北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

韓国国際観艦式2018,国旗専揚軍艦旗拒否要求に全参加艦艇拒否と戦闘旗や弔旗掲揚で抗議

2018-10-13 20:14:15 | 国際・政治
■日本不参加と韓国海軍さえ拒否
 韓国国際観艦式、国威発揚行事が此処まで荒れた事は世界海軍史上中々聞きません。韓国の将来を考えればむしろ中止した方がよかったようにも。

 韓国国際観艦式は国旗のみ掲揚を参加各国に求め軍艦旗掲揚を行わないよう韓国政府が求めた事で、軍艦旗を下す事は降伏と武装解除を意味するため、大荒れとなりました。自衛隊は不参加、外国艦艇当初参加予定19隻のうち、さらに4隻が急遽参加中止や当日到着せず、という措置を執り、外国艦艇15隻が参加しました。韓国政府による軍艦旗不掲揚の要請はすべての参加艦艇が無視しました。

 申し訳ないが、これは歴史に残る醜態です、率直に言って申し訳ない。そういうのも、韓国海軍さえ李氏朝鮮時代の軍旗を掲揚したほど。しかし、軍艦旗不掲揚を求めた要請は一部では日本だけに出されていたのではないかとの憶測がありましたが、戦闘旗や弔旗で抗議する国があった為、全ての参加国に示されていた事だけはわかりました。一部中継映像や報道映像からロシア海軍が軍艦旗を下げたとの分析がありましたが、観艦式にはロシア海軍旗がマストに高らかと掲げられました。

 アメリカ海軍の空母ロナルドレーガンは国際観艦式へ参加しましたが、韓国寄港予定地への入港は反対運動により断念しました。国際観艦式への招きに応じた同盟国の艦艇を結果的に入港させなかったという、客人を招きながらも玄関先で断ることは非礼にも思え、韓国政府は国際観艦式の意義を国民へ広報する努力を充分行ったのか、という部分で残念です。

 ロシア海軍は艦尾に軍艦旗を掲げず参加しました。代えて軍艦旗はマストに高らかと掲げられ、主催国韓国の韓国国旗よりも高い位置に掲げられています。通常、国旗は式典で同じ高さに掲げ、観艦式では主催国に留意するのですが。ロシア海軍は日露戦争開戦初日の仁川沖海戦におけるワリャーグの奮戦に示されるように、売られた喧嘩は必ず買う、という事なのでしょうか。しかし、これで韓国海軍は今後、ロシア海軍から同様の要求がある可能性も配慮する必要が生じる。

 オーストラリア海軍、ロシア海軍、カナダ海軍、ヴェトナム海軍、タイ海軍、シンガポール海軍、そしてブルネイ海軍、インド海軍は軍艦旗を掲げ参加しました。タイ海軍はマストに大型の軍艦旗を掲げ参加、これを戦闘旗といい、本会観艦式にしめすものではありません。一国の大統領が観閲する観艦式へ、軍艦旗を下ろすよう要求されたことへ戦闘旗を掲げ強く抗議したものと考えられましょう。

 シンガポール海軍はマストに韓国国旗を半旗で掲げました。半旗とは弔意、国家の国威発揚の場である国際観艦式に旗旒信号の間違いは考えにくく、明らかに何らかの意志があっての事でしょう。軍艦旗を下げて観艦式へ参加せよという韓国政府の、つまり韓国と仲良くするには降伏の意志を、という意味にほかならない残念な要請に対するシンガポールとしての弔意なのかもしれません。

 韓国海軍も韓国政府要求を拒否し、李氏朝鮮時代の軍旗を掲げた事は驚きでした。国籍旗が軍艦旗と異なっており、軍艦旗は太極旗の国旗を採用しています。しかし、観艦式当日の大統領訓辞にさいし、大統領の借景に停泊するイージス艦チュルゴクユイが李氏朝鮮時代の軍旗を掲げていました。栗谷事業という国軍近代化政策などに名が用いられるチュルゴクユイは安土桃山時代に国防強化を唱えた武官、しかし国旗以外掲げるなとの韓国政府要請を海軍も無視したことになり、叛乱に近いといいますか、大統領が海軍を統制できていないことを間接的に示したかたち。

 海上自衛隊は不参加となりました。しかし、無視して参加するという選択肢、半旗を掲げて抗議する選択肢、あったのでしょうか。韓国は十年に一度しか観艦式をおこないませんので三年に一度おこなう海上自衛隊とは状況が大分ことなるのです。信頼情勢の場でもある国際観艦式、もちろん自衛艦旗を下ろす選択肢は無く、無理に下ろせば国際法上の私掠船となりますのでできませんが方法は無かったか。

 日本ができる譲歩、交渉で停泊式観艦式へ変更し自衛艦旗を掲げない夜間観艦式へ変更できるならば参加するという条件の提示、自衛艦旗を有していない曳船や油船などを参加させる、艦艇参加を見送り航空部隊としてP-1哨戒機を編隊で当日鹿野航空基地から派遣する、海上保安庁の巡視船をお願いする、廃艦を曳航して自衛艦旗を不要とする、建造中の自衛艦旗をまだ受領していない護衛艦を公試の延長としておこない艤装員のみしか乗船していないので登舷礼を省略する、など。

 しかし、半旗を示したシンガポール海軍、マストに掲げたロシア海軍、タイ海軍の戦闘旗、なるほどそういう選択肢があったのか、と一瞬考えましたけれども、普通の海軍がおこなえば冗談では済みません。自衛艦旗の拒否に始まった今回の騒動、無理に参加し、こうしたかたちで抗議をおこなえば、逆に関係が悪化しかねませんので、海上自衛隊の不参加方針は喧嘩を避ける大人の対応、というところなのかもしれないですね。

 日本が学ぶべき事として、ここまで国家と海軍が落ちぶれてはならない、ということなのかもしれません。韓国国際観艦式は十年に一度、次回は2028年です。間違いないことは各国海軍は韓国海軍の非礼を忘れない、ということ。少なくとも半旗の参加艦艇や戦闘旗の掲揚は記録写真や報道写真として十年単位で残ります、そして何故こうした行動となったかは、写真を景気に調べることは簡単です。国家と国家、お互いに敬意を払わなければならない、韓国の醜態は示しています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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