■初の陸自&英陸軍国内演習始る
日英防衛協力に新しい一歩です、日本国内でのイギリス陸軍と陸上自衛隊初の共同訓練という形で。
日英共同訓練が富士学校と山梨県の北富士演習場にて開始されました。富士学校長高田祐一陸将は、「基本的価値を共有するイギリスとの防衛協力の強化は、日本の安全保障だけでなく、インド太平洋地域を含む国際社会の安定と繁栄にとって重要な意味をもつ」と意義を強調し、9月30日から13日間の予定で実施、富士学校での訓練が報道公開されました。
富士学校での報道公開は、CH-47輸送ヘリコプターを用い、富士駐屯地祭で模擬店等が並ぶヘリポートで実施、離島防衛を想定した偵察部隊の展開と迫撃砲部隊への座標標定及び情報伝送が訓練されています。これは昨年の日英首脳会談における安全保障包括協力の一環として実施され、イギリス海軍揚陸艦の訪日等も日英防衛協力として進められています。
陸上自衛隊がイギリス陸軍から学ぶ点は非常に多い、今回は日本本土での初演習という事で顔合わせという程度となりますが、陸上自衛隊が目指す統合機動防衛力や運用体制について、例えば戦車を大幅に縮小し偵察部隊と歩兵部隊を重視するイギリス軍の運用は装備と運用面から学ぶ点が多いですし、師団定員が5000名台となる現状からも学ぶ点は多い。
イギリス陸軍は陸軍81000名と国防義勇軍27000名、実員は11万名規模であり実のところ陸上自衛隊よりも小規模です。その戦闘基幹部隊は5000名規模の歩兵旅団と機械化歩兵旅団及び空中機動旅団で、これらを第1歩兵師団と第3機甲師団、第16空中機動旅団、として運用しています。戦車はチャレンジャー2戦車245両、自衛隊より戦車が少ないのです。
島嶼部防衛についてはイギリスが先駆者です。勿論旧陸軍は太平洋地域での島嶼部戦の戦訓を重ねましたが70年以上前のもの、離島防衛としては1982年のフォークランド紛争という戦後稀有な強襲揚陸作戦を実施したイギリス、2000年のパリサー作戦としてアフリカ沿岸部への緊急展開作戦を実施したイギリスには自衛隊には無い深い実戦経験があります。
AJAX装甲偵察車の導入を開始したイギリス陸軍、これは従来の軽装甲車両と装甲偵察車主体の騎兵部隊から思い切って墺西共同開発のASCOD装甲戦闘車を重装甲化し38t、増加装甲装着時は42tの車両に40mmCTA機関砲を搭載した車両体系へ転換中です。AJAX装甲偵察車は要するに装甲車による偵察部隊なのですが2026年までに589も調達する計画だ。
自衛隊は戦車を廃止し偵察戦闘大隊を新編しますが、編成は偵察中隊と機動戦闘車中隊という規模であり、情報優位が戦域優位に繋がると様々な機会に説明する陸上自衛隊ですが、この規模は小さすぎます。一方、AJAXは89式装甲戦闘車よりもかなり高価な車両です。イラク戦争始め偵察の重要性を編成に反映させたイギリス軍、学べる点はあるでしょう。
歩兵重視のイギリス陸軍、戦車が陸上自衛隊よりも少ないイギリス陸軍は自衛隊が柔軟な運用が可能であるとして普通科部隊重視を掲げていますが、イギリス陸軍も同様です。ただ、自衛隊の高機動車主体に若干の軽装甲機動車を混成運用する軽歩兵編成であるのに対し、イギリス陸軍は30mm機関砲を搭載したウォーリア装甲戦闘車を789両も揃えている。
ボクサー重装輪装甲車導入を本年イギリス国防省は発表しました。MIV構想として、予算難から1997年に提示されたピラニア装甲車導入計画遅延が再検討に再検討を重ね漸く実現したもので当面は400両から600両、最大1500両を取得する。我が国では普通科重視が予算節約の方便とされている印象ですが、主兵として歩兵の位置づけを考えさせられます。
旧式装備の延命改修と近代化改修を行うとともにAJAXやボクサーという新装備、またAH-64D戦闘ヘリコプターを一挙にAH-64E戦闘ヘリコプターへ更新するなど、思い切った装備更新を行う点も自衛隊としては学ぶべき点でしょう。基本的に専守防衛で国土が戦場となるまで基本的に実戦を行わない我が国としては各国軍隊との交流が必要でしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
日英防衛協力に新しい一歩です、日本国内でのイギリス陸軍と陸上自衛隊初の共同訓練という形で。
日英共同訓練が富士学校と山梨県の北富士演習場にて開始されました。富士学校長高田祐一陸将は、「基本的価値を共有するイギリスとの防衛協力の強化は、日本の安全保障だけでなく、インド太平洋地域を含む国際社会の安定と繁栄にとって重要な意味をもつ」と意義を強調し、9月30日から13日間の予定で実施、富士学校での訓練が報道公開されました。
富士学校での報道公開は、CH-47輸送ヘリコプターを用い、富士駐屯地祭で模擬店等が並ぶヘリポートで実施、離島防衛を想定した偵察部隊の展開と迫撃砲部隊への座標標定及び情報伝送が訓練されています。これは昨年の日英首脳会談における安全保障包括協力の一環として実施され、イギリス海軍揚陸艦の訪日等も日英防衛協力として進められています。
陸上自衛隊がイギリス陸軍から学ぶ点は非常に多い、今回は日本本土での初演習という事で顔合わせという程度となりますが、陸上自衛隊が目指す統合機動防衛力や運用体制について、例えば戦車を大幅に縮小し偵察部隊と歩兵部隊を重視するイギリス軍の運用は装備と運用面から学ぶ点が多いですし、師団定員が5000名台となる現状からも学ぶ点は多い。
イギリス陸軍は陸軍81000名と国防義勇軍27000名、実員は11万名規模であり実のところ陸上自衛隊よりも小規模です。その戦闘基幹部隊は5000名規模の歩兵旅団と機械化歩兵旅団及び空中機動旅団で、これらを第1歩兵師団と第3機甲師団、第16空中機動旅団、として運用しています。戦車はチャレンジャー2戦車245両、自衛隊より戦車が少ないのです。
島嶼部防衛についてはイギリスが先駆者です。勿論旧陸軍は太平洋地域での島嶼部戦の戦訓を重ねましたが70年以上前のもの、離島防衛としては1982年のフォークランド紛争という戦後稀有な強襲揚陸作戦を実施したイギリス、2000年のパリサー作戦としてアフリカ沿岸部への緊急展開作戦を実施したイギリスには自衛隊には無い深い実戦経験があります。
AJAX装甲偵察車の導入を開始したイギリス陸軍、これは従来の軽装甲車両と装甲偵察車主体の騎兵部隊から思い切って墺西共同開発のASCOD装甲戦闘車を重装甲化し38t、増加装甲装着時は42tの車両に40mmCTA機関砲を搭載した車両体系へ転換中です。AJAX装甲偵察車は要するに装甲車による偵察部隊なのですが2026年までに589も調達する計画だ。
自衛隊は戦車を廃止し偵察戦闘大隊を新編しますが、編成は偵察中隊と機動戦闘車中隊という規模であり、情報優位が戦域優位に繋がると様々な機会に説明する陸上自衛隊ですが、この規模は小さすぎます。一方、AJAXは89式装甲戦闘車よりもかなり高価な車両です。イラク戦争始め偵察の重要性を編成に反映させたイギリス軍、学べる点はあるでしょう。
歩兵重視のイギリス陸軍、戦車が陸上自衛隊よりも少ないイギリス陸軍は自衛隊が柔軟な運用が可能であるとして普通科部隊重視を掲げていますが、イギリス陸軍も同様です。ただ、自衛隊の高機動車主体に若干の軽装甲機動車を混成運用する軽歩兵編成であるのに対し、イギリス陸軍は30mm機関砲を搭載したウォーリア装甲戦闘車を789両も揃えている。
ボクサー重装輪装甲車導入を本年イギリス国防省は発表しました。MIV構想として、予算難から1997年に提示されたピラニア装甲車導入計画遅延が再検討に再検討を重ね漸く実現したもので当面は400両から600両、最大1500両を取得する。我が国では普通科重視が予算節約の方便とされている印象ですが、主兵として歩兵の位置づけを考えさせられます。
旧式装備の延命改修と近代化改修を行うとともにAJAXやボクサーという新装備、またAH-64D戦闘ヘリコプターを一挙にAH-64E戦闘ヘリコプターへ更新するなど、思い切った装備更新を行う点も自衛隊としては学ぶべき点でしょう。基本的に専守防衛で国土が戦場となるまで基本的に実戦を行わない我が国としては各国軍隊との交流が必要でしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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