■9.11影響は北東アジア地域へ
同時多発テロの一方を皆様は何処で知られましたでしょうか、一昔では一種挨拶の様に買われていました話題でもありますがあれから19年です。
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9.11同時多発テロから本日で19年となりました、第一報が日本に入りましたのは2100時台ですので文字通りまもなく19年というところでしょうか。10年一昔といいますが、アメリカによる同時多発テロ首謀者への自衛権は集う、アフガニスタン空爆が始まるのは二週間後、当時は国際法専門家の間で自衛権の要件を満たしているか激論もあったものです。
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10年一昔、日本はアメリカのアフガニスタン空爆に当時の小泉政権は早々と支持を表明、アラビア海海上阻止行動給油支援として護衛艦くらま以下護衛艦と補給艦からなる3隻の艦隊を、当時の憲法解釈では限度という規模ではありますが派遣を開始、日本の戦後安全保障というものが大きく変容を遂げたものでした、そして19年、日本は変容を続けました。
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自衛隊はPKO任務としてアフリカに派遣されT-72戦車とハインド攻撃ヘリの戦闘、自衛隊用語では衝突、が続く中でも派遣が継続され、日本本土には年間1000回を越える国籍不明機への対領空侵犯措置任務緊急発進が実施、沖縄沖に中国公船が張り付き中国艦が支援するなか、和歌山沖にミサイル爆撃機、年間数十発の弾道弾実験が行われイージス艦が。
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原子力発電所が津波で爆発し、日本海にはアメリカの原子力空母3隻が遊弋し相変わらずロシアは日本から離れているとはいえ隣国に侵攻した、2010年代というのはこうした時代でした。19年、いや2000年から19年引けば1981年でソ連がアフガニスタンに侵攻しフォークランド紛争の前夜ですので、その後のソ連崩壊を考えればそれだけ長い期間である。
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10年に一度危機が生じる、1990年湾岸危機、2001年同時多発テロ、2011年東日本大震災、2020年はCOVID-19世界流行禍。1980年は東西軍事均衡逆転が西ドイツで警鐘された80年危機説、日本で当てはめれば少し前の1976年ミグ25函館亡命事件というところでしょうか、その前は1973年石油危機、その前は1961年キューバ危機か少し前のスエズ危機か。
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同時多発テロ、日本にとり象徴的であったのは、アメリカが世界各国にテロとの戦いを掲げ、非国家アクター主体の姿の見えない脅威とと戦い、有志連合を編成する際、参画するか賛同するか反対するか敵対するか、この四選択肢を掲げ、平和主義を標榜する我が国においても旗幟を明確とする必要が生じたためでした、ここに参画しないが賛同を掲げた。
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自衛隊の活動領域がここまで拡大するとは2001年を考えた場合にここまで想定できなかった、こういったところが正直な認識でしょうか。16DDHとして護衛艦ひゅうが型の設計が進む当時、海上自衛隊の活動範囲広域化は予見こそされていました、C-Xとして現在のC-2輸送機の要求仕様も発表され、必要とされていた行動範囲の拡大に繋がる予見は出来たが。
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1992年PKO協力法、宮沢内閣時代の法整備により国連と日本の不明瞭な関係だけは払拭できていました、上記の活動範囲拡大はこの対応にも見えました。この点について、国連憲章には国連への協力義務が明記されており、国連はそもそもが集団安全保障機構、そして国連総会の活動に国際平和維持活動が含まれ、ここに参加するための法整備でした。
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自衛隊の海外での活動は極めて限定的でした、いや徹底していたといって良い、1965年にマリアナ沖漁船大量遭難事件が発生、数百の日本人乗組員が行方不明となる悲惨な状況においても海上自衛隊の災害派遣はマリアナ諸島ということで消極的、海上保安庁に当時YS-11のような大型航空機が配備されていなかったために漸くP-2Vが派遣されています。
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1998年インドネシア騒擾、公共料金値上げを求める当時のスハルト政権にたいし失業率が25%を越える中での増税措置に国民が激怒し全土で暴動と放火が相次いだ当時、日本は邦人救出に着手しましたが、海上自衛隊派遣は当時の法整備では許されず、海上保安庁巡視船を派遣する、という今日ではかなり理解が難しい見せかけの救出命令が行われました。
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法整備、こうした観点からみたならば2001年以降、憲法こそ改正には至っていませんが、武力攻撃事態法の所謂有事法制、オーストラリアやイギリスとフランスにまもなくインドとの包括安全保障協力協定、内閣危機管理局設置と平和安全法制、おおきく前進した、とは考えるところです。すくなくとも同胞を見捨てず済む国家の責任が明確化されている。
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しかし、2001年同時多発テロ以降、大きく変わったのはアメリカのルックイーストが飛んでルックミドルイースト、テロとの戦いを念頭に防衛力整備の偏重が顕在化しています。駆逐艦よりは外洋哨戒艦、車高が高く爆風を逃す耐爆車両を万単位で整備し高高度を低速で長時間滞空する無人機や完全に近い個人防護装備が毎年開発され。歪が生じてゆきます。
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テロとの戦いを念頭とした装備、ここが大きな転換点となるのは、テロとの戦いを念頭とした装備として開発された装備の多くは、従来型の戦闘には応用こそ利くものの十分な威力を発揮できないのです。要するに哨戒艦と駆逐艦が戦えば駆逐艦が勝ち、耐爆車両と装甲戦闘車が戦えば遠方から一方的に装甲戦闘車が勝利します。これらは勝負になりません。
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テロとの戦いを念頭とした装備、問題は決して安価ではないと云うことです、耐爆車両は装輪装甲車と取得費用が同じですし外洋哨戒艦はセンサーが高価であるために在来のフリゲイトよりも高くなることさえある、無人機は安価ですが滞空型となれば機体そのものよりも地上制御装置で結局かなり大きな費用を要します、個人防護装備は兎に角数が多い。
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アフガニスタンにイラクはじめアメリカが展開した一連の作戦とともに国防費は膨大となり、しかしテロとの戦いに応じた装備が優先されたことで、F-22戦闘機量産半減やズムウォルト級駆逐艦は建造十分の一に、将来地上戦闘車両FCS計画中止に海兵隊EFV海兵遠征車両開発中止、F/A-18後継機開発大幅遅延にE-7早期警戒管制機開発中止、影響多大だ。
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欧州などはこの影響が顕著で膨大な戦費を負担するために削減されたのは戦車や駆逐艦と戦闘機、2016年クリミア危機にてロシアの在来型脅威が顕在しますと、重戦力不足は、例えば冷戦時代に1000の戦車を有していたオランダは戦車全廃、4700両保有していたドイツは225両へ、大幅削減し駆逐艦も大幅縮小、戦闘機稼働率も落ち、再編に大わらわです。
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米軍再編。テロとの戦いを念頭に全世界への前方展開を抜本から見直した2005年の在外駐留兵力の本土重点再配置は、朝鮮半島の師団事実上旅団化、在欧米軍の大幅削減、中東拠点の結果的な大幅縮小となり、これがアメリカのポテンシャル、世界におけるプレゼンスを大きく後退させたことも否めません、すると瓶の蓋が弾けた状況が現出してゆく。
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中国海洋進出も瓶と蓋理論、これはもともと極東では日本に対し考えられた概念ですが中国の海洋進出は経済発展とともに著しく、東シナ海と南シナ海全域の管轄権を主張するなど極端化、アメリカのミサイルを持たない哨戒艦的な沿海域戦闘艦は中国の重武装フリゲイトに追い回される状況です。結果、日本の安全保障環境は激変した構図があるのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
同時多発テロの一方を皆様は何処で知られましたでしょうか、一昔では一種挨拶の様に買われていました話題でもありますがあれから19年です。
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10年一昔、日本はアメリカのアフガニスタン空爆に当時の小泉政権は早々と支持を表明、アラビア海海上阻止行動給油支援として護衛艦くらま以下護衛艦と補給艦からなる3隻の艦隊を、当時の憲法解釈では限度という規模ではありますが派遣を開始、日本の戦後安全保障というものが大きく変容を遂げたものでした、そして19年、日本は変容を続けました。
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自衛隊はPKO任務としてアフリカに派遣されT-72戦車とハインド攻撃ヘリの戦闘、自衛隊用語では衝突、が続く中でも派遣が継続され、日本本土には年間1000回を越える国籍不明機への対領空侵犯措置任務緊急発進が実施、沖縄沖に中国公船が張り付き中国艦が支援するなか、和歌山沖にミサイル爆撃機、年間数十発の弾道弾実験が行われイージス艦が。
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原子力発電所が津波で爆発し、日本海にはアメリカの原子力空母3隻が遊弋し相変わらずロシアは日本から離れているとはいえ隣国に侵攻した、2010年代というのはこうした時代でした。19年、いや2000年から19年引けば1981年でソ連がアフガニスタンに侵攻しフォークランド紛争の前夜ですので、その後のソ連崩壊を考えればそれだけ長い期間である。
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同時多発テロ、日本にとり象徴的であったのは、アメリカが世界各国にテロとの戦いを掲げ、非国家アクター主体の姿の見えない脅威とと戦い、有志連合を編成する際、参画するか賛同するか反対するか敵対するか、この四選択肢を掲げ、平和主義を標榜する我が国においても旗幟を明確とする必要が生じたためでした、ここに参画しないが賛同を掲げた。
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自衛隊の活動領域がここまで拡大するとは2001年を考えた場合にここまで想定できなかった、こういったところが正直な認識でしょうか。16DDHとして護衛艦ひゅうが型の設計が進む当時、海上自衛隊の活動範囲広域化は予見こそされていました、C-Xとして現在のC-2輸送機の要求仕様も発表され、必要とされていた行動範囲の拡大に繋がる予見は出来たが。
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1992年PKO協力法、宮沢内閣時代の法整備により国連と日本の不明瞭な関係だけは払拭できていました、上記の活動範囲拡大はこの対応にも見えました。この点について、国連憲章には国連への協力義務が明記されており、国連はそもそもが集団安全保障機構、そして国連総会の活動に国際平和維持活動が含まれ、ここに参加するための法整備でした。
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法整備、こうした観点からみたならば2001年以降、憲法こそ改正には至っていませんが、武力攻撃事態法の所謂有事法制、オーストラリアやイギリスとフランスにまもなくインドとの包括安全保障協力協定、内閣危機管理局設置と平和安全法制、おおきく前進した、とは考えるところです。すくなくとも同胞を見捨てず済む国家の責任が明確化されている。
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しかし、2001年同時多発テロ以降、大きく変わったのはアメリカのルックイーストが飛んでルックミドルイースト、テロとの戦いを念頭に防衛力整備の偏重が顕在化しています。駆逐艦よりは外洋哨戒艦、車高が高く爆風を逃す耐爆車両を万単位で整備し高高度を低速で長時間滞空する無人機や完全に近い個人防護装備が毎年開発され。歪が生じてゆきます。
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北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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