■戦車砲手練成
戦車を戦場にて動かすことだけでも難しいのですが、戦車戦闘は動くことだけでは何も始まりません、そこで砲手の練成が重要となる。
戦車戦闘、素早く照準し素早く命中させる、砲手の任務はここにあるのですが、ZMB照準訓練を行い即座の照準動作へ完熟を期します、ZMB照準とは簡単に言えば照準器をアルファベットのZ字M字B字に沿って照準器の中心点に照準してゆくもので、素早く正確に目標の捕捉を期したもの、文字に沿って照準させる訓練方法は日米ともに戦時中戦前から行っていたという。
初期の戦車では戦車砲が軽量であったものに限って方で砲尾を押し上げ押し下げ突き動かして操行するものもありましたが、ZMB照準方法は主として高低ハンドルと左右ハンドルを操作するものです、簡単ではありますが戦車が駆動している場合や目標が移動している場合を想定し照準する事に必要な動作です、鳴門巻照準や2πr照準など複雑な操行を素早く正確に行うには、右利きの人が左で習字する程度に簡単といい、簡単そうだが慣れが必要、という意味を端的に示しているようです。
砲手ですが、現在でこそ戦車長と砲手に装填手という区分が確立しているのですが、初期の戦車では砲手の照準作業を車長が担っていた時代が、あるだけではなく主砲弾が小口径砲であった時代などは一人用砲塔、つまり車長が装填から照準までこなさなければならなかった時代もあります、索敵し操縦手を指揮と僚車との連携を採りつつ装填し照準し射撃し次の目標に警戒する、戦車設計の発展がひと段落するまで、照準は非常に大変でした。
砲手の仕事は命中させる事ですが、照準を迅速に対応できるようになったとしてもそのまま射撃しては、相当な至近距離でなければ命中しません、ボアサイト作業、つまり照準規正を行わなければ、照準線と主砲の延長線が離隔していますから命中しないのです、戦車用標的は大きなものですが主砲と照準器の離隔距離である数十cmが離れて命中すれば標的の中心を離れます、そこで照準器と主砲を一定距離で交わるように調整を行う訳です、これは想定交戦距離に応じて画定するもので1500mから2000mや3000m程度で照準するのです。
先ずこの作業は1500mなり3000mなり遠方にボアサイト目標を立てるところから始まります、主砲の先端に針金や糸にて十字を結べる溝が掘ってあるのが74式戦車などで明確に目ますが、これはボアサイト作業用のものなのですね、主砲の十字が肉眼で見た場合に距離に応じた先のボアサイト目標を中心に狙う状況で照準器の中心点もモアサイト目標にも合致するよう調整するわけです、こうすることで照準器と主砲が完全に一致する訳ですが、主砲弾は当然地球の重力を受けるわけで射撃後放物線を描いて落下します、ここを距離に応じて角度を付与し照準する事で初めて遠距離照準と命中を合致させられる。
砲手は命中しなかった場合即座に修正して次弾で確実に撃破しなければなりません、相手がどんな間抜けであったとしても射撃を受ければ気づきますので回避王道を採ると共に対戦車戦闘ならば敵戦車がこちらに照準し戦車砲を撃ってきます、二発目で命中しなければ相手の一発目が命中する事になるのですが、現用戦車の場合2000mでの初弾命中精度が95%といわれますので、二発目が外れたらば、まず助かりません、戦後第一世代戦車は戦闘距離900mでも命中精度90%程度、第二世代戦車は2000mで命中精度50%という目安でした。
初弾を外した場合どうするか、砲手は照準器で射撃直後から命中まで砲弾を追尾し、命中するか左右上下手前どこに外れたかを目で追うとの事、第一世代戦車の900mと第二世代戦車の2000m、ともに戦車砲弾は一秒少々で命中しますが真後ろから砲弾は空気摩擦熱で光を放ちつつ飛翔しますので寸秒という文字通り一瞬ですが、目で追う事が熟練砲手には可能となるということ。
それならば照準器から目を離さず砲弾を追尾すれば、と思うやもしれませんが射撃と共に車体が制動でおおきく揺れますので照準器に目をつけていたらば打撲傷を顔面に負って爾後の戦闘に支障をきたします、ですから射撃の振動を逃がした刹那命中するかを照準器で追う、初歩の砲手は命中したかどうか確認に失敗することも多いようで熟練すると命中する前に撃った瞬間分かるという、仮に命中したとしても砲手は振動でずれた照準点を再度修正し、もう一度狙いつつ車長から次の目標指示に備える、これが砲手に求められる能力です。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
戦車を戦場にて動かすことだけでも難しいのですが、戦車戦闘は動くことだけでは何も始まりません、そこで砲手の練成が重要となる。
戦車戦闘、素早く照準し素早く命中させる、砲手の任務はここにあるのですが、ZMB照準訓練を行い即座の照準動作へ完熟を期します、ZMB照準とは簡単に言えば照準器をアルファベットのZ字M字B字に沿って照準器の中心点に照準してゆくもので、素早く正確に目標の捕捉を期したもの、文字に沿って照準させる訓練方法は日米ともに戦時中戦前から行っていたという。
初期の戦車では戦車砲が軽量であったものに限って方で砲尾を押し上げ押し下げ突き動かして操行するものもありましたが、ZMB照準方法は主として高低ハンドルと左右ハンドルを操作するものです、簡単ではありますが戦車が駆動している場合や目標が移動している場合を想定し照準する事に必要な動作です、鳴門巻照準や2πr照準など複雑な操行を素早く正確に行うには、右利きの人が左で習字する程度に簡単といい、簡単そうだが慣れが必要、という意味を端的に示しているようです。
砲手ですが、現在でこそ戦車長と砲手に装填手という区分が確立しているのですが、初期の戦車では砲手の照準作業を車長が担っていた時代が、あるだけではなく主砲弾が小口径砲であった時代などは一人用砲塔、つまり車長が装填から照準までこなさなければならなかった時代もあります、索敵し操縦手を指揮と僚車との連携を採りつつ装填し照準し射撃し次の目標に警戒する、戦車設計の発展がひと段落するまで、照準は非常に大変でした。
砲手の仕事は命中させる事ですが、照準を迅速に対応できるようになったとしてもそのまま射撃しては、相当な至近距離でなければ命中しません、ボアサイト作業、つまり照準規正を行わなければ、照準線と主砲の延長線が離隔していますから命中しないのです、戦車用標的は大きなものですが主砲と照準器の離隔距離である数十cmが離れて命中すれば標的の中心を離れます、そこで照準器と主砲を一定距離で交わるように調整を行う訳です、これは想定交戦距離に応じて画定するもので1500mから2000mや3000m程度で照準するのです。
先ずこの作業は1500mなり3000mなり遠方にボアサイト目標を立てるところから始まります、主砲の先端に針金や糸にて十字を結べる溝が掘ってあるのが74式戦車などで明確に目ますが、これはボアサイト作業用のものなのですね、主砲の十字が肉眼で見た場合に距離に応じた先のボアサイト目標を中心に狙う状況で照準器の中心点もモアサイト目標にも合致するよう調整するわけです、こうすることで照準器と主砲が完全に一致する訳ですが、主砲弾は当然地球の重力を受けるわけで射撃後放物線を描いて落下します、ここを距離に応じて角度を付与し照準する事で初めて遠距離照準と命中を合致させられる。
砲手は命中しなかった場合即座に修正して次弾で確実に撃破しなければなりません、相手がどんな間抜けであったとしても射撃を受ければ気づきますので回避王道を採ると共に対戦車戦闘ならば敵戦車がこちらに照準し戦車砲を撃ってきます、二発目で命中しなければ相手の一発目が命中する事になるのですが、現用戦車の場合2000mでの初弾命中精度が95%といわれますので、二発目が外れたらば、まず助かりません、戦後第一世代戦車は戦闘距離900mでも命中精度90%程度、第二世代戦車は2000mで命中精度50%という目安でした。
初弾を外した場合どうするか、砲手は照準器で射撃直後から命中まで砲弾を追尾し、命中するか左右上下手前どこに外れたかを目で追うとの事、第一世代戦車の900mと第二世代戦車の2000m、ともに戦車砲弾は一秒少々で命中しますが真後ろから砲弾は空気摩擦熱で光を放ちつつ飛翔しますので寸秒という文字通り一瞬ですが、目で追う事が熟練砲手には可能となるということ。
それならば照準器から目を離さず砲弾を追尾すれば、と思うやもしれませんが射撃と共に車体が制動でおおきく揺れますので照準器に目をつけていたらば打撲傷を顔面に負って爾後の戦闘に支障をきたします、ですから射撃の振動を逃がした刹那命中するかを照準器で追う、初歩の砲手は命中したかどうか確認に失敗することも多いようで熟練すると命中する前に撃った瞬間分かるという、仮に命中したとしても砲手は振動でずれた照準点を再度修正し、もう一度狙いつつ車長から次の目標指示に備える、これが砲手に求められる能力です。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)