北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】陸上航空革命!SB-1可動翼機の前進とAH-64スパイクNOLS,UH-60ALIAS無人運用

2022-04-05 20:15:44 | 先端軍事テクノロジー
■特報:世界の防衛,最新論点
 自衛隊航空には大きな参考点、陸軍航空体系はいま大きな転換点を特にアメリカで迎えようとしています。

 アメリカ陸軍用に開発が進められるSB-1デファイアント複合ヘリコプター用エンジンにハネウェル社製HTS7500ターボシャフトエンジンエンジンの採用が決定しました。機体そのものは2019年に試作機が初飛行、技術試験が進行中です、試作機にもHTS7500ターボシャフトエンジンエンジンが搭載、問題が無い事が確認され制式採用となりましたかたち。

 SB-1デファイアント複合ヘリコプターは統合型多用途陸軍将来垂直離着陸航空機JMR/FVL計画としてシコルスキーとボーイング社により開発が進められているもので、二重反転ローターと推進用プロペラを併用したアドヴァンスドブレードコンセプトローターシステムを採用、巡航速度は460km/hで飛行する極めて高速ヘリコプターとなっています。

 HTS7500ターボシャフトエンジンエンジン、実は陸軍では費用を抑える為にハネウェルライカミングT-55エンジンを採用する構想もありましたが、この場合は巡航速度を維持できるものの航続距離が低下する点が指摘されており、今回費用よりも性能を選択した構図です。SB-1は14名の空中機動が可能で、陸軍のUH-60ブラックホークの後継機となります。
■スパイクNOLSとAH-64
 ウクライナ情勢を見ますと戦闘ヘリコプター搭載兵器の射程をもっと伸ばすべきという視点と、即座に決断が必要な状況では無人機は今なお限界がある事を痛感させられました。

 アメリカのロッキードマーティン社はAH-64E戦闘ヘリコプター用スパイク対戦車ミサイル搭載試験に1億3800万ドルの契約を成立させたとのこと。これはスパイク対戦車ミサイルを製造するイスラエルのラファエル社との契約で、両社の契約はイスラエルのハイファで成立しました。開発などはフロリダ州のオーランドにあるロッキード社施設で行う。

 FCT国外装備比較試験として行われているスパイクミサイル試験は、ロッキードマーティン社がアメリカ陸軍との間で2019年8月に締結した2504万8867ドルの契約に基づくもので、2025年1月30日までに搭載試験とアパッチガーディアン戦闘ヘリコプター戦闘システムとの適合を完了させるとしています。搭載されるのはスパイクNLOSミサイルです。

 スパイクNLOSミサイルはTV誘導方式の長距離対戦車ミサイルで、射程は25kmに達しています。戦闘ヘリコプターは近年、地対空ミサイルの長射程化への搭載する対戦車ミサイル射程限界という課題を突き付けられており、TV誘導方式のミサイル管制をデータリンク能力や無人機管制能力の高いアパッチガーディアンにより実現する野心的な計画です。
■ALIASのUH-60搭載
 SB-1という後継機が開発される事でUH-60をアメリカ陸軍がどう扱うのかは大きな関心事でしたが奇想天外を現実とするアメリカの熱意は、その国力の大きな基盤であることを再確認させられる。

 アメリカの国防高等研究計画局DARPAはALIASによるUH-60ヘリコプター自律無人飛行に成功しました。これはシコルスキー社とDARPAが共同で行っていましたALIAS搭乗員無人操縦室システムの実証試験で、もともとは高度な自動操縦を目指したシコルスキー社のマトリックスシステムを発展、UH-60A多用途ヘリコプターを完全自律操縦させた。

 ALIASによるUH-60ヘリコプター自律無人飛行試験はケンタッキー州のフォートキャンベル陸軍飛行場において2022年2月5日、最初の飛行が行われ30分間の無人飛行を実施、第二回の無人飛行試験も2月7日に実施、この状態では完全自律飛行で遠隔操作など外部からの支援を受けず、有人と同じ電波管制も受けない状況で無人飛行を実現させています。

 UH-60ヘリコプター自律無人飛行の目的は、第一に乗員が操縦ではなく任務に集中する環境を構築する事、第二に危険な第一線や煩雑な末端輸送へ無人飛行により乗員負担を軽減する事等が挙げられます。なお、シコルスキー社によればこの技術は他の機種にも適用可能で、フライバイワイヤ方式のUH-60Mへも続いて試験飛行を実施する計画との事でした。
■アメリカ海軍のCV-22
 自衛隊は輸送ヘリコプターに輸送に向かないUH-60を導入し物議を呼びましたがアメリカ海軍の決定はこの通りです。

 アメリカ海軍はCMV-22Bオスプレイ可動翼航空機のIOC初度作戦能力獲得と洋上運用準備完了を発表しました。CMV-22Bはベルボーイングが開発と製造を担当しており、海兵隊において多数が運用され、陸上自衛隊へも配備されていますMV-22オスプレイ可動翼航空機の派生型にあたり、C-2艦上輸送機の後継として艦上輸送支援任務に当る航空機です。

 CMV-22Bオスプレイ可動翼航空機は2021年12月14日にIOC初度作戦能力獲得しました、そして2022年2月17日に第二空母航空団へ配備、原子力空母カールビンソン艦上に展開しています。CMV-22Bは海兵隊のMV-22と比較した場合、前方スポンソンを改修し搭載燃料が50%増大、6000ポンドの貨物を1150浬の距離に渡り輸送する事が可能です。

 C-2艦上輸送機は、物資輸送や弾薬搬入は勿論人員や郵便物までを陸上基地から艦上へ輸送していましたが、制御された墜落と称される空母甲板への発着は大変な負担ともなっていました、ここでCMV-22Bは垂直離着陸能力により飛行場以外の発着場は勿論、補給艦からも運用可能で、空母に集積された物資を戦闘群隷下の水上戦闘艦へ輸送する事も可能です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ウクライナキエフ(キーウ)北方でロシア軍残虐行為,政府はウクライナ避難民国内受入本格化-政府専用機も活用

2022-04-05 07:00:55 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ウクライナ情勢は厳しい現実ばかりが突き付けられ2020年春の欧州コロナ危機さえ上回るほどの歴史的な悲劇が毎日続いています。

 ウクライナ避難民受入が本格化します、ウクライナ支援へポーランドを訪問した林外務大臣は、登場する政府専用機副務機にウクライナ避難民20名を搭乗させ日本へと帰国します。当初、政府専用機には70名ほどの避難民が搭乗するとされていましたが、日本時間4日夜にポーランドを出発する際には希望者20名を乗せる方向で最終的に決定したとのことです。

 ウクライナ避難民、岸田総理大臣はその受入を拡大する方針を4日に開かれた自民党役員会において示しましたが、課題としては言語と就労の問題があるとしています、ただ、難民ではなく避難民である為、これは例えば津波警報の避難所受入の際に漁業者が避難所では仕事が無いという様なものであり、停戦までの暫定的な避難民という点が重要でしょう。

 ウクライナ避難民については、ポーランドはじめウクライナ隣国の受け入れが進められていますが、その受入の能力も無限ではありません、そしてもう一つ、ロシア側による拉致事件が多発している問題があり、例えば南部マリウポリでは市長の発言として三万の市民がロシア側へ連行されているという問題が生じており急迫不正の侵害を受けている状況だ。

 ロシアは我が国の隣国であり、その関係は良港である事が好ましい事ですが現状を見ますと北海道の防衛と云うものを真剣に再検討する必要があるでしょう、冷戦後一貫して重戦力を縮小しており、北海道はその縮小幅がロシアを意識し抑えられてはいますが、有事の際に増援に向かう本州四国の部隊削減は大きく、そのロシア軍の残虐行為が印象的です。

 残虐行為がロシア軍により行われた、キエフ近郊でのロシア軍はウクライナ軍による反撃を受け撤退しましたが、“数百人の市民が路上で殺害されている”“縛られた状態で射殺された遺体”という状況がCNN,ロイター、AFP,NHKといった各メディアにより報道されました。これは2022年のキエフ近郊の話であって1945年のベルリンの話ではありません。

 残虐行為、ウクライナ側は勿論欧米メディアの現地報道にも確認できるものがあり、ロシア側は関与を否定していますが流石に無理がある反論でしょう。ロシア軍は過去、チェチェン戦争において“清掃作戦”という、ロシア軍判断で敵対的と判断した容疑者を現地の即決判断により銃撃した事例があり、ソ連時代にはアフガニスタンでも実施されています。

 衛星画像は、恐らくロシア側の主張に明白な反論を突き付けるでしょう。路上に並ぶ遺体、衛星画像には路上の精細な画像を確認する水準には難しい点はありますが、ウクライナ国内で報道されているものや既に報道されている市街地の惨状として地上で確認されているものは、周辺の建物等から正確な位置を検証する有力な情報となり、照らし合わせれば。

 衛星画像を偵察衛星運用国が全て一般に公開する訳ではありません、しかし政策決定当事者から機密情報取扱許可を持つ分析員までは閲覧する為、喩えロシアがウクライナの欺瞞情報であると主張したとしても、北部での現実は衛星から隠す事は出来ません、市街地の現状の大まかな画像と、現地の写真を比較するならば、ロシアの反論は覆されましょう。

 しかし、日本の隣国ロシアが同胞と開戦前に表現したウクライナに対し明らかな虐殺行為を行った事、これが1960年代ならばまたソ連が、というところなのかもしれませんが今は2022年です、市街地への無差別攻撃と産業基盤破壊、そして住民大量拉致に続いて今度は虐殺、日本の防衛はいま南西ばかりを見ていますが、ロシアを忘れるべきではありません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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