◆現在、第15次派遣水上部隊が護衛任務中
ソマリア沖アデン湾へ海賊対処任務へ派遣されていた護衛艦二隻が来週と再来週にそれぞれ母港へ帰港します。
今回帰港するのは第14次派遣部隊として第三護衛隊群第三護衛隊より編成され、派遣された護衛艦すずなみ、きりさめ、の二隻です。第14次派遣隊は、4月7日と4月9日にそれぞれ日本を出港した護衛艦あけぼの、はまぎり、より編成される第6護衛隊隷下の第15次派遣隊へ任務を引き継ぎ、帰国へ向かっていたもの。
帰国予定は、防衛省の発表によるところではまず6月7日に護衛艦きりさめ、が母港佐世保基地へ入港、続いて6月10日に護衛艦すずなみ、が母港大湊基地へ帰港、第3護衛隊が実施した今回のソマリア沖海賊対処任務を完了させます。
海上自衛隊の海賊対処任務はアデン湾を航行する船舶に対し船団護衛方式を採る事で海賊の接近を抑止する、地道ですが手堅い方策を執っています。これにより、勿論に席の護衛艦ですべての船団を護衛することは出来ませんが、護衛対象の船団への被害発生を確実に防いでで今に至ります。
南西諸島方面での中国海軍の活発な動きに合わせ警戒態勢を強化しつつ、北朝鮮のミサイル脅威にも注視しながら、自衛隊は海賊対処任務を継続しており、来週と再来週の帰国までは交代として回航中の二隻と任務中の二隻を含め、四隻が任務に就いていることから、海上自衛隊の負担は決して軽くはありません。
他方、護送船団方式では海賊を根絶できず、各国海軍が行う方式、海賊掃討方式として哨戒任務にあたり、海賊を捜索しつつ発見した海賊を順次捕縛もしくは無力化する方式の方が長期的に海賊被害の根絶には寄与するのではないか、という指摘は識者や海事専門家の一部より為されました。
この課題に対して、我が国では海賊対処の護衛任務を海上自衛隊水上部隊、哨戒任務を海上自衛隊航空部隊が行いつつ、外務省と国土交通省が協力し、ソマリア周辺国への海上保安庁をモデルとした海洋法執行機関の養成支援や巡視艇の供与を行っており、着実に組織要請は進んでいます。
哨戒と掃討は短期的胃効果を上げるでしょうが各国海軍艦艇が帰国すれば再発します、しかし、アデン湾の恩恵を受ける周辺国が摘発へ対応する能力を得れば、長期的に海賊を取り締まることが出来るわけですから、掃討による根絶ではなく、抑止による撲滅へ、日本らしく、時間はかかりますが確実な方策を以て、取り組んでいるといえるでしょう。
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