◆突発的脅威へ即応体制を高める
時事通信によれば政府は、新防衛大綱へ都心部への弾道ミサイル防衛部隊常駐の盛り込みを検討しているとのこと。
現行では北朝鮮などの弾道ミサイル脅威が増大する際に、その都度首都圏を担う入間基地第1高射群よりペトリオットミサイルPAC-3迎撃ミサイル部隊を新宿御苑や市ヶ谷基地へ展開させ、迎撃態勢を整えていましたが、これを首都中心部へ常駐させ、即応体制を維持することが狙い。
これまでは、北朝鮮によるミサイル実験の兆候を感知した場合や、実験宣言を行った際に展開していたため、我が国を射程に収める弾道弾には移動発射装置式のノドンミサイルが奇襲的に運用した場合、展開が間に合わないことが指摘されており、これに応えるもの。
これは年末に制定される防衛大綱への反映を念頭に検討している内容とされていますが、ミサイル破壊措置命令の度に出動する状況に対し、実現した場合には北朝鮮やその周辺国が有する弾道ミサイル脅威に際し、我が国の政治的主権が恫喝の影響を回避することが出来る重要な要素となるでしょう。
なお、現時点ではこれは首都圏の市ヶ谷基地へ第1高射群より四個配置されている高射隊から射撃小隊をローテーションにより都心部の射撃陣地へ展開させるのか、高射隊を一個増勢して市ヶ谷基地内へ高射隊を置く態勢とするのかは示されていません。
第1高射群は習志野分屯基地の第1高射隊、武山分屯基地の第2高射隊、霞ケ浦分屯基地の第3高射隊、入間基地の第4高射隊より編成されており、元々は射程15kmのPAC-3を以ての弾道ミサイル防衛任務ではなく射程100kmのPAC-2を以て対航空機迎撃に当たる任務にあり、この為東西南北へ高射隊が配置されていますので、安易に抽出することが出来ません。こうした事情を考えると、手放しに評価できないともいえるでしょう。
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