北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

北海道広域避難-ロシア軍北海道侵攻の際に必須となる視点,ウクライナでのロシア軍戦争犯罪という視点から

2022-04-09 20:02:00 | 国際・政治
■本土有事と国民保護
 国民保護法という有事の際の文民保護に関する法整備は国により漸く為されていますが実際に行うとなれば自治体は計画立案に苦渋難渋している現実があります。

 北海道有事、ほんの20年前には時代錯誤と揶揄されたのかもしれませんが、ロシア軍ウクライナ侵攻という現実の脅威をうけ、潜在的な脅威として認識する必要があります。そしてこれは冷戦時代には想定されていなかったことではあるのですが非戦闘員の退避というものが重大な問題となってくるのです、それも喫緊の課題として検討せねばなりません。

 ロシアを相手に認識が甘かった、こういわれるだけなのかもしれませんが、北海道有事となった場合には道北の稚内から少なくとも旭川に掛けて、道央は石狩湾の小樽から札幌北部にかけて、また北方領土は国後島から根室市内が通常の野砲射程圏内にありますので、根室から帯広までの道東地域を広域避難の対象とするのが妥当だ。もっとも難しいのだが。

 また戦域内の飛行場付近はウクライナ情勢を見れば空挺強襲を受けることが確実となっていますので、千歳空港や札幌の丘珠空港付近を広域避難させる必要がでてきます。北海道全域の道民を本州へ避難させる、ここまでは必要ないかもしれませんが、沿海州などへロシア軍の特異な規模での兵力集中が始まった段階で、退避準備情報を発令する必要がある。

 広域避難、難しいのは避難所に退避させる従来型の退避ではなく、避難所が戦意喪失を狙う攻撃目標となりえるため、原子力事故とおなじ文字通りの広域避難で市街地の外に誘導しなければなりません、可能なのかという大きな問題がありますが、まさか国がミサイルで爆死するのは自己責任と日本固有の自己責任論で突き放しては最早国家ではありません。

 ロシアが北海道へ侵攻するのか。能力が在れば実行するという結論を先に提示するほか在りません。かつて国際法上に正戦論が在った時代には相応の事由がなければ開戦というものはあり得なかったものですが、今回のウクライナ侵攻を見ますと、先ずウクライナに侵攻し民主的政権を打倒し傀儡政権にすげ替えたい、そんな無理な目的が先行していました。

 ウクライナへの侵攻は最初にロシアはウクライナではネオナチが政権を握りロシア系住民を虐待している、ユダヤ人でロシア系ウクライナ人であるゼレンスキー大統領をネオナチとレッテル貼りした上で、実際のところOSCE全欧安全保障協力機構も国連も、兆候さえないというウクライナ政府によるロシア系住民虐待を、ロシアは開戦の口実としている。

 大量破壊兵器疑惑、次のロシアの口実はイラクやイランのように過去の各開発や関連資材輸入の実例さえない大量破壊兵器開発により、ロシア系住民への迫害が迫っている、開戦直前にはモスクワを攻撃できるアメリカのミサイルが搬入されたとかロシアへの核攻撃が迫っていると口実をどんどん切り替えて、全面侵攻する現状となりました。そして現状へ。

 北海道は核戦力を重視するロシアにとり、オホーツク海という戦略ミサイル原潜の聖域への入り口であり、また道北がロシア領でないことはかりに第三国により宗谷海峡が冬季に機雷などで封鎖された場合に千島列島が孤立化することを示し、可能ならば確保しておきたい、ウクライナ全土占領に準じる程度には、ロシアにとり優先度の挙げられる地域です。

 口実はどうとでもなる、日本の政府をネオナチに指定して横断歩道や運動会の挙手の動作などを例に子供も大人もネオナチだとレッテルを貼り、核兵器を開発しているとかロシア系住民を大量に収監しているといい、そんな事実はないと日本政府が反論しても日本にロシア系住民が目立たないことが既に秘密収容所の証拠だといえばいい。どうとでもなる。

 滅茶苦茶だと反論されるのかもしれませんが、まさにウクライナを侵略した際のロシア政府の言い分がこれそのものであり、何故ユダヤ人がネオナチなのかという反論も、欺瞞だという一言で跳ね返される、もうしわけないが頭のおかしい方の言い分を突きつけられている迷惑電話のような口実で開戦したのを、まさに見ていたのですから、これが現実です。

 道北の重要性、これは冷戦時代から日本も重々承知していた事例です、そうであるからこそ北海道に4個師団も陸上自衛隊は駐屯させ、高射特科団に特科団と戦車団という重装備を整備したのです。ただ、冷戦時代にはみおとされていたのが、非戦闘員というもの、国民保護法など有事法制整備前には議論さえ許されなかった道民の安全です。甘さも在った。

 ウクライナのマリウポリでの惨状を見ますと、非戦闘員は攻撃の対象とならないという認識は的外れであり、住宅や財産などが無差別攻撃の対象となることはもちろん、たとえば成年男子で高齢者ではないというだけで殺害の対象となる、潜在的戦闘員の抹殺という意味で、こうしたまさに第二次大戦中のような状況がいま展開しているのです。現実を直視せねばなりません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】立本寺,日像さんの辻説法-日蓮の直弟子は救いへの修行と破却に火災-寺院開山後の苦難の歴史

2022-04-09 14:15:24 | 写真
■三〇〇年-今の京都へ
 大きな寺院ももとは小さな庵というのは京都では当たり前の出来事なのですが、その今日に至るまでの歴史の流れに中々感じ入るものが多いのです。

 立本寺。京都市上京区七本松通仁和寺街道上ル一番町に在ります隠れた桜花の名所は、静かな観桜を好まれる方には、じっと座って春の訪れを愛でるに適したところです。しかし寺域の風情風景は落ち着いているのですが、その歴史は波乱万丈というものなのですね。

 日蓮の弟子日像が開山となりました御寺は、御溝傍今小路といういまの上京区あたりに妙顕寺は、小庵として始まったという。ここは日蓮宗最初の寺院ともいわれまして、今でこそ後に公武の帰依というかたちで後醍醐天皇の勅願所ともなっているのですが、さてさて。

 日像は下総国の出身、建治元年の西暦1275年に出家しました、日蓮とは実兄の日朗が子弟関係にあり、兄が兄弟子という。そして日蓮との出会いから直弟子となりまして経一丸の法名を授けられます、日蓮宗は辻説法という街に出て活動し救いを広める新しいものです。

 辻説法は、なにしろ社会保障も福祉の概念も無く身分格差だけが存在した中世の時代です、仏僧は安穏と寺に籠り修行と称して読経と食事に明け暮れてよいのかという焦りがあり、大覚寺の僧大覚の帰依を受ける等、日蓮の直弟子としての日像は共に歩む人が増えました。

 延暦寺、東寺、仁和寺、南禅寺、相国寺、知恩寺、錚々たる寺院の名は、逆に辻説法は邪道であるとして圧力を加えたものなのですが、とうとう朝廷に訴追され京都を追放され、これは三年間に及びますが、帰京後も再度訴追を受け後醍醐天皇より綸旨を賜るまで続く。

 後醍醐天皇より綸旨を賜りましたが、あわせて寺領を下賜され、こうしていまの立本寺へと繋がる寺院が造営されてゆきますが、幾度も遷座を重ねます。それでもその都度再興するというのは、やはり町衆に寄り添う新しい信仰の在り方が、寄る辺となったのでしょう。

 四条櫛笥こと四条大宮に遷りましたのは暦応4年こと西暦1341年のこと、しかしあの日蓮宗ですので嘉慶元年こと西暦1387年、比叡山の僧徒による攻撃を受け破却されます。再建成ったのは明徳4年こと西暦1393年、三条坊門堀川という今の二条城あたりなのでした。

 妙本寺、再建に際しては妙顕寺龍華院という塔頭から名を妙本寺と改めたのですが、応永20年こと西暦1413年、またしても比叡山の攻撃を受け破壊されます、応永23年こと1416年、今度は本応寺と号し再建します、名前を変えて比叡山の目につかない様に、という。

 四条櫛笥に寺院を再建したのは日実という僧侶なのですが、しかし此処で対立が、応永20年に比叡山の攻撃を受けた際の門主は五世月明となっていて、北の丹波に逃れていました。五条大宮に妙本寺を再興しました月明は、勝手に再建した本応寺との間で摩擦を引き起す。

 立本寺と称するようになりましたのはこの頃と云う。しかし四条櫛笥というと四条通沿いになるのだから此処は上京区七本松通仁和寺街道上ル一番町、全然場所が違うじゃあないか、と思われるかもしれません。そうです、またしても焼けてしまう歴史なのですね。

 天文法華の乱、天文5年こと西暦1536年に法華宗寺院とともに破壊され京都から一掃されました。後奈良天皇が法華宗帰洛の綸旨を下したのは天文11年、二年後の天文13年に今度は新町三条に再建されました。今度は焼けなかったのですが文禄3年こと1594年には。

 京都大改造という豊臣秀吉の変革により寺町今出川という今の同志社大学当たりの好立地へ移転しました。ただ、ここは宝永5年こと西暦1708年、宝永の大火の貰い火を受けてしまいます、こうして現在の位置に遷ったのですが、それから三百余年は当地にあります。

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岸田総理大臣臨時記者会見-ロシア外交官8名追放と五つの追加制裁,ウクライナでのロシア軍残虐行為受け強化

2022-04-09 07:01:42 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ロシアは北海道の先に在る日本の隣国ではあるのですが歴史的友好関係も現在のウクライナでの行動を見ますと、最早過去には戻れない線を超えているのでしょう。

 外務省はロシア外交官8名を外交関係条約に基づくペルソナノングラータ、好ましからざる人物として国外退去を通告しました、ロシア大使館員と通商代表部職員が対象とのことです。外交官追放、ロシア軍ウクライナ侵攻と共に強化されたロシア制裁は、ウクライナ北部での非戦闘員虐殺行為を受け、超えてはならない線と認識、制裁強化のかたちです。

 岸田総理大臣はウクライナでのロシア軍残虐行為を受け、ICC国際刑事裁判所への日本分担金を前倒しし、日本政府はロシアがウクライナで行っている戦争犯罪捜査へ国家として強く支援する方針を示しました。日本にとっても、ウクライナ国内でのロシア軍及びFSBによる非戦闘員大量殺害は看過できない問題であったのでしょう。更に追加制裁が加わる。

 追加制裁は、外交的経済的圧力の強化、これ以上の犠牲増大を防ぐために国際社会と結束しての経済制裁を行っていますが、個の中心は五つが挙げられる。ロシアからの石炭輸入禁止へ早急に代替策を確保し段階的にロシアへの依存度を低下させる、その為に原子力を含めたエネルギーを活用し、夏のエネルギー危機を回避するという姿勢を、示しています。

 石炭禁止に続いて第二に、ロシアからの輸入禁止、木材や酒類など来週から禁止措置を行う。そして第三にロシアへの新規投資を禁止する。第四に金融制裁を強化しロシア最大手銀行を含め資産凍結を行う。そして第五に400名近いロシア軍関係者など資産凍結を更に拡大し550名の資産凍結行うとのこと。岸田総理大臣は8日夕方の記者会見で述べました。

 ウクライナ支援は、第一にウクライナ周辺国への人的貢献を行う。モルドバでは既に実施しており、此処に加えてPKO政府調査団を派遣している。また第二にウクライナ避難民の受入を強化する為、当面政府がポーランドとの直行便を確保し、8日から第一便が既に出発しているもよう。ウクライナ在留邦人についても帰国に利用出来るよう設定するとのこと。

 ロシア制裁について。外交官追放は大きな一歩であり、また新規投資の禁止も一見大きな一歩と見えますが、資本総引き揚げのような厳しい措置は無く既存投資はそのまま、更に石炭輸入禁止についても、肝心要はサハリンにて進む天然ガス開発であり、依存度は一割未満でありながら、総量となりますと膨大なものです、ここには言及はありませんでした。

 原子力発電を含めエネルギー問題へ取り組む、この発言は文字通り政治主導により行われるならば、2011年の民主党政権時代に、次の巨大地震が迫っている、東海地震で危険だ、というまさに政治主導により次々と停止した原発、科学的根拠や地学的根拠としての切迫性は無いにもかかわらず政治主導、その原発行政への大きな転換となるのかもしれません。

 電力不足は日本経済はもとより日本社会に取り大きな課題として2011年以降続いており、製造業の国外移転を余儀なくされると共に地震に伴う大規模停電や寒波に熱波での広域停電の懸念、更にウクライナ情勢受けての石油天然ガス高騰による発電費用高騰は、日本の構造的問題となりつつあります、ここで政治が覚悟を決めるならば、重要な発言といえる。

 ロシアではロシア外務省報道官が日本の制裁措置は日ロの長年の友好関係を損なうものであると発言しましたが、この点を記者会見において問われた岸田総理は、全てはウクライナ侵攻と残虐行為が原因でありロシア側の責任転嫁だ、こう一蹴しています。この点では日本外交が覚悟を決めた証左といえるのかもしれません。現在も現地で戦闘は継続中です。

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