■衛星回避から衛星防御へ
宇宙空間への人類の依存度が年々高まり、人工衛星を防護する必要性は高まり続けています。この中で現在アメリカが取り組んでいるのは、回避から防御へ、その転換です。
中国の人工衛星には攻撃用のものがあり、具体的には人工衛星をロボットアームで捕捉し軌道外に排除する攻撃用衛星を人工衛星整備用として開発していますし、ロシアは既にアメリカの通信衛星周辺に追尾用衛星を展開、必要ならば通信傍受に留まらず通信衛星の無力化なども技術的に可能な体制を構築しており、キャッチアップの構図があるということ。
アメリカの宇宙での任務に当たるのは米宇宙軍人員数3万8000名で年間予算は89億ドル、地上監視設備はレーダー施設や電波監視施設に光学監視施設、つまり天体望遠鏡と電波望遠鏡を備えた施設など世界各国に134の拠点を持ち、この3万8000名という規模は我が国海上自衛隊が4万5000名規模であることを踏まえれば規模の大きさが分かるでしょう。
米宇宙軍3万8000名。この内追跡任務に当たるのは第50宇宙航空団の8000名で、アメリカの衛星へ攻撃可能な不審な経路を飛ぶ衛星へ監視の目を強化している。冷戦時代にはアメリカの偵察衛星とソ連のキラー衛星を相互に警戒し、F-15戦闘機にASAT衛星攻撃ミサイルを搭載し成層圏まで上昇したF-15から投射する等、攻勢運用の準備がありました。
現在の宇宙監視、情報収集衛星やGPS衛星と早期警戒衛星の内、静止軌道に位置する衛星には地球から遠距離に位置している為、攻撃兆候を把握した場合でも時間的余裕はありますが周回軌道を飛行する情報収集衛星は時間的余裕が少なく、現在のところキラー衛星を迎撃するのではなく、早期に感知し軌道を変更し回避という選択肢が基本となっています。
アメリカが急いでいるのはキラー衛星を迎撃できる能力の構築です、これは2015年にロバートワーク国防副長官が示したもので、アメリカの人工衛星などへ危害を加える危険な動向があればこれを迎撃する手段の構築が急務だ、としています。事前に察知し回避する、という手段では多数のキラー衛星から逃げ回り任務を果たせない、そして防護する大将の人工衛星も増えている、そこで迎撃を、という。
この具体的手段として、米軍高官デービッドバック氏が示唆したところによれば、ここ数年間で技術研究の段階から一挙に実用性が現実化しているミサイル迎撃用レーザー兵器を応用する施策を提示しており、海軍は旧式化したオースティン級輸送揚陸艦ポンスへレーザー砲を搭載、宇宙レーザー無人攻撃機転用可能なX37b宇宙無人機の実験が進んでいます。
言い換えれば、宇宙開発ではアメリカは世界で最も軍事優位性を、冷戦時代の莫大な投資により維持しており、この優位性を活かし、宇宙空間でのアメリカへの攻撃を受けた場合の積極策を構築しようとしているのでしょうか。この分野は今後、緊張が高まる分野でもあり、一方で宇宙空間という基本的に無人の宙域が軍事投資と中ロ軍拡競争の最前線となれば、従来型の小規模紛争には、関与度合いの低下など、一種第二戦線を形成した状況が生じるのかもしれません。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
宇宙空間への人類の依存度が年々高まり、人工衛星を防護する必要性は高まり続けています。この中で現在アメリカが取り組んでいるのは、回避から防御へ、その転換です。
中国の人工衛星には攻撃用のものがあり、具体的には人工衛星をロボットアームで捕捉し軌道外に排除する攻撃用衛星を人工衛星整備用として開発していますし、ロシアは既にアメリカの通信衛星周辺に追尾用衛星を展開、必要ならば通信傍受に留まらず通信衛星の無力化なども技術的に可能な体制を構築しており、キャッチアップの構図があるということ。
アメリカの宇宙での任務に当たるのは米宇宙軍人員数3万8000名で年間予算は89億ドル、地上監視設備はレーダー施設や電波監視施設に光学監視施設、つまり天体望遠鏡と電波望遠鏡を備えた施設など世界各国に134の拠点を持ち、この3万8000名という規模は我が国海上自衛隊が4万5000名規模であることを踏まえれば規模の大きさが分かるでしょう。
米宇宙軍3万8000名。この内追跡任務に当たるのは第50宇宙航空団の8000名で、アメリカの衛星へ攻撃可能な不審な経路を飛ぶ衛星へ監視の目を強化している。冷戦時代にはアメリカの偵察衛星とソ連のキラー衛星を相互に警戒し、F-15戦闘機にASAT衛星攻撃ミサイルを搭載し成層圏まで上昇したF-15から投射する等、攻勢運用の準備がありました。
現在の宇宙監視、情報収集衛星やGPS衛星と早期警戒衛星の内、静止軌道に位置する衛星には地球から遠距離に位置している為、攻撃兆候を把握した場合でも時間的余裕はありますが周回軌道を飛行する情報収集衛星は時間的余裕が少なく、現在のところキラー衛星を迎撃するのではなく、早期に感知し軌道を変更し回避という選択肢が基本となっています。
アメリカが急いでいるのはキラー衛星を迎撃できる能力の構築です、これは2015年にロバートワーク国防副長官が示したもので、アメリカの人工衛星などへ危害を加える危険な動向があればこれを迎撃する手段の構築が急務だ、としています。事前に察知し回避する、という手段では多数のキラー衛星から逃げ回り任務を果たせない、そして防護する大将の人工衛星も増えている、そこで迎撃を、という。
この具体的手段として、米軍高官デービッドバック氏が示唆したところによれば、ここ数年間で技術研究の段階から一挙に実用性が現実化しているミサイル迎撃用レーザー兵器を応用する施策を提示しており、海軍は旧式化したオースティン級輸送揚陸艦ポンスへレーザー砲を搭載、宇宙レーザー無人攻撃機転用可能なX37b宇宙無人機の実験が進んでいます。
言い換えれば、宇宙開発ではアメリカは世界で最も軍事優位性を、冷戦時代の莫大な投資により維持しており、この優位性を活かし、宇宙空間でのアメリカへの攻撃を受けた場合の積極策を構築しようとしているのでしょうか。この分野は今後、緊張が高まる分野でもあり、一方で宇宙空間という基本的に無人の宙域が軍事投資と中ロ軍拡競争の最前線となれば、従来型の小規模紛争には、関与度合いの低下など、一種第二戦線を形成した状況が生じるのかもしれません。
北大路機関:はるな くらま
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