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ソマリア沖海賊対処任務 第200回護衛任務を完了(2010年12月17日)

2010-12-21 22:49:47 | 防衛・安全保障

◆本日第203回護衛任務を実施中

 防衛大綱潜水艦22隻の話題がNHKニュース9で放映されていましたが本日は海賊の話題。海上自衛隊のソマリア沖海賊対処任務ですが12月17日に第200回護衛任務を完了しました。

Img_9861  海上自衛隊は護衛艦2隻と固定翼哨戒機3機を海賊対処任務の為にソマリア沖のアデン湾に派遣していて、船団を組んでの危険海域航行護衛方式は大きな成果を残し、現在この瞬間も任務は継続中。12月20日には第202回護衛任務を完了しており累積護衛実績は1490隻に達しています。

Img_0406  護衛艦の派遣部隊は現在第6次派遣部隊の第3護衛隊、護衛艦まきなみ、護衛艦せとぎり、が任務に当たっており第7次派遣部隊が交代部隊として今月佐世保基地を出航、アフリカへ向かっているところです。派遣海賊対処行動航空隊は第5次隊がジブチを基地として活動中で、海上自衛官100名、警備へ陸上自衛官50名が派遣されているところです。

Img_6686  海賊事案は先日も日本の商船が襲撃を受け、この商船は海上自衛隊の護衛船団とは別の場所を航行していたため哨戒中の中国海軍駆逐艦により大事に至らず危機を脱しましたが、他方で日本の貨物船が海賊に占拠されたまま外洋での海賊の母船として運用される事案が生じています。

Img_2845  海賊の根拠地は無政府状態のソマリアで、この状況を根本から解決するにはPKO部隊を派遣してソマリアの治安警察機構を始めとする国家再建を行うほかはないのですが、現状では対処療法的な海上での海賊取り締まりを行う各国海軍と護衛を行う海上自衛隊により商船を防護している状況。

Img_2226  海賊対処任務ですが、現在任務中の護衛艦二隻に加えて交代に向かう二隻が任務に当たっている訳でして、海上自衛隊の冷戦期に整備された60隻以上の護衛艦部隊に対し、防衛大綱で定数を47隻とされた現状では、訓練、戦術研究、重整備、補給、警戒監視にあたるローテーションを考えると実はかなりの負担になっています。

Img_7789  新しい防衛計画の大綱では護衛艦定数が47隻から48隻へと1隻強化され、これも当初は陸上自衛隊の重装備を削減して海空自衛隊を強化する、とされていたところからは1隻というのは拍子抜けなのですが、少なくとも現状は維持となりました。他方で海賊対処任務の継続を考えれば不足は否めません。

Img_9081  これは難しく、冷戦後の大綱水準の約50隻、という表記は必要にも思うのですが、護衛艦定数に上限があると、その分護衛艦に求められる能力が大きくなり、結果的に護衛艦そのものが大型化、ひゅうが型19000㌧も、あぶくま型2600㌧も同じ一隻ですので、海上自衛隊の能力全般を考えればこの点は何とも言えないのですよね。

Img_8409  さて、既に200回を超えた海賊対処任務なのですが、今後の出口戦略を考えれば例えば日本がアフリカ連合などに呼びかけ、ソマリアの国家再建を主体的に試みる等、海賊を取り締まる陸上の治安機関をいかに再建するのか、どうソマリアに国家機能を再建するか、という事もそろそろ検討されては良いのでは、と常々感じる次第です。

HARUNA

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