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自衛隊とスーパーハーキュリースの可能性【1】 もう一つのC-X,C-130H輸送機後継機に関する視点

2016-01-25 21:12:09 | 先端軍事テクノロジー
■もう一つのC-X,C-130H輸送機後継機
C-17輸送機の話題を特集した際に扱いました、C-130Jについて、今回から少し考えてみたいと思います。

自衛隊とスーパーハーキュリースの可能性について、小牧基地のC-130H輸送機後継機はどうなるかという視点から少し考えてみたいと思います。スーパーハーキュリース、つまりC-130J輸送機ですが、C-130Hに代わる輸送機として開発、形式こそC-130であり、機体形状も共通ですが、新型ミッションコンピューターの搭載による自動化やフライバイワイア操縦系統と新型エンジンや操縦装置の刷新を図ったもの。

C-130H輸送機後継機を考える場合、C-130J輸送機かC-2輸送機が最有力となるでしょう。従来のC-130AからC-130Hまでの愛称をハーキュリース、つまりギリシャの英雄ヘラクレスの呼称を冠している訳ですが、スーパーハーキュリースとしている当たり、製造メーカーであるロッキード社の従来型から脱した新世代機であるとの意気込みが伝わります。

実際、航続距離や野外整備性の自動化などが図られ、機体容積も胴体延長型を多く提示しています、もっとも胴体を延長しますと不整地着陸能力に影響が生じる為基本型が各国へ広く採用されています。自衛隊では戦術輸送機として国産のC-1輸送機を導入、その後、沖縄返還とともに輸送能力の強化が必要となった為、C-1輸送機に加え、C-130H輸送機の導入が決定します、航空自衛隊は専守防衛という防衛政策に則り、創設と同時に第二次大戦型のC-46輸送機36機を取得し、更に予備機として中華民国空軍より用途廃止機12機を1962年に取得、後継機としてのC-1は31機が導入され、その後の輸送需要増大に併せ、10機程度の新輸送機が必要となった為、C-130Hが導入されたかたち。

1984年より16機を有償供与により取得し小牧基地へ配備する事となりました。C-130は海外派遣への部隊輸送に用いる事が可能な数少ない航空機であるため、配備基地である小牧基地は自衛隊の海外への玄関口のような印象がありますが、元々小牧基地は第3航空団、現在三沢基地に置かれている戦闘機部隊の基地として1959年に創設、1962年から第5術科学校が置かれ航空管制教育の拠点となり、1971年に現在の救難教育隊が浜松南基地より移転、輸送機が配備されたのはC-46輸送機が退役した1978年に入ってからの事です。

このC-130Hですが、初号機は運用開始から32年を経ており、16号機導入も1988年と28年を経て、将来的には遠からず後継機選定が必要となってきます。また、C-130J輸送機は有力な対抗馬にC-2輸送機がおり、戦術輸送機としての優位性は簡単ではありません、もちろん、航空救難団ヘリコプターへの給油機としてKC-130の改造が開始され、この種の航空機への需要はあるのですが、主力輸送機として位置付けられるかは様々な論点があるでしょう。

もっとも、この命題の本番となる時機については、C-1輸送機のC-2輸送機への更新が完了して後、選定となる可能性が高く、2020年代後半のこととなります。ただし、C-1輸送機とC-130H輸送機の導入は14年しか違わない一方、C-1輸送機後継機計画C-Xは2000年に開始となり、2010年にはC-2輸送機が初飛行となっている為、どういった機種とすべきか、C-130H輸送機も議論を初めて早すぎる時期ではありません。

北大路機関:はるな くらま
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