◆駐留規模は数十名ではあるが意味は大きい
防衛省によれば、宮島防衛大臣政務官が本日、沖縄県与那国島を訪問したとのことです。
南西諸島では、政府が外交面での解決を忌避し続けているため、特に尖閣諸島に対する中国公船の領海侵犯が恒常化しつつあります。領土問題は存在しないという国是を破たんさせたのが現在の政権ではありますが、問題が表面化しつつ、その沈静化を忌避している状況は結局のところ問題の悪化が進行するのみ、経済政策と防災政策に続く外交政策の重ねた失敗というところ。
こうした中、我が国西端の与那国島に対し、自衛隊の沿岸監視隊を駐留させ、外国艦船の情報を収集すると共に、我が領土を防衛する明確な意思あり、という何よりもの誇示を行うことで予防外交の一端を担う方策は以前から考えられてきました。宮島大臣政務官はこの関係での部隊配置に係る候補地選定と地元自治体との意見交換を目的に訪問したという事でした。
沿岸監視隊は文字通り監視が任務であり、対馬警備隊のような戦闘部隊である警備隊とは異なります。しかし、最小限度の火器は携行していますし、仮に着上陸を周辺国が強行すれば軍事機構と軍事機構同士の問題が生じます。こうした意味から沿岸監視隊の配置は決してその意味は小さくはありません。
加えて、尖閣諸島に対しかけられる圧力は、仮にこれを阻止できなかった場合、その周辺島嶼部は我が方の長距離防空装備や地対艦誘導弾の拠点となりうるわけで、これを阻止するために攻撃の対象ともなり得ます。その先手を打つ形で、有事の際に増援部隊を受け入れる下地を構築する意味は、これもまた大きいでしょう。
北大路機関:はるな
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