■こんごう型護衛艦後継艦にも
イージスアショア代替問題について一部報道ではミサイル防衛のみに特化した特殊船の政府検討を報じています。
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ミサイル防衛専用艦。かつて軍事評論家江畑謙介先生が1990年代に提案した弾道ミサイル防衛の方法です。しかしあれから20年以上を経まして、当時は薄かった中国海軍の脅威が増大し、長期の少子高齢化が進む我が国では一隻の護衛艦も貴重であり、弾道ミサイル防衛にのみしか用いられぬ専用艦を維持する事について、負担の大きさが見合っていません。
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まや型護衛艦の簡略型を建造し、ミサイル防衛に充てられないか。専用艦の難点は、結局のところ新設計が必要であり設計費という問題を無視しているのです。何隻も量産するならば話は別ですが、そうした話もありません。それならば動かない海上浮体石油掘削リグを領海内の沿岸近くに配置した方が、運用は陸上自衛隊が行えますし安価だったでしょう。
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イージスアショアは固定施設であり、破壊工作や飽和攻撃へ脆弱性があります、海上配備ならば移動し回避が可能だ。設置場所も当初の秋田山口両県を断念し、舞鶴基地に近い若狭湾と大湊基地に近い陸奥湾とすれば補給も容易、将来更に佐世保基地近くの玄界灘に置ければ南西諸島も守り得ます。全く無駄とは考えないのですが変更が急で付け焼刃過ぎる。
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イージス艦の簡略化、アメリカ海軍ではアーレイバーク級ミサイル駆逐艦のフライトⅡにて実施しています、建造数よる量産効果もさることながら、初期型にあたるフライトⅠと比較し、二割以上安価となった。しかし簡略型であっても持てる国の簡略型、その能力は最も過酷な海上戦闘にも将来に渡り対応できる高水準にある。これを日本に当てはめよう。
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CIWS廃止。対艦ミサイル攻撃への最後の防衛手段である20mm高性能機関砲を思い切って廃止することで21番砲と22番砲の予算を削減します、突飛な案に見えるかもしれませんが、元々イージス艦の防空能力は高く、ここに近接防空をESSMに統合するという事であれば納得できるのではないでしょうか、ESSMはMk.41VLSにそのまま搭載できます。装備を減らせば乗員も省力化できる。
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17SSM省略。ハープーンミサイルや90式艦対艦誘導弾の後継として開発された17式艦対艦誘導弾、まや型は8発を搭載していますが、これを思い切って廃止する。対艦戦闘はスタンダードSM-6により代替する、威力はそれ程大きくはありませんがAIM-120のレーダーシーカーを搭載する新世代の艦対空ミサイルはアメリカ海軍でも対艦用に採用予定です。
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搭載艇のRHIB化,護衛艦には7.9mや11m搭載艇が2隻搭載され、乗員3名で人員22名や貨物などを搭載し7ノットで航行可能です、塗粧や沖留時の交通に必須装備ですが、重い、特に新型は。そこで軽量のRHIB複合艇とすれば、デリックのを省略し、航空格納庫付近にクレーンを搭載するだけで運用可能です、搭載艇区画はステルス性で複雑化していて省ける意味は大きい。
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ミサイル垂直発射装置VLSの後部VLS後日装備,アメリカ海軍はここまでは検討だけで実施しませんでしたが、まや型は前部に64セルと後部に32セルのVLSを備えています、64セルだけでは心もとない様に思われますが、イージスアショアミサイル迎撃用SM-3はここまで多数を搭載する計画は無く、またスペインと豪州のイージス艦はVLSが48セルです。この水準の装備ならば、ミサイル防衛以外にも艦隊で活躍できる。
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こんごう型護衛艦、1993年から4隻が建造されたイージス艦ですが、まや型護衛艦簡略型2隻をイージスアショア代替に充て完成するのを最速で2024年と見積もった場合、この時点で一番艦こんごう艦齢は30年を超えており後継艦が必要となります。そこでイージスアショア代替艦に続いて、改まや型に定数通りVLSを設置しSPY-6搭載へ設計変更、建造すれば量産効果が成立つ。
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LRDRレーダー。イージスアショアを複雑としているのは既にレーダーシステムの費用がアメリカに支払われており、いま中止した場合でも契約金額の半分前後にあたる数百億円が返還されない可能性が高いのです。日本では調達計画の政府反故は日常ですが、例えばドイツがPAH-2戦闘ヘリコプター調達縮小の際には違約金で45%の支払いを行っています。
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まや型を改造するとしてSPY-1に代えてLRDRを搭載できるのか、LRDRはSPY-6のようにSPY-1の搭載艦への設計変更を見込んだものではありません。ただ、ここでも上記の省略部分が重量軽減に繋がり、復元性の問題を多少払拭できる可能性はあります。なにしろCIWSだけでも重量が4.5tあり、これを二基省く事で9tの重量軽減となるのですからね。
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ミサイル防衛専用艦よりも簡略型イージス艦、しかし、イージスアショアを二基に留まらず大量配備を行うならば、話は別です。陸上自衛隊が運用する海上配備システム、そのまま南西諸島に進出し島嶼部防衛にも強力な防空能力を発揮できます、03式中距離地対空誘導弾やペトリオットの後継とも成り得ます、ここまで政府が考えているかは定かではありません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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イージスアショア代替問題について一部報道ではミサイル防衛のみに特化した特殊船の政府検討を報じています。
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ミサイル防衛専用艦。かつて軍事評論家江畑謙介先生が1990年代に提案した弾道ミサイル防衛の方法です。しかしあれから20年以上を経まして、当時は薄かった中国海軍の脅威が増大し、長期の少子高齢化が進む我が国では一隻の護衛艦も貴重であり、弾道ミサイル防衛にのみしか用いられぬ専用艦を維持する事について、負担の大きさが見合っていません。
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まや型護衛艦の簡略型を建造し、ミサイル防衛に充てられないか。専用艦の難点は、結局のところ新設計が必要であり設計費という問題を無視しているのです。何隻も量産するならば話は別ですが、そうした話もありません。それならば動かない海上浮体石油掘削リグを領海内の沿岸近くに配置した方が、運用は陸上自衛隊が行えますし安価だったでしょう。
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イージスアショアは固定施設であり、破壊工作や飽和攻撃へ脆弱性があります、海上配備ならば移動し回避が可能だ。設置場所も当初の秋田山口両県を断念し、舞鶴基地に近い若狭湾と大湊基地に近い陸奥湾とすれば補給も容易、将来更に佐世保基地近くの玄界灘に置ければ南西諸島も守り得ます。全く無駄とは考えないのですが変更が急で付け焼刃過ぎる。
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イージス艦の簡略化、アメリカ海軍ではアーレイバーク級ミサイル駆逐艦のフライトⅡにて実施しています、建造数よる量産効果もさることながら、初期型にあたるフライトⅠと比較し、二割以上安価となった。しかし簡略型であっても持てる国の簡略型、その能力は最も過酷な海上戦闘にも将来に渡り対応できる高水準にある。これを日本に当てはめよう。
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CIWS廃止。対艦ミサイル攻撃への最後の防衛手段である20mm高性能機関砲を思い切って廃止することで21番砲と22番砲の予算を削減します、突飛な案に見えるかもしれませんが、元々イージス艦の防空能力は高く、ここに近接防空をESSMに統合するという事であれば納得できるのではないでしょうか、ESSMはMk.41VLSにそのまま搭載できます。装備を減らせば乗員も省力化できる。
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17SSM省略。ハープーンミサイルや90式艦対艦誘導弾の後継として開発された17式艦対艦誘導弾、まや型は8発を搭載していますが、これを思い切って廃止する。対艦戦闘はスタンダードSM-6により代替する、威力はそれ程大きくはありませんがAIM-120のレーダーシーカーを搭載する新世代の艦対空ミサイルはアメリカ海軍でも対艦用に採用予定です。
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搭載艇のRHIB化,護衛艦には7.9mや11m搭載艇が2隻搭載され、乗員3名で人員22名や貨物などを搭載し7ノットで航行可能です、塗粧や沖留時の交通に必須装備ですが、重い、特に新型は。そこで軽量のRHIB複合艇とすれば、デリックのを省略し、航空格納庫付近にクレーンを搭載するだけで運用可能です、搭載艇区画はステルス性で複雑化していて省ける意味は大きい。
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ミサイル垂直発射装置VLSの後部VLS後日装備,アメリカ海軍はここまでは検討だけで実施しませんでしたが、まや型は前部に64セルと後部に32セルのVLSを備えています、64セルだけでは心もとない様に思われますが、イージスアショアミサイル迎撃用SM-3はここまで多数を搭載する計画は無く、またスペインと豪州のイージス艦はVLSが48セルです。この水準の装備ならば、ミサイル防衛以外にも艦隊で活躍できる。
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こんごう型護衛艦、1993年から4隻が建造されたイージス艦ですが、まや型護衛艦簡略型2隻をイージスアショア代替に充て完成するのを最速で2024年と見積もった場合、この時点で一番艦こんごう艦齢は30年を超えており後継艦が必要となります。そこでイージスアショア代替艦に続いて、改まや型に定数通りVLSを設置しSPY-6搭載へ設計変更、建造すれば量産効果が成立つ。
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LRDRレーダー。イージスアショアを複雑としているのは既にレーダーシステムの費用がアメリカに支払われており、いま中止した場合でも契約金額の半分前後にあたる数百億円が返還されない可能性が高いのです。日本では調達計画の政府反故は日常ですが、例えばドイツがPAH-2戦闘ヘリコプター調達縮小の際には違約金で45%の支払いを行っています。
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まや型を改造するとしてSPY-1に代えてLRDRを搭載できるのか、LRDRはSPY-6のようにSPY-1の搭載艦への設計変更を見込んだものではありません。ただ、ここでも上記の省略部分が重量軽減に繋がり、復元性の問題を多少払拭できる可能性はあります。なにしろCIWSだけでも重量が4.5tあり、これを二基省く事で9tの重量軽減となるのですからね。
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ミサイル防衛専用艦よりも簡略型イージス艦、しかし、イージスアショアを二基に留まらず大量配備を行うならば、話は別です。陸上自衛隊が運用する海上配備システム、そのまま南西諸島に進出し島嶼部防衛にも強力な防空能力を発揮できます、03式中距離地対空誘導弾やペトリオットの後継とも成り得ます、ここまで政府が考えているかは定かではありません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)