■MV-22沖縄本島沖不時着事故
MV-22の海上不時着事故が発生しました、この反発は大きく、そろそろ負担軽減から共有へという新しい議論が必要となるのではないでしょうか。

最初にテロのニュースが入ってきました、ベルリンでカイザーウィルヘルム記念教会クリスマス特設市場がトラック突入攻撃を受け60名の死傷者が出ました、ドイツ法執行当局はテロ事件として捜査を開始しました。同じころスイスのチューリッヒではイスラム教施設において無差別発砲事件が発生、3名の負傷者が出ています。双方の関係有無は明らかではありませんが、欧州にはテロの嵐が吹いています。

今月13日、沖縄本島沿岸の東シナ海において米海兵隊MV-22可動翼機がKC-130空中給油機からの夜間空中給油訓練中に給油プローブへローターが接触、そのまま操縦不能となり海上に不時着しました。これを契機に沖縄県内を中心にMV-22の配備への反発が高まり、更に普天間飛行場名護市移設工事中止解除が最高裁判決に盛り込まれ併せて批判が高まっています。

MV-22可動翼機とKC-130空中給油機の夜間訓練中接触は、沖縄県庁が批判するような機体の欠陥か、と問われますと、基本的に空中給油中にローターとプロープが接触した場合でも確実に飛行を継続する事が可能な航空機は思い当たりません、強いて言えばAV-8攻撃機等ローターを有さない機種ですが回転翼を有する航空機には欠陥とは言い難いでしょう。

不時着事故という表現を沖縄県庁は批判していますが、相浦駐屯地AH-1S対戦車ヘリコプター事故や和歌山沖OH-1水没事故等、今回のMV-22事故と類似した事故は我が国では不時着事故に定義されています、この為、不時着事故ではなく墜落事故だとの主張にも、当該事案と類似事案に不時着事故との表現が用いられており今回のみ特別扱いは出来ません。

過去の沖縄国際大学CH-53墜落事故の様にMV-22が空中給油中に住宅街に墜落する可能性との一部危惧については、そもそも住宅街を含む陸上上空では空中給油は日米ともに実施せず、例外的に航空祭で行われる空中給油展示飛行でも空中給油プローブからは離隔した距離を飛行する展示飛行に限られており、実際空中給油は行われていない点を踏まえるべきです。

ただ、人間は感情の生き物であり、専守防衛を国是とする我が国では平和憲法の名の下で国土を戦場とするまで反撃に転じない施策が支持されており、この為には国民と政治の信頼関係が重要です。米海兵隊は専守防衛の枠外でそもそも我が国が戦争に巻き込まれないよう憲法上日本が採り得ない積極策を採る点はさておき、信頼強化の施策は必要でしょう。

政府は、沖縄県に歩み寄り、妥協の余地はある程度考えられるわけですから、例えば米軍ではなく自衛隊を前面に出し、例えば海兵隊MV-22に代わる航空機を平時において用いる余地を捜し、例えば沖縄が一手に引き受ける米軍訓練と九州本州が一手に引き受ける自衛隊訓練の相互転換相互負担を、それぞれ共有する具体策を示すべきではないでしょうか。

日出生台演習場と北部訓練場の陸上自衛隊と米海兵隊運用交換、真剣に検討すべきではないかという視点について。勿論、日出生台演習場を米軍専用演習場に切り替えるのではなく、日出生台演習場で現在実施している米海兵隊訓練を抜本的に増強し、その一方で従来想定しない、陸上自衛隊の北部訓練場への訓練移転を行い米軍使用を削減する提案です。

沖縄県側の批判は米軍訓練の集中ですが、沖縄県では自衛隊演習場が無く那覇駐屯地第15旅団は基本的に中隊規模を超える訓練を日出生台演習場に依存しています、更に北熊本第8師団の現在実施している沖縄研修を強化する方式で米軍訓練を逆に本土移転させ、沖縄での自衛隊訓練異常な希薄解消と併せ米軍訓練の全国規模での共有は促進するべきでしょう。

UH-60多用途ヘリコプター,EC-225輸送ヘリコプター,CH-101輸送ヘリコプターの増勢と米軍MV-22の本土分散配置、安全保障関連法制により自衛隊の米軍支援への障壁が一部解消されており、自衛隊ヘリコプターによる米軍空輸支援の可能性が拓かれました、単純な訓練支援に限れば協力が可能となり、普天間海兵航空隊削減が可能となるやもしれません。

高遊原分屯地を高遊原駐屯地へ拡大し、西部方面航空隊を廃止、新たに西部方面ヘリコプター団を新編し、高遊原駐屯地へ第201ヘリコプター群、那覇駐屯地か補完する沖縄駐屯地へ第202ヘリコプター群を配置し、第202ヘリコプター群配置を以て海兵航空部隊の半分程度を岩国航空基地乃至目達原駐屯地へ集約乃至移駐、沖縄から本州九州移転を期す。

第2ヘリコプター団として一歩進み、大臣直轄部隊や将来の総隊直轄部隊として、木更津第1ヘリコプター団を東部東北北部方面隊を主とした支援に充て、第2ヘリコプター団を中部西部方面隊へ支援に充てる運用、という選択肢も考えられるでしょう。この場合、多数のCH-47を増勢する必要がありますが、元来統合機動防衛力整備へ増勢が必要でした。

少なくとも、MV-22の半数程度と可能であればCH-53Eの一部を本州九州へ移転させ、在沖海兵航空部隊は県民反対の薄いAH-1ZやUH-1Y等、自衛隊のAH-1SやUH-1Jと同系統機に集約した上で、海兵空中機動訓練を沖縄での自衛隊急患輸送において実績ある自衛隊UH-60やCH-47,政府要人輸送で実績あるEC-225等を増強配備、置き換える提案です。

自衛隊のヘリコプターさえ十分ではない中、この施策は聊か事業評価に際しその妥当性と正当性を問われる懸念もありますが、自衛隊として島嶼部防衛に必要な空中機動作戦能力を常に維持する海兵隊へ参加させる事で高度な水準を維持でき、北部訓練場と那覇駐屯地を往復する主眼で日本が沖縄での訓練比重を高めれば必ずしも米軍過当支援には当らない。

本案は沖縄米軍基地負担軽減に加えて、日本の防衛負担過小を批判するアメリカ次期政権への回答、統合機動防衛力整備への具体的施策たる空中機動力増強、これらを複合的に解消する新しい施策として提案するものです。在沖米軍負担軽減・米対日防衛負担要求・統合機動防衛力、何れも喫緊の課題であり、ミサイル防衛等の施策を事由に遅延事業を含む。

川崎重工V-107整備能力の再構築を前提として、米海兵隊より老朽化し引退したCH-46の再生措置と再配備、特に日本側が運用し一時的にMV-22の代替手段を提示する施策等、検討する余地はないでしょうか。CH-46は途轍もなく老朽化しある種危険ですが沖縄での重大事故批判は少なく、MV-22配備反対運動と比してCH-46早期代替運動は過去ありません。

V-107は自衛隊において非常に長い運用実績があります、V-107の初飛行はバートル社が実施した1958年ですが1962年には川崎重工がライセンス生産権を取得し日本での生産が開始、自衛隊での運用はライセンス生産機に先んじたノックダウン生産機から開始され、陸海空自衛隊にて長期に渡り運用が継続、最後の機体が除籍されたのは2008年の事でした。

科学的に安全が証明された場合でも人間は感情の生き物なのですから納得できるとは限りません、科学性と感情性は討議の次元が異なる客観性と主観性のものです。一方、在沖米軍の必要性ですが専守防衛を掲げる我が国にとり、台湾有事や比島有事等の非常時へわが国への影響が具体化する状況を未然に阻止するべく自衛隊を即座に介入、策源地構築阻止やシーレーン防衛に向ける選択肢は現時点で執れないでしょう。

在沖米軍の意義、実際に行うか否かは別として、措置を採る事が出来る能力そのものが抑止力を発揮し、地域安定化に資する訳です、無論、国土を戦場とさせることを強いた憲法を改正し平和主義を冒す外敵から国民の平和的生存権を守る勢力への積極的な施策を可能とする選択肢はないには無いのですが、本論では敢えてそこまで踏み込む討議は行いません。
北大路機関:はるな くらま
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MV-22の海上不時着事故が発生しました、この反発は大きく、そろそろ負担軽減から共有へという新しい議論が必要となるのではないでしょうか。

最初にテロのニュースが入ってきました、ベルリンでカイザーウィルヘルム記念教会クリスマス特設市場がトラック突入攻撃を受け60名の死傷者が出ました、ドイツ法執行当局はテロ事件として捜査を開始しました。同じころスイスのチューリッヒではイスラム教施設において無差別発砲事件が発生、3名の負傷者が出ています。双方の関係有無は明らかではありませんが、欧州にはテロの嵐が吹いています。

今月13日、沖縄本島沿岸の東シナ海において米海兵隊MV-22可動翼機がKC-130空中給油機からの夜間空中給油訓練中に給油プローブへローターが接触、そのまま操縦不能となり海上に不時着しました。これを契機に沖縄県内を中心にMV-22の配備への反発が高まり、更に普天間飛行場名護市移設工事中止解除が最高裁判決に盛り込まれ併せて批判が高まっています。

MV-22可動翼機とKC-130空中給油機の夜間訓練中接触は、沖縄県庁が批判するような機体の欠陥か、と問われますと、基本的に空中給油中にローターとプロープが接触した場合でも確実に飛行を継続する事が可能な航空機は思い当たりません、強いて言えばAV-8攻撃機等ローターを有さない機種ですが回転翼を有する航空機には欠陥とは言い難いでしょう。

不時着事故という表現を沖縄県庁は批判していますが、相浦駐屯地AH-1S対戦車ヘリコプター事故や和歌山沖OH-1水没事故等、今回のMV-22事故と類似した事故は我が国では不時着事故に定義されています、この為、不時着事故ではなく墜落事故だとの主張にも、当該事案と類似事案に不時着事故との表現が用いられており今回のみ特別扱いは出来ません。

過去の沖縄国際大学CH-53墜落事故の様にMV-22が空中給油中に住宅街に墜落する可能性との一部危惧については、そもそも住宅街を含む陸上上空では空中給油は日米ともに実施せず、例外的に航空祭で行われる空中給油展示飛行でも空中給油プローブからは離隔した距離を飛行する展示飛行に限られており、実際空中給油は行われていない点を踏まえるべきです。

ただ、人間は感情の生き物であり、専守防衛を国是とする我が国では平和憲法の名の下で国土を戦場とするまで反撃に転じない施策が支持されており、この為には国民と政治の信頼関係が重要です。米海兵隊は専守防衛の枠外でそもそも我が国が戦争に巻き込まれないよう憲法上日本が採り得ない積極策を採る点はさておき、信頼強化の施策は必要でしょう。

政府は、沖縄県に歩み寄り、妥協の余地はある程度考えられるわけですから、例えば米軍ではなく自衛隊を前面に出し、例えば海兵隊MV-22に代わる航空機を平時において用いる余地を捜し、例えば沖縄が一手に引き受ける米軍訓練と九州本州が一手に引き受ける自衛隊訓練の相互転換相互負担を、それぞれ共有する具体策を示すべきではないでしょうか。

日出生台演習場と北部訓練場の陸上自衛隊と米海兵隊運用交換、真剣に検討すべきではないかという視点について。勿論、日出生台演習場を米軍専用演習場に切り替えるのではなく、日出生台演習場で現在実施している米海兵隊訓練を抜本的に増強し、その一方で従来想定しない、陸上自衛隊の北部訓練場への訓練移転を行い米軍使用を削減する提案です。

沖縄県側の批判は米軍訓練の集中ですが、沖縄県では自衛隊演習場が無く那覇駐屯地第15旅団は基本的に中隊規模を超える訓練を日出生台演習場に依存しています、更に北熊本第8師団の現在実施している沖縄研修を強化する方式で米軍訓練を逆に本土移転させ、沖縄での自衛隊訓練異常な希薄解消と併せ米軍訓練の全国規模での共有は促進するべきでしょう。

UH-60多用途ヘリコプター,EC-225輸送ヘリコプター,CH-101輸送ヘリコプターの増勢と米軍MV-22の本土分散配置、安全保障関連法制により自衛隊の米軍支援への障壁が一部解消されており、自衛隊ヘリコプターによる米軍空輸支援の可能性が拓かれました、単純な訓練支援に限れば協力が可能となり、普天間海兵航空隊削減が可能となるやもしれません。

高遊原分屯地を高遊原駐屯地へ拡大し、西部方面航空隊を廃止、新たに西部方面ヘリコプター団を新編し、高遊原駐屯地へ第201ヘリコプター群、那覇駐屯地か補完する沖縄駐屯地へ第202ヘリコプター群を配置し、第202ヘリコプター群配置を以て海兵航空部隊の半分程度を岩国航空基地乃至目達原駐屯地へ集約乃至移駐、沖縄から本州九州移転を期す。

第2ヘリコプター団として一歩進み、大臣直轄部隊や将来の総隊直轄部隊として、木更津第1ヘリコプター団を東部東北北部方面隊を主とした支援に充て、第2ヘリコプター団を中部西部方面隊へ支援に充てる運用、という選択肢も考えられるでしょう。この場合、多数のCH-47を増勢する必要がありますが、元来統合機動防衛力整備へ増勢が必要でした。

少なくとも、MV-22の半数程度と可能であればCH-53Eの一部を本州九州へ移転させ、在沖海兵航空部隊は県民反対の薄いAH-1ZやUH-1Y等、自衛隊のAH-1SやUH-1Jと同系統機に集約した上で、海兵空中機動訓練を沖縄での自衛隊急患輸送において実績ある自衛隊UH-60やCH-47,政府要人輸送で実績あるEC-225等を増強配備、置き換える提案です。

自衛隊のヘリコプターさえ十分ではない中、この施策は聊か事業評価に際しその妥当性と正当性を問われる懸念もありますが、自衛隊として島嶼部防衛に必要な空中機動作戦能力を常に維持する海兵隊へ参加させる事で高度な水準を維持でき、北部訓練場と那覇駐屯地を往復する主眼で日本が沖縄での訓練比重を高めれば必ずしも米軍過当支援には当らない。

本案は沖縄米軍基地負担軽減に加えて、日本の防衛負担過小を批判するアメリカ次期政権への回答、統合機動防衛力整備への具体的施策たる空中機動力増強、これらを複合的に解消する新しい施策として提案するものです。在沖米軍負担軽減・米対日防衛負担要求・統合機動防衛力、何れも喫緊の課題であり、ミサイル防衛等の施策を事由に遅延事業を含む。

川崎重工V-107整備能力の再構築を前提として、米海兵隊より老朽化し引退したCH-46の再生措置と再配備、特に日本側が運用し一時的にMV-22の代替手段を提示する施策等、検討する余地はないでしょうか。CH-46は途轍もなく老朽化しある種危険ですが沖縄での重大事故批判は少なく、MV-22配備反対運動と比してCH-46早期代替運動は過去ありません。

V-107は自衛隊において非常に長い運用実績があります、V-107の初飛行はバートル社が実施した1958年ですが1962年には川崎重工がライセンス生産権を取得し日本での生産が開始、自衛隊での運用はライセンス生産機に先んじたノックダウン生産機から開始され、陸海空自衛隊にて長期に渡り運用が継続、最後の機体が除籍されたのは2008年の事でした。

科学的に安全が証明された場合でも人間は感情の生き物なのですから納得できるとは限りません、科学性と感情性は討議の次元が異なる客観性と主観性のものです。一方、在沖米軍の必要性ですが専守防衛を掲げる我が国にとり、台湾有事や比島有事等の非常時へわが国への影響が具体化する状況を未然に阻止するべく自衛隊を即座に介入、策源地構築阻止やシーレーン防衛に向ける選択肢は現時点で執れないでしょう。

在沖米軍の意義、実際に行うか否かは別として、措置を採る事が出来る能力そのものが抑止力を発揮し、地域安定化に資する訳です、無論、国土を戦場とさせることを強いた憲法を改正し平和主義を冒す外敵から国民の平和的生存権を守る勢力への積極的な施策を可能とする選択肢はないには無いのですが、本論では敢えてそこまで踏み込む討議は行いません。
北大路機関:はるな くらま
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