■V-22,巨大な可能性と調達費
新型コロナウィルスCOVID-19の厳しい話題が続く昨今ですが久々に明るい話題が、自衛隊向けV-22が対に日本へ到着しました。
V-22輸送機が日本に到着しました、陸上自衛隊へ配備される17機のV-22可動翼機のうち最初の2機で、8日金曜日に山口県岩国基地へ輸送船で陸揚げされました。輸送船での搬入はアメリカ海兵隊のMV-22配備でも同様であり、今後岩国航空基地にて所要点検を実施した後、陸上自衛隊のV-22暫定配備先となる千葉県の木更津駐屯地へ飛行展開する予定です。
可動翼航空機、これは回転翼航空機として飛行場を選ばず運用できるとともに長大な航続距離と巡航速度を有する機体であり、MV-22の取得費用はCH-47JAの二倍に相当しますが、運用方法次第では、水陸機動に加え例えば洋上の護衛艦へのF-35B整備器具など物資輸送や邦人救出任務、自衛隊に求められる任務を達成の上で大きな能力を発揮しましょう。
木更津駐屯地へのV-22配備は六月下旬頃に実施されるとのことで、木更津駐屯地にはV-22関連の定期整備施設が建設されています。定期整備施設は米軍MV-22の定期整備を実施していますが、整備基盤構築などに思いの外時間を要し、長期間となってしまいました。また、木更津駐屯地への配備も前述の通り暫定配備となり、最終的には九州へ配備の見込み。
水陸機動団支援、自衛隊へ配備されるV-22の任務は長崎県佐世保市の相浦駐屯地に司令部を置く自衛隊初の水陸両用作戦専任部隊水陸機動団へ空中機動力を供することにあります。この為、防衛省は当初、相浦駐屯地にほど近い佐賀空港に隣接する新駐屯地を建設し、西部方面航空隊主力なども移駐させ、木更津駐屯地と並ぶ航空拠点を建設する構想でした。
AAV-7水陸両用車、アメリカ海兵隊の運用する両用強襲車による水陸両用作戦を実施する水陸機動団ですが、洋上を低速で機動するAAV-7は沿岸部に敵対戦車火器や装甲車両が展開していた場合は即座に撃破される可能性があります、この為、水陸機動作戦では沿岸部への接近経路などを空中機動もしくは空挺作戦により確保することが必須となっています。
LCACエアクッション揚陸艇など洋上を高速で航行する装備も自衛隊にはありますが、こちらはAAV-7より高速ではあっても装甲は逆に無く、CRRC複合高速艇による隠密上陸、そして空中機動による沿岸部への接近経路制圧が水陸両用作戦成功の要諦といえるでしょう。また主力展開前に敵着上陸に先立つ緊急展開任務にもV-22の高速は威力を発揮する。
しかし、佐賀空港への新駐屯地建設はV-22運用基盤や安全性の問題、また同じ佐賀県の飛行場である目達原駐屯地との兼ね合いもあり時間を要しています。そして政府は当面導入するV-22を海兵隊の中型輸送機であるMV-22と同型としていますが、後期取得分は空軍の特殊作戦用CV-22と同型を想定している報道があり、配備先に影響するかもしれません。
特殊作戦群支援任務。陸上自衛隊は木更津駐屯地にほどちかい習志野駐屯地に陸上自衛隊唯一の特殊部隊である特殊作戦群を置いています。CV-22は九州よりはこの木更津に配備することで特殊作戦群の緊急展開に資する装備であり、また、アメリカ空軍も横田基地へCV-22を配備していることから、日米共同訓練にもてる能力を最大限発揮できるでしょう。
第2ヘリコプター団を目達原に新編できたのではないか、高価なV-22ではなく取得費用は半分で、しかし速度と航続距離も半分ですが輸送力は倍というCH-47を調達していたならば、V-22の取得費用17機分にて34機のCH-47を取得できることとなり、木更津第1ヘリコプター団の32機に匹敵する規模となり、CH-47の方がよい、長く考えていました。
ただ、V-22はCH-47よりも遙かに行動半径が大きく、CH-47はあくまで輸送ヘリコプターとしてしか運用することはできませんが、例えばF-35B戦闘機の護衛艦艦上運用が画定している自衛隊にとっては、急速に整備員や整備機材と弾薬を、ひゅうが、いせ、いずも、かが、といったヘリコプター搭載護衛艦へ緊急輸送が可能です、CH-47では距離が厳しい。
邦人救出任務であれば、アメリカ海兵隊の同種の部隊であるSPMAGTF危機対応特別両用任務部隊のように、MV-22を6機有する、同盟国や包括安全保障協力協定締約国の基地提供を受け迅速に広範囲を救出することが可能となりますし、CV-22相当の機体運用により、例えば遠隔地での要人や航空搭乗員救出など、実施可能となる任務も幅広くなります。
岩国基地へ搬入されたのは最初の2機となっていまして、自衛隊V-22運用史はいよいよ始まるという段階です。実はこの高価なV-22の調達は陸上自衛隊多用途ヘリコプター調達や戦闘ヘリコプター調達などに予算を圧迫している問題も、とにかく政治が求める任務と部隊規模に予算が見合わない、懸念はあるのですが高価機材、最大限活用してほしいですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
新型コロナウィルスCOVID-19の厳しい話題が続く昨今ですが久々に明るい話題が、自衛隊向けV-22が対に日本へ到着しました。
V-22輸送機が日本に到着しました、陸上自衛隊へ配備される17機のV-22可動翼機のうち最初の2機で、8日金曜日に山口県岩国基地へ輸送船で陸揚げされました。輸送船での搬入はアメリカ海兵隊のMV-22配備でも同様であり、今後岩国航空基地にて所要点検を実施した後、陸上自衛隊のV-22暫定配備先となる千葉県の木更津駐屯地へ飛行展開する予定です。
可動翼航空機、これは回転翼航空機として飛行場を選ばず運用できるとともに長大な航続距離と巡航速度を有する機体であり、MV-22の取得費用はCH-47JAの二倍に相当しますが、運用方法次第では、水陸機動に加え例えば洋上の護衛艦へのF-35B整備器具など物資輸送や邦人救出任務、自衛隊に求められる任務を達成の上で大きな能力を発揮しましょう。
木更津駐屯地へのV-22配備は六月下旬頃に実施されるとのことで、木更津駐屯地にはV-22関連の定期整備施設が建設されています。定期整備施設は米軍MV-22の定期整備を実施していますが、整備基盤構築などに思いの外時間を要し、長期間となってしまいました。また、木更津駐屯地への配備も前述の通り暫定配備となり、最終的には九州へ配備の見込み。
水陸機動団支援、自衛隊へ配備されるV-22の任務は長崎県佐世保市の相浦駐屯地に司令部を置く自衛隊初の水陸両用作戦専任部隊水陸機動団へ空中機動力を供することにあります。この為、防衛省は当初、相浦駐屯地にほど近い佐賀空港に隣接する新駐屯地を建設し、西部方面航空隊主力なども移駐させ、木更津駐屯地と並ぶ航空拠点を建設する構想でした。
AAV-7水陸両用車、アメリカ海兵隊の運用する両用強襲車による水陸両用作戦を実施する水陸機動団ですが、洋上を低速で機動するAAV-7は沿岸部に敵対戦車火器や装甲車両が展開していた場合は即座に撃破される可能性があります、この為、水陸機動作戦では沿岸部への接近経路などを空中機動もしくは空挺作戦により確保することが必須となっています。
LCACエアクッション揚陸艇など洋上を高速で航行する装備も自衛隊にはありますが、こちらはAAV-7より高速ではあっても装甲は逆に無く、CRRC複合高速艇による隠密上陸、そして空中機動による沿岸部への接近経路制圧が水陸両用作戦成功の要諦といえるでしょう。また主力展開前に敵着上陸に先立つ緊急展開任務にもV-22の高速は威力を発揮する。
しかし、佐賀空港への新駐屯地建設はV-22運用基盤や安全性の問題、また同じ佐賀県の飛行場である目達原駐屯地との兼ね合いもあり時間を要しています。そして政府は当面導入するV-22を海兵隊の中型輸送機であるMV-22と同型としていますが、後期取得分は空軍の特殊作戦用CV-22と同型を想定している報道があり、配備先に影響するかもしれません。
特殊作戦群支援任務。陸上自衛隊は木更津駐屯地にほどちかい習志野駐屯地に陸上自衛隊唯一の特殊部隊である特殊作戦群を置いています。CV-22は九州よりはこの木更津に配備することで特殊作戦群の緊急展開に資する装備であり、また、アメリカ空軍も横田基地へCV-22を配備していることから、日米共同訓練にもてる能力を最大限発揮できるでしょう。
第2ヘリコプター団を目達原に新編できたのではないか、高価なV-22ではなく取得費用は半分で、しかし速度と航続距離も半分ですが輸送力は倍というCH-47を調達していたならば、V-22の取得費用17機分にて34機のCH-47を取得できることとなり、木更津第1ヘリコプター団の32機に匹敵する規模となり、CH-47の方がよい、長く考えていました。
ただ、V-22はCH-47よりも遙かに行動半径が大きく、CH-47はあくまで輸送ヘリコプターとしてしか運用することはできませんが、例えばF-35B戦闘機の護衛艦艦上運用が画定している自衛隊にとっては、急速に整備員や整備機材と弾薬を、ひゅうが、いせ、いずも、かが、といったヘリコプター搭載護衛艦へ緊急輸送が可能です、CH-47では距離が厳しい。
邦人救出任務であれば、アメリカ海兵隊の同種の部隊であるSPMAGTF危機対応特別両用任務部隊のように、MV-22を6機有する、同盟国や包括安全保障協力協定締約国の基地提供を受け迅速に広範囲を救出することが可能となりますし、CV-22相当の機体運用により、例えば遠隔地での要人や航空搭乗員救出など、実施可能となる任務も幅広くなります。
岩国基地へ搬入されたのは最初の2機となっていまして、自衛隊V-22運用史はいよいよ始まるという段階です。実はこの高価なV-22の調達は陸上自衛隊多用途ヘリコプター調達や戦闘ヘリコプター調達などに予算を圧迫している問題も、とにかく政治が求める任務と部隊規模に予算が見合わない、懸念はあるのですが高価機材、最大限活用してほしいですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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