■BvS.10,あらゆる地形を踏破
BvS.10は晴海埠頭にてイギリス海兵隊第3コマンドー旅団の実物を見ますと、成程これは使い勝手の良さそうな車両だという印象を受けたものです。
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BvS.10全地形車両。この車両が普通科連隊の本部管理中隊や施設大隊本部などに配備されていたならば、災害派遣にも防衛出動にも大きな能力を発揮したでしょう。全地形車両というのは連接車体を採用する装軌式車両で連接式故に急斜面などでの転覆限界に余裕があり、また浮上航行性能により池沼地帯をも難なく踏破できる車両をしめすものです。
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BvS.10は連接構造を採用する全地形車両、BAE社により製造されている。戦闘重量8tで短距離ならばCH-47JA輸送ヘリコプターによる吊下げ空輸が可能です。全長7.6mと全高2.2mに車幅2.34mとなっていまして、連接構造の車両は前部に操縦士を含め6名と後部に8名が乗車可能です。最高速度は65km/hで水上を浮航により5km/hでの機動が可能です。
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資材運搬車や10式雪上車の延長線上の装備といえるもので、本部管理中隊や隊本部に4両程度、いや資材運搬車は中隊単位でも配備されていますけれどもBvS.10は相応に費用を要しますので、しかし4両程度配備されていましたらば、災害派遣では孤立地域への物資輸送と救出、防衛出動では重装備の錯綜地形への展開や普通科機動に活躍する装備だ。
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BV-206全地形車両、スウェーデン製でこの種の車両としては世界でもっとも成功した車両ですが、BvS.10はこの装甲型にあたります、登坂力が非常に高くなっていますので山間部のような錯綜地形でも難なく前進できる装備です、災害派遣はもちろん、防衛出動でも、徒歩かバイクでなければ踏破できない悪路を進む装甲車、というもので有用でしょう。
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河川氾濫のような被害はもちろん、BvS.10がもっとも活躍するのは土砂災害による孤立地域救助で、もちろん地滑りにより道路が谷間になっているところは踏破できませんが、倒木が連続していて所々水没しているような地形に対しては威力を発揮します。もともとは雪上車ですので豪雪災害においても難なく踏破できる、地形を選ばない車両というもの。
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土砂災害による孤立地救助では、まず、倒木や土砂をドーザーにより除去する道路啓開が最初に行われますが、BvS.10は道路啓開に先立って孤立地域まで進出することが可能です。浸水地域とそうでない地域、ボートですと一旦乗り越えるのが大変ですが、この点で車両ですとその煩雑さはありません、煩雑、これは迅速に救助へ展開できることを意味します。
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水陸両用車と全地形車両の最大の相違点は、水陸両用車が陸路と水上に特化し、この二つの面において優れた機動力を発揮するのに対し、積雪地や池沼を想定している全地形車両は水陸両用車が水中の倒木や瓦礫の紐状障害物にスクリューが絡まった場合に身動きがとれなくなるのに対して、履帯駆動の全地形車両にはこうした心配がないところです。
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山間部の土砂災害では、倒木などがジープのような四輪駆動車でも前進を阻みますが、もともとこうしたところを踏破するのが全地形車両の任務です。そしてBvS.10の搭載力はなかなか大きなものがありまして、資材運搬車のように復旧支援に当てることも可能でしょう、また装甲車両ですので万一落石があった場合でもある程度までは耐えられます。
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防衛出動においてはBvS.10は見た目以上の威力を発揮します、登坂力が大きいのですから錯綜地形に電波中継機材を展開する場合や稜線に対戦車ミサイルや携帯地対空誘導弾を展開させる際に威力を発揮しますし、なにより、車両が通れない森林を踏破する車両ですので、普通科部隊の迂回攻撃を根本から迅速化させることができ、装甲戦闘車よりも優位に。
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市街地戦闘を2000年代に入り陸上自衛隊は閉所戦闘として訓練を強化しました、これは元来市街戦を正規軍が避ける傾向がある中、平野部に市街地が広がる我が国では市街地での戦闘能力を高める事により抑止力を高める事が出来る、としてスイス軍が先進国として初期から市街戦訓練を重視した事の延長線上と理解する事も出来るでしょう、そして山岳だ。
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BvS.10全地形車両はイギリス海兵隊がアフガニスタン治安作戦における山岳戦で、通常装甲車が展開できない地域へ進出し、山間部に立てこもる武装勢力掃討に大きな威力を発揮しました。もちろんBvS.10だけで全国の普通科連隊に中隊を編成しろというわけではありませんが、少数でも配備されているだけで、全地形車両は部隊能力を底上げできるのです。
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81mm迫撃砲を後部に搭載し、錯綜地形において運用するならば、従来の地形防御の常識さえ覆す装備ともなるでしょう。山岳戦や冬季戦、もともとが雪上車ですので、日本に多い地形、都市と森は人を呑む、として本来活用されていない地域を地形防御として活用できるようになりますので、現在配備されていないことが、不思議なくらいとさえいえます。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
BvS.10は晴海埠頭にてイギリス海兵隊第3コマンドー旅団の実物を見ますと、成程これは使い勝手の良さそうな車両だという印象を受けたものです。
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BvS.10全地形車両。この車両が普通科連隊の本部管理中隊や施設大隊本部などに配備されていたならば、災害派遣にも防衛出動にも大きな能力を発揮したでしょう。全地形車両というのは連接車体を採用する装軌式車両で連接式故に急斜面などでの転覆限界に余裕があり、また浮上航行性能により池沼地帯をも難なく踏破できる車両をしめすものです。
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BvS.10は連接構造を採用する全地形車両、BAE社により製造されている。戦闘重量8tで短距離ならばCH-47JA輸送ヘリコプターによる吊下げ空輸が可能です。全長7.6mと全高2.2mに車幅2.34mとなっていまして、連接構造の車両は前部に操縦士を含め6名と後部に8名が乗車可能です。最高速度は65km/hで水上を浮航により5km/hでの機動が可能です。
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資材運搬車や10式雪上車の延長線上の装備といえるもので、本部管理中隊や隊本部に4両程度、いや資材運搬車は中隊単位でも配備されていますけれどもBvS.10は相応に費用を要しますので、しかし4両程度配備されていましたらば、災害派遣では孤立地域への物資輸送と救出、防衛出動では重装備の錯綜地形への展開や普通科機動に活躍する装備だ。
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BV-206全地形車両、スウェーデン製でこの種の車両としては世界でもっとも成功した車両ですが、BvS.10はこの装甲型にあたります、登坂力が非常に高くなっていますので山間部のような錯綜地形でも難なく前進できる装備です、災害派遣はもちろん、防衛出動でも、徒歩かバイクでなければ踏破できない悪路を進む装甲車、というもので有用でしょう。
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河川氾濫のような被害はもちろん、BvS.10がもっとも活躍するのは土砂災害による孤立地域救助で、もちろん地滑りにより道路が谷間になっているところは踏破できませんが、倒木が連続していて所々水没しているような地形に対しては威力を発揮します。もともとは雪上車ですので豪雪災害においても難なく踏破できる、地形を選ばない車両というもの。
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土砂災害による孤立地救助では、まず、倒木や土砂をドーザーにより除去する道路啓開が最初に行われますが、BvS.10は道路啓開に先立って孤立地域まで進出することが可能です。浸水地域とそうでない地域、ボートですと一旦乗り越えるのが大変ですが、この点で車両ですとその煩雑さはありません、煩雑、これは迅速に救助へ展開できることを意味します。
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水陸両用車と全地形車両の最大の相違点は、水陸両用車が陸路と水上に特化し、この二つの面において優れた機動力を発揮するのに対し、積雪地や池沼を想定している全地形車両は水陸両用車が水中の倒木や瓦礫の紐状障害物にスクリューが絡まった場合に身動きがとれなくなるのに対して、履帯駆動の全地形車両にはこうした心配がないところです。
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山間部の土砂災害では、倒木などがジープのような四輪駆動車でも前進を阻みますが、もともとこうしたところを踏破するのが全地形車両の任務です。そしてBvS.10の搭載力はなかなか大きなものがありまして、資材運搬車のように復旧支援に当てることも可能でしょう、また装甲車両ですので万一落石があった場合でもある程度までは耐えられます。
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防衛出動においてはBvS.10は見た目以上の威力を発揮します、登坂力が大きいのですから錯綜地形に電波中継機材を展開する場合や稜線に対戦車ミサイルや携帯地対空誘導弾を展開させる際に威力を発揮しますし、なにより、車両が通れない森林を踏破する車両ですので、普通科部隊の迂回攻撃を根本から迅速化させることができ、装甲戦闘車よりも優位に。
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市街地戦闘を2000年代に入り陸上自衛隊は閉所戦闘として訓練を強化しました、これは元来市街戦を正規軍が避ける傾向がある中、平野部に市街地が広がる我が国では市街地での戦闘能力を高める事により抑止力を高める事が出来る、としてスイス軍が先進国として初期から市街戦訓練を重視した事の延長線上と理解する事も出来るでしょう、そして山岳だ。
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BvS.10全地形車両はイギリス海兵隊がアフガニスタン治安作戦における山岳戦で、通常装甲車が展開できない地域へ進出し、山間部に立てこもる武装勢力掃討に大きな威力を発揮しました。もちろんBvS.10だけで全国の普通科連隊に中隊を編成しろというわけではありませんが、少数でも配備されているだけで、全地形車両は部隊能力を底上げできるのです。
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81mm迫撃砲を後部に搭載し、錯綜地形において運用するならば、従来の地形防御の常識さえ覆す装備ともなるでしょう。山岳戦や冬季戦、もともとが雪上車ですので、日本に多い地形、都市と森は人を呑む、として本来活用されていない地域を地形防御として活用できるようになりますので、現在配備されていないことが、不思議なくらいとさえいえます。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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