◆第17高射隊・第18高射隊へ配備
防衛省によれば4月18日、那覇基地の第5高射群に対しペトリオットミサイルPAC-3の配備が完了した、とのこと。
PAC-3は那覇基地第5高射群隷下の那覇基地第17高射隊と沖縄本島の知念分屯基地第18高射隊へ配備されました。首都圏の第1高射群や中京京阪神地区の第4高射群、九州の第2高射群に続き第5高射群へ配備となり、東日本及び北日本の第3高射群配備を以て全国のPAC-3配備が完了します。
那覇基地の第5高射群は、航空自衛隊において最後までナイキ地対空ミサイルが配備されていた基地で、最後にペトリオットミサイルPAC-2が配備された基地ですので、これは自動的にPAC-3への換装は最後となるはずでしたが、今回は先にPAC-3の配備を迎える事となりました。
これまで、ミサイル危機に際しては沖縄の防空へ本土からPAC-3部隊を海上自衛隊の輸送艦などにより展開していましたが、この頻度が高くなっているため、今回の予定を早めてのPAC-3配備には過去のミサイル破壊措置命令に伴う沖縄救援隊派遣の実任務が反映されているのでしょう。
ただ、これまで平時の沖縄が弾道ミサイルに対し無防備であったかと言われますとそうではありません。米軍は陸軍防空砲兵よりPAC-3一個大隊を嘉手納基地へ前方展開させており、これは嘉手納基地の付近車道からも待機態勢についているミサイル部隊を見ることが出来ていました。
防空砲兵一個大隊は一個高射群に匹敵するものですので、一つの基地へ一個大隊という防空密度はかなり密度と言えました。こういう意味から沖縄は弾道ミサイルに対し無防備ではなかったのですが、今回の航空自衛隊の高射群へのPAC-3配備より、これが更に万全へ近づいたこととなる、こういうこと。
これまで、ミサイル破壊措置命令として命令が発令された際に、中京京阪神地区よりミサイルを引き抜き沖縄に派遣していましたが、言い換えれば中京京阪神地区の防空に間隙を生みつつ、派遣していた、という事。今回の配備によりこれが払拭されたといえるでしょう。
表面化している脅威への防空と、特に我が国の大都市を防空する体制は一定のめどが付いた、今回の配備でこういうことが出来るでしょう。今後は東日本及び北日本、特に米空軍の打撃力である三沢基地や航空自衛隊の防盾というべき千歳基地を含めた防空体制へ、PAC-3の配備が急がれることとなります。
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