■AH再評価論
航空祭予行の特集ばかり続いていましたので北大路機関らしい話題をひとつ。
ARKWSと30mm機関砲、攻撃ヘリコプターに関する装備はこの二つにより大きく転換するのかもしれません。現在、世界中ではアパッチガーディアンの採用の流れがある、インドとインドネシアにポーランド、ただ本邦では戦闘ヘリコプター廃止の流れが政治決定され、後継機の調達は2013年のAH-64D調達終了後、行われていません。
陳腐化により戦闘ヘリコプターを廃止するという政治決定ですが、しかしこれは単純に財務省の予算を出せないという政治決定を、陳腐化という、いわば廃止ありきの結論のもとでこじつけただけともみてとれます。こうしたなかで、いまARKWSと30mm機関砲により戦闘ヘリコプターを巡る状況が大きく変容を迎えているのでは、と。
30mm機関砲についてはラインメタル社が開発したスカイレンジャー機関砲弾、30×173mm機関砲弾の存在です。アパッチに搭載されているM-230機関砲とは30mmで口径こそおなじですが別物で、M-230の砲弾は30×113mm弾ですのでスカイレンジャーの方が遙かに大型です、そしてこれはAHEAD調整散弾を投射可能、空中で炸裂して散弾を撒く。
AHEAD調整散弾、これを使用できる機関砲をもし将来的に戦闘ヘリコプターが搭載するならば、ロケット弾、ハイドラ70のような無誘導のロケット弾を使わずとも、暴露した陣地や非装甲車両に対して致命的な破壊力を発揮できるのではないか、これは最近、クラスター弾に代わるAW代替弾頭の砲弾がウクライナで猛威を振るっている事で気づかされて。
AW代替弾頭は、クラスター弾薬の国際法による規制気運を背景に、極小のタングステン球を大量撒布することでクラスター弾と同様の、しかし爆発物では無いために不発弾を残さないという弾薬で、この威力は懐疑的ではあったのですが、ウクライナ軍のクルスク逆攻撃により使用され、これがかなりの威力を発揮し、有用性を実績で示しました。
30mm砲弾にAHEADを使用することでAW代替弾頭のような破壊力を発揮し、従来の焼夷徹甲弾よりも高い面制圧能力を発揮できるようになれば、もうロケット弾を大量に投射する必要もありません。ロケット弾の任務に目標指示というものもありましたが、あれはもうデータリンクの時代には目視の指示というのは、それほど必要ないものなのですから。
ARKWS,もう一つはハイドラ70に誘導キットを搭載した小型ミサイルです。戦車に対してはなにしろもとが70mmロケット弾ですから威力はかなり制限されるのですが、装甲車両にたいしては、また戦車も上部から狙うものですので行動不能に陥れることは可能です。AHEAD弾薬によりロケット弾が不要となれば、そのぶんARKWSを搭載すればよい。
ヘルファイアミサイル、現在、戦闘ヘリコプターに搭載するミサイルの主流は射程が8km程度であることから威力が限定的であるという非難があります、これが戦闘ヘリコプター陳腐化論の首座というところなのですが、現在これはアメリカも問題視しており、イスラエルとともにスパイクNOLSという光ファイバー/TV誘導型ミサイルの試験が進む。
スパイクNOLSをアパッチガーディアンに搭載した場合、射程は24kmから50km程度まで伸びますので、防空システムを無力化するとか、高付加価値目標の制圧には、アパッチガーディアンのデータリンク能力と連接させた超長距離ミサイルによる精密攻撃というものは有用です。しかし、その分、スパイクNLOSは大きく重い、ヘルファイアの半分しか積めない。
ARKWS,射程は高高度から撃った場合で8kmというものですが、この軽いミサイルは逆にスパイクNOLSとARKWSを並行搭載するという、なにかサイドワインダーとスパローを戦闘機が搭載して使い分けているような印象ですが、こうした運用が可能になります。ロケット弾をAHEAD弾薬で置き換えた故に積める余裕が生まれる、ということ。
AHEAD弾薬は、もともと無人機を一撃で撃墜する欧州スカイシールド構想の産物ですので、これをヘリコプターに搭載するならば同時に無人機狩りを効率的に行えることも意味しますし、特にアパッチガーディアンはロングボウレーダーを搭載しているために、自爆用無人機を狩るにはかなり有用な選択肢であることもまたわすれてはなりません。
スカイレンジャー30、しかし第一に忘れてはならないのはM-230よりもかなり大型のものですので現在はM-230用のAHEAD弾も存在しませんので現時点では絵空事です。しかし、ARKWSという選択肢も開発されているのです、もう一歩進んだ改良を行うことで、戦闘ヘリコプターは再び、かなりの怪物に化けるのでは、とおもうのですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
航空祭予行の特集ばかり続いていましたので北大路機関らしい話題をひとつ。
ARKWSと30mm機関砲、攻撃ヘリコプターに関する装備はこの二つにより大きく転換するのかもしれません。現在、世界中ではアパッチガーディアンの採用の流れがある、インドとインドネシアにポーランド、ただ本邦では戦闘ヘリコプター廃止の流れが政治決定され、後継機の調達は2013年のAH-64D調達終了後、行われていません。
陳腐化により戦闘ヘリコプターを廃止するという政治決定ですが、しかしこれは単純に財務省の予算を出せないという政治決定を、陳腐化という、いわば廃止ありきの結論のもとでこじつけただけともみてとれます。こうしたなかで、いまARKWSと30mm機関砲により戦闘ヘリコプターを巡る状況が大きく変容を迎えているのでは、と。
30mm機関砲についてはラインメタル社が開発したスカイレンジャー機関砲弾、30×173mm機関砲弾の存在です。アパッチに搭載されているM-230機関砲とは30mmで口径こそおなじですが別物で、M-230の砲弾は30×113mm弾ですのでスカイレンジャーの方が遙かに大型です、そしてこれはAHEAD調整散弾を投射可能、空中で炸裂して散弾を撒く。
AHEAD調整散弾、これを使用できる機関砲をもし将来的に戦闘ヘリコプターが搭載するならば、ロケット弾、ハイドラ70のような無誘導のロケット弾を使わずとも、暴露した陣地や非装甲車両に対して致命的な破壊力を発揮できるのではないか、これは最近、クラスター弾に代わるAW代替弾頭の砲弾がウクライナで猛威を振るっている事で気づかされて。
AW代替弾頭は、クラスター弾薬の国際法による規制気運を背景に、極小のタングステン球を大量撒布することでクラスター弾と同様の、しかし爆発物では無いために不発弾を残さないという弾薬で、この威力は懐疑的ではあったのですが、ウクライナ軍のクルスク逆攻撃により使用され、これがかなりの威力を発揮し、有用性を実績で示しました。
30mm砲弾にAHEADを使用することでAW代替弾頭のような破壊力を発揮し、従来の焼夷徹甲弾よりも高い面制圧能力を発揮できるようになれば、もうロケット弾を大量に投射する必要もありません。ロケット弾の任務に目標指示というものもありましたが、あれはもうデータリンクの時代には目視の指示というのは、それほど必要ないものなのですから。
ARKWS,もう一つはハイドラ70に誘導キットを搭載した小型ミサイルです。戦車に対してはなにしろもとが70mmロケット弾ですから威力はかなり制限されるのですが、装甲車両にたいしては、また戦車も上部から狙うものですので行動不能に陥れることは可能です。AHEAD弾薬によりロケット弾が不要となれば、そのぶんARKWSを搭載すればよい。
ヘルファイアミサイル、現在、戦闘ヘリコプターに搭載するミサイルの主流は射程が8km程度であることから威力が限定的であるという非難があります、これが戦闘ヘリコプター陳腐化論の首座というところなのですが、現在これはアメリカも問題視しており、イスラエルとともにスパイクNOLSという光ファイバー/TV誘導型ミサイルの試験が進む。
スパイクNOLSをアパッチガーディアンに搭載した場合、射程は24kmから50km程度まで伸びますので、防空システムを無力化するとか、高付加価値目標の制圧には、アパッチガーディアンのデータリンク能力と連接させた超長距離ミサイルによる精密攻撃というものは有用です。しかし、その分、スパイクNLOSは大きく重い、ヘルファイアの半分しか積めない。
ARKWS,射程は高高度から撃った場合で8kmというものですが、この軽いミサイルは逆にスパイクNOLSとARKWSを並行搭載するという、なにかサイドワインダーとスパローを戦闘機が搭載して使い分けているような印象ですが、こうした運用が可能になります。ロケット弾をAHEAD弾薬で置き換えた故に積める余裕が生まれる、ということ。
AHEAD弾薬は、もともと無人機を一撃で撃墜する欧州スカイシールド構想の産物ですので、これをヘリコプターに搭載するならば同時に無人機狩りを効率的に行えることも意味しますし、特にアパッチガーディアンはロングボウレーダーを搭載しているために、自爆用無人機を狩るにはかなり有用な選択肢であることもまたわすれてはなりません。
スカイレンジャー30、しかし第一に忘れてはならないのはM-230よりもかなり大型のものですので現在はM-230用のAHEAD弾も存在しませんので現時点では絵空事です。しかし、ARKWSという選択肢も開発されているのです、もう一歩進んだ改良を行うことで、戦闘ヘリコプターは再び、かなりの怪物に化けるのでは、とおもうのですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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