■夢の超特急N700系
本日は11月17日に乗車したN700系新幹線特急電車について記載したい。N700系は今年7月1日のダイヤ改正から営業運転を開始した東海道山陽新幹線の最新鋭車輌である。
写真はN700系の先頭車輌。0系、100系、300系、500系・700系に続く新世代車輌で、空気抵抗を抑えた流線型のデザインを採用、航空機を思わせる0系(銀河の影響を受けているというので、元が航空機というべきか)や100系(なんとなくXP-1とかに影響がありそうな)、ほとんど航空機という500系に続き、700系からは動物的な面持ちとなっている。
名古屋駅に到着するN700系。営業運転から数ヶ月を経ても、まだまだ700系の方が運行数が多く、小生含め、初めて乗車するという人も多い。駅のホームからはカメラ付携帯、レンズ付フィルム、コンパクトデジカメ、一眼レフ、デジタル一眼レフとあらゆる撮影機材が一斉に新型車両に向けて撮影を始める。
到着した列車が扉を開くと、足取りも軽く、皆さん次々と乗車する。N700系というスカイブルーで記されたマークの中心を矢のように進む車輌のイラスト、本車の航空機並みの高速性能を示しているようだ。2007年度中には、のぞみ号の半数近くがN700系により代替され、東京と大阪間の所要時間が短縮される構想であるという。
N700系普通車の車内。これまでの新幹線と比較して、全般的に車内が明るく見えるよう、配色が工夫されているようだ。さすがにグリーン車を利用して東京、というのは「ぷらっとこだま」でも無ければ不可能だが、この普通車の座席も、700系や300系と比べていくつかの点で改善されているという。
N700系は、複合バネを内蔵した座席を採用している。もともと、バネを利用してクッション性を高める座席は、0系100系までで、300系以降は座席軽量化の目的で多重ポリウレタン方式が用いられていた。しかし、居住性などの面ではバネを用いた方が良く、N700系から復活した。この他、通気性を高め蒸れにくくなった構造も採用、人間工学に基づいた形状となっており、居住性を高めている。
発射後、桶狭間を眺めつつ、駅弁である。鳥御飯弁当。小松左京ファンなら、やはりこの駅弁でなければ東海道新幹線の旅は始まらない。かやくごはんの上に味付け鶏肉が数枚載せられた、割とシンプルなお弁当であるが、やたら大袈裟な盛り付けと味付けの駅弁が食堂車を駆逐した今日、昔ながらの面影と良心的な価格を今に伝えるこのお弁当。七時台には売切れてしまうこともあり、文字通り早朝の戦利品。
普通車の折畳式テーブルはやや大型化され、ノートパソコンの利用も容易になった。特に、300系なんかは高速性能を重視した為振動が増大したという不評があるようだが、車体傾斜装置により曲線区間の高速走行性能を重視したN700系は振動対策もかなり重点的に行われている。したがって、PCによる作業もスムーズに進む。
時代の流れに対応、ということだろうか、2009年から無線LAN方式によるインターネットサービスも計画されているとのことで、走るオフィスとしての機能も盛り込まれる。個人的には無線LANよりも食堂車、もしくは小型のビュッフェでもいいので、富士山を眺めながら車窓を楽しめる機能が欲しいのだけれど、さすがに無理だろうか。
AC電源も標準装備。これによりバッテリー残量を気にする必要も無くなる。
この他、各扉部分に防犯カメラが搭載され、テロ対策能力を強化している。安全神話、残された数少ない聖域である新幹線。震災、テロ、重大犯罪から、この高速鉄道網を守るというのは重要なことである。
やや小型となった自販機。乗車した指定席付近の自販機しか見ることが出来なかったが、これまでみた車載自販機と比べるとかなり小振り、アーバンライナーの自販機よりも小さく、かつての名鉄特急なみの小型さ(中部国際空港開業以降、1000形の自販機はスーツケース置き場になってしまった)である。
御手洗付近。N700系は新幹線として始めて、御手洗を全て洋式トイレとした点がその特色として挙げられる。特に和式御手洗の場合、日本以外からのビジネス輸送や観光旅客需要に対応する観点からも重要である。
また、多目的室が設けられており、乳児とともにも安心して乗車することが出来る。全体的に曲線で構成されているのも特色のひとつ。
N700系のもう一つの特色が全席禁煙。嫌煙権を認めるのならば、喫煙権もしっかりと担保してはどうかとも思うのだが、これも一つの時代の潮流だろうか。写真は愛煙家に差し伸べられた喫煙室。駅では電光掲示板に全車禁煙と表示された列車がN700系であると見分けられる。
N700系だが、みてわかる難点は、窓の小型化と間隔の増大である。航空機のような新幹線と書いたが、窓の大きさまで航空機を真似て小型化、というのは残念である。車窓は列車が有する専売特許というべきサービスであり、この点、次期新幹線の設計には反映してもらいたいと希望する。
そうこうしている間に東京駅に到着した。なんというか、新幹線を利用すると、都市間が非常に近く感じる。なんとなれ、最高速度実に時速300km、カーブも高速で曲がることが出来るのだ。他方、N700系の大量配備により、500系が山陽新幹線運用となり、押される形で、いよいよ山陽新幹線にて運行されている0系新幹線の終わりが見えてきた。近く、撮影に展開したいと思う次第。お楽しみに。
HARUNA
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