で親子3代父子継承の金王朝の終焉を見たくないために破れかぶれの気持になって韓国に侵略、韓国を軍事的に支配して略奪という形で韓国の経済を自分のモノにする暴発に走らない保証はない。
前者・後者共に中山恭子と安倍晋三が言っている「朝鮮半島の有事・動乱」に当たる。
二人が「朝鮮半島の有事・動乱」の際の拉致被害者の救出を言っているということは、そのときまで拉致問題が解決できない可能性に触れていることにもなる。
金正恩が前者・後者、いずれの方法を選択しようと、あるいは同時にその両方を選択しようと、日本の同盟国である米国が拉致被害者に関する情報提供を受けていて、安倍晋三が「拉致被害者の安全が脅かされるような事態に至った場合に拉致被害者の安全確保のための協力を米国政府に対して依頼をしている」と言っている情報を既に北朝鮮が把握しているか、安倍晋三が今回口にしたことで把握することになるか、どちらであっても、北朝鮮に拉致解決を困難にさせている理由が自身の独裁体制維持に影響するためであるなら、それを守るために、この見方が間違っていたとしても、拉致問題を解決しないことで失っている経済的な国家的損失に優る、拉致問題を解決した場合に被るかもしれない障害となる国家的損失の存在が拉致解決を遅らせている原因であることは否定できない以上、米軍が拉致被害者救出に動く前に、あるいは北朝鮮が国家的な混乱に陥ると同時に諸々の損失から自身を守るために拉致被害者の抹殺に動かない保証はない。
安倍晋三の中山恭子に対する答弁は拉致被害者の生命を危険に曝す発言に他ならない。
「拉致被害者の生命に関わる問題だから、現在お答えできることはない。1日も早い解決を図って、全員の帰国を果たしたい」と言うにとどめるべきだったろう。
解決するためには帰国した場合の拉致被害者の口から金正日の正義を少しでも傷つける情報が漏れ、それが公の情報となることを完全に防ぐ必要がある。いわば金正恩の独裁権力体制維持に協力することである。
「拉致問題を解決しなければ北朝鮮がその未来を描いていくことは困難である、との認識を北朝鮮の最高指導者」に伝えることよりも、「お父様の正義を傷つけるよなことはしません。あなたの国家体制を揺るがすようなことはしません」」と伝えて、そのこと確約することの方が肝心である。