◆特定危険指定暴力団指定と指名手配を
非常に残念な状況ですが、2億ドルが要求されたシリア邦人人質事案は人質二名のうち一名が殺害されたとの発表が誘拐を行ったISILにより行われました。

如何なる理由があろうとも、彼らが行った行為は殺人であり、許されるものではありません。人質のうち殺害された一名は自称民間軍事会社の経営者であり、現地での戦闘行為に参加していたとの情報がありますが、現地の交戦団体に所属し公然と戦闘行為を行っていたことから交戦団体間でのハーグ陸戦条約及びジュネーヴ文民保護条約により戦時捕虜としての資格を有しており、一方的に殺害を行うことは認められません。

今回の行為は強盗傷害と誘拐と監禁、殺人と恐喝そのものであり、邦人を対象とした犯罪行為であるため我が国に管轄権があります。ISILは日本国内においても戦闘員の募集を行っており、我が国内でのテロの脅威があるだけではなく、邦人位置情報等をISILに提供するなど協力者の存在も指摘されています。

しかし、我が国は邦人殺害事件に対し、自衛隊による軍事報復を行う選択肢を現在のところ採る事が出来ません。現行憲法では国際紛争ではないことから自衛隊を投入できるという解釈も有り得ないわけではないですが、現行法では根拠となる法がありません。能力的にもF-2を派遣し有志連合の航空打撃作戦に参加、という選択肢は規模は別として参加することは不可能ではありませんが、邦人殺害の当事者を捕捉し攻撃することは技術的に簡単ではなく、軍事報復は現段階では行うべきではないでしょう。

そこで、ISILを改正暴力団対策基本法に基づく特定危険指定暴力団指定を行い、その指導者であるバクダディ氏と今回の殺人を実行した氏名不詳の男を指名手配する方策を採る事が妥当だと考えます。暴対法では暴力団の定義を、2条2号に”その団体構成員が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体”、としており定義上は暴力団に当てはまります。30条の8には”指定暴力団の構成員等が凶器を使用して人の生命又は身体に重大な危害を加える方法による暴力行為を反復継続するおそれがある場合、当該指定暴力団等を特定危険指定暴力団等として指定する”、とあり、定義に当てはまります。

日本の暴対法に基づく特定危険指定暴力団指定を都道府県公安委員会行う、という事は一見無意味に見えますが、改正暴対法では”事業者が反社会的勢力の活動を助長し、運営に資することとなる利益を供与すること”が禁止されるため、ISILとその協力者が日本国内での行動を大きく制約し、戦闘員を斡旋する集会や目的とした宿泊施設を使用することが出来ず、戦闘員や活動資金を金融機関により送金することも法律上不可能となります。加えて、今回の邦人殺害に加担し我が国政府に2億ドルを要求する恫喝を行いましたISIL、その指導者であるバクダディ氏と今回の殺人を実行した氏名不詳の男を指名手配することは、我が国は軍事報復以外の面で全面対決する姿勢を示したことにもなるでしょう。

こうした意見を提示することは勇気が必要な事ですが、政府は敢えて軍事報復ではなく、司法により今回の事件に対し強く要求するべきです。一方でISILは戦闘員として交戦団体に所属し軍事行動に参加した民間軍事会社経営者に対する殺害は許されないものの、戦闘行為の延長であり国家承認は受けていないものの国家を自称する交戦団体の司法行為の延長と強弁できる可能性はあります、しかし、同じく殺害を予告している邦人ジャーナリストについては拘束さえ違法です。万一、さらなる凶行が重ねられるならば、全国に指名手配のポスターを司法施設や公共施設に掲示し、国内で逮捕できる可能性は無いものの、日本は全面的に凶行を許さず、犯罪者として厳正に対処する姿勢を示せるのです。
北大路機関:はるな
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(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
非常に残念な状況ですが、2億ドルが要求されたシリア邦人人質事案は人質二名のうち一名が殺害されたとの発表が誘拐を行ったISILにより行われました。

如何なる理由があろうとも、彼らが行った行為は殺人であり、許されるものではありません。人質のうち殺害された一名は自称民間軍事会社の経営者であり、現地での戦闘行為に参加していたとの情報がありますが、現地の交戦団体に所属し公然と戦闘行為を行っていたことから交戦団体間でのハーグ陸戦条約及びジュネーヴ文民保護条約により戦時捕虜としての資格を有しており、一方的に殺害を行うことは認められません。

今回の行為は強盗傷害と誘拐と監禁、殺人と恐喝そのものであり、邦人を対象とした犯罪行為であるため我が国に管轄権があります。ISILは日本国内においても戦闘員の募集を行っており、我が国内でのテロの脅威があるだけではなく、邦人位置情報等をISILに提供するなど協力者の存在も指摘されています。

しかし、我が国は邦人殺害事件に対し、自衛隊による軍事報復を行う選択肢を現在のところ採る事が出来ません。現行憲法では国際紛争ではないことから自衛隊を投入できるという解釈も有り得ないわけではないですが、現行法では根拠となる法がありません。能力的にもF-2を派遣し有志連合の航空打撃作戦に参加、という選択肢は規模は別として参加することは不可能ではありませんが、邦人殺害の当事者を捕捉し攻撃することは技術的に簡単ではなく、軍事報復は現段階では行うべきではないでしょう。

そこで、ISILを改正暴力団対策基本法に基づく特定危険指定暴力団指定を行い、その指導者であるバクダディ氏と今回の殺人を実行した氏名不詳の男を指名手配する方策を採る事が妥当だと考えます。暴対法では暴力団の定義を、2条2号に”その団体構成員が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体”、としており定義上は暴力団に当てはまります。30条の8には”指定暴力団の構成員等が凶器を使用して人の生命又は身体に重大な危害を加える方法による暴力行為を反復継続するおそれがある場合、当該指定暴力団等を特定危険指定暴力団等として指定する”、とあり、定義に当てはまります。

日本の暴対法に基づく特定危険指定暴力団指定を都道府県公安委員会行う、という事は一見無意味に見えますが、改正暴対法では”事業者が反社会的勢力の活動を助長し、運営に資することとなる利益を供与すること”が禁止されるため、ISILとその協力者が日本国内での行動を大きく制約し、戦闘員を斡旋する集会や目的とした宿泊施設を使用することが出来ず、戦闘員や活動資金を金融機関により送金することも法律上不可能となります。加えて、今回の邦人殺害に加担し我が国政府に2億ドルを要求する恫喝を行いましたISIL、その指導者であるバクダディ氏と今回の殺人を実行した氏名不詳の男を指名手配することは、我が国は軍事報復以外の面で全面対決する姿勢を示したことにもなるでしょう。

こうした意見を提示することは勇気が必要な事ですが、政府は敢えて軍事報復ではなく、司法により今回の事件に対し強く要求するべきです。一方でISILは戦闘員として交戦団体に所属し軍事行動に参加した民間軍事会社経営者に対する殺害は許されないものの、戦闘行為の延長であり国家承認は受けていないものの国家を自称する交戦団体の司法行為の延長と強弁できる可能性はあります、しかし、同じく殺害を予告している邦人ジャーナリストについては拘束さえ違法です。万一、さらなる凶行が重ねられるならば、全国に指名手配のポスターを司法施設や公共施設に掲示し、国内で逮捕できる可能性は無いものの、日本は全面的に凶行を許さず、犯罪者として厳正に対処する姿勢を示せるのです。
北大路機関:はるな
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