2/15衆院予算委山尾志桜里追及の放送法の政治的公平性 判断対象ではなく判断主体を問題とすべきだった

2016-02-18 09:59:05 | 政治

 なぜなら、時の政治権力者の政治姿勢によって政治的公平性の質も中身も、口では決して認めないだろうが、違ってくるし、言論の自由も表現の自由も、口ではみなさんと同じだと言うだろうが、その質も中身も違ってくるからだ。

 国会で再び安倍政権の報道の自由に対する姿勢が追及を受けることになった。

 2001年にNHKの番組に圧力をかけ、その内容を改変させたとする裁判で、「NHK幹部が政治家の意図を忖度した」と2007年1月の高裁判決で指摘を受けた当時内閣官房副長官の安倍晋三と同経済産業相の中川昭一の自由であるべき報道への介入、2014年月総選挙の約1カ月近く前の11月18日TBS「NEWS23」に出演、番組が街角で拾ったアベノミクスの成果を問う声の殆どが否定的だったところから、「街の声ですから、皆さん選んでおられる」と、放送法が規定している政治的公平性に反した情報操作を用いた番組編集だと独断、その2日後の11月20日に「自由民主党 筆頭副幹事長 萩生田光一/報道局長 福井照」の差出し人名で在京テレビキー局の編成局長、報道局長宛てに番組報道の公平・公正・中立を求める文書を送った報道の自由に対する介入姿勢が国会及びマスコミ報道で問題視された。

 そして今回、総務省の高市早苗が2月9日(2016年)午前の衆院予算委員会で放送事業者が政治的公平性を欠く放送を繰り返し、行政指導でも改善されないと判断した場合は電波法76条に基づいて電波停止を命じる可能性について言及した。

 報道の自由に厳格な安倍晋三とその内閣であるならいざ知らず、自身の主義主張に反する報道・言論に対しては圧力若しくは介入の姿勢を度々見せているし、参院選挙も近づいている。再び安倍晋三の国家主義に反対する選挙報道を牽制する圧力、あるいは介入と見られても仕方がない。

 電波法76条は「総務大臣は、免許人等がこの法律、放送法若しくはこれらの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したときは、3箇月以内の期間を定めて無線局の運用の停止を命じ、又は期間を定めて運用許容時間、周波数若しくは空中線電力を制限することができる。」と規定していて、「放送法」違反を含めた条文となっていて、放送法も第174条で、「総務大臣は、放送事業者(特定地上基幹放送事業者を除く。)がこの法律又はこの法律に基づく命令若しくは処分に違反したときは、3月以内の期間を定めて、放送の業務の停止を命ずることができる。」としている。

 電波法は直接的には政治的公平性を求めていないが、「政治的に公平であること」と規定している放送法第4条2と関連付けられているから、この両法を以って安倍晋三たちは“政治的に公平”の口実のもとにテレビ報道やテレビ番組から反安倍言論の“反”を取り払わせて、それもを以って“公平”とさせようとする衝動を常に抱え、その衝動をときに露わにすることを報道に対する圧力手段の常套手段としている。

 つまり反安倍の論調は許さないという報道介入の姿勢を常に見せている。

 2月15日(2016年)、民主党の威勢のいいオネエサン山尾志桜里が政治的公平性を口実とした高市早苗の電波停止命令の可能性について追及した。

 但し議論の方向が違うように思えた。そのため、埒が明かない質疑となった。

 山尾志桜里「民主党の山尾志桜里です。この予算委員会でテレビ番組の政治的公平性を時の政治的権力が判断できるのか議論になっています。時の政治的権力があるテレビが政治的公平でないと判断した場合は電波停止がなし得る。

 つまりテレビ業を事実上廃業に追い込むことができる。しかも局の番組の全体を見るのではなく、個別の番組でもできる場合があり得る。そういった政府見解が報道を萎縮させ、国民の知る権利を害し、憲法21条に違反しているのではないか。

 こういう深刻な問題が提起されています。今日は高市大臣にお越し頂いております。高市大臣の見解については勿論高市大臣にお聞きしますが、総理の見解については総理にしか答えられませんので、先日この場で安倍政権こそ言論の自由を大切にしていると胸を張ったそうですが、是非質問から逃げずにお答えを頂きたいと思います。

 先ず政府統一見解についてお尋ねします。(左掲のパネルを出す)この政府統一見解を我々が求めたのは、この一つの番組でも判断し得るのか否か。高市大臣は一つの番組でも判断し得る場合がある、こういう見解を繰返し述べております。

 総理はあくまでこの場では一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断する。こう述べるにとどまっていました。そこでこの内閣不一致をどちらに揃えるのか。これがこの統一見解の肝でありました。

 総理の見解が問われたわけですが、あろうことか、高市大臣の見解に揃えてこられました。一つの番組での例えば①や②、こういった極端な場合に於いては一般論として、『政治的に公平性を確保しているとは認められない』

 第1次安倍内政権を含めてそれまでどの政権に於いても、一つの番組でも判断し得るという強権的な判断を示した政権はありません。総理、なぜ解釈を変えたのですか」

 安倍晋三「放送番組はですね、放送事業者が自らの責任に於いて編集するものである。放送事業者は自主的に且つ自立的に放送法を順守して頂くものと理解をしております。

 放送法第4条の『政治的に公平であること』については従来から番組全体を見て判断するとしてきたものであり、これについては何も変更はありません。総務大臣の見解は番組見全体を見て判断するというこれまでの解釈を補充的に説明し、より明確にしたものであります。

 これは政府統一見解で説明したとおりであります。言論の自由を始め、表現の自由は日本国憲法に保証された基本的人権の一つであるとともに民主主義を担保するものであり、それを重視すべきものであることは言うまでもありません」

 山尾志桜里「総理、変わったものを変わっていないと言いくるめてはいけないと思いますよ。ここにあるように一つの番組でも判断し得ると、これが統一見解で示されたわけです。

 これ最初のキッカケは参議院の委員会で自民党議員の質問に答えて高市大臣がこの①、②の名で、こういう場合には一つの番組でも判断し得ると初めて言われた。

 そして去年の秋、市民団体の質問書に答える形でそれが高市ペーパーとして回答された。そして今回、この予算委員会で政府統一見解としてこの高市ペーパーは安倍内閣ペーパーになったわけです。変わっているじゃないですか。

 番組全体を見て判断することと、一つの番組でも判断し得るということ、変わっているじゃじゃないですか。無理を通せば道理が引っ込むでは私はいけないと思います。なぜ変わったのか、総理お答えください」 

 委員長が高市を指名、山尾が「総理、総理」と騒ぐが、高市が答弁に立つ。

 高市早苗「統一見解を出させて頂きましたが、放送法の第4条で『政治的に公平であること』ということにつきましては従来から番組全体で判断するとしてきたことで、従来からの解釈については何ら変更はございません。

 番組の全体を見て判断するとしましても、やはり番組全体は一つ一つの番組の集合体でございますので、一つ一つの番組を見なければ全体の判断もできません。

 その上で個別具体的な事案に於いてでではですね、必要に応じて放送事業者から事実根拠を含めた放送法を踏まえ、放送法を所管する立場から番組全体を見て必要な対応をすると、これは当然なことであります。

 これまでですね、本当に業者に対して放送法第4条の政治的公平に違反したことを以て行政指導を行われた事案ないです。

 一方で第4条との規定の関係に於いて放送番組編集上の重大な過失があったことについて一つの番組に対しても行政(指導)が行われたことはございます。これはどういった場合かと言うと、放送番組が特定の党だけの広報として受け入れられる可能性が高く、政治的公平であることとの関係に於いて放送事業者自身が放送番組の適正な編集を図る上で配慮に欠けていたと認め、その旨の報告が総務省にあり、過失に遺漏があったと認められた場合でございます。

 選挙投票日までに特集番組が組まれ、そして投票日にまでですね、別の見解を示す特集番組などの企画がないなど、そういった極端なケースでございます。そのようにお答え申し上げます」

 安倍晋三「ただ今高市大臣が答弁したとおりでございます。繰返しになりますが、政府統一見解で示した通り総務大臣の見解はですね、番組全体を見て判断するというこれまでの解釈を補充的に説明したわけでございまして、より明確にしたものであるとこのように思います。

 この中身につきましては、番組全体は一つ一つの番組の集合体であり、番組全体を見て判断する際に一つ一つの番組を見て全体を判断することは当然のことであり、ただ今この中に於きまして今までの例としてしてですね、分かりやすく総務大臣から説明があったんじゃないかとこのように思います」
 
 山尾志桜里「番組全体を見るときに一つ一つ番組を見るということと一つの番組でも判断すると言うことは全く別のことであります。一切説明になっていない答弁を二人の大臣が持間を浪費するために使うのはやめて頂きたいと思います。

 どう考えても全体を見るということと、一つの番組で判断するということは違うんです。補充(説明)ではなくて、大幅な拡大解釈で、これは憲法の21条、表現の自由との抵触を更に強める、大幅な憲法解釈だから尋ねております。

 でも今、総理おっしゃいました。今高市大臣がおっしゃったことはそのとおりだと。つまり安倍総理も一つの番組だけでも政治的公平性が判断される場合があると、今お認めになった。

 ついに安倍政権も大幅な拡大解釈に踏み込んだ。私は大変なことだと思います。

 次に総理にお尋ねします。高市大臣はこの前回で玉木議員との遣り取りで憲法9条改正に反対する政治的見解を支持する内容を相当の期間に亘り繰返した内容を放送した場合にも極めて限定的な状況のみという留保をつけながら、電波停止の可能性を否定しませんでした。

 高市大臣の見解は分かりました。総理も同じ見解ですか。総理の認識を求めます」

 安倍晋三「高市大臣は放送法に則ってという状況にあればこの放送法が保証されるというこういう一般論的な話をされたんだろうと思うわけであります。当然、条文にあるわけですから、条文に適合される事態が起こればですね、そういう状況になると、そういう解釈をされたわけでありまして、そういう条文があるということについてですね、これは大切であろうと、このように思います」

 以下延々と続くが、同じことの平行線を辿るのみだから、この辺で切り上げることにする。

 三者の質疑を要約してみる。

 山尾志桜里は冒頭、「テレビ番組の政治的公平性を時の政治的権力が判断できるのか」を問題にした。そしてテレビ番組の政治的公平性を判断する場合、従来はテレビ局の番組全体を見て判断してきたものを一つの番組でも判断することも有り得るに変わってきた。これは国民の知る権利を害し、憲法21条に違反しているのではないかと問い質した。

 因みに憲法21条は「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と規定している。

 高市早苗の答弁は番組全体で判断するとしてきた従来からの解釈に何ら変更はない、「番組の全体を見て判断するとしても、番組全体は一つ一つの番組の集合体だから、一つ一つの番組を見なければ全体の判断はできないため、一つ一つの番組を見た上で番組全体で判断する従来性を請け合った。

 しかし一方で、選挙投票日までに組まれた特集番組が政治的に一方的な見解を紹介し、別の見解を示す特集番組の企画がないといった極端なケースの場合は一つの番組で政治的公平性を判断することもあり得るとして、そのようなケースで行政指導した例を挙げた。

 安倍晋三は自身の見解は高市早苗が答弁したとおりだと追随した。

 山尾志桜里は安倍晋三と高市早苗の答弁に納得せず、「番組全体を見るときに一つ一つ番組を見ることと一つの番組で判断することは全く別のことで、憲法の21条、表現の自由との抵触を一層強めることになる放送法の拡大解釈だ、一切説明になっていない答弁を二人の大臣が持間を浪費するために使うのはやめて頂きたい」といった趣旨の反論をしている。

 どうも不毛な議論に見えて仕方がない。極端な例を上げて申し訳ないが、政治性を一切排したエロ・グロ・ナンセンスの報道を目指しているテレビ局があるとする。そのような番組を朝から夜遅くまで流しているが、ただ一点例外は毎日曜日のゴールデンタイム7時から9時までの2時間だけ、政治的に一方的な主張のみを繰り広げる番組を制作している。

 その内容たるや、例えば安倍晋三好みの天皇主義や日本民族優越主義に覆われていたとする。番組開始早々「天皇陛下バンザイ」を唱え、番組終了の際も「天皇陛下バンザイ」を唱える。戦前の日本の戦争を侵略戦争ではなく、アジア解放の聖戦だったとし、従軍慰安婦は性奴隷ではなく、生活が困難な時代に若い女性に働く場と食の機会を提供した日本軍の善意から出た制度であり、日本民族の優越性を誇る余り、中国人や韓国・朝鮮人はバカばっかだ、劣る人種だと差別発言や蔑視発言を平気で言い放ち、日本に住む朝鮮人や中国人は自分の国へ帰れ、その他のヘイトスピーチを垂れ流す。

 このような場合の政治的公平性の判断はどこに置くのだろうか。

 たった2時間の政治的に一方的な主張を他の百時間以上もある政治性を一切排したエロ・グロ・ナンセンスの報道との兼ね合いで全体の政治的公平性を判断するというのだろうか。いや、判断できるのだろうか。

 政治的公平性を一つの番組で判断しようが全体で判断しようが、番組内で発言した個人の政治信条で判断しようが、判断対象は問題ではないはずだ。

 山尾志桜里は質問の冒頭、「テレビ番組の政治的公平性を時の政治的権力が判断できるのか議論になっています」と発言した。いわば時の政治的権力の政治性に報道が、あるいは報道の自由が左右されることへの危惧であったはずだ。

 この発言の時点では判断の主体を問題にしていたのであって、判断対象を問題としていたわけではない。

 ところ何を血迷っていたのか、直ぐに政治的公平性は一つの番組で判断するのか、番組全体を見て判断するのかと、議論の方向を変えてしまい、その結果、埒の明かない不毛な質疑へと自分から持ち込んでしまった。

 高市早苗はは後の答弁で2010年11月に菅内閣の当時平岡秀夫総務副大臣が「放送事業者が番組準則に違反した場合には、総務相は業務停止命令、運用停止命令を行うことができる」と答弁したことを取り挙げ、安倍晋三も同じことを言って、「民主党政権で同じ答弁をしている。同じ答弁なのに、総務大臣が答弁したからといって、おかしいというのは間違っている」と反論しているが、あくまでも問題とすべきは判断主体であって、判断対象ではない。

 憲法の立憲主義に厳格なリベラルな政治権力者が政治的公平性を判断するのと安倍晋三のような右翼の国家主義者が政治的公平性を判断するのとでは、基本的人権を危うくする危険性はどちらに軍配を上げなければならないだろうか。

 前者はあくまでも立憲主義に即した政治的公平性を求めるだろうが、後者は右翼国家主義に不都合ではない政治的公平性を求めることになることはこれまでの例から明らかだからだ。

 であるなら、放送法が第1条2で「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること」と規定することで日本国憲法の言論等の表現の自由を保障した21条と関連付けられていて、このことは電波法にも関連付けられることで、安倍晋三にしてもそのことを認めていて、その上安倍晋三もその他閣僚も、合憲か違憲かの最終判断、憲法の番人は最高裁だとしている以上、総務大臣の電波法停止命令は、あるいは放送法の政治的中立性に違反したの理由付けによる放送業務の停止命令は最終的には最高裁判所が決めることだと言質を取ることに主眼を置くべきではなかっただろうか。

 勿論、政治的公平性を侵したとの口実のもと、電波停止や業務停止を受けた放送局はその判断の正否を言論等の表現の自由を保障した憲法21条との関係で裁判で争うことになるだろうが、総務大臣が番組の政治的公平性を判断して電波停止命令も放送業務の停止命令も可能だと政治的公平性の判断主体を時の権力者に置くことを不文律(文章の形を取っていない決まり)とさせる印象操作よりも、報道に於ける政治的公平性の最終判断は最高裁判所であることを不文律とさせる印象操作の方が、判断主体にワンクッション置くことができ、報道事業者が時の政治権力者の政治姿勢に抱く恐れや懸念はある程度薄めることができ、当然、権力者の意向を忖度するということも少なくなるはずだ。

 繰返すが、時の政治権力者の政治姿勢によって政治的公平性の質も中身も、口では決して認めないだろうが、違ってくるし、言論の自由も表現の自由も、口ではみなさんと同じだと言うだろうが、その質も中身も違ってくる。

 このことをこそ問題としなければならない。何しろ安倍晋三は右翼国家主義者である。その思想の手前、基本的人権を可能な限り制限したい内心の騒動を抱えている。

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宮崎謙介に欠けていたものは国会議員であることのプライドでは? プライドが自己啓発の最善の自律的教育

2016-02-17 08:14:39 | 政治

 自民党議員宮崎謙介の不倫を理由とした議員辞職表明を受けて自民党が新人議員教育体制を見直すとしたことについて2月15日の当ブログで、〈つまり、新人議員教育対象の115人から宮崎謙介1人を抜いた114人の新人議員教育の成果(少なくとも問題行動を起こしていないという成果)を捨てて、宮崎謙介たった一人の問題行動のために自民党の新人議員教育体制そのものを見直すことにしていることになる。〉と書いたが、マスコミ記事で他に2人の問題行動を起こした議員がいたことを思い出した。

 1人は思想・信条の自由に基づいた若者の反戦活動に対してその思想・信条の自由を否定する発言や未公開株を「国会議員枠で買える」と多くの知人に購入を勧誘、カネだけ振り込ませて株は購入されていなかった上に出資金の一部が返還されていないままのトラブルで自民党を離党した武藤貴也で、もう1人は自民党内の勉強会で講師の百田尚樹への安倍晋三の集団的自衛権憲法解釈行使容認などの新安保法制に反対する「マスコミを懲らしめるには、広告料収入がなくなるのが一番、経団連などに働きかけしてほしい」とお願い発言がマスコミに露見して、これも思想・信条の自由を否定する発言、報道の自由の規制だと問題視された大西英男も、2012年総選挙の初当選組で、2014年総選挙で再選を果たした当選2回組・議員歴3年であった。

 この2人共、当ブログで取り上げていたことをすっかりと忘れていた。

 他にも何人かは問題議員がいるかも知れない。

 書いたことに間違いがあったことになるが、2012年総選挙で自民党が政権復帰を果たしたとき新人議員を大量に擁していたことから始めた新人議員教育対象の115人の内、トンデモ議員――問題行動議員を3人か、あるいは他にもいるとしたら、4人か5人出したに過ぎない。

 いずれにしてもハッキリとしているこの3人の経歴・年齢を見てみると、宮崎謙介は現在35歳で、2003年に早稲田大学商学部卒業後、幾つかの会社を転職してから、参加者がビジネスモデルを作り、その完成度と新規性により優劣を競うビジネスコンテストの運営や就職相談、地域活性化プロジェクト、起業支援等を行う株式会社ネオトラディションを2007年に創業している。

 武藤貴也は36歳、東京外国語大学を卒業後、京都大学大学院修了。自身のサイトに大学院で学んだ教育は外交・安全保障・国際法だと書いている。

 大西英男は1970年に 國學院大學法学部を卒業後、江戸川区会議員を経て東京都議会議員を4期務めてから、国会議員となった69歳。

 3人を社会人として見ると、30代の前二者を含めて立派な学歴と経歴の持ち主である。3人が3人共に国会議員としては新人の域を出ていないとしても、自分から学んでいい年頃と見なければならない大の大人である。

 だが、自民党は各人が備えていていいはずの自分から学ぶ自律的姿勢に任せることができずに新人議員教育と称して、115人もの大量の大の大人に年末年始の計画表まで提出させて国会議員として行動できるよう他律的な教育を施したことになる。

 そして115人の中から3人か、あるいは4人か5人のトンデモ議員を出したからと、5人としてもハズレの確立僅か4パーセント程度であるにも関わらず、教育体制を見直すことにした。

 新人議員教育がこのような経緯を取るということは上がああしなさい、こうしなさい、あるいはこうしてはダメです、ああしてはダメですと他律的に指示し、下に対して上の言うとおりの行動を求める管理教育を構造としているからに他ならない。

 管理教育だから、未成年者相手の教育ならまだしも、大の大人相手に数人の落ちこぼれが出ただけで、自分から自分を国会議員として育てることができなかったとその自律性の欠如を問題とするのではなく、落ちこぼれを出さないための新たな管理教育を考えなければならないことになる。

 国会議員は国会議員を目指す時点で国会議員となった場合に備えて持つことを用意し、国会議員となった場合は国会議員であることのプライドを持たなければならないはずだ。

 私自身はプライドも何もない人間だから、自分自身に関しては偉そうなことは言えないが、国会議員である以上、国会議員であることのプライドが自分から学ぶ自律的姿勢を取らせて、自らの人間性と能力を信じて恃(たの)む自己啓発的な自律的教育へと誘(いざな)い、自ずと国会議員として行動していく姿勢を備えていく経緯を取ることになる。

 だが、宮崎謙介に関して言うと、彼の「記者会見発言」時事ドットコム)を見る限り、そのようなプライドは一切感じさせなかった。  

 記者「女性タレント以外に、別の女性とも結婚後に不適切な関係にあったのか。また、育休取得が売名行為だという指摘もあったが」

 宮崎謙介「女性と関係がなかったとは申さない。ただ、ここから先の話は私だけのことではなくなってくるので、どうかご勘弁いただきたい。

 また、売名行為という話もあった。そう取られてもおかしくない言動をしてしまったと思っている。本当に深く反省しているが、育児休業制度、そして男性の育児参加は日本社会に必要なことなのではないかと思う」

 記者「週刊誌に出た女性以外とも不適切な関係があったということか」

 宮崎謙介「女性とそういう関係があったことは否定しない」

   ・・・・・・・・

 記者「妻から『政治家としての自覚が足りない』と言われたということだが、どのようなやりとりがあったのか。また、育休取得を宣言しながら、このような行動をした理由は」

 宮崎謙介「一言で申し上げると、私自身の非常に未熟な、人間としての欲が勝ってしまったということだ」(引用以上)

 結婚前も結婚後も複数の女性との関係があったことを証言している。その理由に「人間としての欲」を挙げているが、この欲は単に男の性欲のみを指しているわけではないはずだ。

 「Wikipedia」に「経歴をめぐる疑惑」として、〈宮崎の公式サイト略歴には「2010年 京都大学大学院工学研究科非常勤講師就任」との記載があるが、この経歴に対する問題を2016年2月13日に日刊スポーツが報じた。

 報道によると、実際は、京都大学が学外に設けた講座『新産業創成論・ナノテクベンチャー論』において、起業家として、講義を2回行っただけに過ぎないとし、京都大学から正式任命される「非常勤講師」には当たらないとの見方を伝えた。〉と書いてある有名大学の講師だとする経歴詐称は、等身大の自分に飽きたらず、自身を経営者という点で京都大学に講師として迎えられる程にも知性の高い立派な人物だと世間に知らしめたい虚栄心から発しているはずだ。

 成功している起業家であると同時にイケメンであることも虚栄心を誘発させることに役立っているかもしれない。起業する前も起業への志は高かっただろうから、そのような背景のもと、複数の女性関係があった。

 こういったことから窺うことのできる宮崎謙介の女性関係の多さは単に性欲が仕向けている女性関係ではなく、男の虚栄心が育み、仕向けることになる女性に対する征服願望しか見えてこない。

 一般的に虚栄心からの女性征服願望は一人では終わらず、何人の女と関係を持ったといったその数を勲章とすることになる。女子高生が性的に征服価値があると持て囃される時代は女子高生を征服することを勲章とし、女子大生が征服価値が高い社会的風潮の時代は女子大生に対する征服願望を持ち、これぞと思った獲物を仕留める形で征服を果たすと、それぞれを勲章とする。

 結果、職業人として置かれている立場も考えず、家庭での立場を考えもせずに果てしなく複数の女性と関係を持つことになる。

 勿論、宮崎謙介がこのように虚栄心が駆り立てることになる女性征服願望の持ち主かどうかは分からないが、少なくとも国会議員であることのプライドを持って国会議員として自律的に行動していく姿勢を自分から学ぶ自己啓発的な国会議員ではなかったことだけば確実に言うことができる。

 自民党にしても、立候補の時点から、当選した場合に国会議員であることのプライドを持つことができるかどうかで公認か否かを決め、当選以後はそのプライドに期待してそれぞれが自身に対して行う自己啓発的な自律的教育に恃(たの)むのではなく、上から国会議員の行動を律しようとする他律的な管理教育を恃むようなら、再び国会議員であることのプライドもなく問題行動を起こす議員が現れるに違いない。

 勿論、プライドを持たせた自己啓発的な自律的教育にしても絶対ではないが、国会議員であることのプライドを持つことができるかどうかが国会議員としての自律的基準とすることはできる。

 国会議員としてやっていくにはそのプライドにかかっているのだと。甘利明にしてもベテラン議員であることに慣れずに同じプライドを忘れずにいたら、口利き疑惑や金銭受領疑惑に巻き込まれることはなかったろう。

 それとも最初からプライドなどなく、かなり際どいカネ集めをしてきたが、これまでバレなかったとうことだろうか。

 医師の診断を受けて睡眠障害で1カ月の自宅療養を強いられているそうだが、ツィッターに〈取調べの刑事「何もかも正直にゲロすれば、楽になるよ。夜もグッスリと眠れる」〉と投稿したが、プライド喪失が招いた結末といったところだろう。

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萩生田の宮崎謙介不倫辞職を受けた新人議員教育見直しテレビ発言に見る自民党全体を覆った合理的判断力欠如

2016-02-15 09:36:54 | Weblog

 安倍晋三と右翼国家主義を共にするその側近萩生田光一が昨日2016年2月14日フジテレビ放送の「新報道2011」に出演、国会を議員の「育休取得」を提言して一躍脚光を浴びたものの、同じ自民党所属衆議院議員の妻金子恵美の出産入院中に女性タレントと不倫していたことが「週刊文春」で報じられて議員辞職を表明(PM2:15分訂正)した宮崎謙介自民党衆議院議員について司会者須田哲夫から一言求められて発言している。

 萩生田光一「もうコメントないです。これはもう、お詫びするしかない」

 須田司会者「野党から自民党に対する批判も上がっているというのが現実なんですけど」

 萩生田光一「マスコミの皆さんからも指摘されてますけれども、特に2回のみなさんは若い経験不足の方たちが大勢いらっしゃいますから、まあ、人材教育と言いますかね、党内での教育体制というものをしっかりと見直そうということを役員会でもそういう話題になっています」

 萩生田光一が「2回のみなさんは若い経験不足の方たちが大勢」と言っていることは民主党3年の政権の不人気を受けた自民党人気に便乗、自民党が政権に復帰することになった2012年12月16日の投開票の衆院選に立候補して当選を果たし、そして安倍晋三が新安保法制を通すために約2年後の2014年11月21日に衆議院解散散、2014年12月14日投開票の衆議院選に2回目の当選を果たした、宮崎謙介のような約3年の経験しかない若手議員を指す。

 要するに新人議員教育が至らなかったから、妻の出産入院中に女性タレントと不倫するようなトンデモ議員を出してしまったと言っていることになる。

 と言うことは、しっかりとした新人議員教育を行えば、行動に問題のあるトンデモ議員は出てこないことになる。

 自民党は2012年12月26日に総選挙に大勝、政権復帰を決めて以後、大量当選を果たすために新人議員を多く擁していたことから、早々に新人議員教育に取り掛かっていることを「MSN産経」が伝えている。文飾は当方。 

 総選挙の日から約2週間後の2013年1月9日という早い日に当時の自民党幹事長である石破茂の「議員の最低限の『質』を担保したい」との意向を受けて、党主導の新人教育を行うことと、割り当てられた国会内の控室の一部を衆院新人議員を教育する「専用道場」に充てることを決めたとしている。

 そして1月9日から約2週間後の1月22日に早くも専用道場での新人議員教育を開講、「道場」には参院からの鞍替え組を除く115人が集められたと言う。

 記事は末尾で、〈石破氏は、新人に年末年始の計画表を提出させたばかり。数班に分けて行動をチェックすることも検討しており、「スパルタ教育」を本格化させている。〉と解説している。

 要するに国会を離れた個人の行動をチェックすることまで新人議員教育としていた。

 115人という大量の新人議員の中には宮崎謙介も入っていたはずである。

 ところが、2013年1月22日の新人議員教育開講から3年、国会を離れた個人の行動をチェックすることまで新人議員教育に含めていながら、妻の出産入院中にタレント女性と不倫するようなトンデモ議員宮崎謙介を輩出してしまった。石破茂の望みに反して、「議員の最低限の『質』を担保」することができなかった。

 但し宮崎謙介に限ったトンデモ議員の排出であるはずである。

 にも関わらず、自民党の役員会で党内での教育体制を見直すという話題になった。

 と言うことは、宮崎謙介個人の行動を問題とするよりも、自民党の新人議員教育の体制・教育方法・教育内容を、どこか間違いはなかったか問題としていることになる。

 あるいは講師となっているベテラン議員の講師としての資質を、どこか間違いはなかったか反省点としていることになる。

 つまり、新人議員教育対象の115人から宮崎謙介1人を抜いた114人の新人議員教育の成果(少なくとも問題行動を起こしていないという成果)を捨てて、宮崎謙介たった一人の問題行動のために自民党の新人議員教育体制そのものを見直すことにしていることになる。

 まるで長年の時間を掛けて試行錯誤と丹精を込めた末にやっと味・品質共に満足のできる果物を栽培することができたのに、その中にたった一つ味・品質共に遥かに劣る果物が混じっていたからと言って、その栽培方法を見直そうとする、合理性も何もない発想と同じで、合理的判断力を欠いているからこそできる自民党の新人議員教育体制の見直しの発想であろう。

 このような見直しの発想は合理的判断力の欠如が自民党全体を覆っているいなければ出てこない。全体を覆っているからこそ、萩生田光一にしてもテレビに出演して党内での教育体制の見直しについて発言することができた。

 こういった集団が政権を握っている。

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北朝鮮の核とミサイル開発抑止への中国の影響力行使に韓国へのTHAAD配備がカードとならないだろうか

2016-02-14 10:53:02 | 政治

 北朝鮮の国連安保理決議違反となる核実験やミサイル発射に対する新たな制裁決議の採択は主として中国が同調するかどうかがカギを握っていることは殊更言うまでもなく、誰の目にも明らかである。 

 北朝鮮が国連安保理決議違反を犯して今年2016年1月6日、初めての水爆実験を行った。日米韓は強力な新たな制裁決議の採択に向けた協議を開始した。ケリー米国務長官が決議採択に向けて中国の同意を得るべく1月26、27日中国を訪問、1月27日、王毅外相と北京で会談した。

 ケリー長官「我々は、強力な国連安保理決議に向けて共通認識に達する必要があるということで同意した」

 だが、同意の中身たるや、以下のとおりである。

 王毅中国外相「新たな決議は情勢を緊迫化させたり、半島情勢を混乱させるものであってはならず、北朝鮮の核問題を話し合いによる解決という正しい軌道に戻すものでなければならない」〈NHK NEWS WEB

 これまでも中国の姿勢にかかってきた。国連安保理で中国の賛成を得て制裁決議が採択されても、北朝鮮が制裁で受ける経済的マイナスを国境を接している利点を活かして中国が裏で補ってきた。

 1月6日の核実験から1カ月の間、制裁決議のどのような採択にももたついている間に、そのもたつきを嘲笑うかのように北朝鮮は2月7日午前9時30分前後、これも国連決議違反となるミサイルを発射した。

 安倍晋三は北朝鮮が「断じて容認できない」ことを立て続けに行っているにも関わらず、例の如くに「断じて容認できない」と非難、国連安保理での制裁決議採択に向けて国際社会と連携していくことを表明、さらに日本独自の制裁措置を科すため準備を進める考えを示した。

 そしてオバマ米大統領及びパク・クネ韓国大統領とそれぞれ電話会談、国連安全保障理事会での迅速な制裁決議の採択に向けて緊密に連携することを確認、積極的に行動した。

 こういったこともいつもどおりである。

 衆参両院も2月9日のそれぞれの本会議で北朝鮮ミサイル発射に対する抗議決議を可決。

 このような抗議決議を踏まえて政府は2月10日、 対北朝鮮独自制裁措置を決定した。

 ▽北朝鮮国籍者の入国を原則禁止
 ▽北朝鮮籍船舶の乗員らの上陸を原則禁止
 ▽在日外国人のうち、核やミサイルに関連する技術者の北朝鮮渡航後の再入国禁止等、人の往来に関する規制措置の実施
 ▽日本から北朝鮮への現金持ち出し国届け出限度額100万円以上から10万円以上への引き下げ
 ▽北朝鮮向け送金は人道目的10万円以下を除外して原則禁止
 ▽人道目的の船舶を含むすべての北朝鮮籍の船舶に加え、北朝鮮に寄港した第三国籍の船舶の入港を禁止
 ▽資産凍結の対象となる関連団体や個人を拡大(NHK NEWS WEB

 以上の規制がどれ程の効果があるのだろうか。特に北朝鮮向け送金は第三国経由でいくらでも送金できるように思えるが、どうだろうか。 

 韓国も独自制裁に動いた。北朝鮮にある南北共同運営、北朝鮮にとって貴重な外貨獲得手段となっているケソン工業団地の操業全面中断を決定、2月11日から韓国人関係者の撤収作業が開始された。

 工業団地では韓国の中小企業124社の工場が操業、5万4000人を超える北朝鮮の労働者の雇用を担っていた(NHK NEWS WEB)というから金正恩の経済政策にとってかなりの打撃になるに違いない。

 特にこの団地では北朝鮮労働者にドルで支給された賃金が金正恩第1書記の資金管理組織労働党39号室と一体の工業団地管理の中央特区開発指導総局が一括して集金、賃金の30~40%程度の物品交換券を労働者に支給する雇用形式となっていると「時事ドットコム」が伝えているが、記事が〈核・ミサイル開発の費用は39号室から調達されているもようだ。〉と解説していることからして、金正恩に直接的にマイナスの影響を与えて、却って韓国と北朝鮮間の軍事的緊張感を高める要因となる可能性もある。 

 韓国の中小企業業界、韓国経済にとってもかなりの打撃を覚悟しなければならない。尤もこの覚悟は北朝鮮の核開発・ミサイル開発を自国安全保障の観点から断固阻止するという決意の表れでもあるのだろう。

 どの程度の効果があるのか分からないが、日本の独自制裁、かなり効果があると予想される韓国のケソン工業団地の操業全面中断の制裁措置、アメリカも独自制裁を科すようだが、残るは国連安保理の制裁決議の採択だが、依然中国は朝鮮半島の軍事的・経済的不安定化とその悪影響の中国への波及を恐れて表向きは制裁に同意しても、厳しい制裁には慎重な姿勢を取っている。

 この慎重な姿勢を取り払わないことには北朝鮮に対するどのような経済制裁・金融制裁も中国が北朝鮮半島の安定化を口実に補うことになる。

 2015年1年間の中朝貿易額は約55億ドルで、2011年からは5年連続で50億ドルを上回っていると「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。既にリンクが切れているから、ここに全文を参考引用しておく。 


 《中朝貿易50億ドル台続く 北朝鮮経済の支えに》(2016年1月30日 20時14分)

 2015年1年間の中朝貿易額は約55億ドルと、5年連続で50億ドルを上回って高く推移し、北朝鮮に対する国際的な制裁措置が続くなか、中国との貿易が北朝鮮経済を支えている構図が鮮明になっています。

 中国の税関当局が発表した貿易統計によりますと、去年1年間に中国が北朝鮮と行った貿易額は輸出入を合わせた総額で55億1053万ドルで、前の年よりも13.7%下がりました。貿易額が前の年を下回ったのは2年連続で、北朝鮮から中国への主要な輸出品である石炭や鉄鉱石といった鉱物資源の価格の下落や、中国経済の減速が影響したとみられます。

 一方で、中朝の貿易額は、過去北朝鮮が核実験や長距離弾道ミサイルの発射を行ったあとも顕著な減少は見られず、2011年からは5年連続で50億ドルを上回っています。

 北朝鮮を巡っては、今月6日に4回目の核実験を行ったことから、国連の安全保障理事会で新たな制裁決議の採択に向けた水面下の協議が続けられていますが、中朝貿易の統計では、北朝鮮への国際的な制裁措置が続くなかでも、中国との貿易が北朝鮮経済を支えている構図が鮮明になっています。

 また、中国から北朝鮮への原油輸出は統計上は2年続けてゼロでしたが、北朝鮮国内でそれ以前と目立った変化が確認されていないことなどから、中国から北朝鮮への原油供給は続いているという見方が出ています。

 アメリカは北朝鮮の核実験といつかは米本土に届く能力を身に付けるかもしれないミサイル開発と今回の発射事件を受けて移動式の迎撃システム、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備に向けて韓国と協議に入る方針を表明、2月9日、数日中に米韓の公式協議が始まる見通しを示した。

 対して中国は「自国の安全追求に当たり、他国の安全(保障上の)利益を傷つけてはならない。朝鮮半島情勢をエスカレートさせる」(産経ニュース)と韓国へのTHAAD配備に反対する意思を米国に通告、韓国にも同様の反対の意を伝えている。

 米中は軍事的に緊張関係にあるから、THAADの照準が中国本土に向けられる可能性を否定できないからだろう。

 であるなら、なぜTHAAD配備を安保理決議採択への同意ではなく、北朝鮮の現在以上の核開発・ミサイル開発の抑止への中国の影響力行使の条件としないのだろうか。

 北朝鮮が核開発・ミサイル開発を中止して、中止の保証を得ることができれば、THAADの韓国配備は必要ないのだと。北朝鮮がこれ以上軍事的に危険な存在と化すことを想定した韓国防衛と米本土防衛のための止むを得ないTHAAD配備だと。

 北朝鮮が核開発とミサイル開発を進めていく状況は朝鮮半島に巨大な地雷原を埋め込む作業に他ならず。そのような状況下で朝鮮半島の安定化を言うのは自己矛盾そのもの、二律背反に過ぎないと。

 北朝鮮がこのまま軍事的に先鋭化していけば、中国でさえも制御できなくなる危険性すらあると。

 米国と韓国は先ずは韓国へのHAAD配備をカードに北朝鮮の現在以上の核開発・ミサイル開発抑止への中国の影響力行使を求め、それがダメだったなら、ケソン工業団地の操業全面停止に入るべきだったろう。

 そして好きなだけ韓国内へのHAAD配備を進めていくべきだったろう。

 中国が何ら影響力を行使する意思がなければ、安保理は例え決議採択に成功しても、その実効性は今まで同様に中国やロシアによって減殺されて、北朝鮮は再び核実験やミサイル発射を行うことになるはずだ。

 米国も日本も韓国も、今までさしたる効果がなかったにも関わらず、最初から安保理制裁決議採択ありきで行動している。

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丸川珠代の「除染基準1ミリシーベルトに科学的根拠なし」に見るウソつきは泥棒の始まり、環境相の資格なし

2016-02-13 11:22:20 | 政治
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 環境相の丸川珠代の2月7日松本市講演での発言の適切性を2月9日の衆院予算委で民主党の緒方林太郎が「信濃毎日新聞」を情報源として取り上げ、問題視した。  

 東電第1原発事故周辺地の除染目標の基準を年間被爆量1ミリシーベルトとしていることについてだが、同記事が、〈国際放射線防護委員会(ICRP)は、一般人の通常時の被ばく量を年間1ミリシーベルトと勧告している。民主党政権は事故当時、この勧告を基に、国が行う除染の基準を1ミリシーベルトに定めた。〉と解説していることを最初に挙げておく。

 緒方林太郎と丸川珠代の質疑は「衆議院インターネット審議中継」によった。

 緒方林太郎「おとといですね、信濃毎日新聞に起きましてこのような記事が出ています。丸川環境大臣は松本市内で講演し、東京電力福島第1原子力発電所事故を受けて、国が原子力発電所周辺などで行っている除染で基準となる年間被曝量を1ミリシーベルトとしている点について、『反放射能派と言うと変ですが、どれだけ下げても心配だという人は世の中にいる。そういう人たちが騒いだ中で何の科学的根拠もなく、時の環境大臣が決めた』と述べたということが報道に出ていました。

 非常に重大な発言だと思っています。丸川大臣にお伺いします。『何の根拠もない』という根拠は何ですか」

 丸川珠代「先ず大変恐縮なんですが、私このとき政務でしたので、自身の秘書も連れて行かず、記録も取っておりませんので、私はこの発言をこういう言い回しをしたという記憶を自分では、申し訳ありません、持っておりませんで、あの、(民主党政権から)十分な説明がなかったのではないかという趣旨の発言をしました。

 で、実際この基準を決めたこと自体に対して私が問題だと申し上げたのではなく、むしろ、私が今思っていることとしては1ミリシーベルトというのは福島の皆さんが望んでおられる、その基準に合わせて考えていくことは非常に重要だと思っているんですが、一方でその基準に対してそれがどういう趣旨の基準なのかというのは、私はいつまでも除染で1ミリシーベルトまで下げるのだというように理解されている方がおられて、除染だけでは到達できないので、総合的に見ていくのだといつも説明申し上げていまして、1ミリシーベルトという数字を出してここまで進んでくる間にそのリスクコミュニケーションが十分ではなかったのではないかという趣旨の発言をしました」 

 緒方林太郎「記憶にないのはダメですよ。2日(ふつか)前の話です。2日前の話しですよ。これが2カ月前だと言うなら、話は別です。2日前のことを言ったかどうか覚えていないというのは、それでは理屈になっていないと思います。

 丸川大臣、誤魔化さないで下さい。答弁頂ければと思います」

 丸川珠代「ですので、私の記憶によれば、私はこの言い回しはしていないという記憶なんです」

 緒方林太郎「この中でどれだけ下げても心配だという人がいるような発言をしておられるんです。この『どれだけ下げても心配だという人』に被災地の方々も含まれているんですか、丸川大臣」

 丸川珠代「日本中色々な所にいらっしゃると思っています」

 緒方林太郎「被災地の中にはやはり放射能の問題に苦しんでいて、この問題に非常に真剣に(?)見ておられる方々がたくさんいるわけです。そういう人たちを恰も揶揄するような表現で、揶揄しているんじゃないですか、『何の根拠もなく、時の環境大臣が決めた』と、そういう揶揄することでやることが被災地の方々の気持を害しているのです。

 時の環境大臣の判断に何の根拠もなく間違っていたと思いますか、丸川大臣」

 丸川珠代「承知かと思いますが、ICRP(国際放射線防護委員会)が長期的な放射線量の量というのは1から20、1ミリシーベルトから20シーベルトの間で、その地域、あるいは国によって判断をしてくださいという参考値として挙げられておりますよ。

 ですので、その範囲の中で決めるというのが一定の世界的な科学的見地の中で選ぶことでありまして、私は科学的根拠ないというのは、少なくとも私はこういった言い回しをしなかったと申し上げておりますけれども、ハイ、1から20の間で、なぜ1に決めたのかという、その1ミリの数字の性質というのを(民主党政権が)十分に説明しきれていなかったのではないかという趣旨のことを申し上げました」

 緒方林太郎「根拠がないということではなかったということでよろしいですね。で、今、丸川大臣、言ったかどうか覚えていない。自分はこの発言をしていないということでありましたなら、仮に言っているとき、責任を取りますね、大臣」

 丸川珠代「私がお伝えしたかった趣旨はそうではないので、もし誤解を与えるようであれば、お詫び申し上げます」

 緒方林太郎「しかし言い方変わりましたね、言っていないというところから、その趣旨ではなかった、私の本意ではなかったという言い方に変わりましたね。どちらが真実ですか」

 丸川珠代「すみません、おっしゃったとしたらという言い方をされたのか(質問が)ありまして、私申し上げたんですが、私の趣旨が正確に伝わらなかったので、聞いておられた方がそういう風に受け止められたのかというふうに思ってますので、その点については私の言葉足らずで申し訳ないことをしたと申し上げたいと思います」

 緒方林太郎は引き継いで取り上げていくと言って、この件は切り上げた。

 ウソつきは泥棒の始まり。

 丸川珠代は新聞が報道しているような言い回しの発言をした記憶はないが、民主党政権が国が行う除染の基準を1ミリシーベルトに決めたことに「(民主党政権から)十分な説明がなかったのではないかという趣旨の発言をした」と、あるいは「1から20の間で、なぜ1に決めたのかという、その1ミリの数字の性質というのを(民主党政権が)十分に説明しきれていなかったのではないかという趣旨のことを申し上げました」と、自分が申し上げた発言の趣旨はしっかりと記憶していることになる。

 発言を聞いた複数の人間のそれぞれの記憶の正確さを問題としているならいざ知らず、発言そのものを行った特定の個人の中で発言の趣旨を明確に記憶していながら、新聞が報道している発言に関してはそのような言い回しの発言をした記憶はないという正反対の記憶状況が起こるだろうか。

 自身の発言の趣旨を明確に記憶しているなら、新聞が報道している発言を、「そんな発言はしていない」と否定してこそ、自然で正常な記憶であるはずである。

 丸川珠代の答弁から窺うことのできる趣意は、ICRPが1ミリシーベルトから20シーベルトの間と勧告しているのに民主党政権が除染基準を1ミリシーベルトと決めてしまったから、除染がいつまで経っても完了しないと、そのことの不満と20ミリシーベルトにしたい願望である。

 だったら、原子力規制委員会等に問題提起して変更を求めるべき問題であって、講演で話すべき問題ではないはずだ。

 だが、問題提起したら、被災地の住民ばかりか、多くの国民の反発を買って参院選に影響するから、講演で発言することになったといったところに違いない。

 丸川珠代「ICRP(国際放射線防護委員会)の長期的な放射線量の基準が1ミリシーベルトから20シーベルトの間」と言っていることが正しいことなのかどうかネットを調べてみた。《ICRP勧告(1990年)による個人の線量限度の考え》なるネット記事に次のような記述がある。文飾は当方。

 〈がん、遺伝的疾患の誘発等の確率的影響に関しては、放射線作業者の場合、容認できないリスクレベルの下限値に相当する線量限度を年あたり20mSv(生涯線量1Sv)と見積もっている。公衆に関しては、低線量生涯被ばくによる年齢別死亡リスクの推定結果、並びにラドン被ばくを除く自然放射線による年間の被ばく線量1mSvを考慮し、実効線量1mSv/年を線量限度として勧告している。〉―― 

 放射線作業者の場合は年辺り20ミリシーベルト、公衆、いわば一般人は年間の被爆線量限度を1ミリシーベルトと勧告していると書いてある。

 丸川珠代は放射線作業者と一般人を区別せずに「承知かと思いますが、ICRP(国際放射線防護委員会)が長期的な放射線量の量というのは1から20、1ミリシーベルトから20シーベルトの間で、その地域、あるいは国によって判断をしてくださいという参考値として挙げられておりますよ」と答弁したことになる。

 丸川珠代の除染基準線量を1ミリシーベルトから20ミリシーベルトとしたい願望は被災地の一般住民の年間被爆線量を放射線作業者と同じ20ミリシーベルトに上げても問題ないとする考えに立っていることになる。

 要するに除染の効率だけを考えて、特に福島の放射能被曝に日々関係しなければならない住民の健康、その生命(いのち)を度外視しているからできる丸川珠代の発想であろう。

 2月9日の衆院予算委での答弁から3日経過した2月12日夜、環境省で記者会見し、新聞が報道していた発言を認めたと「NHK NEWS WEB」が伝えている。  

 その発言を記事と記事添付の動画から見てみる。

 丸川珠代「私が『何の科学的根拠なく、何の相談もなく』と発言したことは確認を致しました。こうした発言は事実と異なるものであり、当日の発言の内、福島に関連する発言をすべて撤回させて頂きたいと思います。

 福島を始めとする被災者の皆様には誠に申し訳なく、改めて心からお詫びしたいと思います。福島の皆様の思いにしっかりとこれからも応えていくことが私の大切な責務だと思う。引き続き職責を果たしたい」――

 除染基準線量を1ミリシーベルトから20ミリシーベルトとしたい抑え難い願望が「反放射能派と言うと変ですが、どれだけ下げても心配だという人は世の中にいる。そういう人たちが騒いだ中で何の科学的根拠もなく、時の環境大臣が決めた」といった何の根拠もない発言となって現れた。

 このような発言をすること自体が既に「福島の皆様の思いにしっかりと応えてい」ない何よりの証明であって、いくら言葉で「これから応えていく」と言ったとしても、職務だから行い、結果としてそうなる程度のことしか期待できないと見ないわけにはいかない。

 このことは除染の効率だけを考えて、住民の生命(いのち)や健康を度外視しているところにも現れている。

 環境相としての資格があるとは思えない。丸川珠代には泥棒こそ相応しい職業ではないのか。

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安倍晋三「任命責任は首相の私にあり、国民に謝罪する」はこの呪文で任命責任のカタをつける一種の通過儀礼

2016-02-12 10:22:51 | 政治

 ――閣僚の「政治とカネ」の問題に関わる首相の任命責任は二度とそのような閣僚を出さないこととすべき――

 安倍晋三は第1次安倍内閣から今日まで7人の閣僚を「政治とカネ」の問題で辞任させている。内4人が今回口利き疑惑・金銭受領疑惑を受けて辞任した経済再生担当相甘利明を含めて第2次安倍内閣以降である。第2次以降が1人上回ることになる。

 これ程の数は安倍内閣だけだと言うことだが、なかなかの見事な成績である。

 安倍晋三は辞任の度に「任命責任は首相の私にあり、国民に謝罪する」とほぼ同じことを繰返し言っている。いわばこのような言葉で任命責任を済ませている。安倍晋三本人からすると、このような言葉を任命責任を果たす言葉としていることになる。

 似たような言葉を繰返し言うと、呪文の性格を帯びることになる。辞任の度に似たような呪文で済ませているということは、このような呪文を以って任命責任のカタをつける一種の通過儀礼としているということであろう。

 犯罪人が犯罪を犯すたびに「犯罪を犯した責任は私にあり、迷惑をかけた方々に謝罪します」と言って、その発言で自分の犯罪のカタをつけ続けたとしたら、やはり同じ言葉を呪文にカタを付ける通過儀礼としていることになる。

 もし後任の閣僚がしっかりと役目を果たすよう監督・指示するのが任命責任だとするなら、辞任した前任者に対して同じように監督・指示できなかった任命責任は依然として残る。
 
 2014年当時経済産業相だった小渕優子の2005年~2007年の後援会会員明治座観劇会で参加費収入は合計1199万円、政治資金収支報告書に明治座支出金として記載した同時期の金額は合計約6529万円。この差額約5330万円は小渕優子後援会側が立て替えなければ収支合わないことになる。この立て替えが有権者への利益供与を禁じた公職選挙法に違反する可能性があると国会で疑惑追及を受け、他にも選挙区有権者に自身の写真入りカレンダーやワインを贈ったことがマスコミに報じられて、2014年10月20日に辞任。

 同じ2014年10月20日に地元有権者にうちわ配布の疑惑が報道されていた法務大臣に任命されたばかりの松島みどりが辞任、安倍内閣が「女性活躍」の目玉とした女性閣僚のダブル辞任となった。

 ダブル辞任後の10月30日の衆議院予算委員会。小渕優子の松島みどりの辞任について以下のように発言している。

 安倍晋三「国民の皆様に大変、申し訳ない思いで、任命責任者である私の責任であると痛感している。山積する課題にしっかりと立ち向かい、問題を解決していくために全力を尽くしていく。政治に遅滞があってはならない」(NHK NEWS WEB

 国民に謝罪し、首相である自身に任命責任があることを認めている。

 次は農水省だった西川公也の辞任である。政治資金規正法が補助金の交付決定を受けた会社が1年間献金することを禁じているにも関わらず、西川が代表を務める政治団体が農水省の補助金交付が決まっていた砂糖業界の関係団体から100万円の献金を受けたていたことが判明。

 この経緯がかなりややこしい。

 農林水産省の「さとうきび等安定生産体制緊急確立事業」で13億円の補助金交付が決まっていたのは砂糖メーカー11社と1団体(日本製糖協会)が加盟する会員団体「精糖工業会」。

 西川公也が100万円の政治献金を受けたのは「精糖工業会」が運営するビル管理会社「精糖工業会館」。社長は同じで、両者の役員は重なり、事務所も同じビルのフロアにある。

 当然、農水省の「精糖工業会」への13億円の補助金決定に西川公也が関わり、その謝礼に「精糖工業会」が直接西川公也への献金はまずいからと「精糖工業会館」を迂回させて100万円を献金したのではないのかという疑惑が生じる。

 西川公也はまた、自身の政党支部が国の補助金を支給された栃木県の木材加工会社から300万円の献金を受けていたことでも国会で追及を受けている。

 西川公也は国会での追及に満足に答弁することができずに「説明をしても、分からない人には分からない」と名ゼリフを吐いて2015年年2月23日に辞任。

 何ら疚しくなければ辞任することはない。

 安倍晋三(総理大臣官邸で記者団に)「任命責任は私にあり、国民の皆様におわび申し上げたい。(後任の)林新大臣の下、与党と協力してしっかりとした新しい農政を進め、若い皆さんが農業に魅力を感じる農政、そして農山漁村の所得倍増を目指して頑張っていきたい。政策を力強く推進していくことによって責任を果たしていきたい」(NHK NEWS WEB

 ここでも同じ呪文を唱えている。「任命責任は首相である自分にあることと国民への謝罪」である。

 呪文となっているこの手の発言で任命責任を遣り過ごしているのだから、まさしくこのように発言すること自体が通過儀礼そのものとなっていることを意味する。

 次いで2016年月28日の甘利明の辞任と相なるのだが、その間に自ら受けていた政治献金に対して税控除を受けていた当時防衛大臣だった江渡聡徳(あきのり)の件がある。第3次安倍内閣の組閣に際しての閣僚全員留任の意向に反して野党の激しい追及に屈して留任を辞退した。

 辞任という形を取らせないための内閣改造だったのかもしれない。そうではなくても、内閣改造がなければ、留任辞退という形式を取ることができないから、辞任に追い込まれていた可能性は高い。

 言ってみれば隠れ辞任と言うこともできる。これを入れれば、第2次安倍内閣では5人の閣僚が「政治とカネ」の問題で辞任ということになったかもしれない。

 2016年2月2日衆議院本会議で甘利明の任命責任を問われて。

 安倍晋三「閣僚の任命責任は内閣総理大臣たる私にあり、私の任命した閣僚が交代する事態を招いたことは、国民に対して大変申し訳なく感じている」(NHK NEWS WEB

 例の如くの呪文、「任命責任は自分にあることと国民への謝罪」を言い、この呪文を以って任命責任のカタをつける一種の通過儀礼としている。

 安倍晋三にとってこの呪文が単なる通過儀礼でしかないから、何人の閣僚が「政治とカネ」の問題で辞任しようが、辞任の度にこの呪文を唱えて任命責任のカタをつけ続けることになる。

 今後同じような閣僚の辞任が起きても、同じ通過儀礼を繰返すことになるだろう。

 閣僚の方も任命責任者たる首相がその程度で任命責任のカタをつけることができると学習することになって、あるいは既に学習しているに違いない、自らの「政治とカネ」の問題にさしたる危機感を持たないことになる。

 閣僚の「政治とカネ」の問題に関わる首相任命責任はこの手の呪文でカタをつけることができる通過儀礼とせずに、「政治とカネ」の問題で辞任する閣僚を二度と出さないことに基準を置くべきではないだろうか。二度目を出したらアウトだと。

 このような規準を設けたなら、閣僚を狙う国会議員は任命責任者の首相の辞任を誘うことになるから、「政治とカネ」の問題に緊張感を持つことになるし、首相自身も、二度目はアウトだとなったら、閣僚の任命に緊張感を持って臨むことになる。

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安倍晋三が言うが如くに「政治家一人一人の自覚」が“政治とカネ”の問題解決となるなら、殺人すら起きない

2016-02-11 09:08:41 | 政治

 2月10日(2016年)、衆院予算委員会で“政治とカネ”の問題について集中審議が行われた。閣僚の“政治とカネ”の問題が極くごく珍しいことではなく、跡を絶たないから、税金を使って集中審議しなければならなくなる。

 公明党の国重徹が甘利明の口利き疑惑・金銭受領疑惑に絡んで質問に臨んだ。

 公明党は“政治とカネ”の問題については一貫して厳しい姿勢で取り組み、「斡旋利得処罰法」や「官製談合防止法」、「政治資金規正法」の3つの法律を作ったと公明党の宣伝を前置きに最後に次のように問い質した。

 国重徹「総理には“政治とカネ”の問題にはケジメをつける。そのためには是非総理のリーダーシップを発揮して頂きたい。安倍総理の決意をお伺いします」

 「ケジメ」と言う言葉の意味は「物と物との相違。区別。道徳や規範によって行動・態度に示す区別。節度ある態度」等の意味があるが、国重徹はここでは最近良く使われる「決着」という意味で使っているはずだ。 

 安倍晋三の答弁は例の如く質問の主意に的確に答えずに、ときには答えずじまいで、関係のないことを長々と持ってくる前置きが兎に角長い。自分が初当選したのは金丸事件が発生して“政治とカネ”の問題や選挙制度の問題、政治改革が大きなテーマとなった平成5年の総選挙で、自民党は野党となった、その後政治資金に関する法改正等、様々な改善がなされ、その中でおん党が改革の中心的役割を担ってきたことに敬意を表する等々、さも尤もらしく喋ってから、国重が求めた「ケジメ」とはならない結論を総仕上げとした。

 安倍晋三「政治資金を適正に扱うための法規制や罰則は強化され、また政治活動に要するコストは誰がどのように負担するか、そういう観点から国民の理解を頂き、政党助成金制度が創設されたところでございます。

 しかしながら規制や罰則が如何に整備されたとしても、つまるところ、この問題は政治家一人一人の自覚を持って行動するか否かにかかっている、このように思います。

 自らの政治資金について国民の信頼を損なうことのないよう、法に則って、適正に取り扱い、自ら襟を正し、必要に応じ説明責任を果たしていく。そうすることによって国民の負託に応えていかなければなりません。

 今回閣僚が交代することを招いたことについては国民の皆様に大変申し訳なく思っております。政治家の一人として姿勢を正して国民の負託に応えて、このことを政(まつりごと)に関わらず、携わる者の中でしっかりと共有するようにしてまいりたいと思います。

 この問題につきましては政府・与党・野党の区別なく、政治家一人一人が自覚を持って、その責任を果たしていくことが大切ではないかと、このように思っています」――

 甘利明個人の“政治とカネ”の問題を「政府・与党・野党の区別なく、政治家一人一人の自覚」に拡散させてしまう手際、そのゴマカシは流石である。

 いくら言葉巧みに誤魔化そうと、言っていることの矛盾まで誤魔化すことはできない。

 国重徹は“政治とカネ”の問題にケジメ(決着)をつけるよう求めた。そのためのリーダーシップを求めた。対して安倍晋三は「政治家一人一人の自覚」をケジメの方法とした。

 大したリーダーシップである。

 「政治家一人一人の自覚」が如何なるカネに対しても絶対的に発揮され得る誰一人欠けることなく全ての人間に備わった万能な精神作用とすることができるなら、“政治とカネ”の問題についてそのような精神作用に任せれば、何も“政治とカネ”の問題は起こらなかったはずである。“政治とカネ”の問題を取り締まる「斡旋利得処罰法」や「官製談合防止法」、「政治資金規正法」といった法律の制定や改正にしても必要なかった。

 だが、政治家や閣僚の“政治とカネ”の問題は後を絶たず、延々と続いている。「政治家一人一人の自覚」が“政治とカネ”の問題防止に万能でも何でもな精神作用であること、当然、当てにはならない期待要素であることの証明としかならない。

 大体が第1次安倍内閣から第3次安倍内閣の今日まで、7人の閣僚が“政治とカネ”の問題で辞任していることも、「政治家一人一人の自覚」が万能でも何でもない、当てにはならない精神作用でしかないことを如実に物語ることになる。

 安倍晋三は自身の内閣から「政治家一人一人の自覚」を持つことができなかった閣僚を7人も出していながら、頼りもにならない不確かな「政治家一人一人の自覚」を持ち出して、“政治とカネ”の問題にケジメ(決着)をつける唯一の方法としたのである。

 いくら誤魔化すのが得意な安倍晋三であっても、これ程の欺瞞はあるだろうか。

 もしも「政治家一人一人の自覚」が政治家や閣僚の“政治とカネ”の問題の防止・根絶に万能な絶対的な精神作用であるとするなら、政治家だけの特権とするのは不自然な設定であって、職業に関係なしの全ての人間にとっての特権としなければならないから、「例え誰かを激しく憎むことがあっても、一人一人が人間の命は尊く、大切にしなければならないという自覚を持って行動すれば、決して殺人を起こすことはない」と言うことができることになる。

 果たしてそのような自覚を期待しさえすれば、殺人はなくなるのだろうか。

 このことと同様に安倍晋三はなくなりはしないことをさもなくなるかのように「政治家一人一人の自覚」に期待すべきだと言ったのである。

 「一人一人が子どもの幼い生命(いのち)を大切にしよう、思い遣ろうという自覚を持って行動すれば、子どもに暴力を振るったり殺してしまう幼児虐待は起きない」と言うのと同じことを安倍晋三は言った。

 「例えうざかったり、生意気だと思える児童・生徒がいたとしても、同じ喜怒哀楽の感情を備えて十全に生きる権利を持った同じ仲間だという自覚を持って行動すれば、イジメたり、イジメをエスカレートさせてしまい、相手がそのことから逃れるために自殺に走るようなことはない」

 このように保証が何もないことを安倍晋三は内閣の責任者として保証があるかのように見せかけた。


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島尻北方問題担当相が「歯舞」の漢字を読めなかったことの意味、安倍晋三の閣僚能力を見抜く能力との関わり

2016-02-10 09:33:44 | Weblog

 北方領土問題を担当する島尻安伊子・沖縄北方担当相が2月9日の閣議後の記者会見で、北方領土の一つである歯舞(はぼまい)群島の「歯舞」を読めず、秘書官に教わる場面があったと、2月9日付の「asahi.com」が伝えていた。 

 〈元島民らでつくる「千島歯舞諸島居住者連盟」が主催する北方領土ネット検定を紹介しようと、島尻氏が手元のペーパーを読んだ際、「千島、はぼ、ええっと、なんだっけ」と言葉を詰まらせた。〉

 傍にいた秘書官が助け舟を出したという。

 島尻安伊子(あいこ)は上智大学文学部新聞学科卒業の50歳。東大出だって読めない漢字があるだろうから、読めないことは何も恥ではない。だが、当の漢字を読むことができるかどうかで自らが所管している北方領土問題に関わる職務に精通しているかどうかが問われるバロメーターともなる漢字の読みもであったはずだ。

 いわば北方四島の内の一島である「歯舞群島」という漢字を読むことができなかったで収めることができる単純な問題ではない。

 「内閣府」のサイトに、〈北方四島は、歴史的にみても、一度も外国の領土になったことがない我が国固有の領土であり、また、国際的諸取決めからみても、我が国に帰属すべき領土であることは疑う余地もない。〉と、日本政府としての北方四島に対する主張が書いてあって、北方領土問題担当相の職務が〈北方地域の諸問題への対処、北方領土問題の啓発、北方地域の旧住民への援護措置、本土と北方地域にわたる身分証明等の文書作成、本土と北方地域との間の問題の連絡・斡旋・処置、などにかかわる政策を所管する。〉ことであると「Wikipedia」が紹介している。  

 当然、北方領土問題担当相という職務を所掌している以上、北方四島全体の理解の中で「歯舞群島」の諸問題を把握していなければならないから、その相互一体性から言うと、「歯舞群島」と言う名前の内「歯舞」の漢字を読むことができなかったということは北方四島全体の理解を欠いていることに他ならない。北方領土問題担当相の職務に精通していなかったと取られても仕方はない。

 これが諳(そら)んじて島の名前を言う場合だったら、つい度忘れということもあるだろうが、印字か手書きか分からないが、手許のペーパーに「歯舞群島」と書いてあって、それを正確に読むことができなかったのだから、この点からも、本人が所管している職務上、北方四島全体を理解していなければならない一体的関係にある以上、「歯舞群島」の問題だけではなく、北方四島全体の問題に精通していなかった証明としかならない。

 島尻安伊子は2015年10月7日、第3次安倍改造内閣で沖縄北方担当大臣に任命された。安倍晋三は北方領土問題に精通していない政治家を北方領土問題担当相に任命し、任命の2015年10月7日から4カ月も経過していながら、北方領土問題に精通できずにいる不勉強な政治家に北方領土問題を任せていることになる。

 このことは任命責任に当たらないだろうか。

 安倍晋三は甘利明が口利き疑惑・金銭受領疑惑で辞任したことの任命責任を国民に対する説明と謝罪で済ませたが、島尻の場合は政策担当の能力に問題を抱えていながら、そのことを見抜くことができずに任命したのは安倍晋三自身が閣僚の能力を見抜く力量の欠陥が原因となっているはずだから、島尻に対する任命責任を国民への説明と謝罪で済ませることができたとしても、自身の閣僚人事に関わる力量の欠陥を同じく国民に対する謝罪と説明で済ませたとしたら、滑稽なことになる。

 閣僚人事権を握っている一国の首相が私には閣僚の能力を見抜く力量を欠いていますと説明し、謝罪することになるからだ。

 この問題をどうカタをつけるのだろうか。

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保守系市民団体「頑張れ日本!」の日韓従軍慰安婦合意批判は保守親分安倍晋三の心、子分共知らずに相当

2016-02-09 10:27:23 | 政治

 2016年2月7日、コチコチの保守系市民団体「頑張れ日本!全国行動委員会」が東京都内で集会を開催、日韓従軍慰安婦合意は「重大な過失だ」と批判の気勢を上げたそうだ。

 気勢を上げたという表現は使っていないが、「47NEWS」記事が伝えている。

 水島総幹事長「(日韓合意は)「(旧日本軍の関与を認めて謝罪した1993年の)河野洋平官房長官談話と比較にならないほど国家的な重大過失だ。

 『慰安婦は性奴隷だった』といった韓国の主張を日本政府が公式に追認したと理解されても仕方ない。海外の報道機関でもそのように報道されている」――

 安倍晋三は歴史の事実に反して旧日本軍による従軍慰安婦の強制連行を認めたとする事実を日韓合意の中に一切含めていない。当然、「慰安婦は性奴隷」なる事実を、それが韓国の主張であろうが何であろうが、歴史の事実に反して公式に追認はしていない。

 保守の親分安倍晋三の心、子分共知らずの類いに過ぎない。

 確かに日韓外相会談による従軍慰安婦合意後の《日韓両外相共同記者発表》(外務省/2015年12月28日) では、〈慰安婦問題は,当時の軍の関与の下に,多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり,かかる観点から,日本政府は責任を痛感している〉と発表された。 

 前にブログに書いたことだが、この「軍の関与」についてどのような性格のものか、岸田文雄は共同記者発表後の記者会見で次のように種明かししている。 

 岸田文雄(日本政府の責任を認めたことについて)「慰安婦問題は、当時の軍の関与のもとに、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であるということは従来から表明してきており、歴代内閣の立場を踏まえたものだ。これまで責任についての立場は日韓で異なってきたが、今回の合意で終止符を打った」(NHK NEWS WEB/2015年12月28日 17時31分)

 「従来から表明してきて」、「歴代内閣の立場を踏まえたもの」とは、「『村山談話』や『河野談話』等の歴史認識に関する歴代内閣の立場を安倍内閣としても全体として引き継いでいる」と安倍晋三や岸田や官房長官の菅義偉が国会答弁や記者会見で何度も何度も「従来から表明してき」た、その範囲内の「軍の関与」だと、その程度だと、種明かししたのである。

 このような性格の「軍の関与」に過ぎないと。

 確かに「河野談話」は旧日本軍による従軍慰安婦の強制連行を認めている。だが、2007年3月8日辻元清美提出の従軍慰安婦に関わる質問書に対する2007年3月16日提出の安倍政権の政府答弁書は、「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかったところである」として「河野談話」の旧日本軍による従軍慰安婦の強制連行説を否定、更に同答弁書で、「官房長官談話は、閣議決定はされていないが、歴代の内閣が継承しているものである」と、安倍政権のこの政府答弁書が閣議決定されていることを以って歴史の事実に反して従軍慰安婦に関わる歴史認識としての正当性を与えたのに対して「河野談話」が閣議決定されていないことを以って、その正当性を剥奪、単に歴代内閣が形式的に継承しているに過ぎないものとした。

 この経緯は2012年9月16日の自民党総裁選討論会での安倍晋三の発言にそのまま現れている。

 安倍晋三「河野洋平官房長官談話によって、強制的に軍が家に入り込み女性を人さらいのように連れていって慰安婦にしたという不名誉を日本は背負っている。安倍政権のときに強制性はなかったという閣議決定をしたが、多くの人たちは知らない、河野談話を修正したことをもう一度確定する必要がある。孫の代までこの不名誉を背負わせるわけにはいかない」――

 要するに岸田文雄は日韓外相会談で安倍晋三の意思に従って、「歴代の内閣が継承し、安倍内閣も継承している」河野官房長官談話の範囲内で「軍の関与」を認めたに過ぎない。

 当然、その「軍の関与」は2007年の閣議決定で旧日本軍の従軍慰安婦強制連行を認めている「河野談話」の否定を正体としていることは断るまでもない。

 日韓従軍慰安婦合意を計算式で表してみると、次のようになる。

 (「河野談話を引き継ぐ程度の「軍の関与」の認定)-(閣議決定による「河野談話」否定)=(「軍の関与」否定)

 以下もブログに書いたことだが、2016年1月18日の参議院予算委員会での安倍晋三の答弁が「軍の関与」の正体を自ら種明かししている。

 質問は「日本のこころ」代表の右翼中山恭子が保守系市民団体と同じように韓従軍慰安婦合意の「軍の関与」を勘違い、保守親分安倍晋三の親心、子分ども知らずの過ちから発したものだった。

 安倍晋三「先程外務大臣からも答弁をさせていただきましたように、海外のプレスを含め正しくない事実による誹謗中傷があるのは事実でございます。性奴隷 あるいは 20万人 といった事実ではないこの批判を浴びせているのは事実でありまして、それに対しましては政府としては、それは事実ではないということはしっかりと示していきたいと思いますが、政府としてはこれまでに政府が発見した資料の中には、軍や官憲による所謂強制連行を直接示すような記述は見当たらなかったという立場を辻本清美議員の質問主意書に対する答弁書として平成19年、これは第一次安倍内閣の時でありましたが、閣議決定をしておりまして、その立場には全く変わりがないということでございまして、改めて申し上げておきたいと思います。

 また 当時の軍の関与の下にというのは、慰安所は当時の軍当局の要請により設営されたものであること、慰安婦所の設置、管理及び慰安婦の移送について旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与したこと、慰安婦の募集については軍の要請を受けた業者が主にこれにあたったこと、であると従来から述べてきている通りであります。

 いずれにいたしましても重要なことは今回の合意が、今までの慰安婦問題についての取り組みと決定的に異なっておりまして、史上初めて日韓両政府が一緒になって慰安婦問題が最終的且つ不可逆的に解決されたことを確認した点にあるわけでありまして、私は私たちの子や孫そしてその先の世代の子供たちに謝罪し続ける宿命を背負わせるわけにはいかないと考えておりまして、今回の合意はその決意を実行に移すために決断したものであります」――

 日韓合意前と合意後で安倍晋三の、あるいは安倍政権の従軍慰安婦に関わる歴史認識に何の変化があるわけではない。にも関わらず、韓国政府が合意した理由は不明だが、あるいは何らかの密約がるのかもしれないが、「軍の関与」なる文言が歴史の事実通りに従軍慰安婦の強制連行まで認めたように解釈されたとしても、安倍晋三にしたら韓国を合意に引きずり込むための苦肉のゴマカシであって、いずれにしても従来から変わっているわけではない歴史認識で押し通すことは目に見えているから、コチコチの保守系市民団体の批判はまさしく保守親分安倍晋三の心、子分共知らずの杞憂と言ったところだろう。

 保守親分たる安倍晋三の歴史の歪曲に子分共は少しは親孝行した方がいい。

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安倍晋三の特定秘密保護法対象の日本版SNC情報の自身のFB公開に見る情報漏洩と情報提供の国民選別

2016-02-08 10:45:31 | 政治

 北朝鮮が安保理決議に反して日本時間2016年2月7日午前9時29分に人工衛星の打ち上げと称してミサイルを発射させた。但し何らかの物体が地球の周回軌道に乗った可能性があるということだから、事実上人工衛星の打ち上げだったのかもしれない。

 今後分析して、答を出すのだろう。

 北朝鮮の午前9時29分の打ち上げから約40分後、政府は国家安全保障会議(NSC)を開催している。「時事ドットコム」《首相動静(2月7日)》によると、〈午前10時14分から同26分まで、国家安全保障会議。同27分から同11時11分まで、岸田文雄外相、谷内正太郎国家安全保障局長、外務省の秋葉剛男総合外交政策局長、石兼公博アジア大洋州局長。〉と記載されている。    

 〈午前10時14分から同26分まで〉と、〈同27分から同11時11分まで〉の前後2回の開催となっているが、NSCは首相官邸で開かれるから、安倍晋三がその会議室に午前10時14分に一番乗りして同26分まで待機、以下のメンバーが集まるのを待って、〈同27分から同11時11分まで〉実質44分間、NSCを開いたということなのだろう。

 ミサイル発射から太平洋上への落下までの時間的経緯を再度確認して、各自が非難し、取るべき制裁を話し合ったといったところが会議の内容ではなかったろうか。

 官房長官の菅義偉が2014年4月22日の記者会見で、〈少数の閣僚が重要な外交・防衛政策を話し合う国家安全保障会議(日本版NSC)の議事録について「わが国の外交・安全保障上の重要な国益にかかわることだから、対外的に公表することは考えていない」と、作成はするが、公表はしない方針を明らかにし〉、〈「特定秘密保護法の対象になる方向だ」と説明した。〉と「TOKYO Web」記事が伝えている。    

 いわば安倍政権は会議内容は日本の外交・安全保障上の重要な国益に関係し、特定秘密保護法の対象となる、国民にも漏らすことはできない最重要秘密事項だとした。

 例え会議で話した内容が他愛もないありふれた遣り取りだったとしても、国家の安全保障について話し合う会議でその程度のことしか話題にできない無能を隠すためにも特定秘密保護法の対象という格付けによって立派なことを話し合っていたと思わせることができる効用も無視できないということなのだろう。

 ところが、この特定秘密保護法の対象とすべき会議の情報とそのときの写真を安倍晋三のフェィスブックと首相官邸のフェイスブックに載せたとマスコミが伝えている。

 「NHK NEWS WEB」記事は、写真と共に「今回のミサイル発射は明白な安保理決議違反であり、わが国の安全保障上の重大な挑発行為だ。ただちに国家安全保障会議を開催した」等のコメントが添えられていて、〈NSCの閣僚会合は通常、報道陣には公開されておらず、NSCの事務局は、画像が公開されたのは発足以来、2度目になるのではないかと話してい〉ると解説し、同様の記事と写真を首相官邸のフェイスブックにも載せていると伝えている。 

 「TBSNWES」記事も同様の内容の記事を配信していて、〈国の安全保障に関する非公開の会議の写真を公開するのは極めて異例ですが、総理周辺は「国民の不安を払拭するために総理の強い意思で公開に踏み切った」と話してい〉ると伝えている。  

 「首相官邸フェイスブック」(2016年2月7日11時30分頃)には写真と共に、〈北朝鮮に対しては、繰り返し自制を求めてきたにも関わらず、今回、ミサイル発射を強行したことは、断じて容認できません。

核実験に引き続き、今回のミサイル発射は、明白な安保理決議違反であり、我が国の安全保障上の重大な挑発行為です。

ただちに国家安全保障会議を開催しました。

北朝鮮に対して、国際社会と連携して、毅然と対応していく考えです。

引き続き、政府の総力を挙げて、国民の安全の確保に万全を期してまいります。〉とコメントが添えられている。 

 TBS記事は「国民の不安を払拭するために総理の強い意思で公開に踏み切った」と説明しているが、首相官邸フェイスブックのコメントは北朝鮮がミサイル発射や核実験を行う度に記者会見等で話してきて、今回も既に話したことの繰返しに過ぎない文言を再び羅列しているだけのことで、国民の不安払拭にどれ程役に立つと思っているのだろうか。

 特定秘密保護法の対象とした非公開としていながら、公開することによって国家安全保障会議と銘打って話し合った内容の程度の低さを却って暴露することになっているようにしか思えない。

 百歩譲って異例の公開であることを許容するとしても、 国家安全保障会議(NSC)は政府の公務――公の職務であって、公務として話し合った情報を首相官邸フェイスブックに載せることについては公務に関わる情報を提供する同じ線上の情報媒体として認めることはできても、安倍晋三のフェイスブックは安倍晋三の極く個人的な情報媒体であって、果たして許されるだろうか。

 個人の情報媒体に特定秘密保護法の対象としている情報を公開することは、それが政府公務の情報であるだけに情報手続きの、もしくは情報処理の異例なまでの公私混同に当たるはずで、どのようなケースであっても異例の公開と言うことはあり得ないはずだし、この手の情報公開自体が公務者としての安倍晋三の自らの手による個人的な自身のフェイスブックへの立派な情報漏洩と見ないわけにはいかない。

 問題なのは情報漏洩ばかりではない。 

 特に問題なのは安倍晋三のフェイスブックがソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の多くの利用者が利用できないようブロックしている点である。私もその一人だが、《安倍晋三総理からのブロック(言論弾圧)に抗議する会》という名のフェイズブックのページまでできている。

 安倍晋三が個人のページだから許される少なくない数の国民にその情報の提供を遮断している自身のフェイスブックに公務に関わる情報を公開するということはその情報さえも遮断されることになる少なくない国民が存在することになる。

 このことは公務に関わる情報は、それを国民一般に公開する以上、国民全てに平等に提供されなければならない原理原則に反することになる。

 そのような情報をいくら個人的なページだからと言って、特定の国民に対しては遮断するということは国民を選別していることになる。

 勿論、このような国民選別は政府公務の情報を個人的な自身のフェイスブックに情報手続きの、もしくは情報処理の公私混同を犯して情報漏洩したことから起きているのは断るまでもない。

 公務に関わる情報提供の場となっている首相官邸のフェイスブックが特定の国民に対してその情報提供を遮断しているだろうか。

 安倍晋三にしても特定の国民をブロックして情報提供を遮断している以上、自身のフェイスブックは個人的な情報の提供にのみ収めておくべきだった。

 収めておかなかったことが、首相としての公務に関わる情報を個人的なページに公開する公私混同によって情報漏洩を犯すことになり、結果的に国民一般に情報を提供する以上、国民全てに平等に提供されなければならない原理原則に反して提供の国民選別を犯すことになった。

 安倍晋三らしい頭の悪いことを仕出かした。

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