読売新聞2016年2月世論調査にも現れている格差ミクスだからこそ成り立つアベノミクス

2016-02-27 09:32:13 | 政治

 2016年2月に行った読売新聞の世論調査   

 「アベノミクス3年余の経済政策」

 「評価しない」57%
 「評価する」42%

 「評価しない理由」(複数回答)

 「収入が増えない」60%

 評価する理由((複数回答)
 
 「大企業を中心に業績が改善した」44%

 「今後の景気回復期待可能性」

 「期待できる」34%
 「期待できない」65%

 「景気回復の実感」

 「実感していない」84%(以上)

 「アベノミクス3年余の経済政策」の評価理由が「大企業を中心に業績が改善した」の44%がトップ。反対に非評価理由が「収入が増えない」の60%がトップ。

 前者は主として大企業中心の業績改善から利益を受けている調査回答者の評価であって、後者は大企業中心の業績改善とは無縁で、個人的にも収入の点で何ら利益を受けていない回答者の非評価であろう。

 既にここでアベノミクスが格差を構造としていることが露わにされている。アベノミクスによる富の分配が大企業中心となっていて、当然、そのお裾分けを得ることができるのは高額所得者や中の上の中間所得者中心で、大多数を占める中の中以下の中間所得者や低所得者にはお裾分けがないという上下格差の構造である。

 だからこそ、「景気回復の実感」を持つことができない回答者が84%も占めることになった。

 平成25年1月1日から12月31日までの1年間の所得を調べた《平成26 年 国民生活基礎調査の概況》厚労省)から、「所得金額階級別世帯数の相対度数分布」を見てみる。   

 世帯所得の〈中央値(所得を低いものから高いものへと順に並べて2等分する境界値)は415 万円であり、平均所得金額(528 万9 千円)以下の割合は61.2%となっている。〉と出ている。

 いわば国民の半分以上、61.2%が平均所得以下で暮らしている。

 景気を「実感していない」84%をこの分布に機械的にはめるてみると、800~900万円所得世帯までとなる。世帯所得900万円以下が大まかにではなるが、景気を実感していないと見ることも可能である

 つまり800~900万円所得世帯に迄アベノミクスの恩恵が届いていないと解釈することもできる。少なくとも平均所得金額(528 万9 千円)以下の世帯となると、とてもとてもアベノミクスの恩恵どころか、何も変わらない、何も見えないといったところが実情だとは確実に言うことができる。

 でなければ、景気を「実感していない」の84%という数字は出てこない。

 このようにアベノミクスの恩恵は上下二極化の格差を生じさせている。下の層だけではなく、上の層に対しても何ら恩恵がないということなら、アベノミクスはどの層に対しても平等に失敗だと誰もが断言できるが、上の層は株高や円安によって確実に富の分配を受け、多大な恩恵に浴しているということは、格差ミクスだからこそ成り立っているアベノミクスということにせざるを得ない。

 異次元の金融緩和にしても実効法人税の減税にしても、景気回復の手段に賃金の上昇よりも株価上昇による資産効果により価値を見ていることも、アベノミクスによる富の分配、あるいはアベノミクスの恩恵の対象を主として上の層に置いているからこそであり、世論調査の結果を待つまでもなく、このことが既に証明している格差ミクスが成立させているアベノミクスということであるはずである。

 格差を散々作っておいて、今になって慌てて格差解消の手段として同一労働・同一賃金を掲げ始めたが、ブログに何度か書いているようにアベノミクスが構造として内部に抱え込んでいる格差形成作用に対して否応もなしに抑制効果として働く自己矛盾を生じせしめることになるだろうから、同一労働・同一賃金の実現とアベノミクスの成功の両方を取ることは不可能で、では、どっちを取るかとなったとき、アベノミクスの成功を取った場合、参議院選挙勝利目当てのスローガンで終わる確率は高くなる。

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