■報道とテロ組織の対立構造
日本にとって、シリア内戦報道は重要だったといえます、なにしろISILは虚偽情報を交え日本国内で戦闘員募集を行っていましたから、ね。
戦場報道の重要性は分かるのですが、この必要性を報道関係者が掲げるのであれば、せめて戦場保険や安全管理など、膨大な取材費用を担保するように呼びかけてはどうか、と考えます。要するに戦場保険に加入していないフリージャーナリストの戦場報道は買わないが、買う以上は戦場保険に加入できる経費を必要経費として提供する、負担すべき、と。
日本人がシリアへ行き取材する必要はあるのか、日本メディアの記者が外国人であってはならないのか、つまり現地ジャーナリストの取材ネットワークをシリア以外の安全地域で構築し、現地記者ネットワークを広げて行く事は出来ないのか。戦場取材は必要であるとしてもオールニッポン人だけで世界の危険な紛争地での取材をする必然性はあるのか、と。
AFP通信は2015年にシリア内戦のフリージャーナリスト記事を採用しない、と宣言しました。これはシリア内戦において多くの記者が身代金目的で誘拐され、殺害される事例も多くなる。こうした中でAFP通信は現地報道の重要性と膨大なジャーナリスト戦闘被害を天秤にかけ、AFP全体として買わないので行かないように、という決断を下したわけです。
AFP通信は2013年からシリアでの現地記者、市民記者という制度を構築し現地からインターネットを通じて得た写真や動画のネットワークを構成し、検証プロセスに重点を置き、メッセージサービスアプリ等を駆使して撮影者への確認、撮影者と撮影機材や撮影場所からの検証、捏造写真を看破する真贋判定とを行い、安全性の高い戦場報道を続けています。
戦場報道は重要ではある、しかし戦場報道の形も変わってきている。イラク戦争や湾岸戦争は中継されましたが、ヴェトナム戦争は中継よりも従軍長文記事や長期取材と写真報道が多く、第二次世界大戦では従軍取材を許可する場合には連合国も枢軸国も検閲等の一定の制約を課していた、戦場報道の形は変わっている、そして今はどうなのかを考えるべき。
CNNのピーターアーネット記者の活躍と共に、イラク軍弾道ミサイル攻撃のイスラエル被害現地中継を以てイラク軍に着弾修正に資する情報を与えた、との批判もありましたし、イラン国境へ無理にイラク入国を試みたBBC取材クルーがイランイラク国境地雷原に入った後に行方不明という悲劇もありましたが、戦場がそのまま中継される時代を迎えます。
ユーゴスラビア内戦では、ジャーナリストが死傷する事例も多々ありましたが、これは従軍取材を行った際に取材中の部隊が攻撃を受け、結果的に戦闘に巻き込まれる事例や、スナイパーストリートを代表するような戦闘員非戦闘員無差別殺傷の群衆の一人にジャーナリストが巻き込まれてしまった、という構図で、少なくとも積極的な標的ではありません。
ISIL台頭とイスラム過激派の跳梁、戦場取材を大きく変えてしまったのは、そもそも自らの正統性と正当性を世界に訴える事で共感を得る、というヴェトナム戦争のようなジャーナリストと紛争当事者の関係が成り立っていない、という構図があるでしょう。一方の当事者の無差別テロ、世界で共感を求められる行動ではなく最初から共感を全て捨てている。
ジャーナリストが標的となるイラクシリアやアフリカ地域の現状は、テロ行為を行う時点で世界からの共感を捨てている為、現状を世界に示す必要が無い、ということ。当たり前ですが、テロを正当化するテロ組織も自らが安定政権を執った際にはテロ、自らへのテロ、これを否定するでしょう。この二重基準に依拠している為、ジャーナリストは邪魔という。
アマーク通信という独自の報道機関を、ISILは有していまして、実質プロパガンダ機関であるのですが、ISILの価値観に併せた正義や勇気や暴力行為正当化へのくだらない言い訳などを報じています。具体的に言うならば、ISILはアマーク通信が報じる価値観、占領地は解放区であり、ISILに加入すればみんな幸せ、という以外の情報を敵視している構図だ。
一方でシリア内戦では、自由シリア軍に代表されるような、内戦当時の2011年においてシリア政府の非民主的な政策と人権問題への自由と民主化を目指した内戦、という構図ではあったのですが、この状況下でのシリア政府影響力低下を契機にISILがシリア領内で大規模浸透する事態を招き、混沌化、身代金目的の外国人誘拐が横行するような状況となった。
身代金目的のジャーナリスト人質、ジャーナリストが狙われているのではなく、外貨獲得手段として外国人を標的とする場合に戦場で入手できる外国人人質がジャーナリストしかいないという部分、そして介入する外国軍隊の戦闘要員を確保しようとするならば大火力での反撃と特殊作戦による救出という反撃のリスクがありますが、ジャーナリストは、と。
身代金ビジネスの一要素として外国人が標的とされ、大金を確保出来る金銭的背景と自衛能力の低いジャーナリストが低リスクの標的として狙われ、狙う側としては世界に示す正当性もテロという手段の正義を示す根拠もない為に、ジャーナリストを襲撃する事で国際世論を敵に回しても、もう回した後なので怖いものが無い、という実情も加味する必要が。
ジャーナリストを排除する現代の戦場、勿論ISILやシリア内戦等のようなテロ勢力が独自の価値観を報じたい場合のみであり、戦場報道の価値はウクライナ東部紛争やマリ内戦、戦場ではありませんが民族浄化が批判されているミャンマー一部地域の問題等、真実の価値がまだまだ高い、そして真実の価値だけならば、シリア内戦においても同様、といえる。
戦場報道の重要性は高い、とは本論冒頭に最初に示した内容ですが、実際には武装勢力が覆い隠す真実があるからこそ、実態はどうなっているのか、を報じる意味はあるのです。無理に報道しなくとも、と思われるかもしれませんが、現実論を示せば、寧ろ実態が隠されている方が戦場から遥か離れた日本を含めた先進国地域においても事実の重要性は高い。
日本へ真実を伝える必要性、これはISILの勢力が非常に虫の息以下に鎮圧された現在では忘れられがちですが、ISILの戦闘員募集はISIL勢力が最盛期に日本国内でも行われていた事を忘れてはなりません、ISILは月給一万ドルという高額示し、現地女性との結婚を約束する等、そして、実際に戦闘員募集に応じた事例も極めて稀有ですが摘発された事例が。
プロパガンダ機関の言い分を信じて参加してしまい大変な事となった、これは北朝鮮への戦後日本からの帰国事業にて、地上の楽園と云われ北朝鮮へ帰国したものの大変な事に、という1950年代の事例、1970年代には自由主義圏一部諸国のヴェトナムへの対抗からカンボジア国外に亡命した知識人や技術者がポルポト政権下の母国へ帰国した後は、等と。
真実を敵視する勢力のプロパガンダ機関、それだけに実際はどうなっているのか、という実情が必要になる訳でして、生きた情報というものが、例えば北朝鮮帰国偉業に際して北朝鮮の政治体制が当時の日本と比較してどうであったか知れば大日本帝国から日本国へ帰化した事でしょうし、民族浄化の可能性があればカンボジアへは帰国しなかったでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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日本にとって、シリア内戦報道は重要だったといえます、なにしろISILは虚偽情報を交え日本国内で戦闘員募集を行っていましたから、ね。
戦場報道の重要性は分かるのですが、この必要性を報道関係者が掲げるのであれば、せめて戦場保険や安全管理など、膨大な取材費用を担保するように呼びかけてはどうか、と考えます。要するに戦場保険に加入していないフリージャーナリストの戦場報道は買わないが、買う以上は戦場保険に加入できる経費を必要経費として提供する、負担すべき、と。
日本人がシリアへ行き取材する必要はあるのか、日本メディアの記者が外国人であってはならないのか、つまり現地ジャーナリストの取材ネットワークをシリア以外の安全地域で構築し、現地記者ネットワークを広げて行く事は出来ないのか。戦場取材は必要であるとしてもオールニッポン人だけで世界の危険な紛争地での取材をする必然性はあるのか、と。
AFP通信は2015年にシリア内戦のフリージャーナリスト記事を採用しない、と宣言しました。これはシリア内戦において多くの記者が身代金目的で誘拐され、殺害される事例も多くなる。こうした中でAFP通信は現地報道の重要性と膨大なジャーナリスト戦闘被害を天秤にかけ、AFP全体として買わないので行かないように、という決断を下したわけです。
AFP通信は2013年からシリアでの現地記者、市民記者という制度を構築し現地からインターネットを通じて得た写真や動画のネットワークを構成し、検証プロセスに重点を置き、メッセージサービスアプリ等を駆使して撮影者への確認、撮影者と撮影機材や撮影場所からの検証、捏造写真を看破する真贋判定とを行い、安全性の高い戦場報道を続けています。
戦場報道は重要ではある、しかし戦場報道の形も変わってきている。イラク戦争や湾岸戦争は中継されましたが、ヴェトナム戦争は中継よりも従軍長文記事や長期取材と写真報道が多く、第二次世界大戦では従軍取材を許可する場合には連合国も枢軸国も検閲等の一定の制約を課していた、戦場報道の形は変わっている、そして今はどうなのかを考えるべき。
CNNのピーターアーネット記者の活躍と共に、イラク軍弾道ミサイル攻撃のイスラエル被害現地中継を以てイラク軍に着弾修正に資する情報を与えた、との批判もありましたし、イラン国境へ無理にイラク入国を試みたBBC取材クルーがイランイラク国境地雷原に入った後に行方不明という悲劇もありましたが、戦場がそのまま中継される時代を迎えます。
ユーゴスラビア内戦では、ジャーナリストが死傷する事例も多々ありましたが、これは従軍取材を行った際に取材中の部隊が攻撃を受け、結果的に戦闘に巻き込まれる事例や、スナイパーストリートを代表するような戦闘員非戦闘員無差別殺傷の群衆の一人にジャーナリストが巻き込まれてしまった、という構図で、少なくとも積極的な標的ではありません。
ISIL台頭とイスラム過激派の跳梁、戦場取材を大きく変えてしまったのは、そもそも自らの正統性と正当性を世界に訴える事で共感を得る、というヴェトナム戦争のようなジャーナリストと紛争当事者の関係が成り立っていない、という構図があるでしょう。一方の当事者の無差別テロ、世界で共感を求められる行動ではなく最初から共感を全て捨てている。
ジャーナリストが標的となるイラクシリアやアフリカ地域の現状は、テロ行為を行う時点で世界からの共感を捨てている為、現状を世界に示す必要が無い、ということ。当たり前ですが、テロを正当化するテロ組織も自らが安定政権を執った際にはテロ、自らへのテロ、これを否定するでしょう。この二重基準に依拠している為、ジャーナリストは邪魔という。
アマーク通信という独自の報道機関を、ISILは有していまして、実質プロパガンダ機関であるのですが、ISILの価値観に併せた正義や勇気や暴力行為正当化へのくだらない言い訳などを報じています。具体的に言うならば、ISILはアマーク通信が報じる価値観、占領地は解放区であり、ISILに加入すればみんな幸せ、という以外の情報を敵視している構図だ。
一方でシリア内戦では、自由シリア軍に代表されるような、内戦当時の2011年においてシリア政府の非民主的な政策と人権問題への自由と民主化を目指した内戦、という構図ではあったのですが、この状況下でのシリア政府影響力低下を契機にISILがシリア領内で大規模浸透する事態を招き、混沌化、身代金目的の外国人誘拐が横行するような状況となった。
身代金目的のジャーナリスト人質、ジャーナリストが狙われているのではなく、外貨獲得手段として外国人を標的とする場合に戦場で入手できる外国人人質がジャーナリストしかいないという部分、そして介入する外国軍隊の戦闘要員を確保しようとするならば大火力での反撃と特殊作戦による救出という反撃のリスクがありますが、ジャーナリストは、と。
身代金ビジネスの一要素として外国人が標的とされ、大金を確保出来る金銭的背景と自衛能力の低いジャーナリストが低リスクの標的として狙われ、狙う側としては世界に示す正当性もテロという手段の正義を示す根拠もない為に、ジャーナリストを襲撃する事で国際世論を敵に回しても、もう回した後なので怖いものが無い、という実情も加味する必要が。
ジャーナリストを排除する現代の戦場、勿論ISILやシリア内戦等のようなテロ勢力が独自の価値観を報じたい場合のみであり、戦場報道の価値はウクライナ東部紛争やマリ内戦、戦場ではありませんが民族浄化が批判されているミャンマー一部地域の問題等、真実の価値がまだまだ高い、そして真実の価値だけならば、シリア内戦においても同様、といえる。
戦場報道の重要性は高い、とは本論冒頭に最初に示した内容ですが、実際には武装勢力が覆い隠す真実があるからこそ、実態はどうなっているのか、を報じる意味はあるのです。無理に報道しなくとも、と思われるかもしれませんが、現実論を示せば、寧ろ実態が隠されている方が戦場から遥か離れた日本を含めた先進国地域においても事実の重要性は高い。
日本へ真実を伝える必要性、これはISILの勢力が非常に虫の息以下に鎮圧された現在では忘れられがちですが、ISILの戦闘員募集はISIL勢力が最盛期に日本国内でも行われていた事を忘れてはなりません、ISILは月給一万ドルという高額示し、現地女性との結婚を約束する等、そして、実際に戦闘員募集に応じた事例も極めて稀有ですが摘発された事例が。
プロパガンダ機関の言い分を信じて参加してしまい大変な事となった、これは北朝鮮への戦後日本からの帰国事業にて、地上の楽園と云われ北朝鮮へ帰国したものの大変な事に、という1950年代の事例、1970年代には自由主義圏一部諸国のヴェトナムへの対抗からカンボジア国外に亡命した知識人や技術者がポルポト政権下の母国へ帰国した後は、等と。
真実を敵視する勢力のプロパガンダ機関、それだけに実際はどうなっているのか、という実情が必要になる訳でして、生きた情報というものが、例えば北朝鮮帰国偉業に際して北朝鮮の政治体制が当時の日本と比較してどうであったか知れば大日本帝国から日本国へ帰化した事でしょうし、民族浄化の可能性があればカンボジアへは帰国しなかったでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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