■宇宙空間とサイバー空間
防衛省の取り組みとして従来の陸海空に加え、SFのような響きがありますが宇宙空間の防衛やサイバー空間における防衛の取り組みがあります、そこで来年度予算における取組をみてみましょう。

那覇基地航空祭の最中に宮古島へ中国の戦闘機と爆撃機等の編隊が飛来、緊張が高まる一幕がありましたが、我が国への攻撃脅威は陸海空だけに留まらない。宇宙状況監視に係る取組として14億円が要求されています、これは、“ 米国及び国内関係機関との連携に基づく宇宙状況監視(SSA)に必要となる宇宙監視システムの整備に係る基本設計等”と“SSA関連施設の整備及び運用要領の確立に向けた準備態勢のさらなる強化”とされ、宇宙空間の不審人工衛星動向を監視、特に衝突攻撃などへの対応が主眼です。

衛星通信の利用には1133億円という大きな費用が要求されており、具体的には“Xバンド防衛通信衛星3号機(スーパーバードC2号機の 後継衛星)の整備、運用、維持管理等”と“ Xバンド通信衛星に対応するための装備品等の改修等”及び“商用通信衛星回線の借り上げ、衛星通信器材の整備・維持等”が盛り込まれ遠隔地での通信を重視しています。

商用画像衛星及び気象衛星情報の利用には110億円が要求されていまして、“ 画像解析用データの取得(WorldView-4)”と“JAXA陸域観測技術衛星2号(ALOS-2)の利用及び経済産業省が開発した小型地球観測衛星(ASNARO-1)に係る実証研究”及び“超小型地球観測衛星を利用した情報収集の調査研究”が要求、情報収集衛星に加え強化されました。

サイバー空間における対応は125億円が要求されています、これは自衛隊情報通信へサイバースペースの依存度増大を受け必要なサイバー空間の防衛が必要となりました、サイバースペースは恒常的に攻撃を受ける為、平和憲法施政下にあっても常在戦場という厳しいものとなります、自衛隊は90年代からこの種の能力構築を個々継続的に実施してきました。しかし、先日大規模なサイバー攻撃が大陸から自衛隊に対し実施され、侵入を許しておりこの能力構築は全くの不充分、具体的な対抗基盤を急がねばなりません。

サイバー関連経費125億円が要求、第一に盛り込まれているのは体制の充実強化で、これは実戦的サイバー演習の実施体制の整備が挙げられまして、指揮統制システムや情報通信ネットワークを想定し実際にサイバー攻撃を加え対処能力を構築する施策です。自衛隊独自では人的にも限界があり、民間企業との協力体制が不可欠の事業ともいえるでしょう。

ペネトレーションテスト実施体制整備、ペネトレーションテストは実際にシステムへ攻撃を加える事で脆弱性を未然に察知し、指揮統制システムや情報通信ネットワーク等有事の際のサイバー攻撃による攻撃で脆弱性が露呈される未然に防御体制を構築するというものです。これは同時に実戦的なサイバー攻撃能力を構築するものとも言えるかもしれません。

運用基盤の強化が上記能力構築に依拠して要求されており、作戦システムセキュリティ監視装置の整備、クラウド基盤のセキュリティ監視態勢の整備、以上33億円が要求されました。主として航空自衛隊の作戦システムを想定し、クラウド基盤のセキュリティサービスプログラムの設計や、サイバー攻撃等を迅速に察知し的確に対処する装備を要求します。対処する、という事は必要な措置を採る事を意味するのですが、サイバー攻撃が憲法上禁止される武力行使に含まれるのか、国際法上の解釈に準じるかも未知数の段階、まだまだこれからというのが実情です。

最新技術研究として、サイバー攻撃等への対処能力を強化するサイバーレジリエンスの研究へ7億円が要求されています、これは実際に被害が生じた場合のダメージコントロールと被害の迅速な復旧を実現する能力です。宇宙空間やサイバー空間という自衛隊創設当時には想定しなかった分野においても防衛力整備は着実に実施されている事が読み取れますね。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
防衛省の取り組みとして従来の陸海空に加え、SFのような響きがありますが宇宙空間の防衛やサイバー空間における防衛の取り組みがあります、そこで来年度予算における取組をみてみましょう。

那覇基地航空祭の最中に宮古島へ中国の戦闘機と爆撃機等の編隊が飛来、緊張が高まる一幕がありましたが、我が国への攻撃脅威は陸海空だけに留まらない。宇宙状況監視に係る取組として14億円が要求されています、これは、“ 米国及び国内関係機関との連携に基づく宇宙状況監視(SSA)に必要となる宇宙監視システムの整備に係る基本設計等”と“SSA関連施設の整備及び運用要領の確立に向けた準備態勢のさらなる強化”とされ、宇宙空間の不審人工衛星動向を監視、特に衝突攻撃などへの対応が主眼です。

衛星通信の利用には1133億円という大きな費用が要求されており、具体的には“Xバンド防衛通信衛星3号機(スーパーバードC2号機の 後継衛星)の整備、運用、維持管理等”と“ Xバンド通信衛星に対応するための装備品等の改修等”及び“商用通信衛星回線の借り上げ、衛星通信器材の整備・維持等”が盛り込まれ遠隔地での通信を重視しています。

商用画像衛星及び気象衛星情報の利用には110億円が要求されていまして、“ 画像解析用データの取得(WorldView-4)”と“JAXA陸域観測技術衛星2号(ALOS-2)の利用及び経済産業省が開発した小型地球観測衛星(ASNARO-1)に係る実証研究”及び“超小型地球観測衛星を利用した情報収集の調査研究”が要求、情報収集衛星に加え強化されました。

サイバー空間における対応は125億円が要求されています、これは自衛隊情報通信へサイバースペースの依存度増大を受け必要なサイバー空間の防衛が必要となりました、サイバースペースは恒常的に攻撃を受ける為、平和憲法施政下にあっても常在戦場という厳しいものとなります、自衛隊は90年代からこの種の能力構築を個々継続的に実施してきました。しかし、先日大規模なサイバー攻撃が大陸から自衛隊に対し実施され、侵入を許しておりこの能力構築は全くの不充分、具体的な対抗基盤を急がねばなりません。

サイバー関連経費125億円が要求、第一に盛り込まれているのは体制の充実強化で、これは実戦的サイバー演習の実施体制の整備が挙げられまして、指揮統制システムや情報通信ネットワークを想定し実際にサイバー攻撃を加え対処能力を構築する施策です。自衛隊独自では人的にも限界があり、民間企業との協力体制が不可欠の事業ともいえるでしょう。

ペネトレーションテスト実施体制整備、ペネトレーションテストは実際にシステムへ攻撃を加える事で脆弱性を未然に察知し、指揮統制システムや情報通信ネットワーク等有事の際のサイバー攻撃による攻撃で脆弱性が露呈される未然に防御体制を構築するというものです。これは同時に実戦的なサイバー攻撃能力を構築するものとも言えるかもしれません。

運用基盤の強化が上記能力構築に依拠して要求されており、作戦システムセキュリティ監視装置の整備、クラウド基盤のセキュリティ監視態勢の整備、以上33億円が要求されました。主として航空自衛隊の作戦システムを想定し、クラウド基盤のセキュリティサービスプログラムの設計や、サイバー攻撃等を迅速に察知し的確に対処する装備を要求します。対処する、という事は必要な措置を採る事を意味するのですが、サイバー攻撃が憲法上禁止される武力行使に含まれるのか、国際法上の解釈に準じるかも未知数の段階、まだまだこれからというのが実情です。

最新技術研究として、サイバー攻撃等への対処能力を強化するサイバーレジリエンスの研究へ7億円が要求されています、これは実際に被害が生じた場合のダメージコントロールと被害の迅速な復旧を実現する能力です。宇宙空間やサイバー空間という自衛隊創設当時には想定しなかった分野においても防衛力整備は着実に実施されている事が読み取れますね。
北大路機関:はるな くらま
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