北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

FN Browning Hi-Power : 第一世代自動拳銃の最高峰 & SIG SAUER P228 : 法執行機関用拳銃の至高

2016-01-03 20:30:06 | 北大路機関特別企画
■ブローニングハイパワー
 本日はお正月恒例企画、2015年に調達しましたトイガンなどを紹介する事としましょう。

 ブローニングハイパワー、ベルギーのFN社製拳銃をマルシン社製モデルガンとして再現したもので、アメリカ人銃器設計者ジョンブローニングが1926年に設計した自動拳銃を1935年にデュードネサイーブ技師が改良を加えたもの、ジョンブローニング氏の設計した銃器はウィンチェスターM92レバーアクション銃や近代機関銃の始祖ブローニングM1895重機関銃、現用重機関銃として設計後一世紀以上を経て運用が続くブローニングM-2/50口径重機関銃に、我が国でも広く使用されたブローニングM1910拳銃にコルトガバメントM-1911自動拳銃など多岐に及びますが、ブローニングハイパワーは氏の最後の設計であり、複列方式の所謂ダブルカラムマガジンを採用することで13発の9mm拳銃弾を装填可能、映画ダイハードの原作にも主人公の拳銃として登場したほか、一昨年までイギリス軍が本銃の完成した設計に後継拳銃選定が難航したほどの傑作です。サイーブ技師は世界中に採用されたFN FAL小銃の設計者として世界中に知られています。13発という火力はイギリス空挺特殊部隊SASでも永らく使用されており、突入任務では再装填の必要がない程の火力を突入要員へ付与していまして、我が国では海上保安庁が使用しています。ブローニングハイパワーは1935年からベルギー軍制式拳銃として運用開始となりましたが、第二次世界大戦の勃発と共にドイツに占領され、FN社は敢えて粗悪な拳銃を製造する事でドイツ軍へ抵抗しました、このため、ドイツでは一般認識としてワルサーP-38等よりも銃弾が多いだけの粗悪拳銃、という印象を強めてしまいますが戦時中カナダで生産されたものは連合国への供給が行われたほか、中華民国でのライセンス生産も実施、戦後は一挙に高性能拳銃として採用国が増加し50か国以上で採用されました。

 S&W M19、357マグナム弾を使用する中型リボルバーとして1955年にスミス&ウェッソン社が発表した回転式拳銃で、4インチ銃身モデルがアメリカの警察用拳銃として広く採用されたことで知られます、命中精度を考慮し6インチ銃身型も発表されていますが、そのM19を東京マルイがガスリボルバーとして発表したものです。S&W社のダニウェルウェッソン技師は、マグナム弾、つまり従来拳銃弾の弾頭部分を強力な発射薬により初速を向上させ威力を増大させる方式の銃弾、その第一号として1934年に発表された357マグナム弾を拳銃に転用する設計案を示します、今日ではマグナム弾は高威力の回転式拳銃弾薬の代名詞ですが当初は法執行機関用のレバーアクション式カービン用弾薬としての用途が広く、拳銃弾を使用していたレバーアクション式カービンに高威力を付与する視点から仕様されていました、しかし、1930年代のアメリカ禁酒法時代、鋼板式防弾チョッキを着用しての銃撃戦に威力が評価され、ダニウェルウェッソン技師はその自らが設計した357マグナム弾を使用する拳銃としてM-19を開発しました。ガスガンとしてのM-19は24連発の独自機構を有し撃ちやすく、24連発設計は、ガスリボルバーが6連発時代にその不利を補うべく高威力化と脱法化に走りやすい傾向を多弾数を以て阻止した記念的な製品でもあります。

SIG SAUER P228、スイスのシグ社製9mm拳銃シリーズの法執行機関向け自動拳銃として1989年に発表されました、元々の原型はシグザウエルP-226自動拳銃で我が国でも海上自衛隊や海上保安庁に採用されたという高性能拳銃です、陸海空自衛隊が制式拳銃として採用しているシグザウエルP-220はスイス製自動拳銃の伝統に沿い、堅牢で故障が少ない一方で極めて高い命中精度を誇るものですが、装弾数が単列式となっているため9発と少なく、このためP-226はダブルカラムマガジン方式を採用する事で15発を装填可能としたものでした。P-220は1975年に発表されましたが、P-226は1984年に開発され、アメリカ陸軍制式拳銃選定に提示されました、が、高精度は必然的に高価格に跳ね返り、ベレッタ92Fにその座を譲ってしまいました、他方、高精度を必要とする特殊部隊ではP-226は愛用され、その銃身を若干切り詰め携帯性を強化したものがP-228です。P-226と並び海上保安庁や海上自衛隊の特殊作戦部隊においても運用されているもので、装弾数を2発少ない13発としたことで握把部分を小型化し、携帯性と共に握り易さなどにも配慮が為されています、ただ、2発減るのは火力低下につながるとしてP-228/M11A1モデルとして15発型も発表されています、写真はKHC社製固定スライド式ガスガンで饗庭野演習場からの帰路に近江今津駅前で鰻丼を頂いた際隣で偶然発見し購入しました、タナカやタニオコバ等が一時利き添って発表したP-228ですが、エアコッキング式を除けば既にすべてが廃盤となっており、偶然入手できたもの。

Sturm Ruger MkI、アメリカのスタームルガー社が創業の1949年に発表したものを台湾のKJ WORKS社製として再現したもの、スタームルガー社はこのスタームルガーMk1により、22口径という小型拳銃弾を用いるものの、射撃時の最装填に銃本体のスライド部分を動かすのではなく、本体内部に内蔵されたボルト部分を稼働させることで射撃時の可動部分を極小化させ砂塵などの混入による故障発生のリスクを抑えると共に反動を軽減させ、併せて可動部分を少なくすることは安価に仕上げる事にも繋がりました。発売されていたのはサイレンサー付モデルで、これはマルシンのMAXIシリーズとしても発売されていたものですが既に廃盤となっており、永らく入手できなくなっていたものが台湾製として発売されたもの、固定スライド式ガスガンですが、実銃の反動の少ない部分が継承されている部分ともいえ、更にサイレンサーモデルがヴェトナム戦争でのアメリカ軍特殊作戦部隊の競合地域活動用に多用されたほか、CIAが暗殺用拳銃として使用していた、とも言われます、他方22LR弾の反動の少なさはアメリカでの子供向け入門拳銃という位置づけが強く、しかしサタデーナイトスペシャルに代表されるような粗悪な拳銃ではなく、競技用拳銃に用いられるほどの安定性と事故の少なさなどから知られている一丁です。

 Enfield Revolver No.2 Mk.I、イギリス軍制式拳銃としてエンフィールドMk1は第二次世界大戦までを戦い、准制式拳銃として1982年まで現役であったほか、2010年代に入ってもイギリス本土に戦時予備として大量に備蓄されたままであったことがBBCにより報じられていた拳銃です、中折式回転式拳銃で駄菓子屋雷管銃玩具にてこの方式を知られている方は少々オッサンとなった方まで多いかもしれません、この細身で装填時の動作は一回見れば忘れないほどの強い印象を与える一丁であり、映画でもインディージョーンズ最後の聖戦にてインディが手にしていた、という印象が強いと思うのですが当方の周りではサクラ大戦でマリアタチバナさんが使用していた改造型や天空の城ラピュタにてムスカ大佐が使っていたという印象が強いとか、モデルガンを入手しました。中折式拳銃は再装填時に回転式拳銃よりも素早く排莢が可能である為軍用拳銃に必要な即応性の部分で秀でており、イギリス軍は1880年に制式化してのち1982年の准制式解除まで100年以上19世紀の拳銃を愛用していたこととなります、単純な構造から大口径拳銃弾を使用する事は出来ませんが、小銃と短機関銃の補完という位置づけにある軍用拳銃としては充分で、興味はあったものの手を出せませんでした、改造型を大日本技研が発売した簡易モデルガンは購入しましたが、今回ショットショーにて入手することができました。

北大路機関:はるな くらま
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