◆海賊対処任務派遣と共に艦艇フィリピン派遣準備
呉基地よりソマリア沖海賊対処任務部隊が派遣され、続いてフィリピンレイテ島国際緊急任務部隊派遣の準備が進められています。
昨日11月13日、呉基地より第4護衛隊司令田尻裕昭1佐を指揮官とする第17次派遣海賊対処行動水上部隊が出港しました。派遣部隊は第4護衛隊隷下の護衛艦さみだれ、さざなみ、の二隻で、むらさめ型護衛艦と、たかなみ型護衛艦、航続距離が大きく共に呉基地を母港としています。
ソマリア沖海賊対処任務も今回で第17次派遣となりました。派遣部隊各艦は、さざなみ艦長林泰弘2佐以下、乗員185名と、さみだれ艦長斉藤貴2佐以下、乗員185名、ここに第四護衛隊司令部要員30名を加えた隊員400名と海上保安官8名が派遣されます。
現在、ソマリア沖海賊対処任務は、二隻の護衛艦による船団護衛方式を採っていた従来の対処行動から、護衛艦一隻を船団護衛任務へ充当し、もう一隻をソマリア海賊対処への各国艦隊に参加し海賊哨戒任務に充てる方式を採っています。これは海賊護衛要請の減少にともなうもの、とのこと。
ただ、海賊被害は沈静化しているのではなく、海賊の行動範囲拡大に伴う護衛海域の護衛要請の縮小が反映されているとのことで、一説には海賊の行為主体が多様化していることとされ、従来の武装漁民の延長線上にある海賊とは転換しているため、今なお予断を許さない、というもよう。
現在ソマリアでは第7護衛隊司令清水博1佐指揮下の護衛艦ありあけ、護衛艦せとぎり、の二隻が任務中で、さみだれ、さざなみ、はソマリア沖アデン湾において合流し任務を引継ぎします。このため、現時点では四隻の護衛艦が海賊対処任務に展開していることとなります。
また、呉基地ではフィリピンでの台風30号被害による大被害に対し、自衛隊フィリピン緊急人道支援部隊の派遣準備が進められています。なお、防衛省発表では自衛官の派遣は決定しておらず、現在派遣準備中という段階であり正式に派遣命令は発令されていません。
防衛省によれば、フィリピン派遣準備として現在九州沖縄で展開中の自衛隊統合演習参加部隊のうち、ヘリコプター搭載護衛艦いせ、輸送艦おおすみ、は参加部隊より離脱し、フィリピン派遣準備を開始しました。このほか、補給艦とわだ、の派遣準備が行われているとのこと。三隻とも呉基地が母港となっています。
フィリピンレイテ島での被害は、フィリピン政府の救助の遅れにより非常に危機的な状況となっていますが、ヘリコプター搭載護衛艦による空輸支援と輸送艦による沿岸部への物資輸送に加え、補給艦の造水能力や医療能力と補給能力は極めて厳しい状況にあるレイテ島での被災者支援に寄与するでしょう。
現在フィリピン政府は、空軍のC-130輸送機2機とヘリコプター32機、艦艇20隻を以て救助を行うと共にセブ及びた黒番へ国際支援受け入れ調整所を設置しました。フィリピン国家災害リスク削減管理委員会の発表では被災者は970万で、ライフラインと物流が完全に途絶しているため、文字通り生死の危険に曝されています。
防衛省は12日、2名の先遣隊を民間機により派遣すると共に小牧基地よりKC-767空中給油輸送機により先遣隊本隊48名を13日に派遣しました。上記の艦艇部隊は派遣準備中ですが、これにより自衛隊のフィリピン派遣部隊の人員規模は1000名規模となります。
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